アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

制作 : Daniel Keyes  小尾 芙佐 
  • 早川書房
4.00
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本棚登録 : 8996
レビュー : 1027
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151101014

感想・レビュー・書評

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  • とても素晴らしい本でした。
    今まで読んだ本で1番好きです。

    知能とは?愛情とは?
    どちらかが欠けたら人はどうなるか?

    一見すると道徳的なテーマなんですが、
    もっと厳しく実直に人間の本質を問いただしているように感じます。
    物語の終盤には、人生とはなんだろう?と考えました。

    物語自体も魅力的なんですが、特に感動したのは
    過不足のない文章構成、見事な日本語訳です。

    元々私は活字を読むのがあまり得意ではなく、読書をする時は多少なりともストレスを感じる(要するに『頑張って読書をする』)ことが多いのですが、この本ではそれがありませんでした。凄いです。

    訳者の小尾 芙佐さんの関わった他の本も読んでみようと思わされました。

  • チャーリー・ゴードンは32歳。でも、幼児ほどの知能しかない精神
    遅滞者だ。そんなチャーリーに夢のような話が舞い込む。

    手術によって人工的に知能を高めることが出来る。読み書きが
    出来るようになりたいと思っていたチャーリーにとって、またと
    ない機会だった。

    手術を受けることを承諾したチャーリーは、既に同じ手術に
    よって知能を高めた白ねずみのアルジャーノンを競争相手に、
    連日様々な検査を受ける。

    チャーリーの手術は成功する。そうして、彼は劇的な速さで
    あらゆる知識を吸収し、彼を実験台とした教授たちをも遥かに
    凌ぐ天才へと生まれ変わる。

    高い知能と多くの知識を得ることと引き換えに、失ったものも
    あった。それは以前のチャーリーが務めていたパン屋での
    仕事であり、仕事場の仲間だった。

    天才の孤独。そして、思い出す過去。それがチャーリーの「経過
    報告書」という形をとって物語が進んで行く。

    ある日、白ねずみのアルジャーノンの身に起こったことから、
    チャーリーは同じことが自分の身にも起こるだろうと予感
    する。

    徐々に出来ないことが増えて行き、覚えたことを忘れて行く。
    「読み書きが出来るようになりたい」と願ったチャーリーが、
    今度は「読み書きを忘れないようにして下さい」と願う。

    もう何度、この作品を読んだだろう。その度に結末が辛くて、
    少ししかページが進まない日が続いた。今回も最後の50ページ
    くらいを読むのに2日もかかった。

    高い知能を得ることが、幸せなのだろうか。相手を思いやる
    心を持っていても知的な障害があったら、それは不幸なこと
    なのだろうか。

    何かを得る為に、何かを失う。それは知能の高低に係わらず
    にそうなのだと思う。

    だが、こうも思う。人間が、科学が、踏み込んではならない
    領域があるのではないか…と。

    チャーリーとアルジャーノン。本書は小説ではあるけれども、
    彼らは神になった気でいる人間の犠牲者でもあるのでは
    ないだろうか。

  • 中学1年生のとき、文化祭のクラス展示でダンボールで本棚を作って机と椅子を置いて憩いのスペースを作った。その本棚に置く本を担任の先生が用意してくれて、その中にこの本があったのだと思った。当時今以上に本の虫だった私に担任の先生は生活ノートで「この本は素晴らしい作品だ」というようなことを教えてくれたのだったように記憶している。ようやく読む機会に恵まれた。

    知的障害をもち、30代にして6歳児並みの知能しか持たないチャーリィが、「頭が良くなれる」手術の話に乗り、どんどん賢くなっていって…というお話。
    はじめは「うわこれはすごい文書だ」と思ったけど、文面でチャーリィが賢くなっていくのがわかる。
    普通は何十年もかけて身につけていくものをチャーリィはたった数ヶ月で高い知能を身につけることがチャーリィ自身や周囲に与える影響。

    何が正解かっていうことは永遠にわからないテーマなのだろうと思う。だけど考えるきっかけを与えてくれる物語だと思った。

  • 素晴らしい作品です。精神遅滞者が外科手術で天才に変貌し、人々の汚い心に傷付き、人々と同じように他者を馬鹿にし、孤独と愛について悩む・・・というストーリー。

    精神遅滞者への人々の差別や侮蔑に心を痛めたり、家族の突き放す姿勢に憤りを感じたり・・・と読み進めていくうちに、どこかにかつての自分を発見しました。誰かを見下したり、笑ったことがあることを思い出させ、それを反省させる小説です。

    主人公と天才ネズミのアルジャーノンの迎える末路。恐怖、苦悩し、最後にかつての優しい心を取り戻したチャーリーがアリスに言った言葉に涙しました。

  • 感動する本の上位にランクしていたので読んで見た。残念ながら、自分の心の琴線には触れなかった。

  • とにかく日本語の表記方法を生かした翻訳が秀逸だったのが印象に残った。
    原書ではどんな風に書かれていたのかは分からないけど、たどたどしくひらがなで書かれた主人公の日記が、次第に漢字が多くなって、難しい熟語が増えていったり、その逆も。これが翻訳版だというのが、おもしろいな。
    最後のほうはページをめくるのが辛かった。でも、悲しいのか怖いのかでもそうでもないような、ざわざわするへんなきもちで…早くこれを終わりたいと思ったので駆けるように読んだ。
    総合的に感想をあらわすなら表現としては「怖かった」って感じだ。自分にとっては。

  • 以前誰かがブクログで言っていたような気がするが、平仮名とカタカナ、漢字がある日本語で読めて良かったなあと思う。
    原作ではどうなっているのかも気になる。
    経過報告という形式で書かれていて、次はどうなるのか気になり引き込まれる話だった。
    何が正しくて何が幸せなのか、それを考えながらずっと読んでいた。
    知能と精神の発達を人為的に与えられ自分で制御できないチャーリーはどれだけ苦しかったろうなと思う。
    読み終わった後、悲しいような感動したような何とも言えない気持ちになった。

  • 最後の数行で切なくて泣いた。読み終わって、本のタイトルの意味がものすごく染みた。正解ってなんなんだろう、そもそも正解なんてないんだろうな。

  • キイス氏追悼。
    医学化学の進歩により当時の「何でも出来る」的な風潮に警鐘を鳴らした言わずと知れた名作。そのメッセージは半世紀経った今も全く色褪せることはない。
    認知症状により人としての尊厳が失われて尚木偶の如き肉体のみを残すための延命治療然り、偏った学習指導の弊害として知能の発達についていけない精神性が原因で引き起こされる虐めや異常な犯罪然り…この上ない苦悩の末に潔い幕引きを選択した青年が突きつけたテーゼは何ひとつ解決することなく私たちの前に横たわる。
    灰燼に帰することなく土中に眠るアルジャーノンは未来に向けての託宣の暗示なのかも知れない

  • 32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書(バイブル)。

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