24人のビリー・ミリガン 下 (ダニエル・キイス文庫 5)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151101052

感想・レビュー・書評

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  •  多重人格者と診断されたビリーミリガンの半生を描いたノンフィクションの下巻。

     2章の続きから始まる下巻は事件を起こすまでのビリーの人生が語られます。

     ただ上巻で各人格がどのように生まれてきたのか、という点は非常に興味深く、面白く読めたのですが、ここまで来るとすこしその日常描写が退屈に感じてしまいました。

     でも一方で各人格たちがルールや規則を作って、体を支配する時間やルールを決めたりしているのが印象的で、面白かったです。

     三章では病院に入院してからのビリーの話となります。裁判等で内容を書くことが難しかったり、出版の期限などもあったのかもしれないですが、
    二章で細かく書いていた割に三章がちょっと大雑把に感じられ、尻切れトンボのように終わってしまったのがちょっと残念でした。

     三章で印象的だったのはビリーについてのマスコミの報道でしょうか。改めて人って精神的な病に関しての恐れや偏見というものを捨てきれないのだな、と作中のマスコミの過剰報道の様子を見ていて思いました。

     ただその思いはもちろん自分の方にも言えることなので、少しでもその思いを消していけるよう努力しないといけない、とも思いました。

     続編もあるようで尻切れトンボで終わった感じはそこで払拭されるのかな、また機会があればそちらも読んでみたいと思います。

  • 読み終わっても多重人格である人間が存在するのが不思議でならない。
    ビリーのなかで24人もの人格が交替しては現れる。
    その人格たちはビリーを守るため協力しあったりする。
    年齢は3歳から26歳までの国籍の違う男女。
    まるでファミリーのようだ。

    これってノンフィクションだっけ??って混乱するほどの内容でした。

    ビリーと作家が雑草に埋もれた墓地での散歩のシーンが印象的です。
    墓石に番号しか記されていないその墓地への想いを語るビリー。
    彼はやさしいのだろう。

  • 1人1人の人格がまるで違っていて不思議。
    自分を守るための存在が自身を長い間苦しめるなんて・・・。

  • 表紙の絵がとても素晴らしい。

    上巻では基本人格のビリーは塗りつぶされ別人格達に色がついていて、下巻ではその逆になりビリー自身が回復してきたことがわかる。

    ビリーの中の23の別人格が統合され24人目の人格【教師(Teacher)】が現れたことでバラバラだった記憶が統合され、彼のこれまでの人生が明らかになった。

    それは正に混乱(カオス)と言える。
    別々の人格が、それぞれの趣味や思考に基づき1つの肉体を操作する。
    しかも、人格の入れ替わりは制御できない場合も多い。
    誰か一人が嫌なことがあって意識を手放したり、休むために眠ったりするとランダムで別の人格が出てきてしまう。
    そのたびに突然全く状況のわからない場面に対処しなければならない。

    別人格たちも苦労が絶えない…

    統合された教師も世間の冷たい目や批判に晒され、分裂と統合を繰り返す。

    人間の脳の中でこんなにも複雑なことが起こるとは。

    人格というか、意識とはなんぞ?
    という強烈な印象を受けました。

  • 自分の中に何人もなんて、なんてややこしい…
    この切り替わりとかどんな仕組みで
    そして中でケンカしちゃったりとか
    もうわけがわからん、ってなるのですが
    実際そうやって苦しんでる人もいて
    救おうとしてくださる方もいて

    心理学の教科書のような…
    感想も難しい本でした。

  • 下巻は、事件以前と事件以後。上巻の密度と比べると、冗長で密度が薄く感じる。いずれにしろ、やりきれない事件だ。頭が混乱する、

  • 「デイヴィッドが名前をつけました」彼は答えた。「彼がつくったからです。デイヴィッドはそこを『死にゆく場所』と呼んでいます」
    2014/07/22-07/31

  • 上巻の途中からものすごく面白くなって夢中で読み進めたが、下巻の逮捕される前辺りで淡々とした日常の書きぶりに疲れてしまった。
    医者の登場人物が多すぎて覚えきれないが、覚える必要もあまりないかも。
    多重人格について自分が全く勘違いしていたことに気づかされ、読んで本当に良かったと思う。

  • 基本的に猜疑心が強くあまり物事をストレートに信じないように
    する、というのが私の信条ではある。しかしながら、あくまで著者が偽りを
    述べていないのだとしたら、このようにたくさんの人々が目撃し、
    肩入れをしたこの現象は本当の事なのかもしれない。
    あるはずもないであろう知識を披露したり、また、持てるはずもない技術を
    ひけらかそうとするのは「ただの知ったかぶり」や「生半可な知識」だけでは
    対応できるものではない。だとすると彼の中に住んでいたこのいろいろな
    側面を併せ持つ人物たちは、やはり多重人格として彼の中に住んだのかもしれない、
    と認めざるを得ないのかもしれない。

    人が過剰に心理的ダメージを得た場合、一時的に心をシャットダウンし、
    記憶を構築しないという現象があるのは一般的にもよく知られているし、
    事実そういうこともあるだろう。
    ただ、あまりに過剰に、そしてあまりに頻繁な度合でそれが行った場合、
    逃避する手段として、それを他の人格が受け入れる、ということも、
    もしかしたらあるのかもしれない。

    ビリーの場合もそのように始まり、やがて様々な人物が彼の中
    に育っていくわけであるが、いったいどういう仕組みで立場も年齢も
    性別も関連性のない人物たちが育っていくのか、
    その原理に非常に興味がある。

    その一方で、そうでもしない限り救えなかった彼自身の心と体に深く
    同情もする。尤も、だからといって犯罪を犯したことを許せるか、と
    言われたら否と答えるしかないのだろうが。

    犯罪を裁く上で精神に問題がある場合、勿論通常の罪人のように
    その犯罪を裁くことはできない。確かに彼にはその同情の余地がある
    ほどのバッググラウンドがあったわけなのだが、それでも被害者は
    それで「割り切れる」かと言えば「割り切れない」のも
    事実であると私は思う。

    上巻そして下巻の半ばまでは非常にのめりこんで読んだこの作品であるが、
    残念ながら解決までには至っていない。その点が非常に残念だ。
    出来るのであれば、どういうメカニズムでこういうことがおこったのか、
    (勿論虐待がそのトリガーとなったことはわかるが)
    知りたいし、実際見てみたいとも思う。尤も私に抱えきれるほどの問題じゃ
    ないし、精神科医でもないのでわからないけれど、
    具体的な身近な精神科医のコメントも聞いてみたいものだ。

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