アルジャーノン、チャーリイ、そして私 (ダニエル・キイス文庫)

  • 早川書房 (2005年11月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784151101144

感想・レビュー・書評

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  • 本編があまりにも絶望的過ぎて、どうにかチャーリィを救えないものか、希望の光が差せないものかと、縋るような想いで本書を手に取りました。


    読んでよかった。

    キイス氏の中ではしっかり希望あったんだと安心、安堵、そして涙。



    「人間の知能を増大するにはあとどれくらいかかるでしょうか?」
    「あと三十年のうちには実現するでしょうね」
    この会話がされたのが1999年。現在2024年。

  • 原著は1999年刊、ダニエル・キイスは72歳。自伝かと思ったら、メイキング・オブ・アルジャーノン。
    キイスは大学では心理学を専攻した。アルジャーノンは実験用のネズミだし、知能や学習も関係しているので、てっきり実験心理学か学習心理学を学んだのかと思っていた。でも、違った。学んでいたのは精神分析やロールシャッハなどの検査法。しかも権威的な教員から教わった。きっと白衣を着てたんだろう(その時代の臨床心理学者はみなそうだったから)。精神分析も週2回クライアントとして受けていた。精神分析医から守れと言われた4カ条、キイスは結局どれも守れなかった。
    でもこれらのおかげで(臨床心理学者たちは反面教師)、「アルジャーノンに花束を」が生まれた。ばらばらのアイデアが時間をかけてつながって、名作へと結実してゆく。その創作プロセスが興味深い。
    中篇で1959年ヒューゴー賞、長篇で66年ネビュラ賞を受賞。一粒で二度おいしかったというわけか。

  • 『アルジャーノンに花束を』、その要素を司るダニエル・キイス氏の生涯を顧みる本作。
    幼年期の、再生紙にされてしまう本を好きなだけ持っていっていい、と言われ必死に取捨選択するエピソードや、船上で医者として働くも人を救えなかったことで挫折するエピソード、それらが一つの物語に繋がっていく。
    特にバイトでガチガチに緊張して運んでいる最中の物を台無しにしたり、特別学級で教育中に「ぼく、利口になりたい。」という原型そのままの話、働きながら作品を書いて、雑誌の間埋めに使ってから、別名義で小説を書き始めていたことを同僚に告げると、彼も同士だと告白するエピソード、暗すぎる、と突っぱねられた『アルジャーノンに花束を』のプロトタイプを友人に見せると、「結末を変えたら足の骨を折る。」と言われたシーンは印象的。
    その後、『アルジャーノンに花束を』はドラマ化、映画化されるものの、結末を変えようとする脚本家ばかりに出会う、というものばかりになってからは、『アルジャーノンに花束を』の生い立ちを語る責任のようなもので描かれているだけで、面白みが感じられなかった。どれもあまり後味の良いものではなかった。


  • 2015年に日本でドラマになっているので名言を知っている人もいるかもしれません。幼児程度の知能を持つ主人公チャーリィの日記を追っていく形式で書かれている
    SF小説です。
    「賢くなりたい」と願うチャーリィの夢がかないますが・・・
    泣きたい人、ぜひこの本を手に取って読み進めてください。

  • 108円購入2014-12-31

  • 凄く良かった。

    アルジャーノンに花束をの小説ができる過程から世に送り出されるまでの過程を知れた。

    小説ができてからというものの、世に送ることにダニエルキイスは苦労したんだなぁと感じた。

    今と昔では作家の求められるレベルが違うだろうし、大人の事情がこんなにも一つの小説に介入しているんだと大変だなぁと感じた。

    小説は作家のすべてが映し出されているものだと思ったが、こんなにも編集者や出版社から、この物語はこう変えた方がいいとか口出しされるもんだと知って、小説家は芸術家ではないんだと自分の勘違いを認めた。

    それにしても出版社が最初に提案した「アルジャーノンに花束をは、チャーリイの知力を後退させるのはやめて、天才のままキニアン先生と無事結婚、めでたしめでたしで、小説を書き直してくれ。読者はハッピーエンドを好むんだ。」とダニエルキイスに提案したシーンは、あほか!と思った。

    そのように書き直してくれたら、この小説をうちから出版しよう!なんてダニエルに提案するが…やれやれ。

    出版社は売れるものを世に出したい。
    作家は自分が良いと思ったものを世に出したい。

    それを私たちは読んで何を感じる。

    そういうことも考えさせられた本だった。

  • アルジャーノンに花束をがどうやって創作されたか
    分かってよかった

  •  アルジャーノン、チャーリイと聞くと、思い入れのある人は胸にグッとくるものがあるかも知れない。どちらもダニエル・キイスの名作『アルジャーノンに花束を』に登場するキャラクターだからだ。

     本書はキイス自身が回想する自伝である。医学生だった日々、パン職人見習いの時期、“特別クラス”で出会った少年…。若き日々のあらゆる経験が、後年大切なものを生み出す糧となっていたのだなあと実感する。
     そして作家としての歩み。キイス作品の創作にまつわる技法やテクニック、メモが惜しげもなく披露される。
     例えば、『アルジャーノン~』は精神遅滞の若者である主人公・チャーリイの視点から物語が語られていくが、やがてストーリーが進むにつれ文体が少しずつ変化してくのが作品のキモである。これについてキイスは本書中でこう語っている。

     <「アルジャーノンに花束を」の冒頭の部分の、チャーリイの文章スタイルは、子供のように直截で、暗喩などはいっさいないが、彼が変わるにつれ単純で叙述的な文章が重文になり複文になり、そして複雑な暗喩になっていく>

     実際にその本を手元に置きながらキイスの解説を読んでいると、実にうまくできているんだなあと感心させられる。まあ、だからこそ原書刊行から数十年にわたってその功績だけで名前を残せるのだろうが。
     『アルジャーノン~』が最初中編で書かれ、数年後に長編へと書きなおされるまでの苦闘など、一度書いたものを書きなおすだけなのだから楽なのではないかという読者の予想(キイス本人もそう思っていたらしい)を覆し、なかなかの難産である。このように作品を生み出す苦しみをも赤裸々に綴っている。

     そして本書中でさらに興味深いのは、『アルジャーノン~』がテレビドラマ化、映画化、そして舞台化と様々なメディアへ展開していく過程である。出演者やスタッフらと意見の食い違いを闘わせながら、自分の作品を必死に守ろうとするキイスの姿。ああいう華やかな世界の舞台裏にはこういう事があるのだな。本人の証言は生々しくて読み応えがある。

     『アルジャーノン~』は他にも様々な国や媒体へ拡がっている。キイス氏の心労はまだまだ続くのかな。「作家というものは仕返しをする」とは本書に記されたキイスの言葉だ。
     今ではすっかりおじいちゃんになったキイスだが、本書の口絵にある若いころの本人の写真はなかなかハンサムだ。

  • 09/20

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