悪童日記 (ハヤカワepi文庫 悪童日記 三部作)

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  • 早川書房 (2001年5月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784151200021

感想・レビュー・書評

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  • だいぶ昔に読み、面白かったのだが消化不良であった本書を再読。果たして物語において双子は本当に「悪童」だったのか。

    双子や母親、祖母との関係性を先の大戦における国家同士のアナロジーとして読んでみたいとも思った。双子の国とは。そこには確かに寓話性がありそうだが、本書だけでは読みきれぬ、しかし確かに何かを示唆する異物感が残る。その正体が何かを知りたく、検索すると『悪童日記』は三部作の一冊であった。そんなことも、今更知ることになる。

    日記なのか。兎っこは何を意味するのか。双子は周到に自分たちを鍛え上げていく。物事を為すにも完璧に作戦を練り上げる。そんな双子が証拠となるような日記を残すという矛盾。異物感の一つはそれだが、続編で解き明かされていくのだろうか。また、家族の関係性も、行動の動機もよく分からない。

    初めて読んだ時とは全く異なる読後感。三部作全て読んでみようと思う。

  • アゴタ・クリストフの傑作。
    『悪童日記』三部作の1巻を読了した。

    まさに傑作の名にふさわしい内容だった。

    「傑作」であるということは聞いていたのだが、実はあまり内容はよく知らなかった。

    はっきり言ってハードである。
    一言で言うならば
      ハンガリー版『R18指定・火垂るの墓』
    といえばイメージがしやすいだろか。

    時代は第二次世界大戦中から大戦後にかけて。
    場所は特定はされていないが、ハンガリーの片田舎の町が舞台である。
    そこに無理やり疎開させられた十代の男の子の双子が主人公だ。

    当時のハンガリーはナチスドイツの同盟国であったが、本書の内容を読むと同盟国というよりもほぼ属国という感じである。

    彼ら体験するのは、あまりに過酷な日常だ。
    人が簡単に死んでいく。
    生きるためは、ありとあらゆることをしなければならない汚いことでも、酷いことであってもだ。

    まさに戦争の暗部をこれでもかと見せつけられる。
    見たくないものであっても。

    最初にR18と書いたが、これこそが彼ら少年少女が実際に体験したことなのだ。
    それをよくよく理解し、この本を体験しなければならないだろう。

    多くの人に読んでもらいたい作品である。

  • 傑作で有名なのに、よく知らずに読み始めた
    インパクトがある作品
    衝撃のラストシーン、疑問を残したまま終わる
    ちょっと鳥肌もの。。。(;ω;)
    連続もののTVがいいところで終わり、「続きは来週ー、また観てねーっ」って言われているのと同じ感覚(昭和か?笑)
    この作品は三部作の第一弾で、話は第二弾『ふたりの証拠』に続くらしい
    第二次世界大戦中に、ハンガリーの田舎町のおばあちゃんの家に疎開して来た双子の兄弟の話
    生き抜く為に双子は毎日色々な『練習』をする
    来る日も来る日も遊ばない、働く、『練習』をする
    双子が客観的事実だけを日記に淡々と書いているのがこの『悪童日記』
    戦争中の話だから、とても暗いし残酷
    でもその日記が読みやすくて、感情や情景がしっかりと伝わってくる
    面白いことにこの作品は誰の名前も出てこない
    双子は『ぼくら』、おばあちゃんは『おばあちゃん』、従姉妹は『従姉妹』という様に名前が出てこなかった
    だから名前を覚えなくてよかった
    さあ、第二弾の『ふたりの証拠』も読まないと!
    続きがどうしても気になる、そんな作品



  • あぁ……余韻がすごいかも。

    全部で六十二からなる章での構成。
    その文体は、
    双子ちゃんの作文のような…
    日記のような…

    各章のタイトルがなかなか秀逸で…
    長くても2〜3頁だからすぐに読めちゃう。
    そのひとつひとつが『悪童日記』

    淡々と書いてあるの。
    良いことも悪いことも。
    好きも嫌いも。
    あっ…でも決して嘘はついてなくって…
    だからかなぁ なんか怖いの。

    ぼくらは「大きな町」からやって来た。

    って、子供らしさ満々でしょ。
    なんか読むの楽しみ♪
    だったんだけど…
    えっ?の連続。

    ズル賢いのレベルじゃなくって…
    でもね、優しいところもあるの。
    頭が良くって…大人をも論破しちゃうみたいな。

    はぁ…うまく伝えれない

    「きちんと伝えてください。
    あなたの説明じゃわかりません。」

    って言われそう…。
    へへ
      
    とにかく…とても深いお話でした♪







  • 戦時下で、おばあちゃんのもとに預けられた双子の「ぼくら」が、日々の事実だけを書き記した日記。純粋な子どもたちが、過酷な現実を生き延びるため、日々、勉強に勤しみ、肉体や精神の訓練も行う。淡々と語られる生々しく陰惨な表現と相まって、感情のないAIロボットのように変化していく双子の姿が恐ろしく感じる。また、地名や人名などの固有名詞はいっさいなく、童話のような世界観を帯びた不思議な物語である。ラストは、「えっ、どういうこと?」とつい声が出てしまった。三部作ということなので、続編もぜひ読んでみたい。

  • 戦時の重い話だが、淡々と書かれているので悲壮感が漂っていない。
    双子のぼくたちに圧倒的魅力を感じるのは、生命力に満ちているからか。題に、悪童とあるが悪童とは思わなかった。人のせいに、周りのせいにしない、恐れず、賢く、逞しい。とにかく双子がかっこよく憧れた。
    最後の双子の選択にはどんな想いがあるのか知りたい。三部作とのこと。続きを読もう。

  • とにかく内容が過激で衝撃的。けれど読み進めてしまう。第二次世界大戦時、双子の少年達が疎遠だった祖母の田舎に疎開し様々な困難と非情な出来事に出会う。子供とは思えない発想と強さで乗り越えながら生きていく様がすごい。続編があるらしいので読んでみたい。映画化もされているとのこと。観る機会があればこちらもぜひ観てみたい。

  • 戦争の激化で疎開した双子の少年が、独特の生きる術によって生きぬいていく。感情が一切描かれず他者からの過酷な仕打ちも、気遣いも淡々と処理されていく。双子が不気味で、読んでいて楽しくないのに引き込まれてしまう。

  • 初めて読む作家。
    アゴタ・クリストフは1935年生まれ、2011年没のハンガリー出身の女性作家。1956年のハンガリー動乱の際にオーストリアに脱出し、スイスに定住、フランス語で著作を執筆している。
    本書「悪童日記」は、1986年に刊行された彼女のデビュー作であり、フランス語で書かれたものである。この後に書かれる「ふたりの証拠」「第三の嘘」と共に、三部作を形成している。
    この小説の中には、人名や国名や地名などの固有名詞がいっさい使われていないが、第二次大戦末期から終戦直後にかけてのハンガリーの、オーストリア国境にほど近い田舎町が舞台。主人公は、ここに疎開させられ、祖母に預けられた、双子の男の子。年齢は物語中に記載はないが、推定すれば10歳前後ではないかと思う。物語は、この双子の目を通して、双子が書く日記のように綴られる。
    ハンガリーは、第二次大戦はほとんどドイツの属国として枢軸国側についている。戦争末期から終戦後は、ソ連軍の姿も物語に登場する。舞台になっているハンガリーの国境の田舎町に住んでいる地元の人たちは、基本的に非常に悲惨な暮らしを強いられている。ユダヤ人の話など、さらに悲惨な話も登場する。
    そのような中、主人公の双子の男の子は、自ら定めた価値観やモラルに従い、周囲と一線を画しながら生き続ける。一般的な意味での正義感を持ち合わせている訳ではない彼らの行動は時にショッキングであるが、なぜか、それはこのような状況下では自然なことのように思える。
    さて、物語は、おそらく「傑作」と呼んでも良いくらいのものだと思う。私も一気読みした。しかし、何が面白いのか、何が傑作なのかを説明するのは、難しい、というか、私の実力では無理だと思うので、それは最初から諦める。
    とにかく、他に読んだことのないテイストを持つ小説である。

  • 海外文学はあまり読まないのだが、お勧めされたので読んだ。まず第一に読みやすい。理由は主人公の双子による口語体で
    また、少年の日記をそのまま読んでいるような、素直な文章だった。ただ一つ言えることは主人公の双子達に全く共感できないが突き放してみると非常に痛快な感覚を覚える。戦争、差別、貧困、暴力、死、これでもか、これでもかとヘイトの嵐。ただ現実をモチーフにされているのは明らかで過酷な日々に没入してしまう。黒手塚と言われる手塚治虫の闇の深い作品で免疫はある方だが、それでもエグい。言いようもない気持ち悪さと不気味さがそこにある。

  • ⚫︎受け取ったメッセージ 
    狂気。毒。

    過酷な戦中、終戦時
    早熟で双子が感情抜きで
    事実のみを語る形をとった
    サバイバル日記

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    ハンガリー生まれのアゴタ・クリストフは幼少期を第二次大戦の戦禍の中で過ごし、1956年には社会主義国家となった母国を捨てて西側に亡命している。生い立ちがヨーロッパ現代史そのものを体現している女性である。彼女の処女小説である本作品も、ひとまずは東欧の現代史に照らして読めるが、全体のテイストは歴史小説というよりはむしろエンターテインメント性の強い「寓話」に近い。
    そもそもこの小説には人名や地名はおろか、固有名詞はいっさい登場しない。語り手は双子の兄弟「ぼくら」である。戦禍を逃れ、祖母に預けられた「ぼくら」は、孤立無援の状況の中で、生き抜くための術を一から習得し、独学で教育を身につけ、そして目に映った事実のみを「日記」に記していく。彼等の壮絶なサバイバル日記がこの小説なのである。肉親の死に直面しても動じることなく、時には殺人をも犯すこの兄弟はまさに怪物であるが、少年から「少年らしさ」の一切を削ぎ落とすことで、作者は極めて純度の高い人間性のエッセンスを抽出することに成功している。彼らの目を通して、余計な情報を極力排し、朴訥(ぼくとつ)な言葉で書かれた描写は、戦争のもたらす狂気の本質を強く露呈する。
    凝りに凝ったスタイル、それでいて読みやすく、先の見えない展開、さらに奥底にはヨーロッパの歴史の重みをうかがわせる、と実に多彩な悦びを与えてくれる作品である。続編の『証拠』『第三の嘘』も本作に劣らない傑作である。(三木秀則)

    ⚫︎感想
    非人道的な戦争、常に冷徹な双子の行動、主観を排除し、事実をあるがまま書くという体裁で書かれた二人の9歳から15歳までの間の日記。二人の完全なサイコパスぶりと、気持ちの揺れは全くかかれないせいで、感情のない人間二人が浮き彫りになり、余計に気味が悪い。
    日記小説はたくさん書かれてきたであろうが、「悪童日記」は黒い光を放つ、唯一無二の小説であると思う。

    最初に衝撃を受けるのは、母方の祖母の横暴、不潔、奸悪。だが、それを淡々と受け流し、必要なことを考え、間違いなく遂行する9歳の双子も怖い。そして、出てくる大人の性的搾取と簡潔な描写。圧倒される。

    母と義妹の死を目前にしても淡々とし、父に至っては彼の命と引き換えに双子の片方は父を踏みつけた上、越境する。

    読後、毒を喰らって心臓を掴まれた気持ちになるが、真唯一無二の存在感と小説内で語られる「主観抜きで書く日記」の設定の見事さに★5

  • 序盤兎っ子と犬の話でこれはちょっと無理なやつかもと挫折しそうになったけど、ひとつのエピソードが3、4ページと短く、悲惨な出来事も淡々と描かれているので、重い話の割にはスラスラ読めた。
    1部だけでいいやと思ってたのにラスト2行にびっくりしてしまい、残り二冊もすぐ注文。前知識なしで読んで良かった。

  • 戦時下、母親に預けられた双子の少年が祖母の家で暮らしながら、生き延びるために自分たちを鍛えていく物語。
    とにかく冷たい、短い、説明しない。感情語がほぼ出てこず、何が起きたか、何をしたかが簡潔・無感情な文章で記述される。
    子どもが語ってるはずなのに、冷静すぎる語り口が妙にしんどい。正直、優しくないし救いもほとんどなくて、読後もちっとも軽くない。
    でも、戦争文学としても人間の物語としても、強烈に残る話だった。
    今作は三部作のうちの一作、先を急ぎます。

  • 第二次大戦下のハンガリーを舞台に、疎開して生きる双子の少年の力強い物語。短くも濃厚な数々の章に区切られて読みやすい。少年達の意思や判断が凄すぎる印象だが、戦争の一つの記録小説として読むと面白い。

  • 戦時中から戦後にかけてのナチスドイツとソ連の狭間であるハンガリー国境付近の祖母のもとに疎開した双子の男の子の日記形式で進む話。

    固有名詞が出てこなくて、双子も個性はなく「ぼくら」としか書かれていません。お互い会話もしません。

    過酷な戦時を生き延びるために二人は痛みに耐える練習、断食の練習などをして日々過ごします。生き延びるためにいろんな悪事もします。

    周りに流されることのない二人だけの判断基準。感情を抑えた客観的事実だけを連ねる日記。徹底した無感情な日記が不気味でもあり、逆にその裏の感情を想像してしまう。心まで武装してるの?と思ってしまう。

    最終ページが衝撃的だと聞いてはいたのですが、いや、なるほどね!

    エグいシーンが多いので、笑顔で人に勧められる小説ではありませんが、これは傑作というのが分かります。読後も引きずるタイプのやつ。マジですごい。

  • まず邦題が完璧。

    いかなる国にも、文化にも、因習にも決して迎合しない彼らだけの揺るぎない倫理‥‥。自分の哲学観を見直すきっかけになった1冊。

  • 強烈な内容の小説。戦時下の属国という悲惨な状況下、双子の少年が日記を記すという構成だが、完全に主観を廃し、事実だけを淡々と書き連ねる手法が、戦争の悲惨さや残酷さ、倫理観の荒廃を際立たせ、これでもかと読者に迫ってくる。文書は平易だが、子供にはちょっと読ませられないシーンがいくつも出てくる。

    正直自分の平時の価値観をぶっ壊されたような気持ちになった。まだ完全には消化しきれていないが、早く三部作を全て読みたい。

  • 物語は戦時下、双子の少年が疎開させられる場面から始まる。
    少年らの手記の中に切り取られる人間の姿が、余りに欲望の赴くままで、その醜さは滑稽でもあり恐怖でもある。

    母を想い涙してた少年達が、生存競争に強かに勝つための人間に変わっていく様は切ない…

  • タイトルどおり悪童日記です。
    第二次大戦中の欧州のとある国の出来事を、ある双子の子どもの視点で語っています。
    彼等は生きるために知恵を駆使して狡猾に振る舞います。

  •  第二次世界大戦が激化していく中、疎遠だった祖母の元へ疎開していく双子の日々の出来事を記した作文あるいは日記の体裁の物語。叙情的な表現を排し、即物的な文章で書かれており、戦争の厳しさすらやや寓意的に思える印象を与える文章だった。
     昔使っていた単語帳に、”cruel” の項目があった。その単語帳は意味と共に例文が載っている形式で、その時の例文は ”The children are cruel.” だった。この小説を読んでいて、なぜだかこの例文を思い出した。
     まだ社会的な価値観が形成されていない双子が、自分たちの目で見た戦時中の景色を自分たちの考えで判断し、世界を発見していく過程が記されており、二人のしたたかさに舌を巻く場面が多かった。どうしてもハンガリーという、第二次世界大戦を通しドイツのナチズムの支配からソ連の支配に移っていく苛烈な舞台で、こんな時代を生き残るための双子なりの術が目につきやすい。けれども、双子はただ周りに反発するだけでなく、双子なりの愛や見方で世界を理解しようとしていたと気付くと、物語により深みが産まれていった。
     個人的には、よく引用されやすい章ではあるが、乞食のマネをする章が一番好きだった。隣に住む「兎っ子」のマネをし、乞食として1日物乞いをする。お金や食べ物をくれたり、仕事をくれようとする人、何もないからと撫でていく人もいる。最後にはもらったものを全て捨てていくが、その時の「帰路、ぼくらは道端に生い茂る草むらの中に、林檎とビスケットとチョコレートと硬貨を投げ捨てる。 髪に受けた愛撫だけは、捨てることができない。」という文章はハードボイルドさに溢れていて好きだった。
     実は三部作の一作目なのに驚いた。

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著者プロフィール

1935年オーストリアとの国境に近い、ハンガリーの村に生まれる。1956年ハンガリー動乱の折、乳飲み子を抱いて夫と共に祖国を脱出、難民としてスイスに亡命する。スイスのヌーシャテル州(フランス語圏)に定住し、時計工場で働きながらフランス語を習得する。みずから持ち込んだ原稿がパリの大手出版社スイユで歓迎され、1986年『悪童日記』でデビュー。意外性のある独創的な傑作だと一躍脚光を浴び、40以上の言語に訳されて世界的大ベストセラーとなった。つづく『ふたりの証拠』『第三の嘘』で三部作を完結させる。作品は他に『昨日』、戯曲集『怪物』『伝染病』『どちらでもいい』など。2011年没。

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