- 早川書房 (2001年5月23日発売)
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感想 : 1213件
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784151200038
みんなの感想まとめ
人生の振り返りをテーマにしたこの物語は、老執事スティーブンスの旅を通じて、過去の選択や失ったものへの思索を描いています。特別な事件がない中で、淡々とした語り口が心に響き、ページをめくるごとにイギリスの...
感想・レビュー・書評
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『わたしを離さないで』と同様にずっと心に残る本だった。
これから更に歳を取って子供達が自立した後に、旅先でゆっくり再読したい。
執事が旅に出て人生を振り返る。
仕事に忠実過ぎる、仕事以外には不器用過ぎる主人公。『コンビニ人間』を思い出す。
特別大きな事件が起きることもないし、ミステリーもSF要素もゼロ。
それなのに不思議と話に惹き込まれる。翻訳も素晴らしくてとても読みやすい。
ページをめくるとイギリスのノスタルジックな世界に没入できる。
歳を取った今だから共感する部分が多かった。何の悩みもない若い時に読んでもこの本の良さはわからなかったと思う。
本を閉じた後にじわじわくる読後感の良さにしばらく浸った。
押し付けがましい感動本は苦手だけど、この本は全くそうではなかった。
この本で読者が感じることは様々だと思う。
主人公の人生の振り返りを通して、私も人生を振り返っていた。
★10
↓以下は少しネタバレになります。
◯刺さった言葉
『夕方が1日でいちばんいい時間』
ちょうど日曜の夕暮れ時に読んでいてジーンときてしまった。
人生も歳を取ってからが1番良いのかもしれない。残りの人生を最大限に楽しもう。
◯この本で共感したこと
・尊敬していた父の老い
・親の介護と自分の仕事の両立
・仕事を全力で頑張っていた若い頃
・若い頃と同じようにできない自分の老い
・華やかな職種が時代と共に変化していく寂しさ
・この先の不安
・あの時の自分は正しかったのか?
・あの時に違う選択をしていたらどうなっていたか?
・これからの自分の生き方
ちょうど1000人目の感想だった^_^ -
人生は近くで見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ――とは、喜劇王チャップリンの名言だ。私は若い頃、悲劇の対義語は喜劇だと思っていたが、歳をとるにつれ、悲劇と喜劇は大抵セットでやってくることが実感として分かるようになってきた。セットというより、同じコインの裏表という方が、より適切な表現かもしれない。
カズオ・イシグロの小説は、そのことを端的に私達に示してくれる。特にこの『日の名残り』という作品はそうだ。とある屋敷に勤める老執事の視点を通して、失われゆく古き英国を淡々と描いたこの物語は、人生下り坂に入ったと感じる者のみが理解しうるユーモアとペーソスとに満ちている。
簡単な一言が言えなかったばかりに失ってしまった女性。壮大な徒労に終わった幻の大事業。人生をかけて理想を追い求めたが、歴史を築くどころか、平凡な家庭を築くことすらできなかった男達。実利主義の前に破れ去る騎士道精神…。老執事の失意と悲嘆が、時に不穏な、時にユーモラスな筆致で描きだされてゆく。失われた人生を思って涙した老執事が、新しい主人のためにアメリカン・ジョークの練習をしようと決心するラストは、カズオ・イシグロ式ユーモアの真骨頂だ。
前途に夢と希望しかない者には、この小説の味は分からないだろう。人の数だけ叶わなかった夢があり、打ち砕かれた希望がある。それを知る者だけが、ありえたはずの別の人生を思って、老執事と共に涙することができるのだ。夕暮れどきが最も良い時間だというのは、老いゆく者に対する作者なりのエールだろうか。悲劇だろうが喜劇だろうが、主役だろうが端役だろうが、与えられた役を最後まで演じきるのが、人の定めだとするならば。 -
さぁ、どうしよう?
ブッカー賞である
ノーベル文学賞である
お前らみたいなもんは、どうせこの世界的名作は敷居が高いだろうから、読んだ気になるレビューを書いてやろうかと思ってはみたが、外気温が35度を超えているので、ちょっと無理かも
語り手はイギリスの著名人に仕える「執事」のスティーブンス
このスティーブンスが、昔の同僚に会いに行く小旅行の中で、その同僚との思い出なんかを思い出しながら「過去語り」をするというストーリー
まずは控えめな語り口ながら、わたし仕事出来ますよ感を全身から発してきます
はいはい、一流の「執事」なんですね、え?一流じゃなくて超一流?あーそうね、そうですね、超一流の「執事」様ですね
まぁ、正直言ってだいぶ鼻につくスタートですが、話が進むにつれて、ちょっと怪しくなってきます
あれ?こいつ確かに「執事」としては超一流だけど、人としてはだいぶお間抜けなんじゃなかろうか
むしろ大馬鹿野郎で、欠点の多い人間なんじゃなかろうか
そして最終的には、あーこいつあかんわ、ぜんぜん分かってないわ、むしろ恥ずかしいわ
となって行き、小旅行自体も最後にはまあまあ恥ずかしい”やらかし”で幕を閉じます
でもね、この年になって自分の半生を振り返ってみると、まあまあ恥ずかしい”やらかし”で埋め尽くされた人生だったような気もします
誰もそうなんじゃないでしょうか?
『日の名残り』のある夕暮れの中で思い返してみれば、あの時ああしていれば…なんてことばっかりなんじゃないでしょうか
思い返してみれば、涙がこぼれてしまうようなこともたくさんあるんじゃないでしょうか
誰もが実はスティーブンスなのではないでしょうか
だけど、となりには薄汚いハンカチを差し出してくれる人がいて、ちょっと苦笑いさせられたり、新しい出会いや、新しい課題が、ほんのちょっぴり前に進もうとする明るい気持ちにさせてくれたりする
結局それが人生を生きるってことだったりするんじゃないでしょうか
そんなことを感じた書評家三宅香帆さんおすすめの一冊でした-
『わたしを離さないで』
本は読んだことないんです…。
でも 読んでみようかな…
ドラマはなんか…だったんですσ(^_^;)
『わたしを離さないで』
本は読んだことないんです…。
でも 読んでみようかな…
ドラマはなんか…だったんですσ(^_^;)
2025/08/23 -
2025/08/23
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2025/08/24
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著者3冊目。以前読んだ『わたしを離さないで』同様に静かで上品な語りの文章が心地よい。ドライブ旅行と追想とで執事スティーブンスの来し方や大戦間のイギリスの状況が浮かび上がる。ラストシーンがいじらしく感じた。
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ご返信ありがとうございます。機会があれば、ご覧になってみて下さい。レクター博士の印象が強すぎますから、イメージが湧きにくいかもしれませんが。ご返信ありがとうございます。機会があれば、ご覧になってみて下さい。レクター博士の印象が強すぎますから、イメージが湧きにくいかもしれませんが。2022/03/29 -
こんにちは。いつも「いいね」ありがとうございます。
映画「日の名残り」、大好きです!もちろん、イシグロさんの原作も!
ごめんなさい、つい...こんにちは。いつも「いいね」ありがとうございます。
映画「日の名残り」、大好きです!もちろん、イシグロさんの原作も!
ごめんなさい、つい嬉しくって、コメントしちゃいました¯\(◉‿◉)/¯2022/04/07 -
まーちゃんさん、こんにちは。
こちらこそいつもいいねをありがとうございます。コメントもありがとうございました♪
まーちゃんさんもyhyby...まーちゃんさん、こんにちは。
こちらこそいつもいいねをありがとうございます。コメントもありがとうございました♪
まーちゃんさんもyhyby940さんもおすすめというなら、映画「日の名残り」をぜひ観なくては!ですね。
まだそんなに読んでませんがイシグロさんの静かな空気感というか雰囲気が好きです。映像化されてもその辺が変わらないといいなぁと思ってます(^-^)2022/04/07
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おじさんの虚無。
読んでいる途中、激しい感情の起伏は起こらないけれど、執事さんの脳内トークの言い訳に味があって、だんだんと面白くなってくる。
そして、しみじみとする。
品とノスタルジアの小説。
仕事ばかりしてプライベートを台無しにする日本のおじさんに(おばさんにも)お勧めする。 -
映画公開時に、映画を見て小説も読んだんだけどまったく理解してなかった、と思う。
カズオ・イシグロのノーベル賞受賞(受賞から数年経っちゃってるけど)でちゃんと読んでみることにした。
1956年、オックスフォードの由緒正しいお屋敷ダーリントンホールに勤める初老の執事スティーブンスは、今のご主人ファラディ氏の休暇に伴い小旅行を計画した。ダーリントンホールは以前は名門貴族ダーリントン卿の持ち物だったが、卿の死後アメリカ人富豪ファラディ氏が屋敷を買い取り、スティーブンスはそのまま新しいご主人に仕えている。政財界に携わり世界の情勢に影響力を持つイギリス人貴族と、戦後の自由なアメリカ人。ご主人の違いにも悩む。それより一番の悩みは使用人の未経験や不足によりお屋敷のご奉仕が行き届かなくなっていることだ。
スティーブンスには一つの解決方法を望んでいた。20年以上前にお屋敷を結婚退職した女中頭のミス・ケントン(結婚後はミセス・ベン)に復帰してもらうことはできないだろうか?ミス・ケントンとはたまに交わす便りだけの仲だ。そしてスティーブンスは最近受け取った手紙に、彼女が人生に悩んでいること、ダーリントンホールにいた頃を懐かしむ気持ちを読み取っていた。そこで彼女の住む西岸の町クリーヴトンに行ってみることにしたのだ。
…というのは建前、どうやらスティーブンスはミス・ケントンと自分の間に別の関係が成り立つことができたのではないかと考えているっぽい。
この小説は、ミスター・スティーブンスが読者に向かって語るという一人称形式。1956年の小旅行、第二次世界大戦前後のダーリントン卿につかえていた頃のこと、現在のファラディ氏とのこと、そして長年悩み続けている、執事に必要なもの、特に『品格」とはどのように身につけることができるのか。
一人称なので『このような状況になり、私はこのように発言したけれど、それを言うに至った心境や本心はこのようなものなんです」という本音と建前のようなものも見える。そしてさらに読者には、その奥の彼の本心も見え隠れしてくる。…要するに彼が語ることは表面的で取り繕ってる感じなんです。
彼はいかにもみんなが思い浮かべる執事で、自分の考えは表に出さず御主人様の考えに従い、屋敷の隅々の細かいところまで目を光らせ、言葉や立ち居振る舞いは慇懃で、常に完璧を目指し、ご主人やお客様が何を望んでいるかを瞬時に悟り意に沿うサービスを提供する。ご主人やその客には最大限の敬意とおもてなしを行い、他の従業員には厳しくも適度な距離を保って接する。「あなたの未熟さが…」とか言うけれども人格否定ではなくて自分と同格の人間と認めたうえで言っている感じではあるんだけど、私にはお屋敷努めは務まらんなあ(^_^;)
二つの世界大戦を通して時代が変わっていく渦中のため、登場人物たちの国の運営に関する考え方の違いも見えます。
民主主義とは言え何も知らない素人は政治に口出ししない方が良い。
知的階級だけが国を動かす立場に就くべき。
それぞれのものが自分のふさわしい立場や役割を保ちそこから出るべきでない。
身分に関わらず『品格」は持てるのだから、全員が意見を持つのだ。
それらは、かつてダーリントン卿のもとで見聞きしたもの、1956年現在の旅で新たな意見に出会ったものたちだ。
長年仕え続けたダーリントン卿は、紳士としては完璧で、自分たち上流階級が国を導く気持ちが強い。スティーブンスは卿に使えることにより、世界を揺るがす決定に自分たちのサービスが影響していることを感じていた。しかし第一次世界大戦後のドイツの困窮に心を悩ませたダーリントン卿は、第二次世界大戦前後ではナチスとの繋がりを囁かれてしまい、晩年と死後はその名誉を失っていた。
現在のご主人はファラディ氏は執事にもアメリカ人らしきジョークを投げかけてくる。スティーブンスはファラディ様は自分がジョークを返すことを期待されているのではないか?と考えるて精一杯のジョークを返したつもり、なのだが相手からは『え?なんだって?」とジョークと認識してもらえない…このジョークに関してのやり取りは『おっさん、慣れないことは無理すんな」と言いたくなる(^_^;)
この『スティーブンスが実際に言ったりやったりしたこと、そのためにスティーブンスが考えたこと、それを読んで読者が考えること」の構造が一番見えるのはやっぱりミス・ケントンとのこと。スティーブンスが実際に行ったりやったりしたことは礼儀を保った仕事だけの関係、そのために考えたことは『ドアを開けるべきかと思ったのだが」など巻kネイが変わるかもしれない機会は何度もあったこと、読者はその奥に『ロマンスを感じてるの?」と見る。でもさー、親族が亡くなった相手に向かって『お悔やみを伝えるべきかと思ったが」実際にやったのは仕事が行き届いていない小言や、相手を愚かな未熟者扱いだもんなあ…。
そしてスティーブンスが仕事上で悩むのは『品格」のこと。ダーリントン卿に仕えていたころ、少しはそれを身につけた時があったと思う。だがその後は?そして自分が思っているものが本当に『品格」なのか?そして今の現在はそのような『品格」は必要なのか?それはミス・ケントンと再会して言葉をかわした後にさらに悩む。
終盤、スティーブンスは一人で考える。自分には品格などなかったのではないか、過ぎ去った日々に取り残してしまったものはあまりにも多かったのではないか。
小説ではずっと『スティーブンスが語ることは表面的で、その向こう側に本心があるはずだ」と見えていたんだけど、最後の悔恨は深刻なんだけども取り繕った感じのない清々しさがあった。
そしてたまたま言葉をかわした男の『一日の家で夕方が一番いい」という言葉に目が覚めた思いを持つ。自分は老いた。かつてのような伝統に基づいた完璧なご奉仕はできない。しかし時代が変わった今、ファラディ氏には新たにご主人と執事の関係が築けるのだ。例えばファラディ様のお気に召すジョークだって、自分はこれから取り入れる事ができる。
自分は老いて、かつての古き良きものも失われつつある。だが人生は夕方こそ一番良いのだろう。
いやーー、一人称のためにスティーブンスの取り繕ったような自分中心なところが読みながらスッキリしない、彼の言う事の向こう側を考えちゃっていたんだが、終盤ですっきり!
人に語るという形式ながらも対外的に作った感じだったスティーブンスが、彼の奥深くの悩みを受け入れて、読み心地が爽やかだ。彼の「品格」は、世界を変えるその場にいてわずかながらに役割を果たしたってことではなくて、自分自身の悩みに向かい合って前に進むことに決めたということだと思う! -
ずいぶん前に映画を見て気になっていた作品。
やっと読めた。
主人公のスティーブンスがいかにもな英国執事という設定。古き良き時代を、長年仕えてきたダーリントン卿や執事として大先輩の父、仕事の同士である女中頭ミス・ケントンとの思い出を振り返りながらドライブ旅行は進む。
執事としてダーリントン卿を心から敬愛し信じたスティーブンス。執事としての仕事に心から誇りを持ち真面目に打ち込んだスティーブンス。結果、父の最期の瞬間に立ち会うことは出来ず、自身のミス・ケントンへの想いにも気付かず、主は敬愛したダーリントン卿からアメリカ人のファラディに変わり、美しく維持されたダーリントン・ホールも大勢いた雇人も極限まで減る。
ドライブの最大の目的はミス・ケントンとの再会だが、その再会が出来るのかどうか、また出来たとしてスティーブンスの思惑通りに進むのかが、回想を読み進むほど心配になってくる。
時に健気で時に滑稽、時に痛々しいほど真摯に理想である「品格ある」執事の仕事に突き進んだ彼が、旅の最後にたどり着いた答えは。
心配したような結末でなくて良かった。
ファラディの元で、スティーブンスがどのような執事振りを見せてくれるのか、渾身のジョークはどんなものなのか、想像すると楽しい。 -
英国執事を主人公に据え、英国文学ならではの上品さとユーモアを散りばめながら、これまた戦後の英国を体現するかのような栄光の落日を重厚かつスマートなタッチで描いた作品です。
今回もカズオ・イシグロお得意の回想シーンが休暇で旅をする現在とパラレルに交錯していて、回想が割と非時系列的であるにもかかわらず卓抜な文章表現にてぐいぐいと読者を惹きつける物語の構成力はなかなか大したものでした!
英国執事に求められる「品格」とは何か?どこぞの国の角界でも問題視されるテーマが今回のお題です。
いまは館の主人を失い、大富豪のアメリカ人に買い取られたお屋敷ダーリントン・ホール。召使いの数もぐっと減り日常業務もままならなくなったミスター・スティーブンスは、現在のご主人様より自動車旅行を提案されたのを幸いに、かつての同僚で女中頭であったミス・ケントンに会うべく車を走らせる。
運転や宿泊の折々に思い返されるのは、かつてのダーリントン・ホールで執事の職務を忙しく忠実にこなしていた華やかな日々であり、貴族の使命感に燃えていたご主人様ダーリントン卿やミス・ケントンとの思い出の数々であった・・・。
戦前・戦中・戦後を経て、目まぐるしい時代の変化の中に取り残されてしまったお屋敷と執事という存在を、日本人の血を持つカズオ・イシグロが圧倒的な文章力でモノにしたというところがまず面白いです。
カズオ・イシグロのノーベル賞受賞スピーチを読むと日本的なものへのこだわりがあったとのことですが、このようなあまりにもイギリス的な視点においても戦前・戦中・戦後を経た日本文化との共通性があるのかもしれませんね。
そのような中で問われるのは職務に求められる「品格」です。この物語では世の中でもはや失われようとしている執事の「品格」ついての事例が繰り返し提示されます。これは長年に培ってきた職務への誇りであり、自負であり、ひいては求められる社会の規律であったとも言ってもいいでしょう。
しかし逆に、父の死や求愛の拒絶といった人生の重大事にも目を背け、ひたすら職務に身を捧げるといった頑迷さも鼻につきます。
ひたすら励む職務に対し、われわれはそこに忠実の美徳を見るとともに、どこか滑稽さも感じるのはやはり第三者的な別世界の視点でしかないからでしょう。作者はこの視点を最大限に活かすためかなり大げさな振る舞いをさせていると思いますが、それが腑に落ちてしまうのは作者のエンターテインメントの力量が優れているからでしょうね。
そこかしこに出てくるユーモアもとても面白かったです。
社会が変わり、人生の黄昏にも気が付いた時、老執事が向き合ったのはいまや残酷となってしまったかつての栄光でしょうか。
いや、かつての栄光を胸にしまいつつ、そして、苦々しく感じる過去も全て飲み込んで、ミスター・スティーブンスが考えたことは新しいご主人様であるアメリカ人に対応するべくジョークを身につける研鑽を積むことでした。
こうしたユーモアに満ちた微笑ましさに、カズオ・イシグロの繊細な優しさを感じてしまうのです。-
『英国執事を主人公に据え、英国文学ならではの上品さとユーモアを散りばめながら、これまた戦後の英国を体現するかのような栄光の落日を重厚かつスマ...『英国執事を主人公に据え、英国文学ならではの上品さとユーモアを散りばめながら、これまた戦後の英国を体現するかのような栄光の落日を重厚かつスマートなタッチで描いた作品です。』
日系人の作家がこういう作品を描くことができるというのが不思議なんですよね。
イシグロの作品にはユーモアがありますね。2018/05/31 -
lacuoさん、こんにちわ。
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
そうなんですよね。本筋自体は深刻な物語でも、必ずと...lacuoさん、こんにちわ。
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
そうなんですよね。本筋自体は深刻な物語でも、必ずといっていいほどイシグロの作品にはユーモアが散りばめられているんですよね。(^o^)
こういうちょっとづつ小笑いをとるような話を考えるのが好きなんですかね。(笑)
外見だけからいうと、そういうユーモアを考えるような面白そうな人には見えませんけどね。(笑)
2018/06/03
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物語の設定や描写の上手さに、グイグイ引き込まれて、あっという間に読み終えました。
さすがノーベル賞作家です❕
イギリスの古き良き伝統と執事の品格など自分の理想を追い求め、理想の「執事像」を徹底して生きていく主人公。
でも最後に、自分の理想の枠を越えて、本当は自分らしい生き方をすべきではなかったのか。
もう遅すぎた。
現代人にも共通する普遍的な悩みが描かれており、考えさせられました。
とても余韻が残る読後感です。
ぜひぜひ読んでみてください -
ここまで「品格」について考えさせられたことは、ありませんでした。イギリスならではの文化というか、国民性というのか、真面目で忠誠心の
強い執事のスティーブンスのお話で、過去現在と
自分が執事であることに対しての誇りというものが、沸々と伝わってきました。ダーリントン卿への忠誠心には、人一倍強いものを感じました。
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お恥ずかしながらノーベル文学賞受賞で初めて知ったイシグロ氏
かつみなさまのレビューを読んで、これは間違いなく好きそうだと思い、読むことに
スティーブンスは英国の執事
有能で全身全霊を込めて職業を全うしている
長年仕えた雇主のダーリントン卿に対する敬慕は日本人のサムライ魂みたいなものを感じる
真面目で堅物で慎重で融通の効かない不器用さがなんとももどかしいことが多いのだが、なんとも愛おしい
戦後、ダーリントン卿は亡くなりお屋敷ごとスティーブンスはアメリカ人ファラディに売られる(時代を物語っている)
このファラディの親切な提案で短い旅行に行くことになり、スティーブンスは過去の思い出を馳せる
小旅行と思い出の物語は見事な構成で進行する
品格ある執事を突き詰めようと仕事に邁進するスティーブンス
執事の鏡ともいえる尊敬する父の悲しい衰え
同僚のミス・ケントンとの関係
二つの大戦に絡む、複雑で重要な外交会議、そしてダーリントン卿の思想や苦悩
一つ一つのテーマや人間性がとても深く、読み応えがある
いやぁ、じんわりきた!きた!
スポンジになった自分にじわじわ素敵な文章がしみ込んでくる
切なく物悲しい内容のはずだが、「悲」より「美」を際立って感じてしまい、なんだか自分は不謹慎なのか?と思えてしまう…
どんな時でもキラキラした静かな湖畔の景色が延々と続くような文章と内容であった
そしてこれまた効かせるユーモア!
品があるのだが、なかなかニヤリとさせられる
ミス・ケントンとのやりとりはニヤニヤが止まらず困ってしまった!
決して派手では無いのだが、心にずーーーんの響く
読んだ後もスポンジになった自分は素敵な物語がしっかりしみ込んだヒタヒタの中に心地よく浸かって、切なくも気持ちよく余韻を楽しんだ
次はどの作品を読もうか
それくらい気に入ってしまった
スティーブンスは新しいアメリカ人の雇い主ファラディときっとジョークを飛ばし合える良い関係を築いていけるようになったんじゃないかな…
そう思いたい
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ハイジさん、こんにちわ!(^o^)/
私もこの小説からカズオ・イシグロの世界に入りました。(^o^)
仰る通り、美とユーモアと品と切...ハイジさん、こんにちわ!(^o^)/
私もこの小説からカズオ・イシグロの世界に入りました。(^o^)
仰る通り、美とユーモアと品と切ない恋愛感情?に彩られたとても良い小説でしたね。
ある人に言わせれば、旅行に持っていくならこの一冊をと推薦していましたよ。確かに私もそれはいい考えだと思いました。
さらに素敵なカズオ・イシグロの世界にめぐり会えると良いですね♪2020/05/04 -
mkt 99さんこんにちは(^ ^)
コメントありがとうございます。
旅行のおともに…素敵ですね♪
いつかイギリスの田舎をこの本持参で旅して...mkt 99さんこんにちは(^ ^)
コメントありがとうございます。
旅行のおともに…素敵ですね♪
いつかイギリスの田舎をこの本持参で旅してみたいものです!
今手元に「わたしを離さないで」もあるのでこちら読むのも楽しみにしているところです!
ありがとうございます☆2020/05/05
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読了後、名作映画を観たような余韻に浸れる一冊でした。
【あらすじ】
執事のミスター・スティーブンスが主人公。
彼は、イギリス人のダーリントン卿に仕えていたが、ダーリントン卿の没後、邸宅はアメリカ人ファラディ氏が所有することになる。
主人公はファラディ氏から短い休暇を与えられ、元同僚のミス・ケントンに久しぶりに会うため旅に出ることになる。
【感想】
6日間のイギリス国内を旅しながら、過去のダーリントン邸で過ごした日々を回顧するのですが、静かで品格のある物語が心地よかったです。
旅は、Salisbury → Dorset州モーティマーズ・ポンド→サマセット州Taunton →デボン州Tavistock → Cornwall州リトル・コンプトン
→ 最後のWeymouth で元同僚のミス・ケントンと再会します。
私は「旅の1日目でイングランド北部ダーリントンから南部Salisburyまで、そんなに長距離移動できるの?!」と思ったのですが、ダーリントン卿は架空の人物のようでした。
(※読み飛ばしているかもしれませんが、ダーリントン邸の場所はどこの設定か分からなかったです。ダーリントン卿のモデルは、ネヴィル・チェンバレン?)
旅の終わりであるWeymouthは港街のようで、題名の「日の名残り」に相応しい、美しい海辺の夕日が見られるようです。
品格のある紳士言葉で直接的な感情表現をしないことで、すれ違いを生み、何とももどかしかったです。原文の英語で、どのように表現されているのか気になります。
本書の中で、「夫婦にとって、隠居後の生活こそ人生の華だと言います」と「夕方が1日で一番いい時間」と語られていたのが印象に残りました。
人生の後半で過去を振り返った時、切ないような充足感のあるような‥、一言で表せられない感情を表現されていたのが見事でした。 -
イギリスの品格ある旧家で長い間執事を務めたスティーブンスは、西部地方へ六日間の短い旅に出ることになる。
長年仕えていたダーリントン卿への思い、女中頭であったミス・ケントンへの淡い恋心など、すべてがスティーブンスの旅の間に思い起こされた、長い独白という形で綴られていた。
偉大な執事とは何か。品格とは。
堅苦しい話が延々と続くのかと思いきや、ユーモアで心和む場面もあり、スティーブンスの生真面目過ぎる人柄にもかかわらず、親しみが湧いてくる。
物語が終わりに近づくにつれ、ページをめくる手が止まらなくなった。
後戻りはできない、ただ一度きりの人生。見事なラストシーン。
哀しくも美しい、余韻の残る素晴らしい作品だった。 -
伝統的な英国の執事の世界。雇い主に対する忠誠心の強さ、徹底的なプロ意識。人生を捧げたその生き様に脱帽しました。けれど、時代の移り変わり、人生を振り返った時に感じた後悔に涙したのか…哀愁を感じました。
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『日の名残り』を読んでまず感じたのは、これは英国の老執事が過去を振り返る物語ではなく、「自分の信念を貫いて生きた先に、本当に後悔は残らないのか」を問い続ける作品だった。
主人公のスティーブンスは、名門ダーリントン邸に長年仕えた執事である。ある日、かつての同僚ミス・ケントンを訪ねる旅に出た彼は、その道中で自らの半生を静かに振り返っていく。主人への忠誠を何よりも重んじ、一流の執事として職務を全うすることだけを人生の誇りとして生きてきたスティーブンス。しかし、その回想をたどるほどに、彼が仕事と引き換えに失ってきたものが少しずつ浮かび上がってくる。物語は大きな事件や劇的な展開で読ませるのではなく、一人の男の記憶を丁寧に積み重ねながら、その人生の輪郭を静かに描いていく。
この作品が描いているのは、執事という職業ではない。人は「正しい」と信じた生き方を貫いたとしても、それだけで幸せになれるとは限らないという現実である。スティーブンスは感情を抑え、私情を挟まず、主人に忠実であり続けることこそが自分の使命だと信じている。その姿勢は誠実であり、職業人としては見事ですらある。しかし、その誠実さゆえに、大切な人へ伝えるべき言葉や、自分自身の本当の気持ちまで胸の奥へ押し込めてしまう。読者は彼の語りを通して、その人生の豊かさよりも、静かな喪失の大きさを感じ取ることになる。
印象的だったのは、スティーブンスが最後まで自分の後悔をはっきりと言葉にしないことだった。過去を振り返っても、自分の選択を大きく否定することはない。しかし、その淡々とした語りの隙間から、言葉にできなかった思いや、選ばなかった人生への未練が静かに滲み出てくる。その抑制された表現が、この作品をより切なく、より深いものにしていた。読んでいて何度も考えたのは、人生を後悔するのは間違った選択をしたからではなく、自分の本当の気持ちに最後まで向き合わなかったときなのではないかということだった。
そして終盤、物語は劇的な結末を迎えるわけではない。それでも、一日の終わりに差し込む夕暮れの光のように、静かな希望が残される。過去は取り戻せない。しかし、残された時間をどう生きるかは、まだ自分で選ぶことができる。その穏やかな結末があるからこそ、読後には悲しみだけではなく、不思議な温かさも心に残った。
『日の名残り』は、一人の執事の回想録ではない。社会や役割に誠実であろうとするあまり、自分自身の人生を後回しにしてしまう人間の姿を描いた作品である。読み終えたあとに残るのは、失われた時間への切なさだけではない。今、自分が大切だと信じているものは、本当に心から望んで選んだものなのかという、静かで深い問いだった。 -
一日の中で夕方が一番美しい。
人生も黄昏時が一番美しい。
人生の黄昏時を迎えた男の、切なく淡いラブストーリーも含んだ、仕事に生きた人生を描いた物語。
原題の”The Remains of the Day” は「1日の終わりに思い出すもの」という意味だけど、同時に「夕方から夜にかけて」という意味も持たせているらしい。訳者あとがきより。最終章の情景にぴったりの秀逸なタイトル。
ラストシーン、希望が溢れてて好きだなぁ。 -
名作やん。
執事のこれまでの職務にどれほど忠実であろうとしたかを独白で語るので、すごくマンネリになりそうな筋立てなのに、読ませる。引き込まれるようにスティーブンスが品格についてどう思い、どうあろうとしたかを感じていたら、時代背景としてナチスの影が見え始めて歴史の厚みが出てくる。ここらへんの出し方というかプロットが巧みで、気付かないうちに飲み込まれてしまう。
また、スティーブンスのジョークがひどすぎて、周りがやや困惑してるところもまた小技が効いてる。
ミス・ケントンとのやりとりも、最初犬猿の仲だったのにいつのまにかココア会議してたり、本の取り合いのようなドキッとするじゃれあいもあったにも関わらず、スティーブンスの見栄や意地で発展していかないという焦ったさもすごい。スティーブンスの徹底した職務忠実ぶりが伝わる。
全体的にとても品があると感じるのは、スティーブンスが新旧のご主人や女中頭、客人に対して一定の敬意を払っているから。ラストの涙とジョークの上達への意気込みがまた味わい深い。 -
友人から勧められた作品。土屋政雄氏の見事な訳も手伝って、素晴らしい読書体験を味わうことができた。
常に「品格」を追い求めた執事・スティーブンスは、現在の雇主であるファラディから休暇をもらい英国南西部への旅に出る。
息を吞む田園風景や暖かい人々との交流を味わいながら、旅の中でスティーブンスはかつての雇主・ダーリントン卿への敬慕や、同じ館で十年以上の時を共にした女中頭であるケントンへの淡い恋心といった過ぎ去りし思い出を振り返る。
スティーブンスは執事として素晴らしく有能で、ダーリントン卿が保有していた館での仕事はまさに完璧といっていいほど。彼の気品あふれる語りと時折見せるユーモラスさのコントラストが非常に愛おしく、語りを読んでいるだけでじんわりと幸せになれた。
そんなスティーブンスが旅の道中に思い出していったのは、過ぎ去りし日々のこと。
亡き父の死に目。自身へ向けられたミス・ケントンの想い。盲信的に尽くしたダーリントン卿の末路。自身の求めるものや、時代のうねりのなかで失ってしまったものの数々を思い出すスティーブンス。だが、時計の針は巻き戻せない。
古人から現代人に至るまで、人間として生きるのであれば逃れることのできない苦しみ。それを改めて考えさせられる。
ノスタルジックな雰囲気に浸れる作品ではあるものの、終わり方はどこか未来を感じさせ、じんわりと心に染みわたる作品だった。 -
かなり前に読んだものの再読。
前半部分はわりと覚えていたのに、ミスケントンと再会する場面を全く覚えてなかった…。
でもそのお陰で新鮮に楽しく読めました。
当時も思ったけれど、私みたいに歴史的背景や知識がなくても、主人公の執事としての日常や矜持、過去の日常についての独白が続くのに、退屈せずにどんどん読める。
スティーブンスは執事としては忠誠心があって優秀かもしれないけど、遊びがなくて、人に対して不器用で鈍感で空気が読めないところがイラッとしつつ段々と可愛らしく思えてくる。
個人的には言葉遣い一つで登場人物の印象も変わると思っているので、作家さんが書いた言語で読みたいのだけれど、こちらの訳も十分魅力的に描かれていて品があって美しい文章たちでした。
彼が人生の夕暮れにこの旅ができてよかった。
またしばらくして読み返すのもいいかもしれない。 -
お堅いお仕事小説
脱線に次ぐ脱線がとても長い…ただ物語をつくりこむ執筆の凄さ、そして前作同様 静かな物語だったのを感じた
今作もイシグロ氏による回想、文学用語の信頼できない語り手 と呼ばれてる物語だった
わたしを離さないで から入った方が多いと思われる、今作物語はこちらも少し悲劇的に描かれてて、雇主だった者の過ち、女中の思いを気づけなかったなどが最後に想いにふけながら終わってく。しかし見知らぬ男との夕刻の話、つまりダーリントン卿との時間は素晴らしいものではあったのだと、イギリスの執事とはこれほどの仕事で素晴らしくあったのだとと思わせるような内容だった
誰にでも一生懸命のとき、じっくり考慮したとしても周りが見えなく選択の判断を悔やむこと一つや二つだってある、しかしというかやはり前を向けば新たな出会い、自分なりの楽しみを見つけられると、そんな想いが伝わってくる日の名残りだった
好きなフレーズ引用
人生が思いどおりいかなかったからと言って 後ろばかり向き 自分を責めてみても それは詮無いことです
私どものような人間は何か真に価値あるもののために微力を尽くそうと願い それを試みるだけで十分であるような気がいたします
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著者プロフィール
カズオ・イシグロの作品

おめでとうございます(。•∀•)ノ☆
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わあ!ありがとうございます\(^o^)/
今見たら登録者数もちょうど9500件でした!
両方キリ番は珍しいですね...
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両方キリ番は珍しいですね(^^)