ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)

制作 : Agota Kristof  堀 茂樹 
  • 早川書房
3.85
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本棚登録 : 1989
レビュー : 230
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200120

作品紹介・あらすじ

戦争は終わった。過酷な時代を生き延びた双子の兄弟の一人は国境を越えて向こうの国へ。一人はおばあちゃんの家がある故国に留まり、別れた兄弟のために手記を書き続ける。厳しい新体制が支配する国で、彼がなにを求め、どう生きたかを伝えるために-強烈な印象を残した『悪童日記』の待望の続篇。主人公と彼を取り巻く多彩な人物の物語を通して、愛と絶望の深さをどこまでも透明に描いて全世界の共感を呼んだ話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 一作目よりも難しいテーマだった。前作同様、主観を剥ぎ落としたような文体で主人公リュカの生活が描かれる。戦争の傷跡と戦後のの体制による抑圧により物語全体として押し殺されたもの悲しい雰囲気に包まれていた。本作品に出て来る人々は何かしら不幸と孤独を抱えており、これがまさに旧ソビエトの属国に住んでいた人々の、当日の情況だったのだろう。

  • 前作に引き続き一気読み。第1部の終わり方が衝撃的だったのでKindleで買って読んでしまいました。
    読み終わると、これまた別の意味で衝撃的です。展開も、悪童日記という前作そのもののゆるがせ方も、大胆極まりない。でも、これもまた、自作で覆されるのか?

    第1部よりも少し劣るもののの、強烈な出来事を簡潔に描く無駄のない文体は相変わらずです。語り方が大きく変わっています。

    この物語では前作のラストで分離された双子の片割れが、その後孤独に行きていくすがたが描かれています。
    リュカとクラウスという名前の与えられた双子。
    ですが、作中ではクラウスは実在しないのでないか?という疑惑がちょくちょく挟まれていて、日記の内容を知っていると、クラウスのことに触れるのがリュカだけでなのが気になってしまいました。
    また、悪童日記から、少し人物のイメージも違います。ですが、セリフや行動から、悪童日記の双子らしさも感じ取れて、二つの作品の繋がり方がとても面白い。
    前作とは違った意味で衝撃的だし、前作を別視点で見る形になります。

    タイトルが秀逸。読み終わるといろんな意味に捉えられる。前作は自分とは無関係なところにある物語だったのに対し、第2部は、リュカの孤独を感情移入できるし、クラウスやリュカの存在証明を通して、真実や、誰かの存在を証明しているものとは何か?というテーマ性も感じられる。

    次の作品で全てがわかるらしいので、今から楽しみです。

  • 淡々と言動が語られている。
    心情の説明はほとんどない。
    そのため言動にびっくりすることが、たびたびあった。
    そこで、そうするのか!?って。
    その人がその人である証拠ってなんだろう。
    一貫した言動をとっていれば、なんとなくそれが証拠のように思えるけど、人はそこまで真っ直ぐじゃない。

  • 『悪童日記』の続編、第2巻。
    前作では名の明かされなかった双子が、国境を渡った「クラウス」と祖母の家に戻った「リュカ」であると明らかになります。本作の主人公はほぼリュカ。彼は15歳に成長し、街に暮らす一癖も二癖もある人々に支えられながら生活を営んでいきます。

    心理描写は一切排除され淡々とした日常が描かれているなか、周囲との間に一線を画したようなリュカの存在。前作同様、独特の空気感は最大の魅力です。正直で、人に媚びず、妙に堂々とした様相が魅惑的で、読者の私すらも惹かれます。
    読み進めても終盤に差し掛かってもどこか釈然とせず疑問は深まるばかり。次巻『第三の嘘』で謎は明らかになるのでしょうか。他に類を見ない作品で終始惹き込まれます。

  • あの悪童日記の続編。
    相変わらずのおっそろしくドライな文体。淡々と語られる凄まじいドラマ。
    そして、この終わり方。
    次を読まずにはいられない!

  • 悪童日記の続編。
    今までは、「ぼくら」だったのが、国境を越えたクラウスと
    残ったリュカと名前が出される。本作はリュカ側の話しになる。
    読み始めてすぐに違和感があった。誰もクラウスの事に触れない。
    双子である事は疑わなかったけれど、だとすれば
    クラウスは生きているのか・・・?
    淡々と、何かに怯える人たちがリュカの周りに集まってくる。
    まるでリュカの心を反映してるように・・・
    そして最後でまたも驚きが待っていました。
    片割れは存在していた。
    けれど・・・色んな疑問が一気にあふれ出す。続きを読まないと!

  • 独特の形式から普通の小説の形式になった事もあり、読み始めは「『悪童日記』ほどの衝撃は無いかな」などと思ったのだが、全くそんな事はなく。子供の母ヤスミーヌの行方の真相、また双子(リュカとクラウス)の存在とは結局何だったのかと謎に包まれるラスト。

    「悪童日記」でも、一筋縄ではいかないいくつもの「愛」が描かれていたが、本作もまた「愛」とは何なのか考えずにはいられない。

    愛と執着と依存。私には何だかもう線引きは出来ない。世間での認識として「愛だけが相手を幸せにする」=「幸せにしてあげられなければ愛ではない」なら、この本に描かれているいくつもの関係はほとんどが愛ではないという事になるだろうが、私にはどうしてもそうは思えない。

    時に冷酷に思えるほど誠実である主人公リュカの言葉「ぼくに感謝なんてしないでください、ぼくの内には、どんな愛も、どんな思いやりもありはしないんです」。リュカはずっと自分の胸の内にあるものを「これは愛では無い」と思いながら生きていたのだろうし、実際、血の繋がらない不幸な子供マティアスへの感情は執着や依存の形をとって描かれている。でも本当にそうなのか。

    答えは出そうにない。
    次の「第三の嘘」で双子の心の謎に迫れるのかどうかわからないが、とにかく読みたい。

  • 悪童日記の続編てことで読んだ。悪童日記で終わってもいいという意見もあるが、ふたりの証拠は謎を書いていてこれはこれで面白く読めた。ただ、悪童日記のような暴力性はあまり感じられなかった。リュカとクラウスの同一人物にしてるのがあざとさを感じるけど、謎にもなってて面白かった。

  • 衝撃的な最後だった『悪童日記』の続編。文体は一人称から三人称に変われど、相変わらず感情表現は全くと言っていいほど描かれない。しかし前作ではそれが双子の不気味な完璧さを表していたのに対して、本作ではリュカの不完全さを暴き立てているように思えてならない。だからこそリュカはクラウスの言葉だとして表現する。「死ぬほど辛い孤独の中で生きてるよ」と、それが自分自身の事だと気付かぬままに。他の登場人物もおしなべて不完全な者達ばかりだが、そんな弱さを肯定する慈愛が本作からは滲み出ているような気がしたのは自分だけだろうか。

  • 悪童日記のつづき。それぞれに別れた双子のひとりの方の話が主で、戦争によっておかしくなってしまった、あるいはおかしくされてしまった、ならざるを得なかった人が、何人も出てくる。
    悪童日記もそうだけど、淡々と書かれていく、感情の抑えられた文章が、とてもいい。

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著者プロフィール

1935年オーストリアとの国境に近い、ハンガリーの村に生まれる。1956年ハンガリー動乱の折、乳飲み子を抱いて夫と共に祖国を脱出、難民としてスイスに亡命する。スイスのヌーシャテル州(フランス語圏)に定住し、時計工場で働きながらフランス語を習得する。みずから持ち込んだ原稿がパリの大手出版社スイユで歓迎され、1986年『悪童日記』でデビュー。意外性のある独創的な傑作だと一躍脚光を浴び、40以上の言語に訳されて世界的大ベストセラーとなった。つづく『ふたりの証拠』『第三の嘘』で三部作を完結させる。作品は他に『昨日』、戯曲集『怪物』『伝染病』『どちらでもいい』など。2011年没。

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