- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151200274
感想・レビュー・書評
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カルヴィーノの到達点の一つとの誉れ高い一冊だが、実は初読。ビッグバンの瞬間から、広がっていく宇宙、太陽の誕生、地球上に大気が生まれ色彩が広がるとき、月が地球から離れていくとき、水生生物が陸に上がるとき、恐竜が滅びた後などを全て実体験した Qfwfq 老人が語る連作短篇。果てしない想像力で描かれる物語世界が、Qfwfq 老人の軽快な語り口とあいまって、どれも素晴しい。ところどころに挿し挟まれる物悲しい離別の物語もペーソスが効いている。
お気に入りのシーンは何といっても「ただ一点に」に描かれるビッグバンの瞬間。Ph(i)Nk 夫人が「ねえ、みなさん、おいしいスパゲティをみなさんにご馳走してあげたいわ!」という一言がきっかけになって、この宇宙は生まれたのであった!
久しぶりにカルヴィーノ熱が再発しているので、何冊か読み返してみるつもり。 -
しごく人間臭い宇宙史。月からビッグバンから量子力学から重力場から恐竜まで、永遠の命を持っているらしい語り手qfwqfが、自分の若かりし頃の思い出を語る。qfwqfは言ってみれば万能ではない神のようなもの。
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3.71/429
内容(「BOOK」データベースより)
『いまや遠くにある月が、まだはしごで昇れるほど近くにあった頃の切ない恋物語「月の距離」。誰もかれもが一点に集まって暮らしていた古き良き時代に想いをはせる「ただ一点に」。なかなか陸に上がろうとしない頑固な魚類の親戚との思い出を綴る「水に生きる叔父」など、宇宙の始まりから生きつづけるQfwfq老人を語り部に、自由奔放なイマジネーションで世界文学をリードした著者がユーモアたっぷりに描く12の奇想短篇。』
目次
月の距離/昼の誕生 /宇宙にしるしを/ただ一点に/無色の時代 /終わりのないゲーム/水に生きる叔父/いくら賭ける? /恐龍族/空間の形/光と年月/渦を巻く
原書名:『Le cosmicomiche』(英語版:『Cosmicomics』)
著者:イタロ・カルヴィーノ (Italo Calvino)
訳者:米川 良夫
出版社 : 早川書房
文庫 : 295ページ -
大学卒業にあたって、友人から譲り受けました。SFをよく読む友人だったので、カレル・チャペックや神林長平と一緒にカルヴィーノのこの本もあったのです。以来、何度か紐解いては読み進めておりました。
雰囲気がいいんですよ。情景の描写にすごく味があって、思わず引き込まれるんですよね。
宇宙の始めから生き続けているというQfwfqじいさんの、ある時は恐竜、ある時は船長、ある時は軟体動物、ある時はナゾの物質(?)であった時の思い出話をラブストーリーありコメディありの軽妙な口振りで語りまくる12の小品からなった短編集です。
個人的には「無色の時代」が一番好きです。好きな人と好きな世界を共有できない切なさが胸に迫ります。「月の距離」なんかも、届かぬ恋みたいなのを感じさせていいですよね。ラブストーリーなんだけど、切なくて、宇宙規模で、なおかつ相手も無生物だったりするあたり、どこか市川春子の『虫と歌』『25時のバカンス』のような世界を彷彿とさせますね。 -
ハヤカワepi文庫ってすばらしい
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これは面白かったー。コミカルで読みやすい。パロマーが好きだったので、似た雰囲気で楽しみやすかった。
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大まじめに大ホラ吹きな宇宙創世を書いている。
一話一話ふざけている故に、なんだかチャーミング。ウキウキにしてくれた。
絵本にしたら子供は大喜びするでしょうに。
その分翻訳がありきたりなのがもったいない。
円城塔さんが翻訳して出し直したらどうだろう。 -
安心して他人に勧められる。良い意味で。私はかなり好きだ。ほとんどの話に(恋)愛が絡むのは、イタリア人らしいというべきか?
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読了