- 早川書房 (2004年9月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784151200298
みんなの感想まとめ
権力と信仰、そして人間の心の葛藤が描かれる物語は、メキシコ革命の宗教弾圧を背景に展開します。主人公の司祭は、理想を抱く権力の中で追われる身となり、逃避行を余儀なくされます。彼の苦悩や逃亡の道のりは、短...
感想・レビュー・書評
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「救済は稲妻のように邪悪な心をはげしく打つが、かたくなな信心の習慣は、夕べの祈り、信心会の会合、手袋をはめた手にうやうやしく唇でふれることを除けば、それ以外のすべてをしめだしてしまう。」
初めての作家。グレアム・グリーン。彼の描く会話にとても痺れる。マッカーシーを読んだ時のしびれと似ている。恍惚の痙攣のような。その感性や比喩やなんかもとても変わっている、とおもった(グリーンの独特の表現なのか、翻訳のためなのか)。けれどそれは、司祭という職業のひとの(そして酒飲みのひとの)人生における心持ちについて、なにひとつ知らないからなのかもしれなかった。こんなにも悪徳に染った司祭についても。
けれど、グリーンの、その極限までに研ぎ澄まされた客観性のまえで、その感情や感覚をゆだねられ、わたしはとても満足し、ゆったりとした気持ちになった。さまざな想いを抱き生きている人びとの心の奥底を定義することなんてできやしない。その無関心さは、ゆえに、それは包み込むような愛につながるのではないだろうか、ともおもう。善と悪の境目が曖昧であるように、傍観者と守護天使の違いもまた、わたしにはまだわからないけれど。
ひとは、ひとを救うことによって、自分をも救おうとする生きものなのか。
「それはおまえ自身から神を守りたいと願うことなんだよ」
それは、わたしたち自身からわたしたちを守る、ということなのではないか。深すぎる信仰は、自分自身を発見することを阻むのではないだろうか(申し訳ないけれどわたしも警部派なので。駆逐するなんてことは考えないけれど)。
そんな、ありとあらゆる想いがふつふつと奥底から湧いてくる。彼は、グリーンは、わたしたちのそんな "源泉" を、傷つけることなく掘り当てることができるよう。わたしたちが、それを願いさえすれば。
2025/5/18
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英国を代表する作家、グレアム・グリーンの代表作の一つ。遠藤周作の「沈黙」の元ねたともいえる。1930〜40年代にメキシコで実際に起きた共産革命を背景に、カトリックとしての信仰を捨て切れなかった不良神父と信仰を憎む現実主義者の警部との葛藤を描いている。前半は訳文が読みにくいところがあるが後半はグイグイと引き込まれる。
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