わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫 イ 1-3)

  • 早川書房
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  • / ISBN・EAN: 9784151200342

作品紹介・あらすじ

上海の租界に暮らしていたクリストファー・バンクスは十歳で孤児となった。貿易会社勤めの父と反アヘン運動に熱心だった美しい母が相次いで謎の失踪を遂げたのだ。ロンドンに帰され寄宿学校に学んだバンクスは、両親の行方を突き止めるために探偵を志す。やがて幾多の難事件を解決し社交界でも名声を得た彼は、戦火にまみれる上海へと舞い戻るが…現代イギリス最高の作家が渾身の力で描く記憶と過去をめぐる至高の冒険譚。

感想・レビュー・書評

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  • 10歳で孤児となった主人公が、大人になってから行方不明の父母を探す話。子供の頃の回想を挟んで、両親に関する真相が徐々に明るみになっていく。タイトルを見ると過去にフォーカスされた話かなと想像してしまうが、この作品はむしろ、過去と決別し新たな生き方を模索する主人公の姿が最終的に描かれている。長編でなかなか核心に迫らないもどかしさはあったが、イシグロの他の作品と比べると、リアリティー性が強く、話に入り込みやすかった。

  • ロンドンで探偵業を営み、今売り出し中の若者クリストファー・バンクスは、かつて上海の租界で少年時代を楽しく過ごしたが、両親が突然失踪して孤児になってしまい、親戚を頼ってイギリスに帰郷した孤児だった。その後上海には行っていないが、心はかつての上海の街に囚われていた。

    探偵を職業に選んだのも、いずれ自分の手で両親を見つけ、救いだすためだった。当時、クリストファーの父親は阿片を取り扱うイギリス商社で働き、母親は阿片で稼ぐイギリス商社の破廉恥な行いを糾弾する運動に勤しんでいた。そんな中で両親は、阿片取引や国民党・共産党の内戦に絡んだ事件に巻き込まれ、上海の街のどこかに拉致監禁されたものと思われた。

    探偵として名声を勝ち得たクリストファーは、満を持して上海に乗り込み、両親を救いだそうと捜査を開始する。ところが、日中戦争が本格化し、響い戦闘も行われて混乱を極める上海の街での捜査は難航し…。

    ちょっと待て。20年以上前に失踪した両親が、未だに上海の街中で監禁されていると思い込むってどういうこと?? そもそもクリストファーは両親の失踪事件を捜査しているだけなのに一人で世界の難問に立ち向かっているかのような強い自負を抱いているし、戦闘中の兵士に強引に道案内させてしまうし(笑)。クリストファーの言動や行動は大仰というか、まるでおままごとのような感じと言ったらいいすぎかな。

    同じく孤児でロンドンの社交界を自由奔放に渡り歩くサラ・ヘミングズもかなりとんがったキャラだったな。クリストファーとの関係も微妙というか。

    クリストファーの回顧調の独白で進む物語は、いろんな矛盾を孕んでいて、そのため現実感が薄い。でも展開が気になってグイグイ引き込まれていく。セピア色に霞んだノスタルジックな夢物語。独特の味のある作品だったな。

  • とても興味深く読んだ。
    第一大戦後から第二次大戦後までの時代を描く、主人公の私立探偵の第一人称視点の物語。
    列強に植民地化(租界)された上海で生きる主人公クリストファー・バンクスとその日本人の友人アキラ。
    両親が突然行方不明となった主人公はイギリスに戻り、私立探偵として名声を得るが、生涯の任務として自分の両親を探し続ける。最後には両親の失踪の真実を知る。
    主人公が過去を回想していく形で物語は進んで行くが、ロード-ムービーのようで先の展開が全く読めない。
    著者カズオ・イシグロの出自も影響しているのだろうが、日本人とイギリス人の交流というか、イギリス人がどのように日本人を見ているかを垣間見ることができる。
    カズオ・イシグロの読んだ著書は、少しSFがかった『私を離さないで』、イングランドの古代・アーサー王時代の少し後を描いた『忘れられた巨人』と租界時代の上海を描いた本作とで3冊目だけれども、いずれも時代も話も全くかけ離れていて非常に面白い。
    本作は少し村上春樹の著書に似ているかな。

  • カズオ・イシグロさんという、日系のイギリス人の小説家さんの本です。2014年現在60歳くらいの男性のようです。
    お名前は完全に日本人なんですが、まあ、何はともあれ母語は英語のようです。これも、翻訳本です。
    正直、名前しか知らなかったんですが、「読んだことのない現在進行形の作家さんを読んでみたいな」という思いもあって。ほぼ予備知識なしで読みました。
    不思議な小説、面白かったのは面白かったです。ラストの喪失感っていうか切ない感じが辛かったですけど。
    英語版が発表されたのは2000年だそうなんで、もう14年前の小説になるんですけどね。

    お話は、
    ●1930年代の、ロンドン。主人公のクリストファー君(20代)は、両親がいないけど、財産に恵まれた若者で、教育を受けて、志望通り「探偵」になっています。
    ●そのクリストファーさんの回想で、15年?20年前?子供だった頃。両親(イギリス人)と上海に居ました。支配者階級イギリス人一家のリッチな日々。父は、英国商社マン。母は敬虔な慈善家で、アヘン撲滅運動をしている。なんだけど、実は夫の会社、ひいてはイギリスが、上海に中国に、アヘンを売りまくっているという矛盾。
    ●それから、その上海の子供時代、隣家の裕福な日本人家庭の「アキラ」という名前の同年配の子との友情。
    ●その上海時代、父が蒸発する。そしてやがて母も蒸発する。孤児になり、独り英国の伯母のところへ。
    ●そんな思い出が続きながら、20代の主人公は探偵になり、かつての上海の両親の失踪を調べている。なんとなく確信を得て、上海へ。久々に上海へ。
    ●日中戦争泥沼の時期の上海。腐敗した支配者階級、悲惨な戦争。アキラと、物凄い偶然の再会。両親の失踪の真実を知る。
    ●大まかに言うと。父は愛人と逃げただけだった。母は中国人のマフィアにさらわれて妾になっていた。クリストファーの安全と財産、それと引き換えに母は自死を思いとどまっていた。なんて悲しい事実。
    ●どーーーんと月日が過ぎて、淡々と初老になってロンドンで暮らしているクリストファー。母とは戦後に再会。だが、母は心を病んで、息子を判らなかった。

    ■と、言うお話が、クリストファーさんの一人称で語られます。これ、大事ですね。客観的には語られません。

    ■で、少年時代の豊富な細かい想い出、20代のロンドン~上海時代の恋愛、引き取った孤児の少女との触れ合い、が、入ります。

    あらすじ、枠組み、で言うと、そういうことなんです。
    なんだけど、あらすじではわからない「味わい」について言いますと。

    ●主人公は孤児なんだけど、どうして孤児になったのか、判らない。本人にも判らない。犯罪の匂いがする。
    ●主人公は、シャーロック・ホームズに憧れて、探偵になる。
    ●そして、両親の蒸発の謎に迫っていく。
    と、言うあらすじなんですけど。なんですけど、細部が無いんです(笑)。
    犯罪捜査の細部が、無いのです。
    だから、なんていうか、「犯罪娯楽小説」「探偵娯楽小説」「冒険娯楽小説」では、無いんですね。
    兎にも角にも、主人公の青年の心理、内面。その震え、動揺、高揚。そういう面白さなんです。

    それで、この小説は、戦争が描かれます。第二次世界大戦。まあ、厳密に描かれるのは上海での日本軍対中国軍の戦闘です。
    そして、この小説は、「支配体制権力が行う、人種差別的な、構造的な悪事」「それを、見逃して、目をつぶって、白々しく上品に暮らす人々」が描かれます。
    そして、その中で小説として起こることは、やりきれないほど辛く、悲しく、絶望的で、救いがない。そういう、隠された事実だったりします。
    子供時代の、美しい無邪気な想い出が無残になります。

    ま、つまり、そういうことなんだろうなあ、と。この小説で渡したかった後味っていうか。
    そういった、怒りや批判を含んだ、喪失感というか、無力感というか。
    そこに至る絶望感とか、感傷とか。
    だから、正直、全部一人称なんで。どこまでが物語的に事実なのか、疑問も抱けるわけです。
    主人公のクリストファーが、そう思っている。そう思いたかった。そう妄想している。だけかもしれない訳です。
    特に、上海の戦場、幼馴染のアキラと偶然邂逅するくだり。あまりに偶然。この、上海戦場放浪のくだりは、全体に、どこまで事実かわからない。
    なんだけど、この小説の中でも、ぐぐっと読ませます。くらくら眩暈がするような。主人公の意識と一緒に、戦場という悲惨さの中に、読んでる気持ちも叩き込まれます。
    なんかもう、そうなると、ジジツなのか妄想なのかという境目は、どうでもよくなるような気もします。
    そういうことなのかなあ、と。

    そして、小説全体に、東洋人でありつつ英国人である、という作者の業なのか、なんとなく、感じたこと。
    西洋白人社会、つまり19世紀的な先進国の、物凄く深い罪悪。暴力性、残虐性。被差別対象としての東アジア人。その東アジア人が被害者から加害者へと乗り換える。その際の、復讐的とも言える暴力性、残虐性。…救いのないループの中で、らせんに織り込まれた20世紀前半という歴史。そんなタペストリーを見せられたような気がします。

    うーん。そんなこんながかなり、意図的。戦略的な気がするんですよね。
    この小説家さんは、小説とか、言葉とか、意識とか、歴史とか、物語とか、そういうことに凄く意識的な気がします。
    それは、「面白いために必須な条件」な訳ではないんですけどね。
    何ていうか、右手が、「右手である」ということに意識的になってみると、ちょっと違って見えて来ちゃうみたいな。
    そして、いちばんなことは、文体的に?語り口というか。とても落ち着いていて、品があると思いました。クドいケレンもない。あざとさも無い。
    こういうのって実はすごいことだし、大事なことです。半分は翻訳の問題ですけどね。僕は好きでした。

    1930年代、20年代くらいの、上海。
    演劇「上海バンスキング」の世界な訳ですが。
    この西洋と東洋、貧困と富裕、混濁と美しさのような街並みが、くどくどと描写されるわけでもないのに、
    すごく印象に残ります。
    そういうのって、文章を読む醍醐味ですね。
    この小説家さんの小説は、いくつか映画になっているそうですけど、絶対にこの持ち味は、厳密に言うと映画に移し替えられるものではない、と思います。
    村上春樹さんとか、そうですよね。
    (伊坂幸太郎さんの小説も、好きなんですが、何故だか映画化作品は、マッタクと言って良いほど、そもそも見ようという気になれないんですよねえ…。閑話休題。)

    …って、この本。
    手放しで褒めるって感じにもなれないんですけどね。
    そんなこんなで、大まか言うと暗いです(笑)。
    キッチリ美しく、均整に心地よいのですけど、一方で暗い(笑)。ユーモアも、まあ、無いですねえ。
    暗いというか、痛い?美しいのに痛くて悲しいかんじですね。

    なんですけど、ホントに知的で素直で読み易い語り口。
    主人公が、何をどう感じているのか、という興味で転がしていく、話の運びの巧みさ。
    考察と知性と感傷が充満充実した、全体の構成。
    うーん。なんて言えばいいか。本格派。スバラシイ。
    大好き!とは言いませんが、またいつか別の小説を読んでみたいですね。何より、同時代の人なので。次回作、最新作で、今のイマの世界をどう感じて何を語るのか。楽しみですね。

    「わたしたちが孤児だったころ」。原題の、まあ直訳なんですけど。この直訳感、微妙に日本語的に居心地が悪い感じが、この本にはふさわしいなあ、と思います。
    素敵な翻訳タイトルだなあ、と思います。

  • 『日の名残り』『わたしを離さないで』の著者、カズオ・イシグロ氏の作品。

    10歳で両親が謎の失踪を遂げた主人公クリストファー・バンクスは、成長し名探偵としての名声を獲得した後、両親の失踪事件を解決するために立ち上がります。

    あらすじからすると探偵小説のようですが、探偵小説ではありません。しかし前半は美しい文章と、過去の回想から浮かびあがる様々な事実にワクワクです。

    …が、後半は突如として支離滅裂な行動を繰り返す主人公、品のない使い古されたチープな不幸、ありきたりで悲惨な結末にかなりうんざり。(世の中とはそういうもの、という作者のメッセージ!?)

    『わたしたちが孤児だったころ』の「わたしたち」とは誰を指すのか等々、作者の意図を色々と妄想しては、考察ブログ巡りを楽しめる一作です♪


    ※※※ここからネタバレ含みます※※※



    この小説、イギリスの方はどんな風に感じるのでしょう。

    母親の犠牲の元に生活の安寧と仕事の名誉を獲得していたクリストファー、体調不良を隠していた母とバスに乗ることを楽しんでいたサラ、アヘン貿易で得た富で生活していたクリストファーの母親…この物語は、他人の犠牲の上に成り立っていた“箱庭”で幸せに暮らしていた人たちが、その後「なにか価値のあることを成し遂げなければ」という強迫観念に近い思いに縛られて苦しむ話に読めました。(この“箱庭”から出ることが“孤児になる”ことなのでしょうか。)

    作中に出てくるアヘン貿易をはじめとして、イギリスには多くの他民族の権利と尊厳を犠牲にして富を得てきた歴史があります。そんな“箱庭”に暮らしてきたイギリス人は、同じような葛藤を抱えているのでしょうか?まぁ、日本の歴史も大概ですが…。

    などと妄想を膨らませて楽しめるという点では素晴らしい作品でした。読み終わった後の考察ブログ巡り含めて楽しめる一作だと思います!

    ※個人的には『わたしを離さないで』のほうが静かに心を抉られる感じで好きなので☆3

  • 主人公は探偵。飛ぶ鳥を落とす勢いで難事件を解決していく若い探偵。
    なのだが、この小説は探偵小説ではない。
    ハードボイルドではある。でも、探偵小説ではない。

    主人公が、探偵になったきっかけになった事件を解決しに上海へ向かう。
    でもそこで繰り広げられる彼の探偵然とした行動はすべて、読者からすると「え・・・この人本当に探偵?」という行動でしかなく、すごく不安な気持ちにさせてくる。この読者の感情の導き方は、すごい。

    ただ一応、すべての謎は明らかになる。
    明らかになった内容も、まあ、わりとすごい。
    このあたりは、読んで「ああ」って思って欲しい。

    物語自体には賛否あると思う。
    私もこの本のストーリーが面白かったか?と聞かれると、「んー、つまらなくはないけども」という曖昧な回答になる。

    ただ、すべてを読み終えて頭の中でいろいろと整理していると、この小説のテーマは「記憶」なんだろうなと。
    タイトルも、そう。この小説は、主人公が過去を思い出しながら記述する形で書かれている。そしてその中の登場人物の多くも、自身を回顧しながら語るシーンが多い。
    それぞれに、それぞれの記憶があり、その上でそれを語る今がある。
    そういう構図になっている。

    その構図から導かれる結論は・・・・みたいなのは、今はよくわからない。
    でも相変わらず、カズオ・イシグロは、一筋縄ではいかないものを書くなあと。

  • カフカの『城』みたいなたどり着けない感じと、回想録というスタイルで出来事が淡い感じとで、ダブルの掴みきれない印象がした。

  • カズオイシグロ作品を読んだのは、「わたしを離さないで」に次いで二作目。
    ミステリーに分類されてもされなくても違和感無し。結末はえげつない。

    表題が少々謎めいて聞こえる。「わたしたち」とは誰と誰のことなのか? 「だった」と過去形なのは、いつ孤児でなくなったということなのか?
    素直に読めば、クリストファーとジェニファー?それぞれ実の親と育ての親を見つけたのだから孤児でなくなった、ってことか?

    終盤クリストファーはアキラらしき日本兵と遭遇したが、本当にアキラだったのか? そんな偶然はあるわけないし、描写的にも別人かと思う。
    クリストファーが、盲人の俳優宅っぽい家を見つけたと思い込もうとする辺りは狂気の真ん中にいる感じだ。

  • イギリスと上海(中国)の間を行き交い、事件解決と共に、アイデンティティを追求する男の物語。

    「戦争」が絡む文学を手にすると、そこに人間への希望と失望を必ずやみることになる。
    そして、戦争と平和が、こんなにも「隣人」であることに衝撃を受ける。

    本を閉じたとき、嗚咽ではなく、心の襞を静かに潤わす涙が出た。

  • これを書いていたら、カズオ・イシグロさんが先程ノーベル文学賞に選ばれてびっくり。おめでとうございます。

    この小説は、一言で言うと痛くて悲しいけれど少し希望もある不思議な回想録。
    主人公の記憶の曖昧さや、思い込みや現実との乖離が気になりながら静かに引き込まれて行った。

    同級生との会話の齟齬から始まり周囲からの歓迎ぶりや賞賛…上海での戦場シーンは特に何かがおかしくて、幼なじみとの邂逅シーンでは、実はアキラではなかったのかもと呟いている。

    再会を熱望していたのは事実だろうし、一度は見かけた気がしているし、ならば戦場で出会った人物がアキラではなくて彼の妄想だったとすれば、怖いながらも痛く悲し過ぎた。

    《両親を探し当てた後に開かれる予定の式典》は特に疑念でいっぱいだったが、まんまとイシグロの術にハメられ、結局、そんなものは開催される筈もなく、彼の妄想だと後から気付いた時にはゾッとした。

    終盤、それまでの品位ある静謐な雰囲気から一変、唐突な叔父さんの独白はやり切れず、そこまで言うのかとおののいた。
    終始彼の頼りなさや勘違いを感じていたけれど、それはある種の自己防衛本能で、叔父さんの衝撃の独白の前ではアリだと思えた。

    とはいえ実のところ彼はそれを静かに受け止めたのかもしれない。母との辛い再会も彼の受け止め方は彼らしく、ずっと愛されていたことの方が大事だと考えるところが素直に素敵だと思えた。そして養女ジェニファーが最後の希望となり救われた。

    読後、不思議な余韻が続いた。1930年代の美しい上海租界の情景が鮮明に浮かび戦場のシーンを除けば全体的にとても美しかった。

    残酷過ぎた『わたしを離さないで』を超えて、カズオイシグロワールドを堪能した。

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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