一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

制作 : トマス ピンチョン 
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200533

作品紹介・あらすじ

"ビッグ・ブラザー"率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。

感想・レビュー・書評

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  • じゃあ
    「手ぇ洗ったの!?」
    「なんでここに置くの!?」
    「テーブル拭いたの!?」
    「部屋の温度が上がってる何故エアコンの温度を下げない?」
    「なんでそこで本を読むの!?」
    「その本、古本じゃないでしょうね!?」
    「部屋の温度下げ過ぎじゃないの?」
    「図書館の本は汚いから家では読まないで!」
    「それは家用のブックカバー?洗濯したやつ?」
    「なんでそんなとこに居るの!?」

    など、家でゴロゴロしてるだけで
    「宇宙船を管理するAI」なのか
    「私を監視するビッグブラザー」なのか
    妻から監視され、注意され続ける生活
    (上記の様なAIなら「警告メッセージ」
    いや…AIじゃないか
    AIなら自動で部屋の温度調節するか…)に
    慣れ始めている俺と

    何が違うと言うのか…
    俺は…(オレハ…オレハ…)

  • 本書はディストピア小説の古典的傑作として名高く、いま巷に出回っているディストピア小説の基礎を作った様な小説だ。ジョージ・オーウェルのもう一冊の傑作『動物農場』と同じように、本書も人々が全体主義社会に飲み込まれる様子が描かれる。
    『動物農場』が、俯瞰的に全体主義社会が成立していく様子を描いているとすれば、本書は一個人の視点を通じて、全体主義社会で暮らす人々の生活をミクロ的に見た小説である。

    本書は『動物農場』よりも、かなり難解で深く、そして救いが無い…。
    ここまで小説を読んでいて不快になったのは久しぶりだが、絶対に目をそらしてはいけないテーマだ。間違いなく全人類が一度は読むべき本のなかの1冊である。

    1950年代に起こった核戦争後の世界を舞台とした「1984年」。世界は南北アメリカ、旧イギリスを中心とした国『オセアニア』、イギリス以外の旧ヨーロッパが統合された『ユーラシア』、そして旧日本、旧中国が中心となった『イースタシア』の3つの超大国に支配され、その3国は常に三つ巴で戦争を繰り返している。
    作品の舞台となる『オセアニア』のロンドンでは『ビッグ・ブラザー』と呼ばれる指導者により、市民はあらゆる生活に統制が加えられ『思考警察』と呼ばれる警察に反体制的な市民が摘発されている状況だ。
    市民は常に『テレスクリーン』と呼ばれるテレビとインターネットを合体させたような機器により監視され、町なかでは盗聴マイクによって行動が当局によって把握されている。

    ロンドンに住む39歳の主人公ウィンストン・スミスは、当局の命令により歴史記録の改ざん作業を仕事として行っていたが、記録が絶えず改竄されるため、真実の歴史を確かめるすべは無い。
    ウィンストンは『ビッグ・ブラザー』の支配する国家に疑問を抱いていたが、そこへ体制に従順なふりをしながらウィンストンと同じく反体制的な考えを持つ若き女性ジュリアに出会い、恋に落ちた二人は当局の監視をかいくぐりながら逢瀬を重ねる。しかし、彼らの行動は『思考警察』の知るところとなり、二人は逮捕され、想像を絶する過酷な尋問を受けることとなるのだった…。

    まず、この本を読んでいて、この小説が本当に1949年に書かれたのか?というのが最初に浮かんだ疑問だ。それほどこの本が描く未来は、現在の世界のありようを精確に描写している。
    本書は全体主義の恐怖を描いているが、オーウェルが想像した市民を監視する体制作りが非常にリアル。
    『テレスクリーン』は今で言えばまさに「監視カメラ」であり「スマートフォン」だ。『テレスクリーン』と「盗聴マイク」により、市民の頭の中の考え方を含め、市民の全ての行動が当局の監視下にある。

    当局は、市民を統制するため『歴史』を改ざんしていく。『オセアニア』の歴史は、常時当局の都合の良いように改ざんされている。例えば、指導者的な幹部が裏切り行為を行った場合、その当人が逮捕されるには当然のこと、過去の名簿やリスト、歴史上関わった事項からも全てその名前が削除される。
    つまり、最初から存在しなかったこととなるのだ。
    市民は自分の記憶と違っていることでも、それを確かめる方法がない。もし、自分でメモをとって、それを隠し持っていれば反逆者として逮捕されるし、そもそも、紙とペンが簡単に手に入らない。

    次は『子供の教育』だ。子供は物心がつくと、すぐに『学校』に入れられ、徹底的に体制的教育を受ける。自分の親が反体制的な思想を持っていると判断すれば、嬉々として親を当局に密告し、その子供は『英雄』として表彰されるのだ。

    そして最後は『拷問』だ。この本を読んで、どんな屈強な人間でもこのような拷問に耐えられる人間はいないだろうとあらためて思った。
    苦痛と恐怖を繰り返し与え、相手の肉体と精神を壊していく。これが何日も、何週間も、何か月も絶え間なく繰り返されれば、人間は信じている事実や愛する者のことなど簡単に忘れ、裏切ることができる。そこには友情も、親子の情も、恋愛感情も、愛すらも何の意味も持たない。
    誰もが「何でもする!何でもするから!もう止めてくれ!もう殺してくれ!」と恥も外聞もなく、地べたに這いつくばって、泣き叫ぶことになる。

    人間は弱い。
    弱いからこそ、絶対にやってはいけないことがある。

    ナチスのホロコースト、スターリン政権下での大粛正、カンボジア・ポルポト政権下での大虐殺など、数を上げればきりが無いが、人類は数多くの過ちを犯してきた。いずれの虐殺も支配体制が被支配体制の人間を虫けらのように殺している。
    この『1984年』には『大虐殺に至るであろうという世界』の成立過程が詳細に描かれる。この本どおりのことをやれば、誰でもこのディストピア社会で描かれる支配体制側の人間になれるかもしれない。

    だからこそ我々は『究極の反面教師』としてこの本を読み、自分たちの世界の行く末を真剣に考えなくてはならないのだ。
    そういった意味において本書が「全人類必読の書」であることは間違いない。

  • まず一言、怖かった。
    とてもとても怖かったです。こんな世界になってしまうのかと、錯覚してしまう程内容の濃い作品でした。小説の限界を超えた、作品で、カテゴライズできないと私は感じました。ジョージ・オーウェル自身の経験したことから描き出した本作は、著者の晩年の作品となっています。彼のイデオロギーがふんだんに膨れています。全体主義、社会主義などあまり馴染みのない言葉が乱立していて、正直この作品は、理解するというよりは、感じてどう思ったか。
    自分のイデオロギーを、どう開花させるのかだと思うのです。とても難しいです。この作品を感じるにには、もっと著者のことを知るべきだし、他の作品も読むべきだと思いました。

  • もはや何が本当か全くわからなくなりますなぁ。

    世界がより良くなるように祈るばかりであります。

  • 為政者によって図られていく思考の貧弱化という世界観がなかなか恐怖ポイント…

    人は結局見たいものしか見ない、見えないという話も日常でも実感できるし、ポピュリズムに関する不安は国内外問わず民主主義の論点だと思うし。

  • ボディブローのように効いてくる読後感。歴とした小説。
    1949年刊行された全体主義的近未来を描いたディストピア小説。
    ビッグブラザー率いる一党政府による行動監視・言語統制・歴史改竄等あらゆる人民統制が丁重に描かれる。中盤に書かれる「寡頭制集産主義の理論と実践」のテキストは小説というより思想哲学のようだ。クライマックスは、国家への背信を企てた主人公が肉体的精神的拷問により、二重思考を受け入れて国家に組み込まれていくさまだ。
    とは言っても、一読では、読み切れていない。ちょっと寝かせて再読です。

    何故、1984年なのか?幾つか説はある様ですが、執筆終了が1948年で下二桁逆にした説に一票。
    今、読んでも、100年後でも近未来小説たる名作。

    • ますく555さん
      主人公の叩き潰され方がほんとうに容赦ないし、一縷の希望すら見当たらないしで、読んでて辛かったの覚えています笑 書く側も胃が痛くなってそうです...
      主人公の叩き潰され方がほんとうに容赦ないし、一縷の希望すら見当たらないしで、読んでて辛かったの覚えています笑 書く側も胃が痛くなってそうですけども。
      2023/05/02
    • おびのりさん
      こんばんは。私は、小説の中で、言葉が削られていく過程がすごく怖いなと思いました。
      村上春樹氏が、この作品を意識して1Q84を書いたと聞いて、...
      こんばんは。私は、小説の中で、言葉が削られていく過程がすごく怖いなと思いました。
      村上春樹氏が、この作品を意識して1Q84を書いたと聞いて、両方読みましたが、さっぱり意識したところは、わかりませんでした。( ; ; )
      2023/05/03
  • 著者のもう一つの代表作「動物農場」を読み終えて約2ヶ月半。

    読みたかった本書を手にしてみました。

    なかなか読み応えがあり、結果的にほぼ土日の休日を使うハメになりました。

    3部+附録からなる本作ですが、正直第1部を読んでいた時は何度も読むのを止めようかと思いました。

    まるで中国や北朝鮮のような監視社会に言論統制、隣人や知人の告発...

    ところが第2部に入り、主人公のウィンストンとジュリアの恋バナが描かれた辺りからは一気に引き込まれていきました(引き込まれてからでも残ページは長いんですが)。

    そしてクライマックスである第3部、永遠と続くような拷問の中で、ウィンストンはジュリアを裏切り、その裏でジュリアもウィンストンを裏切ってしまう。

    本作の本筋はそんな恋バナではありません。

    あくまでもディストピア(暗黒世界)を描いた20世紀最高と言われる一冊です。

    人の「思考」って恐ろしい。


    説明
    内容紹介
    2021年共通テストでも出題! 30万部突破の新訳版

    “ビッグ・ブラザー"率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。解説/トマス・ピンチョン。

    内容(「BOOK」データベースより)
    “ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。
    著者について
    1903年、英国領インド・ベンガル地方に生まれる。文学のみならず、二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家。名門パブリック・スクールであるイートン校で学び、その後、数年間ビルマの警察に勤務。やがて職を辞し帰国すると、数年間の放浪を経て、作家となった。主な著作に長篇小説『動物農場』やスペイン内戦に参加した体験を綴ったルポルタージュ『カタロニア讃歌』などがある。 1950年没。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    オーウェル,ジョージ
    1903年、英国領インドのベンガルに生まれる。文学のみならず、二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家。名門パブリック・スクールであるイートン校で学び、その後、数年間ビルマの警察に勤務。やがて職を辞し帰国すると、数年間の放浪を経て、作家となった。主な著作に長篇小説『動物農場』などがある。1950年没

    高橋/和久
    東京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • ジョージ・オーウェル『一九八四年[新訳版]』 絶望が誘う「二重思考」の社会|好書好日
    https://book.asahi.com/article/11583479

    【書評】ジョージ・オーウェル:一九八四年 新訳版/堀和世 書評&エッセイ おれ、今日は(も!)長いよ【ブックレビューサイト・ブックジャパン】
    http://bookjapan.jp/search/review/series_oni/090820/review2.html

    一九八四年(新訳版) | 種類,ハヤカワepi文庫 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000009459

  • ◯間違いのない名作。海外文学でよく感じる、表現のクドさというか濃厚さがあり、読みにくい部分があるが、それを抜きにしても面白い。構成も簡潔で分かりやすい。
    ◯一読しての感想では、当時の共産主義に対する痛烈な風刺として書かれたのではないかと考えてしまう。
    ◯しかし、二重思考という発想、視点によって、あらゆる統治機構が陥る権力志向への批判であると気がつく。資本主義でも共産主義でも、どれも行き過ぎると同じ世界を現出するであろう。権力者自体への批判の書であると感じる。
    ◯付録が何を意味しているのか、初読では言語による人間の思考を支配することで、世界そのものを支配する、言葉で生きている小説家の発想が見られて面白い、と思っていたが、それ以上に、舞台装置としての付録であったことに解説で気がつかされる。最後まで読んで、思想的にも小説としてもとてもお面白かった。

  • いつか読まなくてはと思いつつ積読が続き、トランプ政権に移った直後、本書が米国で飛ぶように売れたという奇怪なニュースをきっかけに読むことに。そして読後もなかなかレビューが書けなかった本の一つです。

    <ビック・ブラザー>率いる党が国民を24時間支配・監視している世界。反対派にあたる危険分子をもとから断ち(蒸発=非存在)、完璧な「全体主義」を強いる言論統制社会の果てを描き出したディストピア作品です。綿密に練られた世界観と、オーウェルによって造られた造語の数々がとても印象的です。多少の明るい未来を最後に見出せるかと思えば、ささやかな光すら葬り去り幕を下ろします。その衝撃たるや。

    1949年に刊行された本書は約70年経っても色褪せることがありません。刊行以降、映画や文学作品をはじめ社会に幅広い影響を与えてきましたが、2017年に再び大きくクローズアップされたことを考えると、『一九八四年』の世界は国内外ともにまさに現在進行形とも言えそうです。
    読んでいる先から“統制される側”となり後半に至っては逃げ場のない閉塞感で息が詰まりそうになりますが、読んでおいて良かったと素直に感じた作品です。新訳版の読みやすさに助けられました。

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    ・党のスローガン:「戦争は平和である」「自由は屈従である」「無知は力である」
    ・「2足す2は5である」

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョージ・オーウェルの作品

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