一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

制作 : 高橋和久 
  • 早川書房
4.09
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本棚登録 : 7261
レビュー : 739
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200533

感想・レビュー・書評

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  • 1Q84年の元ネタとよく言われる作品。何十年振りに読んだが面白かった。新訳ということもあろうが、時が進み、この小説の世界に現実が近づいてきたリアル感が一層感じられた。極端ではあるが、この小説の、絶望的なディストピアは人間の闇に刺さる魅力がある。トランプ氏が大統領に就任した時、この作品はベストセラーとなったという。

  • 古典文学の良し悪しは、それを模倣される流れになるかならないかで決まる。それが模倣でき、模倣が繰り返され普遍性をもってしまったら名作の看板を下ろさなくてはならない。一九八四年は70年経っても本来の輝きを保っていて面白かった…鮮度が高い

    • くどうさん
      はじめまして。
      わたしもこれからこの作品を読みます‼︎レビュー読んで、楽しみになりました‼︎
      はじめまして。
      わたしもこれからこの作品を読みます‼︎レビュー読んで、楽しみになりました‼︎
      2018/10/29
  • ずっと読んでみたかった本で、ようやく読みました。
    個人的には中盤が中だるみ。でも、終盤は展開も早めで結構一気に読みました。
    哲学っぽい感じも好きで、解説を読むと別の気づきもありました。
    これを第二次世界大戦後くらいの時代に書いたのはすごいですね…

  • 初読。
    「おそらくは新石器時代の末葉以来、この世界には三種類の人々が存在してきた。即ち上層、中間層、下層である。」309頁
    「結局のところ、階級社会は、貧困と無知を基盤にしない限り、成立し得ないのだ。」293頁
    「権力は手段ではない、目的なのだ。」408頁

    ジャンルは社会人類学なんだろうか、人間の権力のピラミッド構造が、それ自体が普遍的な目的であるが故に、時代やイデオロギーを問わず常に在り続けるんだよという教訓。
    ここを平等とか博愛っぽい言葉で霞をかけると本質が見抜けなくなる。
    「所詮ホモ・サピエンスは虐殺と裏切りを特性として生態系の頂点にのし上がった動物だぜ」のカテゴリの本。

    それに対する著者の意見は、主人公の敗北により「受け入れるしかないよね」というように読めるが、最後の「ニュースピークの諸原理」を過去形で付録する(オセアニアの終焉を含ませる)ことで、救いの予感を微かに持たせているのは素敵だなと思う。

  • SF、ディストピア小説。

    「… そして他の誰もが党の押し付ける嘘を受け入れることになれば——すべての記録が同じ作り話を記すことになれば——その嘘は歴史へと移行し、真実になってしまう。 …」(p.56)

    「… 現在真実であるものは永遠の昔から永遠に真実である、というわけだ。実に単純なこと。必要なのは自分の記憶を打ち負かし、その勝利を際限なく続けることだけ。それが〈現実コントロール〉と呼ばれているものであり、ニュースピークで言う〈二重思考〉なのだ。」(p.56)

    社会心理学の分野においては"認知的不協和"という言葉で表される、矛盾する認知を同時に抱えたときに覚える不快感。
    そう。これは我々みなが知っている感覚なのですね。だからこそ、〈二重思考〉の恐怖はこんなにもリアルに迫ってくる。

    リアルということで言えば、この本は嗅覚で読む本だな、とも思いました。
    嗅覚は他の感覚と比べて脳にダイレクトに伝わるそうです。
    作者もかなり意識して描写しているような。
    例えば主人公が貧民街を歩く場面。活字を追いながら、路上の喧騒よりもにおいを想像するほうが、リアルに読めて没入できます。
    そういう読みかたをされる方には、嗅覚がヒント、とあらかじめお伝えしたい。

    こんなSFをSFとして楽しめる世の中であるのが一番。
    自分の頭で考えよう。

    そんじゃーね?

  • 個人が完全に管理された社会。現代はここまで酷い世界ではないが、テクノロジーの進化(インターネット、SNSなど)により自ら管理社会を構築しているようにさえ感じる。
    また、人の心をどこまで制御することができるかわからないが、遠藤周作の「沈黙」にも通じる悲しさや絶望感にも思い知らされた。

    トランプ大統領就任を機にアメリカのアマゾンで突然のベストセラー入り。「二重思考」にならないように気をつけないと。

  • かなり古い時代に書かれた本ですが、内容は全然古くないです。そして、リアルにコワイ。
    けっこう有名な作品みたいですね。
    かなりブラックで、、、
    こういう作品は大好きです。
    著者はとても有名みたいなのですが、私はまったく知らず、映画化された別の作品もあるみたいなので、そちらも是非見てみたいと思っています。

  • ウインストン・スミスの住む世界はビッグ・ブラザーが全国民を監視・検閲する全体主義の社会。彼の仕事は真理省記録局で歴史の改竄。スローガンは「戦争は平和なり、自由は隷従なり、無知は力なり」。もう何年も戦争を続けている。日記を書くことは死刑か25年以上の強制労働収容所送りの刑。党は2足す2は5であると発表する。隷従とは2足す2は5と言うこと(自由とは2足す2が4であると言えること)。

  • すべてを包括しようとする権力に対抗する書だと思った。それと同時に、絶望の書でもある。そこでは否定すら包摂される。
    相反するものが同じく存在するならば、たしかに人間はそれだけで宙に浮くことができるだろう。しかしそこには上も下もない。過去も未来もない。踏みつけにできる顔があり、それを踏む足があるだけの世界。

    踏みつけにされるかされないか、なぜその2つしか選択肢がないのか? そこに疑問を抱いた時、私たちは考えなければならない。そして、まさに今はその時なのではないかと思う。

    圧倒的なリアリティに、読んでいて、なんとおっかない本だと震えあがった。
    やはり恐ろしいのは、私がそれを「知っていながら」なお「知らない」でいることができる、という事実。この本で言うところの<二重思考>である。
    自分がどれだけ身をもってそれが痛いか、つらいか、悲しいかを知っていたとしても、それが自分の身に降りかかろうとするならば「代わりに自分でない誰かにやってくれ」と言えてしまうのは、もちろん恐ろしい。しかしそれ以上に、そう言ってしまった途端にそれを自身から切り離して無にできてしまうことの方が、もっと怖いと思った。「私には関係ない」というのは魔法の言葉だ。

    管理社会を描いたディストピア小説として有名な本書だが、私はむしろ、人間の根源的な心理を夢見るような明晰さ(!)で描いているところに衝撃を受けた。
    間違っていてもそれを心の底から肯定する。人はそれができてしまう。そうすることでしか正気を保てないならば、私たちは誰かの顔を踏んでいると思って、すでに誰かに踏みつけにされているのだろう。

  • 1949年出版のSFの古典的名作。題名の『1984年』もいまや四半世紀以上前だが、刊行当時の共産主義に対する脅威が伺える。旧ソ連よりも、奇しくも本作品と同年に誕生した旧東ドイツの監視社会に近い。そうした政治的背景はいま読むと捉えにくいが全体に不気味さが漂う。

    内容は本編を読んでいただくとして、本書は三部構成になっており、色でたとえるなら第一部がモノクロ、第二部がカラー、第三部が三原色である。中盤まで退屈に感じたが、読み終わると非常に緻密に計算された作品であることがわかる。「ビッグ・ブラザー」というシンボル、二重思考やニュースピークといった練られた設定が作品感を織り成す。

    スティーブ・ジョブズがMackintoshのCMにこの『1984年』をモチーフにしたCMを作ったことは有名だが、人間がもたらす「ディストピア」を描いたエポックメイキング的な傑作といえよう。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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