一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

制作 : 高橋和久 
  • 早川書房
4.09
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本棚登録 : 7283
レビュー : 741
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200533

感想・レビュー・書評

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  • 分割統治された全体主義国家において徹底的な管理監視下におかれながら、主人公が政府への反抗を図り、という話。
    1948年に執筆完了されたSF小説だが、未だ示唆に富んでいる。思考を監視される恐怖と共に、私が正気でいられるのは何も考えていないからかもしれない、という気にさせられた。最も重要なのは体験を通して自分と対話することではないだろうか。何を喜びとして何を大切にしたいのか、自分の原点を定めること。そして情報化社会と呼ばれる今こそ情報の真偽を確かめること、発信者の意図を読み取り多角的に考える必要があると改めて感じた。(追記)世の中は昔も今も、事実のような嘘で溢れている。

  • 希望の書。
    この物語は夢の痕跡を追うことで、主人公の子ども時代の記憶を回収する旅である。いかに権力が思考まで司るとも、夢は唐突で脈絡なく生起し続け、いかに矛盾しようと罰せられない。酷薄で寄る辺ない権力の現実に妨害されながら、読者は古い夢の続きを覗きに行き続ける。ジグソーパズルのピースを拾い、埋め合わせながら完成させていくように。
    その果てに辿り着いた母の記憶は拍子抜けする程他愛ない。そればかりかそれは二重思考によって瞬く間に掻き消される。しかしそれが何だというのだろう?そこは夢の巡礼者が行き着いた涯て。希望の在処を指し示す本書の価値を一文たりとも減じるものではないのである。

  • かなり昔の小説なのに、全然昔っぽさを感じない。
    今の日本を含めた世の中に重なるところを、往々にして感じてしまった。
    小説を通じて、自由に感じ、考えることができることがいかに「人間らしい」ことであるかについて気づかされた。
    そして、今当たり前のように享受している「自由」について意識的に「認識」をした。
    最後のウィルソンとジュリアの会話は、人間の本質を表している気がして、読みながら苦しい気持ちになった。
    これからも、何度か読み返したい名作。

  •  この小説が書かれたのは第二次世界大戦が終わって間もない一九四九年、その当時の人たちにとってこの作品は近未来小説だったといえます。

     今となっては一九八四年は過去ですが、いまだにこの小説で書かれている通りの体制を維持している国が地球上にあって、小説と同じことが繰り返されているのは残念です。

     同じ作者による「動物農場」がどちらかといえば寓話的で皮肉はたっぷりだけど深刻さは薄らいでいるのに比べ、この小説は生身の人間が巻き込まれていく姿が描かれていて、より切実です(動物農場の独裁者「ナポレオン」は豚であるという点で北の国の偉い人がモデルみたいで、ちょっとユーモラスですらあります。あるいは「北の彼」は「ナポレオン」を見習って太っているのか?)

     あまりにもリアリティがあって、読んだあと暗澹とした気持ちになります。透徹した目で支配する側とされる側や人間社会の本質を見極めて書いているからでしょう。

  • 人によって好み出やすいかもしれない小説。
    端的に言って、社会主義を皮肉った小説という感じ。
    正直初めはあまり話に馴染めなかった。たぶん不慣れな用語(ニュースピーク)とか、ストーリー展開があまりなかったからかと…
    後半になって、ジュリアとの展開が進行し、さらにオブライエンも関わり出して面白くなった。
    けど結局最後ウィンストンが社会主義に負けてるのが残念だったのが個人的な感想。

  • バックパックのときは必ず持っていく小説。

    狂った世界観が最高にいい

  • 安倍総理は二重思考だと思うな。

  • (Kindle版)
    あんまし面白くなかった。
    1984年ってこの本の賞味期限じゃないだろうか。

    (2016/08/28追記)
    某地方企業が運営するSNSが社会主義的過ぎて炎上したが、ネットではこの作品になぞらえたネタが散見されたようである。エンターテイメントとしては賞味期限切れだが、教養として知っていると少し楽しいのかもしれない。

  • 「前にもどっかで言ったけどさ、世界は、人が望んだようになるんだよ」
    そう言って、蛹はコーヒーの入ったマグカップを二つ、テーブルに置いた。
    「こういう世界でも?」
    葉月は本を捲りながら、僅かに顔をしかめた。
    そうだよ、と蛹は頷く。
    「決めてほしいんだよ、何が正しくて、どれがいいもので、世界はどうあるのが素晴らしい在り方なのか」
    「それがこれ?」
    「皮肉」
     蛹は言い、笑う。
    「これは皮肉なんだよ。これが君たちの望む世界だ、って」
    コーヒーは、熱い方がいい。葉月は本を手に何か難しく考え込んでいるような顔をしたまま、マグカップに手をのばした。

  • 1949年に世に出ていたのが信じられない。今読んでもまったく違和感なく、完成度の高さを感じる。共産主義への恐怖と皮肉が、人間の自然な欲求と寄り添って書かれている。あっけない洗脳も、自分が想像絶する拷問の世界がありそれをとおりこした人間の姿がいまよりもっと身近にあったであろう当時を生きた作者が書いたそれなのだから、と思えばむしろ時代感覚の差がまたヒリヒリしてよい。最後はバッドエンドだがきれいにおさまっていました。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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