一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

制作 : 高橋和久 
  • 早川書房
4.09
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本棚登録 : 7269
レビュー : 740
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200533

作品紹介・あらすじ

"ビッグ・ブラザー"率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 今の時代だから読まなくてはいけないと思った、二重思考の考え方に簡単に陥ることができてしまう。自分の信念を忘れず生きていくことはとても難しいので、どんな形にしても直ぐに表現しなければ忘れてしまうと思った

  • 権力者が権力を持ちつづけるために最適化された一種の社会主義国家において、真理と愛を貫き通そうとした男が、国家を愛するように教育され、そしてこの世から存在が消去される。これに優しい支配とヘルシズムを加えればまさに伊藤計劃の『ハーモニー』の世界観になる(年代から言えば後者が前者からインスピレーションを得たと言った方が正確だ)。オブライエンという人物の気味悪さが尋常でない。

  • なんだこれ!めちゃ面白かった、まさに、何となく思っていたことが体系だって書かれている。時代遅れな議論だと思う人もいるのだろうか、そんなわけはない、あらゆることには二面性があるし、国家レベルでなくても権力を握ることを目的とした目に見えないものというのは私たちを常に掌握しようとしている。それが何か、前の時代ほどはっきりと悪者が見えなくなったために、より私たちはあえいでいる。

    幸福とは国家の作り出した概念であり、思考停止そのものであると思っていた。幸福の対極が自由であること、まさにそうだなあと思う。多くの人が、自由ではなく幸福を求める。権力はそこにつけこむ。

    理解力が進むほど、現実から解離していき、迷妄が深まるというのも、ああまさにそうだと思った。直視できなくなるのだ、現実を、だからこそ、無意味だと思うものに対しても積極的に(ほっておくと消極的になってしまうから)関わらないといけない。正気が保てなくなる。正気とは、現実に隷従することに他ならない、だからこそ私たちには二重思考が求められる。現実からは逃れられないけれども、そこにないものを求めたいときには。

    おもしろかったなー。ハラハラした、心の裏切りの大きさというのは、その人の心にあるいちばん大事なものを壊してしまうほどであるというのも、面白かった。そこらへん、うまく現実との二重思考を身につけてやってかなければいけないな、と思う。狂人にも、廃人にもなりたくないのだから。

    多くの人が、死にたくないと思いながらも後ろからある日突然撃ち抜かれたいとも思っている。突然死んでしまうかもしれないことは恐怖であるが、同時に希望でもある。これだけの内容を、最後まで書ききってくれた著者に感謝です。とてもおもしろかった。確かに受け取りました。

  • ディストピア小説の魅力は、現実と全く状況が異なる世界観でありながら、どこか論理的で現実味があり、「本当にこのような世界が存在しうるかもしれない」という妙な切迫感を抱けることにある。ある部分では現実に則していながら、ある部分では非日常。そんな相反する両者の矛盾の中に、ディストピア作品は成立している。

    この観点で考えると、

  • 209.7.29読了

  • ようやく読み終えたが、苦しかった…。とにかく絶望しかなく、読んでいて楽しい本ではない。1944年ごろイギリスの作家ジョージ・オーウェルによって書かれた、ディストピア小説である。舞台は当然1984年で、実際に1984年にはイギリスで本書がベストセラーになったという。オーウェルの本を読むのは「動物農場」に続いて2作目。
    「党」で働く主人公は、記録を党に都合よく書き換えるのが仕事である。党に働く人たちは行動を常に監視されていて、思想はとことんコントロールされていく。現実は人の記憶の中にのみ存在するという考え方から、人々の思想だけでなく、記憶までも変えていく。反対勢力は、これでもかと拷問にかけられ、うその証言をするよう導かれていくうちに、実際にそう考えるようになっていく。読みながら、お隣の某国を思い浮かべたが、どうやら当初は違う国がイメージされていたようだ。現在でも違う形態で同じような思想統制は行われている。
    よく筋が通っていて分かりやすく説明されているのにもかかわらず、内容は難しい。戦争終結直前の時代は、戦勝国ですらここまで暗い世の中だったのか?
    解説もすばらしく、消化不良の箇所が理解しやすくなる。

  • 本書はディストピア小説の古典的傑作として名高く、いま巷に出回っているディストピア小説の基礎を作った様な小説だ。ジョージ・オーウェルのもう一冊の傑作『動物農場』と同じように、本書も人々が全体主義社会に飲み込まれる様子が描かれる。
    『動物農場』が、俯瞰的に全体主義社会が成立していく様子を描いているとすれば、本書は一個人の視点を通じて、全体主義社会で暮らす人々の生活をミクロ的に見た小説である。

    本書は『動物農場』よりも、かなり難解で深く、そして救いが無い…。
    ここまで小説を読んでいて不快になったのは久しぶりだが、絶対に目をそらしてはいけないテーマだ。間違いなく全人類が一度は読むべき本のなかの1冊である。

    1950年代に起こった核戦争後の世界を舞台とした「1984年」。世界は南北アメリカ、旧イギリスを中心とした国『オセアニア』、イギリス以外の旧ヨーロッパが統合された『ユーラシア』、そして旧日本、旧中国が中心となった『イースタシア』の3つの超大国に支配され、その3国は常に三つ巴で戦争を繰り返している。
    作品の舞台となる『オセアニア』のロンドンでは『ビッグ・ブラザー』と呼ばれる指導者により、市民はあらゆる生活に統制が加えられ『思考警察』と呼ばれる警察に反体制的な市民が摘発されている状況だ。
    市民は常に『テレスクリーン』と呼ばれるテレビとインターネットを合体させたような機器により監視され、町なかでは盗聴マイクによって行動が当局によって把握されている。

    ロンドンに住む39歳の主人公ウィンストン・スミスは、当局の命令により歴史記録の改ざん作業を仕事として行っていたが、記録が絶えず改竄されるため、真実の歴史を確かめるすべは無い。
    ウィンストンは『ビッグ・ブラザー』の支配する国家に疑問を抱いていたが、そこへ体制に従順なふりをしながらウィンストンと同じく反体制的な考えを持つ若き女性ジュリアに出会い、恋に落ちた二人は当局の監視をかいくぐりながら逢瀬を重ねる。しかし、彼らの行動は『思考警察』の知るところとなり、二人は逮捕され、想像を絶する過酷な尋問を受けることとなるのだった…。

    まず、この本を読んでいて、この小説が本当に1949年に書かれたのか?というのが最初に浮かんだ疑問だ。それほどこの本が描く未来は、現在の世界のありようを精確に描写している。
    本書は全体主義の恐怖を描いているが、オーウェルが想像した市民を監視する体制作りが非常にリアル。
    『テレスクリーン』は今で言えばまさに「監視カメラ」であり「スマートフォン」だ。『テレスクリーン』と「盗聴マイク」により、市民の頭の中の考え方を含め、市民の全ての行動が当局の監視下にある。

    当局は、市民を統制するため『歴史』を改ざんしていく。『オセアニア』の歴史は、常時当局の都合の良いように改ざんされている。例えば、指導者的な幹部が裏切り行為を行った場合、その当人が逮捕されるには当然のこと、過去の名簿やリスト、歴史上関わった事項からも全てその名前が削除される。
    つまり、最初から存在しなかったこととなるのだ。
    市民は自分の記憶と違っていることでも、それを確かめる方法がない。もし、自分でメモをとって、それを隠し持っていれば反逆者として逮捕されるし、そもそも、紙とペンが簡単に手に入らない。

    次は『子供の教育』だ。子供は物心がつくと、すぐに『学校』に入れられ、徹底的に体制的教育を受ける。自分の親が反体制的な思想を持っていると判断すれば、嬉々として親を当局に密告し、その子供は『英雄』として表彰されるのだ。

    そして最後は『拷問』だ。この本を読んで、どんな屈強な人間でもこのような拷問に耐えられる人間はいないだろうとあらためて思った。
    苦痛と恐怖を繰り返し与え、相手の肉体と精神を壊していく。これが何日も、何週間も、何か月も絶え間なく繰り返されれば、人間は信じている事実や愛する者のことなど簡単に忘れ、裏切ることができる。そこには友情も、親子の情も、恋愛感情も、愛すらも何の意味も持たない。
    誰もが「何でもする!何でもするから!もう止めてくれ!もう殺してくれ!」と恥も外聞もなく、地べたに這いつくばって、泣き叫ぶことになる。

    人間は弱い。
    弱いからこそ、絶対にやってはいけないことがある。

    ナチスのホロコースト、スターリン政権下での大粛正、カンボジア・ポルポト政権下での大虐殺など、数を上げればきりが無いが、人類は数多くの過ちを犯してきた。いずれの虐殺も支配体制が被支配体制の人間を虫けらのように殺している。
    この『1984年』には『大虐殺に至るであろうという世界』の成立過程が詳細に描かれる。この本どおりのことをやれば、誰でもこのディストピア社会で描かれる支配体制側の人間になれるかもしれない。

    だからこそ我々は『究極の反面教師』としてこの本を読み、自分たちの世界の行く末を真剣に考えなくてはならないのだ。
    そういった意味において本書が「全人類必読の書」であることは間違いない。

  • ディストピアものといったら、まずはコレですね。
    なんかのアンケートで、「読んだつもりになってるけど実は読んだこと無い本ナンバーワン」らしいですが、読んだつもりになるだけじゃもったいないです。
    私が知る限り、『愛』という言葉が最も悲しいかたちで使われた小説です。

    BGMには核P-MODELの『Big Brother』をどうぞ。下記から無料でダウンロードできます。
    https://susumuhirasawa.com/free-music/

  • ブンガク
    かかった時間 こまぎれなのでわからない

    星3なのは、読み切れていないと思うから。
    解説にもあったように、まだ自分の頭では、わかりやすい「動物農場」のインパクトが強くて、おそらくそれを超える作品だということはわかっていつつ、咀嚼して飲み込むことができていない感がある。

    第1部はまさに現代社会だなと思う。ニュースピーク、テレスクリーン、真理省、のあたりは特に。また、昨今ツイッターとかで指摘している人もいるが、ワイドショーなんかを考えると、「2分間憎悪」さえ、オーウェルは予見している、ようだ。
    第2部、ウィンストンが行動に出る。前から気づいていた自分の内面の違和感に従い、ジュリアと逢瀬を重ね、革命を語る。
    第3部、愛情省のほんとうの仕事。しかし、少しここはリアリティに欠ける。読み切れていないのか、ちょっと作品としてこの部分は弱いのか。

    「動物農場」でも思ったが、オーウェルは、思考(=行為)とことばの関係をものすごく強調して描いている。附録の「ニュースピークの諸原理」なんかは、まさにそれだ。また、これも解説にあるように、私たちは「二重思考」にとらわれていて、しかも都合よく、それに気づいていない。

    最近ようやく、小説家はありうべき人間や世界を描くのだ、と自覚して読むようになった。書かれていることは起こりうること、もしくは起こっていることで、私たちは人間であることの可能性も危険性も、さまざまな形で知る必要があるのだなあ、と思う。ブンガクの価値ってそういうこと?みたいな。

  • エンタメとしては読んだ後の絶望感、虚無感が他に類を見ないほどで、そういった作品が好きな人にはたまらないはず

    ドストエフスキーの小説ばりに疲れる
    オブライエンが怖すぎる
    自分の今生きてる世界は既にこの本の中の世界のように何か大きな権力に統治されているのかも、、

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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