ソロモンの歌 (ハヤカワepi文庫)

制作 : Toni Morrison  金田 眞澄 
  • 早川書房
3.90
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本棚登録 : 131
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (645ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200540

感想・レビュー・書評

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  • 本作の持つスケールを語る言葉をまだ持たない。本作は、重力に敗北した、保険外交員のエピソードに始まる。
    それはきっと、タイトルが「ソロモンのブルース」ではなく、「ソロモンの歌」とされているところに、一つの屈折があるらしい。
    思えば本作では、パイロットが空を飛ばず、ミルクマンがミルクを飲まず、デッドという姓を持つ一族が生きている。おまけに、黒人が白人ではなく、しかも幼馴染である黒人を殺そうと追跡しようとするこ逆説、皮肉、諧謔、ユーモア。
    そんな言葉の上での対立をやすやすと突破していくのが本作の力だ。重力から自由になるために。

  • 2017.09.27読了
     黒人のミルクマン(本名は、メイコン・デッド3代目)は学校では、いじめられっ子だし、家族の中では浮いた存在だった。
    父(2代目)は厳格な昔気質で、黒人らしからぬ、振る舞いで、家族、周囲の人々で彼に物申せる人がいないほど、怖がられていた。母は、夫に愛されず虐げられたせいか、ミルクマン(乳離れできない子)と呼ばれるまでに、この子を溺愛していた。姉二人は、変わり者のミルクマンを好く思っていなかった。父が母を殴った折、母を哀れに思ったミルクマンは、父を殴ったが、それを見た姉たちは、怒りを露わにした。
     ミルクマンはいじめから救ってくれたギターと友達になり、一緒に、父の妹パイロットの家を訪ね、パイロットと娘リーバと孫娘ヘイガーと会ったミルクマンは、父の目を盗んでパイロット家に足繫く通った。
    父とパイロットは兄妹だが仲が悪くなる以前から、父は、妹・パイロットのことを快く思わず、何もパイロットのせいではないのに、母の死後ひっそりと生まれたパイロットのことを悪しざまに言った。
     今の時代でも、差別されるのかもしれないが、パイロットには、へそがない。そのため、理不尽にも捨てられたり、グループから離脱させられたり、気の毒な目に遭っていた。
     黒人差別以前に、自分のせいではない先天的または後天的欠陥が原因で差別されるのは、心外である。
     また同じ黒人同士でも、アメリカの北部と南部では、白人との関係も異なるし、心の温度差も否めない。
    ミルクマンみたいに、家業を継いでそこそこ稼いでいる人が、南部に行って、車が直らなかったら、買い替えるなんて、悪気なく言っても周りの人の顰蹙を買うほどに、経済的格差もあるのだと知って、現代日本にも通用する問題だと思った。
     本で読むと肌の色がどうとか言う事は、イメージがつかめないせいもあるが、人種間の対立抜きにしても、家庭内暴力と言うか、虐待問題であったり、謂われなきいじめであったり、考えさせられる一冊だ。
     



     

     

  • 青い眼に続き2つ目のトニ・モリスンだけれどやっぱり難しい。情景が入りづらい。どれが黒人の歴史そのもので、どれが単なるエピソードなのかよく分からない。オバマが人生最高の書に挙げたといえど、ちょっと意味不明やった。

  • とある事情から‘ミルクマン’と呼ばれるメイコンデッドjr。
    父、母、叔母、いとこ・・・
    さまざまな人間関係のもつれをたどるべく旅に出る・・・

    ブラックアメリカン、北部と南部。さまざまな要素が絡み合う物語。
    その中でも名前は重要な要素として触れられる。
    両親から授けられた名前、白人につけられた名前、他人から呼ばれるあだ名、正式の名前ではない地名・・・
    すべてに意味があり、その意味の裏にはアイデンティティやルーツにかかわる忘れてはならないものがあるということ。

    600ページを越える大作ですが、ひとたびページを開けばブラックアメリカンの世界をめぐる素晴らしい読書体験が待っています。

    ちなみにラスト、私はギター派。
    でもたぶんパイロットも満足していたゆえにそういう運命に行きついたのだと思う。

  • ノーベル賞作家ということもあり最後まで読んだが、よくわからない本だった。20世紀前半のミシガンに住むミルクマンと呼ばれる男は、家族にも友人にも恋人にも心が通わない。ある事件がきっかけで、自分の解放を求めて家族のルーツを探ってゆく。ペンシルヴェニア州ダンベルまで旅する。祖先を知る人々に接し、祖先について話を聞く。最後に、叔母のパイロットと一緒に、祖先であるソロモンが自分で飛んでアフリカに帰っていったという伝説の飛び場に出かける。そこで結末を迎える。20世紀前半のアメリカ黒人の生き方がリアルに描かれている。黒人のルーツを知らないと本の内容を理解できない本なのかもしれない。一方、死ぬことと生きることをテーマにしているようで、普遍的な面も感じられた。本の中に解答は明示されず、各人の思いに任せられた感が強い。

  • ノーベル賞作家のトニ・モリソン女史の作品で、オバマ大統領の愛読書。さらに、小説家西加奈子さんが多大な影響を受けた作品である(帯に書かれていた)。

    黒人がまだ虐げられた存在であった頃のアメリカでの、「ミルクマン」という奇妙な(でもその渾名のルーツは、ちょっとグロテスクで、かなり切ない)ニックネームの男性が主人公。

    守銭奴の父、無力な母、奇妙な叔母、社会的に危険な友人・・・様々な登場人物が物語に彩りを添える。

    ストーリーの流れは決してスムーズではないのだが、この作家(あるいはこの作品)の持っているパワーでもってグイグイと読ませてくれる。

    登場人物の中で、ミルクマンに恋い焦がれる女性、ヘイガーの言動がとても切なくて、哀しくて、そして美しいと思った。

    この作家の他の作品、読んでみたいと思わせてくれる小説だった。

  • 飛ぶということ、そして鳥これがキーワード。多分
    ラストの解釈はどちらにしても一長一短。
    私は、パイロット派。

  • その時代のアメリカでの黒人差別社会の在り方や、当時の黒人の考え方をかいまみれたのが良かった。
    主人公ミルクマンにもう少し好感が持てるともっと面白く感じたんだと思うが、あまりにも住んでる世界が違い冷静に歴史書的な読み方となった。
    ラストの解釈について、他の人の意見も聞いてみたい。
    帯の紹介にオバマ大統領が一番影響を受けた本に挙げていると書かれていたが、この本のどこら辺に感動したり、影響を受けたのかを教えてほしい。
    七曜日にではないよね!?

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