越境 (ハヤカワepi文庫)

  • 早川書房
4.32
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本棚登録 : 210
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (675ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200564

作品紹介・あらすじ

十六歳のビリーは、家畜を襲っていた牝狼を罠で捕らえた。いまや近隣で狼は珍しく、メキシコから越境してきたに違いない。父の指示には反するものの、彼は傷つきながらも気高い狼を故郷の山に帰してやりたいとの強い衝動を感じた。そして彼は、家族には何も告げずに、牝狼を連れて不法に国境を越えてしまう。長い旅路の果てに底なしの哀しみが待ち受けているとも知らず-孤高の巨匠が描き上げる、美しく残酷な青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 国境三部作の第二作目。

    オオカミを故郷へ帰そうというくだりは本当にすばらしかったが、その後が少し冗長。
    「すべての美しい馬」を先に読んでいたので、同じような展開に感じてしまい、あまり入り込めなかった。

    ただときどき入る逸話はとても興味深かったです。

    もう少し集中して読めば、この小説の神話的な真価が感じ取れるのかしら。

  • コーマック・マッカーシー著作初読。

    感情をほとんど排除した、乾いた、粛々と綴られる文体は、
    アメリカ南部、メキシコの荒涼とした風景の写像そのものだ。
    文体が光景を生み、光景が文体を生み出す。

    そこには広大で荒涼とした光景がある。
    馬の蹄の音、風、雨等の自然音のみが反響する。
    17歳の青年は馬に跨り、冷然と過酷な旅路を行く。
    大人への階段、運命の旅。

    まるでアッバス・キアロスタミの映画を観ているようだ。
    素晴らしい作品。

  • 2010年下半期分をまとめて登録

  • 読後しばらくしてから、じわじわと話が心に沁みてきた。
    細部を咀嚼し切れていないので、あくまで感覚的なものだけれど、無性に胸が詰まる。
    この作品(「すべての美しい馬」もそうだけれど)における「メキシコ」とは、“どこか別の場所”ってことなんだろう。自分が生まれ育った世界(=アメリカ)ではない、異世界。
    希望も絶望も、夢も血も暴力も、何もかもが混沌とした場所。
    ビリーは運命に流されて三回の越境をしているように見えるけど、ただ流されているのではなくて、そこには彼の意思があっての選択だったのだと思う。

  • 国境三部作の2作目。
    本作もアメリカ西部に住む少年が、メキシコへと越境し、数々の苦難の冒険を経験するという粗筋である。

    が、こちらは『すべての美しい馬』以上に強烈な喪失の物語である。
    主人公ビリーの3度にわたる越境が描かれるが、そのたびに近しいものを失っていく。失われていくものを何とか取り戻そうとしても、全ては逆効果、予めそう決まっていたかのように失っていく。

    主人公の喪失の物語の合間に3つの挿話があるが、それも全て主人公の運命を示唆し、主人公の孤独を強調するかために配置されているのは明白である。

    しかし、何故か陰鬱な雰囲気、悲しげな雰囲気はない。全ては淡々と進んでいく。

    西部のカウボーイという、失われし時代、失われていった人種、失われた社会を象徴しているのかな、とも思うが、もっと宗教的なテーマなのかもしれない。

  • 三部に分かれるだろう。狼を連れてメキシコへ越境、盗まれた馬を探しにメキシコへ越境、弟を探しにメキシコへ越境の三部である。狼の部分はそれだけでも充分、独立した小説となるが、作者は物語を進めていく。
    すべての美しい馬は読んでいたが、その作品と比べると登場人物が語る『物語』が多いのがこの小説の特長のようだ。神もこの小説では大きな声でテーマだ。キリスト教でない私は浅くしか響かないが。

  • 3部作の真ん中。
    「すべての美しい馬」で、
    この作家とテンポが合うのに時間がかかるのは学習したので焦らず読み進んでいたのですが・・・さすがに1/3近く進んでも狼と旅してるんで、ひょっとするとこれはジャック・ロンドンしてしまうの??と心配していましたが、んなことなく、話は展開。

    でも、その展開する話より、主人公が旅路で出会う人たちとの脱線部分が断然面白い!
    こんなにメキシコの人って、皆が皆、
    世界のあり方や神との向き合い方、
    己の越し方行く末を省察しているのかい??

    最近、ケータイサイトの検査で
    あまりに幼稚でどーでもいいコンテンツばかりで
    ケータイユーザーってこんなにお莫迦ばかりかい、
    とヘコんでいる所だったので、尚更。

  • は!コーマックマッカーシーの「越境」をだいぶ前に読み終わったのに読んだを書いていない。さらに前に読んだ「すべての美しい馬」も。読書中にかなり消耗したし読後は気持ちが昂っているから寝かそうとしているうちに時間が経っちゃった。でも今でもあんまり書けないな。好きな作家なんだな

  • オオカミを失い、
    家族を失い最後は弟を失う。
    越境するたびに何かを失う話。

    陰鬱なはずの描写もあるが、
    他作品と同じくまるで風景のよう。

  • 物語は一気に読むものという認識を強くさせられた。読むのに時間をかけすぎた。タイミングが悪かったことにして、いつか再読の必要があるだろう。

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