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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784151200823
作品紹介・あらすじ
秘密の悪癖、恥ずかしい記憶、ゆらぐ愛情、束の間の輝き……鮮やかに描かれる一度きりの人生たち。数々の文学賞に輝く傑作長篇。
感想・レビュー・書評
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最初の2人に、いろんな時代で多かれ少なかれ関わりのある人たちの連作短編みたいな感じ。
物語より色んなやり方がまだまだあるんだな、というところに感心した。
ただ面白いかと言うとこの人誰だっけ状態がよくあったので読み手の私の力不足。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「わかる」ことの危うさと、現在の足場
ジェニファー・イーガンの『ならずものがやってくる』を読み終えて、まず突きつけられたのは、「人を見るとはどういうことなのか?」という問いだった。
人が過去を語るからといって、それが真実とは限らない。思い出には修正が入り、それが記憶違いなのか、あるいは無意識の捏造なのか、本人でさえ判別がつかない。
第一章の主人公であるサーシャは、盗癖(クレプトマニア)を持つ女性だ。正直なところ、読み始めは彼女に好感を持つことが難しい。だが、物語はさまざまな角度、さまざまな時代、そして多様な人物の視点から、彼女(や彼女を取り巻く人々)を映し出す。そうして視点をコロコロと変えながら断片を拾い集めていくうちに、サーシャという人間の立体的な側面が見えてくるような「気」がしてくる。
もちろん、それは「気がする」だけだ。どれだけ多角的に描写されても、彼女の内面を本当に理解したことになどなるわけがない。
この小説は、時間は残酷な「ならずもの」だと高らかに謳う。だが、テーマはそれだけではない。その「ならずもの」である時間に対して、苦しみ、もがき続けながらも、他者と支えあおうとするサーシャは、他の多くの登場人物とは少しだけ立ち位置が違う。
彼女は、過去だけを見つめているのではない。現在の中にこそ、自分の足場を見つけ出そうとしている。
だからこそ、彼女は周囲の人物から「幸せになってほしい」と切に願われる存在であり続けるのだろう。
この作品は、章ごとに文体や形式が激変する「実験小説」とも評される。(パワーポイントだけで構成される章など)それらの実験がすべて成功しているのか、その判断は私には難しい。
パワーポイントの章の少女を、登場人物の誰よりも想像してしまうが。 しかし、このバラバラな手法こそが、私たちが他者を(そして自分自身を)いかに断片的にしか認識できていないか、という現実を映し出しているようにも思えた。 -
デヴィッドリンチ監督の映画さながらに斬新な傑作小説だ。一度読んだだけでは理解できない入り組んだプロット。唯一無二の作品だ。
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翻訳になれていないので、集中して読めるエピソードと読み込めないエピソードがあった。
たまにはいいかも -
アメリカ人も頑張っているんだなと思える小説。成功したり幸せだと思えたりするようになるための行動が空回りや逆効果になることがほとんどで、でも生きていかなくてはならない。
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読み応えがあって面白かった。
時は容赦なく過ぎ、我々は多くのものを失い、取り返しのつかない人生に頭を抱える。しかし、それだけでもないのだよ。
章ごとに主人公が異なり、文章のスタイルもガラッと変わる。短編としても読めそうだし、登場人物がどこかで繋がっていて、読み終わると全体像が浮かび上がる。
ロック好きな人、ニューヨークに詳しい人ならより一層楽しめそう。そうでない自分でも楽しめた。 -
・ならずもの=時間
・サーシャを軸に、様々な語り手の視点や時間軸で語られる小説 -
ロバート・アルトマン的群像劇をミニマルな人間関係に落とし込んだ小説、と乱暴にまとめることができるけど、13章あるすべて文体が違う。誰かの人生が誰かの人生に関係していて、時間が経つとさらに思いも変わる。人の生き様、思考、時間、すべてを混ぜ込んだ傑作。
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文学
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章ごとに登場人物や彼らの生きる時代が移り変わり重層的なうんたらかんたらみたいな小説。
散漫的読書になってしまい全然あたまに入ってこんかった。
引き出し多いんだけど、自然主義的なアレを小説にあまり求めていないのじゃ。
デッドケネディーズとか出てくる -
原書名:A VISIT FROM THE GOON SQUAD
ピューリッツァー賞、全米批評家協会賞、ロサンゼルス・タイムズ文学賞、全英図書賞(国際部門)
著者:ジェニファー・イーガン(Egan, Jennifer, 1962-、アメリカ・シカゴ、小説家)
訳者:谷崎由依(1978-、福井市、小説家)" -
2017/05/13
主人公2人をテーマにしながら、時間と登場人物が毎回違う複数の章で構成されており、内容を理解するのに苦労した。主人公達を周辺人物達の視点でハイライトしていく新しいかたちの小説である。 -
こういうのんが好み。
すごいおもしろかった。
登場人物数珠つなぎ。
パワポの小説って秀逸。 -
ならずものとは「時間」のこと。連作短編集というか、登場人物たちは緩く繋がっているけど時系列はばらばら。その為に集中するのが難しくふわふわとした読み心地だった。多くは音楽がキーワードになってるけどそこの知識が皆無なのもいまいち乗りきれなかった一因かも。でも誰もが思い通りの自分になれずにもがいている様は痛々しくて仕方ない。特にサーシャやドリューとの繋がりを欲しているのに素直になれないロブの章は本当に切なかった。
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2011年ピュリッツァー賞、全米批評家協会賞受賞作。
時系列がやや解り辛いところが難だが、細やかなエピソードを積み上げる中に実験的な表現もあって面白かった。
まったく知らなかったが、ランダムから出ていた『古城ホテル』は同じ著者らしい。あちらは確かサスペンスというかホラーというか、ジャンル小説に属するものだった記憶があるので、謎らしい謎のない本作は意外だった。 -
構成は大胆かつ実験的。
言葉も強いし。
ただ時間軸の把握が難しいのが個人的に苦手。
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