夜中に犬に起こった奇妙な事件 (ハヤカワepi文庫)

  • 早川書房 (2016年4月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784151200854

作品紹介・あらすじ

数学や物理では天才だが、他人とうまくつきあえないクリストファー。近所の犬を殺した犯人を探すため、勇気を出して捜査を続けるが――数多くの賞に輝き舞台化もされた物語

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

発達障害を抱える少年の視点から描かれる成長物語は、彼の独特な思考や行動が持つ必然性を深く理解させてくれます。クリストファーは、近所の犬の殺害事件を追いながら、他者とのコミュニケーションに挑戦し、理屈だ...

感想・レビュー・書評

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  •  クリストファーはおそらく、発達障碍があるのでしょう。彼がこの世界と向き合うのは、とても難しい事なのだと思いますが、彼なりの方法で向き合おうとしている様子が読み取れました。
     クリストファーの一見変わった行動には意味や理由があることを、読者の方々に理解していただければと思います。そうすれば、クリストファーのような人々にとって、生きやすい環境が広がるのではないでしょうか。

  •  この小説は、少年の成長物語であり、普遍的な親の子どもへの愛を描いた小説だと思います。

     さてこの作品は、作中では明言されていませんが”何らかの発達障害”を持った少年が書いた小説、という体裁の作品です。

     とにかく発達障害をもった主人公の一人称の描き方がとても丁寧です。作中では文章だけでなく時には図も織り交ぜて、彼の思考や脳内での情報処理が描かれます。これが面白い。

     近所の犬の刺殺事件を調べ始めるクリストファー。その過程で苦手な、人との対話に挑戦し証言を集め、そして理屈だけでは割り切れない、大人たちの世界に足を踏み入れざるを得なくなります。

     個人的には中盤の思わぬ展開と、物語の大きな方向転換で、自分の心が作品にグッと捕まれた気がします。もし誰かに「起承転結の転」って具体的にどういうこと?と聞かれたら、この作品の話をします(笑)

     今まで父親の庇護の元で育てられたクリストファーの、冒険と成長の物語でもあるのですが、個人的には彼の親の姿が印象的です。

     息子に障害があるが上に突き放してしまったり、あるいは過剰に守ろうとしてしまったり。クリストファーも悪くないし、親だって悪いとは言い切れない。

     どれだけ子どもを愛していても、完璧な親をずっと演じきれるわけではありません。時には疲れることもあるし、魔が差すことだってあると思います。そんな親の姿が、クリストファーの視点を通して描かれます。

     でも”完璧な親じゃない=子どもへの愛がない”というわけでは決して無いんですよね。話を読み進めるにつれて、この物語のテーマは実は、クリストファーの成長以上に、親の子どもに対する愛情ではないかとも思うようになりました。

     きっとクリストファーの親は、今後なんだかんだありながらも、それでも息子を愛するのだと思います。そして、それは子どもに障害があろうとなかろうと同じはず。だからこの小説は、一見特殊な形式で変わった家族を描いているように見えるのですが、実は普遍的な家族小説でもあると思うのです。

    『アルジャーノンに花束を』『くらやみの速さはどれくらい』の系譜にある作品だと思うのですが、また違った魅力のあるいい小説でした。小尾芙佐さんの訳も、相変わらずよかったなあ。

  • 15歳3ヶ月のクリストファーはある真夜中、向かいの家の庭で犬のウエリントンが農作業用フォークに刺されて死んでいるのを発見。一人で数学の問題を解くのが好きで他人と関わるのは苦手なクリストファーだったが、犬を殺した犯人を突き止めようと聞き込みを開始する。父は調査を打ち切るよう言ってきたが、ルールの穴をついて近所の老婦人と話したクリストファーは病気で死んだ母にまつわる重大な隠し事を知ってしまう。


    常に数学的で論理的な視点で世界を見ている少年が〈親〉という理不尽に直面する、一風変わったジュヴナイル・ミステリー。ふだん我々が"あるある"で済ませていることは論理的に考えると何も"あるある"ではないと教えてくれるクリストファーの語りは、終始真面目なのだがユーモラス。それでいて、冒頭から犬の死を悲しんでいたら警察を呼ばれて留置所に入れられるというハードな展開の小説でもある。
    「親が嘘をついていたと知ること」は、10代の頃にはとても大きなショックだ。クリストファーのように「嘘をつけない」子なら尚更。父がひた隠しにしてきた秘密を知ってしまう中盤のヒリヒリ感、それまでの世界がひっくり返るような絶望感は普遍的なものだと思う。中盤以降はクリストファーに感情移入して本当にしんどくなってしまって、とにかく彼にひどいことが起きませんようにと祈っていた。あらすじには「冒険を通じて成長する少年の心」とあるが、作中では「きみは今日一日でじゅうぶんな冒険をやったと思うよ」という台詞がクリストファーの実感とあまりに乖離した侮辱的なことばとして発せられている。
    でも、クリストファーの両親が特別悪い人間というわけじゃない。クリストファーの一人称で書かれていながら、彼のような子を持つ親たちの生きづらさにもしっかりとスポットをあてているのがこの小説のうまさだ。二人とも一度クリストファーの信頼を裏切れば回復に長い時間がかかることを知っていてなお、もう一度彼と向き合いたいと願い、自分の行いを悔いている。だが、彼らが自分自身の問題と格闘しているときに口をついて出る「おまえのため」「おまえのせい」ということばが、クリストファーを取り巻く社会の姿を図らずも反映してしまってもいる。だからこれはクリストファーの成長譚ではなくて、両親が成長を促される物語だったのだと思う。母の決断と父の謝罪で終わることからして作者の意図もきっとそこにあったはずだ。
    クリストファーのような人を都合の良いときは「天才」と呼び、都合の悪いときは「落ちこぼれ」と呼ぶ社会にまだ私たちは生きている。"ふつう"や"平均的"ということばに疑問を抱いたことのない人にとっては、この小説も自閉症の天才を扱った"特殊な"話に過ぎないのかもしれない。けれど、クリストファーにとっての数学と物理学は生きていくために離すまいと必死で掴んでいる命綱のようなものだ。コンピュータがこうした人たちに社会的な居場所を与えた意義の大きさを初めてちゃんと認識できた気がしている。
    クリストファーの視点を通じて〈今まで変わろうとしてこなかった世界〉の不親切さを読者に追体験させるという構成はこの小説に込められたメッセージと完全に不可分であり、その伝え方はソフトでスマートだがはっきりと目的意識を持って書かれている。作中ある人物が「おまえは生まれてこのかた、たった一度でも、他人のことをちょっぴりでも考えたことがあるのか」とクリストファーをなじる場面があるが、マジョリティだという自認に甘えて〈他者〉のことを考えてこなかったのは社会のほうなのだ。我々なのだ。

  • こちらでフォローしている方の感想にひかれて読むことに。とても面白かった。わたしが知らないだけで、話題になっていたのだろうか。タイトルから軽いミステリかと思っていたが、こういうお話だったとは。

    アスペルガー症候群の少年が書いたものという形をとっている。「普通の人」による妙な意味づけや解釈抜きに、彼の精神世界が開示される点がとてもいいと思った。傍目には奇妙だったり困惑させられたりする行動の一つ一つが、彼にとっては必然性のあることなのだ。読み進むにつれ、それが胸に落ちてくる。さらに、彼を深く混乱させる大量の情報に常にさらされて平気でいるわたしたち自身、ある意味では異常なのではないかという気がだんだんしてきた。

    いや、そう言う自分だって、最初から「平気」だったわけではないはずだ。試行錯誤して大なり小なり失敗しつつ、この世界と何とか折り合ってきたわけで、彼の混乱や苦しみはまったくの他人事とは思えない。障碍者を無垢なものとして描くという類型に陥ることなく、そうした共感を呼び覚ますところがとても優れていると思う。

    だから、「アルジャーノンをしのぐ感動作」とか「少年の成長を描く」とかいう惹句は、ちょっと違うんじゃないかなあ。

  • 舞台はNLTで見たのだが改めて原作を読むとこれが面白い。発達障害の少年の目を通した「事件」と日常。「犬に起こった事件」がホームズの引用なのも楽しい。
    少年が見ている世界が生き生きと伝わってくるのと同時に、父親のがんばり、母親の子への愛情・ストレス・恋愛との板挟みなど大人側の事情が伝わってくる。クリストファーのような少年が楽しく生活できる社会を作るのは大人の責任だなと思った。

  • 英国の作家による小説だが、原書でベストセラーになったらしい。あるちょっと変わった少年が、近所で起こった事件に疑問を持ち、真相を解明しようとする。
    以下、ネタバレ注意。
    この少年は自閉症で養護学校に通うが、数学だけは飛びぬけてできる。ただ、コミュニケーションはできない。そんな彼が近所の事件の真相解明をしようと調べているうちに、彼にとって衝撃の事実が次々と明るみになる。そして、彼は大人の事情に巻き込まれていたこともわかってくる。
    アスペルガー症候群の人たちの家族が、アスペルガーの人はどう考えているのか知るために読んだという。少年の視点で書かれているので、繊細な部分がとてもよくわかる。彼なりの正義感とチャレンジで、困難を乗り越えていく姿を応援したくなる。
    以前読んだ、自閉症の人が書いた本「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」を思い出した。

  • 向かいの家に住む犬が殺された。主人公は犯人を見つけ、それを本にしようと思った。
    自分て発達障害なんじゃないか、と不安になることが時々あります。その答えは分からないけど、主人公のクリストファーが自分の世界で自分のできることを懸命にやり抜きそして成長していく様を見ていると、必要なのはただ意思の力なんだなと勇気がもらえます。寂しくてしょうがないときに寄り添ってくれる本。

  • もうほとんど足を運ぶことはなくなったけど、演劇好きである。この作品を舞台化したものがロンドン・ニューヨークで高い評価を受けていることに気づいてから気になっていたが、このたび文庫化ということで手に取った。

    タイトルのとおり、「夜中に犬に起こった奇妙な事件(原題も同じ"The Curious Incident of the Dog in the Night-time")」を解明すべく、主人公の少年・クリストファーが少しずつ踏み出す物語。コミュニケーションに難のある少年と犬をめぐる事件、クリストファーの好きな小説、周りの大人たち(特に両親)の様子が組み合わされて進行し、非常に凝った造りを感じる。ヤングアダルトのジャンルに入る小説だと甘くみていたが、読ませかたがすごく上手い。思うに、大人の推理小説ファンなら、少々無理な展開があっても、そこは「推理小説としてのお約束」と認識して読み進んでしまうものだが、大人の小説を読むようになる前、あるいは境目の年齢の読者は、そういうジャンル的な仕掛けだけでは釣れないのだろう。それはそれで非常によいことだと思う。カニグズバーグ『クローディアの秘密』などもそうだが、非常に凝った設定と意外なほどにスムーズなリーダビリティを持っているので、下手に陰惨な連続殺人やら婦女暴行でフレーバーをつけようとする大人の推理小説よりよほど良質ではないかと思う。

    物語の要素としては、主人公をめぐる人々の関係が結構リアルに、ときにはえげつないほど複雑で「おおっ」と思いながら読んだ。犬事件とクリストファーのお母さんに関する「真相」は、若干の飛び道具感もありつつ驚きの要素満載だし、「ああ、そんな状況だったらそうなるのはわからんでもない…」と大人的に納得もしてしまう。ページは確実に進んでいくのにクリストファーの周りは一筋縄ではいかず、「やっぱり元の木阿弥なのかなあ」との雰囲気を漂わせながらの進行が実にうまい。周りはどうかは知らないが、クリストファーは着実に進んでいくのだ。苦さと安心のバランスが今ふうではあるが、決してバッドバランスではなく、なかなか良い読後感も得られる。国内では2014年に舞台化されているのだが、全然話題にならなかった(ように見える)ことがとてももったいない。

    ただ、ひとつ惜しいと思うのは、表紙のセンスがいまひとつなこと…いや、あれで小説の世界はくみとれていると思うので、悪くはないんだけど…

    • niwatokoさん
      これ、よかったですよね! そうなんです、大人の読むミステリに比べて、まったくシンプルでなんの余計な味つけはなしって感じなんですけど、そのシン...
      これ、よかったですよね! そうなんです、大人の読むミステリに比べて、まったくシンプルでなんの余計な味つけはなしって感じなんですけど、そのシンプルさゆえに、かえって驚いたっていう感じで。わたしはかなり驚きましたよ、普段読むミステリのどんでんがえしなんかよりもずっと。ほんとに、ハッピーエンドとかではないんだけど読後感もよくて好きでした。
      日本での舞台化、わたしも本を読んだあとで検索して気づきました。ちょっと見てみたかったかも。元自転車キンクリート(ご存じですか?古すぎる)鈴木裕美さんの演出だったんですよね。。。
      2016/06/14
    • Pipo@ひねもす縁側さん
      すごく面白かったですね!クリストファーがあんな感じの子なので物語が一直線に進まないのか、周りの事情がややこしいから物語が進まないのかよくわか...
      すごく面白かったですね!クリストファーがあんな感じの子なので物語が一直線に進まないのか、周りの事情がややこしいから物語が進まないのかよくわからなくしてある(気がする)ところなんか、すごく上手く使ってありますね。クリストファーにとっての「謎」があまりにも大人の事情なのにも驚きましたよ、わたくしは(笑)。

      私はロンドンとニューヨークの舞台がものすごく好評だったことが気になっていて、「日本への引っ越し公演とかないのかな?」と調べて、国内公演があったことに行き着きました。V6・森田剛を主役に据えながら、どうしてそんなに地味に終わってしまったのか…そうそう、自転車キンクリートも、懐かしく思い出しました。
      2016/06/14
  • 海外ドラマ「グリー」にハマって以来、行く予定もまーったくないのにブロードウェイで今なにやってるか見てたり、トニー賞とか気にしてたりして、昨年そのトニー賞をとったってことでこの作品も気になっていて。(たしか、わがアイドル、ダレン・クリスも見にいっててブロードウェイ版で主演だったアレックス・シャープと仲よさげにしてたんじゃなかったっけ。どうでもいいが!)

    で、予想以上にすごくおもしろかった!
    発達障害のある少年が、隣家の犬が殺される事件に巻き込まれたり、ひとりでロンドンまで電車に乗っていったり、っていう、ミステリで、冒険モノで、成長物語で。わたしは途中で意外な展開に、下手なミステリなんかよりずっと驚いた。文章にユーモアがあって、少年の普段の生活ぶりなんかも楽しいし、はさまれる科学や数学の高度な話もわからないながらなんだか素敵だなーと思ったり。
    あと、少年が通ってる特別学級の先生がいい先生だってことがよくわかって、こんな先生に指導されていてよかった、とか。
    ラストで、もっと奇跡みたいな感動的なことが起きるのかな、と予想したけど、それほどでもなくて、なんだかひょうひょうとした感じで終わったのもすごくよかった。

    これ、舞台化されるといったいどんな感じなんだろうー。見てみたかった。ブロードウェイで主演だったアレックス・シャープは写真でみただけだけど、クリストファーっぽかったな、と。

  • こういう内容とは思ってなかったのですがとても面白かった。
    クリストファーは支援学校に通う少年です。
    彼の目から見る世界は本当に大変な世界です。それはクリストファーが何らかの発達障害を持っているからです。
    その彼がたくさんの困難を乗り越えてママに会いに行く。
    それからきっとその彼の行動で両親は元の鞘に戻るのではないか?と期待してしまいます。
    最後の彼の言葉は希望に輝いていました。

  • 子供向けの推理小説だろう、と、気軽な気持ちで選んだ本。
    ところが、えそっち?となっていき、引き込まれた。
    この家族が抱える家庭の問題に、共感するところがあって、自分がこの本を手に取った偶然に驚いた。そして、何度か身につまされて泣いた。
    自閉症の子の目線や心の動きのまま(という設定で)書かれているので、読みにくいと感じることもあったけれど、それはそれで味わい深く、分厚い本でしたがあっという間に最後まで読みました。
    息子を持つ親御さんにおすすめ。主人公の言動にハラハラしつつ応援しながら、親としての自分のことを振り返りながら、読んで、その状況を(物語なので当然ながら)立体的にかつ俯瞰して眺めることができ、物語の中の家族にも、自分の身にも希望を持てる感じの、暖かい読後感でした。

  • これはすごい。方法(形式)と内容は不可分なのだと教えてくれる。こういう文体、こういう構成でないと、表現できない内容がある、ということの好例。たぶん、翻訳がべらぼーにうまい。

  • 発達障害の少年が,夜中にお向かいの愛犬が殺されているのを発見することから生じる様々な騒動を描く.
    主人公は,気に入らないこと,想定外のことが発生するとパニックを起こすが,我々と同じ意味での感情は持ち合わせない.その一方,我々とは視点が異なるものの見方をしており,普通の人がスルーするところに固執し,それが物事の進行の障害になることもあり,また,何かのブレイクポイントになることもある.
    本書はこの少年が執筆した本という体裁となっており,したがって,上記の様な理由から,いわゆる「感情移入」は難しいのだが,この不思議なストーリーテラーのおかげで物語は紆余曲折しながら進行し,主人公は冒険を成し遂げ,また家族の「ある種の問題」は解決はしないものの,進展が生じる.
    不思議な小説だ.単なるアイディア勝負に留まらず,読者を引き込む力がある.

  • どうしてもクリストファーに共感できなかった

  • 発達障害の子はどんな気持ちでその行動をしているのか、周りの大人たちはどう接しているのか、気持ちのすれ違いの中に愛があり温かい気持ちになった。お父さんもお母さんも完璧じゃない。彼も不完全。「許す」って言葉じゃなくて身体が受け入れられるようになることなのかなって感じた。人に薦めたい本。

  • ボロ泣きした
    二冊買った

  • 父親すごく辛抱強いけど他のところで爆発しちゃってるし、母親も常に気を張っていっぱいいっぱいだし。両親とも、自分を擦り減らしながらギリギリのところで暮らしてる。それでもクリストファーのことを当たり前に認めて向き合おうとしてるのが、なんかもうたまらなかった。

  • 発達障害と言われる人達がどのように感じながら生活しているか、というのが、なんとなくこんな感じかな、と思っていたような視点で描かれていて、興味深い。自分が普通にできることが簡単にできない一方、彼らが普通にできることが自分にはできず、能力の向いている方向が違うのがよく分かる。相互理解が進み、みんなに優しい社会になるといい。これを劇化するのはどうやったんだろう?内面描写はモノローグやナレーションか?

  • なかなか印象深い流れ、最後までどうなるかわからない
    いい意味でリアリティがあり、終わり方tも良かった

  • 自閉症の少年を主人公としたお話。

    独特なものの見方、世界の感じ方をとても細かく丁寧に描き出している。訳者あとがきによれば、そんな主人公が困難に立ち向かっていく姿に感動を覚えるものらしい。
    ただ読んだときのコンディションが悪かったのか、本人ではなく、振り回される親や周囲の視点に共感してしまって、辛い読書体験になった。

    あらすじ紹介では、主人公のクリストファーは「数学や物理では天才」とされている。だが作品内の現実を見れば、数々の問題行動があり(p82)、パニックで暴れても記憶していない(p143)から反省することもない。ナイフを持ち歩くのは自衛のつもりだが、それを使っても正当防衛だと考えている少年(p79)が、ナイフを震えるほど握りしめながら幼児連れの女性に話しかけている場面(p230)は恐怖だ。
    作中でも、彼の世話に関わるストレスが両親の不和を引き起こしたことが明確に示されている。息子の行動で追い詰められた母親の心理(p181)や、犬を殺すほど追い詰められた父親の告白(p205)が痛ましい。
    しかし当のクリストファーは、事情を認識しても決して同情や共感はしない。ミスタ・シアーズの台詞「自分はすごく頭がいいと思ってるんだろうが。おまえは生まれてこのかた、たった一度でも、他人のことをちょっぴりでも考えたことがあるのか、ええ?(p344)」。考えたことはないだろうし、それよりも自分の考える秩序を優先する。誰が悪い訳でもなく、そのような特性なのだ。

    結末で主人公は、数学の上級試験で好成績をおさめる。科学者になり、結婚して奥さんに面倒をみてもらう(p81)という展望を語る。一方で、現実に愛情こめて息子の世話をしても、ハグしたいと願う父親の気持ちは拒否(p34)され続けるだろう。そちらに共感してしまうと、悲しくて辛い話になる。

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