動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

制作 : 水戸部功  山形浩生 
  • 早川書房
4.07
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  • (1)
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本棚登録 : 586
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200878

作品紹介・あらすじ

動物たちは飲んだくれの農場主を追い出し理想的な共和国を築こうとするが……。全体主義やスターリン主義への痛烈な批判を寓話的に描いた作品

感想・レビュー・書評

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  • これは読めば読むほど奥深い作品かな。

    動物たちを主人公にしているだけあって、読みやすく物語に入っていけるのがなんとも良かった。

    自分は読みながら、現代の、ある国を思い浮かべたけれど、読み手によってそれぞれ思う対象は違うかもしれない。
    例えば政治の世界、会社、もっと縮小された人間関係など…。
    そう考えると読めば読むほど以前は気づかなかったことに気づいたりと奥深さを感じる作品なのではないかと思った。

    そしてこちらのサイトでなければ出会えなかった、手にすることもなかった作品。出会いに感謝です。

    • kazzu008さん
      くるたんさん、こんにちは。
      深く考えさせられるレビューありがとうございます。

      確かにこの話は国を対象とするだけじゃなく、会社や個人の...
      くるたんさん、こんにちは。
      深く考えさせられるレビューありがとうございます。

      確かにこの話は国を対象とするだけじゃなく、会社や個人の人間関係でも当てはまる話ですね。自分もこの本に登場する他の動物のように安易に流されていることが多いのじゃないかと思い当たる次第です。

      この本はなかなかヘビーな内容ですし、レビューを書くのもちょっと難しいですが、こういう本についてもこうやって意見を交わすことができるのがブクログの良いところですね!
      2019/07/02
    • くるたんさん
      kazzu008さん♪

      こんにちは♪素敵な作品のご紹介、そしてコメント、ありがとうございます♪
      ほんと、コンパクトなストーリーなのに、ギュ...
      kazzu008さん♪

      こんにちは♪素敵な作品のご紹介、そしてコメント、ありがとうございます♪
      ほんと、コンパクトなストーリーなのに、ギュッと濃い、そんな感じです。
      たしかにゾクっともきますね。

      何も声をあげない、それこそが上に立つ者にとっては一番美味しいもの、そして肥やしになってしまうのが伝わってきますね。

      オーウェル作品は初でした!そして現代にでさえ通じる物語っていうところが素晴らしくもあります♪

      またこれからもご紹介お願いいたします♪
      ありがとうございました(*≧∀≦*)
      2019/07/02
  • 本書はイギリス人作家・ジョージ・オーウェルの古典的名作で、1945年に発表された時は、当時のスターリン政権下のソビエトを揶揄したものとして世界中で物議を醸した作品です。

    僕が大学生だった頃、英語の先生からこの本を原書で読めと言われていたのですが、当時は逃げ回っていました(笑)。ふと、本書の新訳が出ていることを知ったので、一念発起して読んでみることにしました。もちろん日本語版ですけどねw。

    いや~、ひさしぶりに背筋のぞっとする文学を読ませてもらいました。

    この本は、農場で人間に搾取されている豚や牛、鶏、羊たちなど様々な動物たちが、人間達に対して革命を起こし、人間達を追放、動物たちだけで運営する「楽園」を作る物語です。

    最初、動物たちは人間を農場から追放し、自由を謳歌していましたが、農場の運営を通じて、動物たちの中でも格差が生じてきます。
    知能の高い豚たちが「人間達の支配を二度と実現させない」という建前をもとに農場内のルールを作り「全ての動物たちの為」というスローガンを掲げるのですが、実は自分たちの都合の良い様にルールを少しずつ変えていき、他の動物を徐々に支配していきます。

    他の動物たちは、豚のやり方を「ちょっと、おかしいな」と感じつつも、豚から「それでは、人間の支配する農場にまた戻した方がよいのか!」と恫喝されると、何も言えなくなってしまいます。
    さらには、豚に意見しようとした動物を豚たちは「人間達のスパイ」だと言って処刑していきます。

    そして最後には、豚たちは洋服を着て、二本足で歩き出し、かつての人間と同じように他の動物を完全に支配するというお話です。

    この物語で本当に恐ろしいところは、悪意を持った存在が、正義の旗を掲げ「大義のためだ」と言って、他の者達の意見を暴力で押さえ付けていく過程です。
    この過程は当時のスターリンによる独裁社会の成立過程をそのままなぞっているのですが、僕たちの現代世界でも十分にあり得るストーリー。

    この本の最大の教訓は、「無知な民衆であるべからず」ということ。

    この本に登場する豚以外のほとんどの動物たちは皆、「豚たちのやり方はおかしい」と思いながらも声を上げません。そして、「頭の良い豚の言うことだから間違いないだろう」と豚のやり方に盲従してしまいます。

    この図式は、スターリン政権下のソビエトに限らず、ナチス政権下のドイツでも、今の北朝鮮でもどんな社会でも当てはめることができると思います。

    やはり、どんな社会でも民衆は政府のやり方をしっかりと監視し、本当にそれが正しいことなのかということを常にチェックする必要があるのです。

    ただ、一番重要なことは、『何が正しいのか?何が正しくないのか?』を判断するのが僕たち民衆だということです。
    正しい判断をするためには、僕たち一人一人が常に、知識を蓄え、人々と意見を交換し、善悪を判断する能力を磨いていく必要があるのです。
    これを怠れば、すぐに為政者たちは、自分たちの都合の良いように社会を変えていってしまうでしょう。

    本書は、薄い単行本ですぐに読み切れる量ですし、動物を主人公にした寓話なので誰にでも簡単に理解することができます。
    特に今の高校生、大学生には読んで欲しい本ですね。

    僕も大学生だった頃に先生に言われたとおりこの本を読んでいれば、もう少し勉学に身が入ったのかもしれません(笑)。
    でも今からでも遅くはないと思うので、豚に支配される愚かな動物にならない為にも、僕も日々勉強を怠らないよう努力しますね。

  • 夫より「面白いし、字も少なくてすぐ読めるから、読んでみて!」とすすめられ、手渡された本書。
    ためしにパラパラめくると、確かに文字も大きく、厚さもサンドイッチ用の食パン程度である。
    言葉の勢いに流されて、彼が図書館から借りてきたものを、さらに借りて読む。

    本書はイギリス人作家、ジョージ・オーウェルによる、おとぎ話の形を借りた権力と支配構造への痛烈な風刺作品である。
    原著の発表は1945年。
    人間に支配され暮らしていた農場の動物達が、ある日独立のために蜂起し、自由を勝ち取るものの、やがて指導的な立場にあるブタ達が特権を行使するようになり……という筋書き。
    巻末の訳者のあとがきには、オーウェルがロシア革命とスターリニズムをモデルに執筆したことが解説されている。

    結論から言うと、グロテスクで悲しく、終始悪い夢を見ているかのようで、読み通すのに非常に精神力を要する作品だった。
    夫の言う、「すぐ読める」はまったくの嘘じゃないか!
    でも、「面白い」というのは本当。

    まず、物語自体が起伏にとみ、序盤から緻密に貼られた伏線が、次々と惨事につながっていくので、どんなに恐ろしくても読むのを止められないのである。
    私は勝手にオーウェルのことを着眼点に優れた風刺家のように思っていたけど、こんなに引き込まれるお話をつくる人だったんだな。

    そして、物語中の出来事が、今の私の身の回りで起きている憲法改正についての議論や、資本家と労働者の関係に強く重なり、ただのおとぎ話にはとても思えない。
    中でも、日々働くことに大半の時間を費やしている身としては、ひたすら風車建設のために命を削る馬と、その絶望的な最期に衝撃を受けた。
    何より、自分もまた、作品中の動物達と同じように、見えるはずのものを見ないで生きていることを突きつけられた。

    決して読んで良かった、楽しかったとは言えないけれど、読む前と後では決定的に何かが変わってしまうような一冊だと思います。

  • 飲んだくれの農場主を追い出し、動物だけの楽園を作ろうと「革命」がおこります。
    革命の主導的な「同志」であったブタのナポレオンは、次第に手に入れつつあったリーダーシップを権力へと強化し、他の動物たちへの労働義務を増加させ、当初は排除しようとしていたはずの「支配者」へと変貌していきます。

    物語としても面白かったのですが、根底にあるロシア(ソ連)への批判精神にも考えさせられました。

    他者と協働しなければ生きていけぬ世界である以上、作業を指揮する役割も重要なものではありますが、作業をする者(労働者)の地位や権利を守るためにも、彼ら自身の「知識」や「思考力」、「表現力」が不可欠である、ということと周囲からの客観的な指摘(真に「自由」な批判)の影響力が及ぶことの重大さを如実に伝えている作品です。

    「正しい権力のあり方」がらどのようなものである、という答えは明示されていませんが、動物農場の在り方に対して、読者が疑問を抱き、自身の周囲の世界に対しても批判的な思考に基づいて振り返るきっかけとなると思います。

    日本人としては、(現在はまた在り方が変わっているのかも知れませんが)お隣の北朝鮮あたりを想像させるかもしれません。

    • masaaki.oyabuさん
      気になっていた一冊。是非、読んでみたくなった。
      気になっていた一冊。是非、読んでみたくなった。
      2018/05/04
  • 農場の動物たちが人間たちを追い出し、豚の指導のもと、動物農場を作り上げる。
    もとは人間たちの搾取が許せず、平和で平等な世界を夢みて動物農場を作り上げたが、やがて動物たちによる搾取が始まり、混乱と恐怖の耐えない暮らしに陥っていく。

    動物たちのやりとりが面白おかしく書かれており、漫才のようで楽しめました。ソビエトのスターリン主義を批判した風刺に満ちた作品です。いかにして権力主義が生まれていくのかを示しており、考えさせられる良い作品でした。

  • 特定の国を風刺した作品として有名ながら、人類の大小あらゆる国家や権力に対しての本質を面白い内容で表した名作。あとがきや解説も含めて非常に読み応えがある

  • 18/7/19読了。

    寓話によって明らかに特定の誰かを風刺していることはすぐに分かる。

    本人の意図はスターリンであり、それに対して盲目的な自国民であったかも知れない。
    ただ、いま読めばそれは北朝鮮のトップと国民の関係のようにも思えるし、アメリカや日本のそれを指しているようにも感じられる。

    オーウェルがスターリンやイギリスを通して伝えたかったことが、普遍的にいまの資本主義・民主主義の中に生じているのかも知れない。

    自らを戒める。
    ナポレオン(ブタ)にならないように、
    取り巻きのブタや犬にならないように、
    ヒツジたちのようにならないように、
    そしてベンジャミン(ロバ)にならないように。

    Noblesse oblige.

  • 権力は腐敗する。

    そしてそれは必ずしも権力者、支持者だけの責任ではなく、黙して語らない多数者のせいでもある。

    この物語は常に問い続ける。

    豚は出てきていないか?
    我々は羊や驢馬になっていないか?

  • 共産主義、特に当時のソ連を批判した本。
    動物を比喩にして小説にするところは、猿の惑星に通ずるところがある。
    なお、百田氏の蛙のなんちゃらもこの系統に属するが、愛国心を強調するものとなっている

  • ああ、「新世界より」の元ネタはこれだったのか。
    もっと早く読めばよかった。日本における政治思想ももっと詳しく調べてみたい。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョージ・オーウェルの作品

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