忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200915

感想・レビュー・書評

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  • ★★★2020年3月★★★


    読み終わってからしばらく経つが、感想を書こうと思う。
    この話は6世紀ごろのイギリスを背景にしている。サクソン人(移民)とブリトン人(土着)が住んでおり
    ちょっとした諍いのことなど忘れて、共存している。


    「忘却」
    そう、人々は忘却の霧に包まれているのだ。
    だから、少し前まで殺し合いをしていたことも忘れて共存できるのだ。しかし、人々が忘却の霧から解放されたら?


    この物語は、ある老夫婦が家を出て行った息子を求めて旅に出るところから始まる。やがて屈強の戦士や、傷を負った少年に出会い、「忘却の霧」の真相を知る。


    竜を倒せば「忘却の霧」が晴れると知ったとき
    「記憶を取り戻すのが怖い」
    そう感じてしまうのもよくわかる気がした。
    サマーセット・モームが『月と六ペンス』の中で
    「慈悲深い忘却がすべての傷を洗い流す」的なことを書いていたが、それもそうだだよな、と思う。

  • 単なるファンタジーではなく、現代の世界的な問題を映しているのではないかと感じさせる描写がとても印象的でした。読者の想像力を掻き立て、何か大事なものを忘れているような感覚になりました。
    記憶をテーマに壮大な内容が、終盤一気に押し寄せてくる物語です。

  • ウィスタンが手を下さなくとも、雌竜が死ぬのは時間の問題だった。忘却による平和は維持されずに、サクソン人の復讐が始まる。この物語に救いはあるのか。ベアトリスと別れたアクセルは何処へ向かったのか。

  • わたしを離さないで、が凄すぎて、ちょっと違ったかなーと思った。再度読んだらウオーってなるかもな

  • 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) [文庫] [Oct 14, 2017] カズオ イシグロ

  • 受賞作のどこが違うのか、ということをこれまでほとんど意識したことがなかったことに気付いた。この長編は読後感の複雑さが際立っていた。
    伝えたい何かを直接的に書いていないことがひしひしと伝わってくるのに、その何かにさらに解釈の余地も残されているように感じた。
    忘れられた巨人とは、アクセルその人のことだと途中まで思い込んでいたけれど、最後まで読んだ今、どう解釈したいのかに迷う。
    忘れると迷うとでは、忘れるの方がより失う要素が大きいように思う。
    190811

  • カズオイシグロお得意の、少しずつズレた噛み合わせの歯車がゆっくりと回り続けてゆき、やがて大きな流れを生み出す、といった印象の物語。充たされざる者が好きな人にはオオスメ。

  • 巨人のメタファーは民族の歴史と憎しみか。
    意見を衝突しあって発展することを諦め、ただ忘却のなか同じような日常を繰り返すことが幸せなのか、それとも善き妻や隣人と争うことになろうも民族の誇りを取り戻すことが幸せなのか、答えは出ない。

  • 最初に読んだカズオイシグロ作品がこれでなくて本当によかった。
    「私を離さないで」ない「日の名残り」がものすごくすばらしく、その流れでこちらに手を伸ばすと…

    壮大なメッセージ性があることはかろうじてわかりましたが、それに心を震わせるほどの経験値が自分にはありませんでした。

    読み通せなかったことがショックです。

  • 記憶

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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