忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200915

感想・レビュー・書評

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  • もし記憶が故意に失わされてるとして、かつての記憶が楽しいものばかりではなく、とてつもなく辛いものも含まれているとしたら。記憶がないことによって、本来憎み合うはずの相手と幸せに暮らせているとしたら。それでも楽しい記憶のため全てを取り戻したいか…。
    何の前知識もなく前半を少し読み進めたときに、記憶が曖昧になっている老夫婦がただ息子に会うため旅に出る話かと思い、その間のやりとりもめっちゃ退屈で一旦挫折しかけましたが、カズオイシグロさんのは以前2冊読んでいてどちらも途中から面白くなったので、頑張って読み進めました!でもその際に調べて、この物語の背景にあるアーサー王の時代のマーリンやら何やらをサクッと読んで薄い知識だけ入れときました。
    そしたら、そこからは面白かった(*^^*)。ファンタジー小説ともいえるしミステリー要素もあるし、アクセルとベアトリスの旅が進むにつれ次第に明らかになっていく事実にそうだったのかーと。
    なぜ記憶の忘却があったのか、巨人、アクセル、ガウェインの正体云々。
    だけどラストはどう捉えたらいいんでしょうか

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/711833

  • やっと読み終えた。。。
    モヤモヤとした読後感。

    人的に忘却を作り出す世の中はいまだに在る。
    忘却によって築かれる平和や愛情とは…しかし否定はできない。

    以下、インタビューより(抜粋)
    「『忘れられた巨人』においてわたしが書きたかったテーマは、ある共同体、もしくは国家は、いかにして『何を忘れ、何を記憶するのか』を決定するのか、というものでした。わたしは、これまで個人の記憶というテーマを扱ってきましたが、本作では『共同体の記憶』を扱おうと思ったのです。」

    人類が繰り返す、差別や虐殺の歴史。これらは、未來永劫、どこかで繰り返され続けるだろう。と思ってしまう

  • なかなか読めなかっだのですが、読み終わりました。ファンタジーのような感じでもあるので、読み込むのにタイヘンでしたが、思うことは、この著書は作品ごとにいろんなタイプの作品を書くなぁ。と感じます。作品ごとに全然違うので、そこには肯定的に思います。作品によっては合う合わないなどあるかな、とは思いますが、意欲的と思います。

  • 難しかった。

    カズオ・イシグロらしく3m先が見えない濃い霧の中を歩いている様に感じる作品。

    だけど、「私を離さないで」の時のような、最後に霧がぱっと引いていく感覚は得られなかった。そのせいか、どうにも腑に落ちぬ後味が残っている。

  • 色々と分からないまま話が進んでいく。基本、アーサー王物語はチラッとしか分からないし、サクソン人とブリトン人、知識が少ないので?がいっぱい。ストーリーはなかなかに読み応えあり。
    カズオイシグロ氏の作品、三編目だがやはりずっと暗い流れが底流にあり、人々はそれぞれ良い人達なので幸せになって欲しいと思うが‥

  • ただのファンタジーではないですよね。むしろ記憶という題材を遠くまで、より多くの人に届けるため、ファンタジーの体裁が使われていると感じました。実際、竜との闘いは意外にもさらりと描かれています。竜がいなくなった世界、つまり良い記憶も悪い記憶も戻ってきた世界の話が、この本で最も重要な部分なのではないでしょうか。

    それまでもじっくり、ゆっくりと読み進めてはいましたが、先に記したように記憶を手にしたベアトリスとアクセルのやりとりに深く注目し、それに加えて船の船頭との会話、駆け引きも一言一句を注意深く読み進める必要がありました。そこから得られた感動が、そこまで読んできた物語の上に成り立つことは間違いないのですが、本当に、なんて言えばいいんだろうか……心に柔らかくて、でも硬質な何かが残ったと感じられたのです。

  • オーディブルにて。

    老夫婦が修道院に行くまではなんとかおもしかったが、怪獣がでてきた時点でもうだめだなと。物語の中からリアル世界への示唆や学びを求める私としては、その先に読み進めず、断念しました。

    読み進めれば、何らかの示唆はあったのかもしれないけど。だれか結末だけ教えてください。

    ・なぜ人々は忘れてしまうようになったのか
    ・エドウィンはどうなったのか
    ・夫婦は息子に会えたのか

  • 何という読後感

  • 「お姫様」の連発が序盤から気になってしまった....。途中で読むのを止めようと思ったけれど、何とか完読。内容自体は良かったけど、やはり意味が通じる場面での「お姫様」はいらないかなぁ。ちょっとクドイ印象で残念。過去の記憶との向き合い方を静謐に語られた本作。思い出さなくていい記憶は、そっとしておいて吉。

  • 遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村をあとにした老夫婦。一夜の宿を求めた村で少年を託されたふたりは、若い戦士を加えた四人で旅路を行く。竜退治を唱える老騎士、高徳の修道僧…様々な人に出会い、時には命の危機にさらされながらも、老夫婦は互いを気づかい進んでいく。アーサー王亡きあとのブリテン島を舞台に、記憶や愛、戦いと復讐のこだまを静謐に描く、ブッカー賞作家の傑作長篇。

  • しっとりとした雰囲気で文章が連なっている感じが好き。ファンタジーと思って読んだけど、どこかファンタジーとは違った幻想的な印象を受けた。文章が心の奥底で響く感じが味わえた。

  • 古のイギリスがテーマの物語。
    忘れられた巨人とは何か?
    民族や国家の営みにおける光と影が老夫婦の旅路で明らかになっていきます。
    ここで掲げるテーマは普遍的で今もなお起き続けていること。
    老夫婦は何とか向き合い旅の終わりを迎えていきますが答えを出すのは難しい。
    でも、そういうことも含めて一人一人が乗り越えて行かねば明るい未来は開かれないということかなぁ。

  • こばやしくんに借りたような気がする
    イシグロの中でははまらなかったやつ

  • 世界観が圧倒的にせまってくる。

  • 2020.5.24

  • カズオ・イシグロさんの『私を離さないで』、『日の名残り』を、読んだことがあり購読。

    アクセルとベアトリス、2人の老夫婦が息子に会う為に旅をしていく話だが、物語の途中でその他の登場人物にも視点が切り替わり進んでいく。

    カズオ・イシグロさんの描く世界観、読んだ後に切ないような感情を残してくれるところが好きだがこちらの作品も同じように世界観に没頭させてくれ、感情を与えてくれた。
    他の作品も含めて物語を読みたいという気持ちにさせれくれる。

  • はじめてのイシグロカズオさん
    背景がわからずなかなか難しいところもあったか、覚えていることがいいのかどうか、考えさせられるものであった

  • 忘却という平和

  • ★★★2020年3月★★★


    読み終わってからしばらく経つが、感想を書こうと思う。
    この話は6世紀ごろのイギリスを背景にしている。サクソン人(移民)とブリトン人(土着)が住んでおり
    ちょっとした諍いのことなど忘れて、共存している。


    「忘却」
    そう、人々は忘却の霧に包まれているのだ。
    だから、少し前まで殺し合いをしていたことも忘れて共存できるのだ。しかし、人々が忘却の霧から解放されたら?


    この物語は、ある老夫婦が家を出て行った息子を求めて旅に出るところから始まる。やがて屈強の戦士や、傷を負った少年に出会い、「忘却の霧」の真相を知る。


    竜を倒せば「忘却の霧」が晴れると知ったとき
    「記憶を取り戻すのが怖い」
    そう感じてしまうのもよくわかる気がした。
    サマーセット・モームが『月と六ペンス』の中で
    「慈悲深い忘却がすべての傷を洗い流す」的なことを書いていたが、それもそうだだよな、と思う。

  • 単なるファンタジーではなく、現代の世界的な問題を映しているのではないかと感じさせる描写がとても印象的でした。読者の想像力を掻き立て、何か大事なものを忘れているような感覚になりました。
    記憶をテーマに壮大な内容が、終盤一気に押し寄せてくる物語です。

  • ウィスタンが手を下さなくとも、雌竜が死ぬのは時間の問題だった。忘却による平和は維持されずに、サクソン人の復讐が始まる。この物語に救いはあるのか。ベアトリスと別れたアクセルは何処へ向かったのか。

  • わたしを離さないで、が凄すぎて、ちょっと違ったかなーと思った。再度読んだらウオーってなるかもな

  • 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) [文庫] [Oct 14, 2017] カズオ イシグロ

  • 受賞作のどこが違うのか、ということをこれまでほとんど意識したことがなかったことに気付いた。この長編は読後感の複雑さが際立っていた。
    伝えたい何かを直接的に書いていないことがひしひしと伝わってくるのに、その何かにさらに解釈の余地も残されているように感じた。
    忘れられた巨人とは、アクセルその人のことだと途中まで思い込んでいたけれど、最後まで読んだ今、どう解釈したいのかに迷う。
    忘れると迷うとでは、忘れるの方がより失う要素が大きいように思う。
    190811

  • カズオイシグロお得意の、少しずつズレた噛み合わせの歯車がゆっくりと回り続けてゆき、やがて大きな流れを生み出す、といった印象の物語。充たされざる者が好きな人にはオオスメ。

  • 巨人のメタファーは民族の歴史と憎しみか。
    意見を衝突しあって発展することを諦め、ただ忘却のなか同じような日常を繰り返すことが幸せなのか、それとも善き妻や隣人と争うことになろうも民族の誇りを取り戻すことが幸せなのか、答えは出ない。

  • 最初に読んだカズオイシグロ作品がこれでなくて本当によかった。
    「私を離さないで」ない「日の名残り」がものすごくすばらしく、その流れでこちらに手を伸ばすと…

    壮大なメッセージ性があることはかろうじてわかりましたが、それに心を震わせるほどの経験値が自分にはありませんでした。

    読み通せなかったことがショックです。

  • 記憶

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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