半生【はんせい】の絆 (ハヤカワepi文庫)

  • 早川書房 (2025年3月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (640ページ) / ISBN・EAN: 9784151201158

作品紹介・あらすじ

中国で魯迅と並んで評価される、伝説の作家の代表作を新訳・文庫で刊行。一生ぶん続くことは叶わなかった、男女の恋の運命をめぐる傑作

感想・レビュー・書評

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  • Eileen Chang – New York Review Books
    https://www.nyrb.com/collections/eileen-chang

    東京倶樂部★CLUB TOKYO : <中国が愛を知ったころ:張愛玲短篇選>張愛玲(2021/01/25)
    https://mangotokyo.livedoor.blog/archives/25420942.html

    〈あとがきのあとがき〉 あの女優主演でドラマ化したい!時代を超越するとびきりおしゃれなラブコメディ──張愛玲『傾城の恋/封鎖』の訳者・藤井省三さんに聞く - 光文社古典新訳文庫(2018.07.06)
    https://www.kotensinyaku.jp/column/2018/07/006763/

    半生縁 [978-4-585-05317-0] - 2,530円 : 株式会社勉誠社 : BENSEI.JP
    https://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=5317

    濱田 麻矢 | 国立大学法人 神戸大学 (Kobe University) | 神戸大学ニュースサイト
    https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/researcher/90293951/

    半生【はんせい】の絆 張 愛玲(著/文) - 早川書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784151201158

  • 読み始めるとたちどころにストーリーに没頭できる、先が気になって仕方がない小説。脳の刺激される場所がおもしろい連続ドラマを観ているときと同じで、そういう意味ではよくできたドラマの脚本のノベライズという感触もあった。

    主人公のふたりは初めて本気の恋をして、初めてだからということもありいろいろとコミュニケーションを取りこぼし、知らないうちにもう元には戻れないポイントを越えてしまう。人生は予行演習ができない。でもそういうふうに思いどおりにいかないことがわかってからが本番だとして、そのことを彼らがどう考えたのかについては―他のあらゆることが詳しく/誤解の余地なく描かれるのとは対照的に―文字数が割かれない。その唐突な終わり方が、取り戻せない人の喪失の感覚を残す。

    1930-40年代の上海/南京の生活の描写が興味深かった。誰が誰を養うかが大問題だった時代の人間関係の複雑さは、当時の日本でも近いものがあっただろう。100年も経たないうちに、人間はこんなに社会と家族の形を変えられる。次の100年後には、家族の形はどうなっているだろうか。

    • 淳水堂さん
      なつめさん
      本日読書会参加しておりました。
      主催者なつめさんだったのですね!
      海外文学大好きで、集まりがありうれしいです。今後もよろし...
      なつめさん
      本日読書会参加しておりました。
      主催者なつめさんだったのですね!
      海外文学大好きで、集まりがありうれしいです。今後もよろしくお願いします。
      2025/05/31
    • なつめさん
      淳水堂さん
      今日はありがとうございました! これからもよろしくお願いいたします。
      淳水堂さん
      今日はありがとうございました! これからもよろしくお願いいたします。
      2025/05/31
  • 惹かれ合い愛し合うようになった男女が社会の風潮や人々の思惑に翻弄される様を描く恋愛小説。「われてもすえにあわんとぞおもう」というのは難しいんだなあと。
    (感想はこちら)
    https://historia-bookreport.hatenablog.jp/entry/2025/03/20/232058

  • 1930年代から日中戦争の終わりにかけての、たいへんベタな恋愛小説だったが、時代も好みだし文章も美しいのでとても引き込まれた。 彼も彼女もすれ違いの連発。 男も女も旧社会の犠牲者たち。とにかく狭い親類筋の人間関係の中で付いたり離れたり、現代人から見たらもどかしく、又腹立たしい。特に主人公に対する虐待は信じ難いのだが、強く生き抜く姿は呆れるほどあっぱれなのである。思わずラストの再会シーンは目頭が熱くなった。時代の先を行くこの作者は人心の機微にとても敏感な人だったのだろう。

  • 1931年から‘45年、日中戦争で混乱した中国で上海を舞台にした男女の話で、お互いのすれ違いから恋愛が成就できなかった物語である。

    人間は表に現す行動以上にその内側に何倍もの思考や意識や思惑を秘めている。この作品は心の描写も絶妙で、立場も性格も異なる人が織りなす関係が丁寧に表現されている。翻訳も手伝い、張愛玲の細やかで滑らかな文章は鮮やかで、彼女が類い稀な作家であることを痛感させる。

    物語は上海で姉に代わって祖母と母と四人の兄妹を扶養する曼楨と、南京で妾宅生活をする毛皮商の父に置き去りにされた母と義姉と甥の面倒を見なければならない長男世鈞の二人を中心に展開する。曼楨は若いのに強い意志を持ち姉に代わり家族の経済負担を一身に担う。世鈞は今の生活を足がかりにして技術者として大成したいと思い唯一の友である叔恵宅に寄宿している。叔恵と曼楨は工場の事務所で机を並べていたが、
    世鈞が同じ工場に務め三人の関係が始まる。やがて世鈞と曼楨が愛し合い結婚を約束するが、曼楨の事情で先延ばしになる。世鈞はルビーの結婚指輪を贈り早く結婚しようとする。
    そんな矢先彼女は突然姿を消す。
    世鈞はどんなに探しても手掛かりすらつかめない。

    曼楨は姉の陰謀にはまる。自堕落で浮気性な亭主の気を引くために仕組んだものだった。彼女は強姦され一年間姉の家に幽閉される。妊娠し子供の誕生時に病院を脱出し隠れて生活をするが、子供や家族のことを考え、心は閉じたまま義兄と結婚する。
    やがて母や姉は死に兄弟も自立し、十数年振りに世鈞と逢うことになる。世鈞もすでに親戚の娘と結婚し二人の息子の父親である。妻は叔恵に好意を寄せる。

    彼らの再会はお互いの緊張のうちに始まる。
    「世鈞、わたしたち、もうもとにもどれないのよ」
    曼楨は長い不在を悔み、時の流れを受け入れようと
    重い一言を発する。長編の最後のページで、心を揺する清らかで濃密な交情が繰り広げられる。

    中国社会の前近代性は四千年の歴史で熟成されている。頑迷固陋、家族主義や外面の取り繕い、女性の地位、旧弊を生きる新世代の若者たちの苦悶は想像を絶する。
    張愛玲が魯迅に連想される意味がよくわかる。
    彼の短編『祝福』の祥林蒼のことが頭をよぎる。

    社会に翻弄され蹂躙される曼楨の生き様が壮絶であればあるほど、読者は力が漲り勇気が喚起される。
    後味が爽やかな傑作だ。

  • とてもよかったです。
    淡々とした訳文のせいか、自分の中で好き放題に映像が浮かびました。

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