青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

制作 : 青木 久恵 
  • 早川書房
3.44
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  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 589
レビュー : 83
  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300059

作品紹介・あらすじ

走行中の豪華列車"ブルー・トレイン"内で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!新訳でおくる初期の意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • ポアロシリーズ5作目。

    青列車の秘密、、、
    ブルートレインの秘密の方がカッコイイと思うんだけど(笑)
    タイトルはさておき、個人的にはとても楽しめました!

    列車内で起こる殺人事件。
    ある大富豪の娘が、寝台列車ブルートレインの中で殺害され、
    高価な宝石<火の心臓>が盗まれる。

    車中には、偶然乗り合わせた別居中の夫、
    莫大な遺産を相続する事になった田舎娘、そして探偵ポアロ。

    今回もやっぱり男性陣はヘタレです。イケメンなのにヘタレ!
    これはもうクリスティー作品においてはデフォルトなんでしょうかね(笑)

    ポアロとキャサリン・グレーの、
    適度な距離感のある友情が、読んでいて心地良かったです。

  • どちらかと言えばあまり好みじゃない方のクリスティ作品。でも、さすがクリスティと思わせるような部分がないわけではない。
    なぜ好みじゃないかというと、犯人に魅力を感じないから。クリスティ作品は魅力的な犯人が登場するものが多い。登場人物の心理描写も巧いので、そういう作品は本当に引き込まれる。けれど、その犯人に魅力を感じないとなると・・・。残念!

    気になる人物があちらこちらに出没。
    まずは骨董商・パポポラス。どうやらこの事件の17年前にポワロに事件を解決してもらったことがあるらしい。短編にでもあるのかな? でもこのミステリの中で犯人をばらしてしまっているから作品にはなっていないのかも・・・と思いつつ、クリスティは過去の作品のネタばらしを結構やっちゃうので、もしかしたらこれもそのひとつかもしれない。

    あとは被害者の父であるアメリカ人の大富豪、ヴァン・オールディンが情報屋として使うゴービー。相手の方を全く見ずに語る彼・・・。ポワロもよく使う情報屋もゴービーという名ではなかっただろうか。
    そして、青列車(ブルー・トレイン)の車掌の名がピエール・ミッシェル。これはねぇ、かの有名な「オリエント急行殺人事件」に同じ名前の車掌(だっけ?)が登場しているのだ。車掌の名というのはこういうものだというのがあるのかしら?

    さて、ミステリ自体はというと。トリックと呼べるほどのものはないかな。2時間サスペンスに良くあるような「時刻表トリック」のような感じだろうか。ミステリ色より冒険色の方が強いかもしれない。ポワロが珍しく動き回る。そうして少しずつ小さな事実を積み上げて事件を解決へと導く。その過程は面白い。ポワロが語る言葉は、どんなものであれ無駄なモノはない。これは他の作品にも言えることだけれど。今回はそれを強く感じた。

    ポワロが事件の関係者に協力を求める場合、2つの可能性がある。その人物のことを本当に信頼していて事件解決に役立つと思っている場合と、逆に犯人だと怪しんでいる場合。この作品では青列車の乗客で殺される直前の被害者と話をしたという女性、キャサリン・グレーにポワロは協力を依頼。さて、ポワロの意図はどちらか・・・。それは読んでからのお楽しみ、ということで。

    このクリスティ文庫は2004年に新訳で出版された。ところどころポワロの語り口調に違和感を覚える箇所がある。例えば執事であるジョージに向ける言葉。私の中のポワロはジョージに対しても丁寧に語りかける。けれど、この作品の中のポワロは少々品性に欠けるように思えるのだ。ポワロらしからぬ口調・・・。これが結構引っかかる。

    さて、どんでん返しというか、犯人の意外さでは他の作品に引けをとらないミステリ。DVDでは少々人物描写が薄くなっているけれど、逆に愉しめるかもしれない。

  • 楽しく読めたけど、全体的に情報が拡散してて焦点が合わない感じ。読後に、あれはどうなったんだっけ?と消化不良に陥った。宝石が入った赤いスーツケースはどこにいったのか??図書館に返却したので確認できない、、

    キャサリン、、聡明な女性ですが、結局ワルな人を選んでしまうのね、、と残念な気持ちになった。もっとキャサリンに選択肢をーー!!笑


    この小説ではポワロの優しさが印象的だった。女性として自分に自信が持てない人に優しいんだよなぁ。
    パポポラスの娘ジアやレノックスタンプリン。
    灰色の脳細胞を持ち、本作でも誰の言葉も信じない、というポワロとは別のパパポアロの顔。


    ただこの小説って、結局、女性は男性によって幸せが決まり、そして大概相手を見極める力が無い、、って言ってるような気がした。アガサクリスティが書きたかったことなのかなぁ?

    そしてミレーユは最終的に宝石ゲット。一番得してたりして、、

  • 最近BSで放送されたデビッド・ポワロのカーテンを見て、ちょっと、いえいえ、かなりショックを受けてから初めて読むポワロ作品です。

    読んでいる最中、本作で事件の関係者達を楽しそうにつついて回ったり、得意げに「プレシゼマン!」と呟くエルキュール・ポワロの姿とあまりに乖離したカーテンでの姿彼のを思い出して、一人しんみりとしてしまいました。

    さて、アンニュイ気分は置いといて、本編感想です。
    事件は大富豪の娘が豪華列車の個室内で惨殺され、「偶然」別の個室を取っていた彼女の夫が第一容疑者となる、というミステリのテンプレとも言うべき導入部。
    更にその列車に「偶然」にも居合わせたポワロが、娘を亡くした大富豪の依頼を受けて事件捜査に乗り出します。
    列車での旅の途上、「偶然」にも被害者と言葉を交わすことになったある女性と、容疑者である夫、その愛人、富豪の執事、四者四様の愛憎渦巻くドロドロ四角関係いっちょ上がりで事件はより一層複雑な様相を呈するのでは~!

    かと思いきや、夫の愛人以外、恋愛方面は意外にピュアだった(笑)。
    「私を捨てて別の女とくっつこうったってそうはいかないわ!おまわりさーん!この人、奥さんが死ねば金が入るって言ってました!」と密告しまくり・裏で糸引きまくりな愛人。
    そんな彼女を横目に(かわいそう笑)、残る男女三人は、「初心かよ!」と突っ込みを入れたくなるほどのぎこちないラブ展開を見せます。ミステリに恋愛要素は蛇足だと思っている私も、「どっちを選ぶのかしら…大穴で全然関係ないあの男だったりしたら面白いな…」とまんまとミステリ以外の部分の展開に食いついてしまいました。

    そんな愉快な人間模様が描かれる中、我らがポワロは勿論蚊帳の外で高みの見物です\(^o^)/いつもどーり
    雑怪奇な事件関係者達の間を素知らぬ顔でスイスイと泳ぎながら、華麗な種明かしで喝采を受ける。探偵とは須らくかくあるべし、を地で行くポワロなのでした。
    ただ、「彼」=「ある人物」と考えたのはちょっと飛んだ感じがするかなあ〜。
    自分の探偵としての手腕に対する依頼主の不信感を払しょくするやり口が、なかなかナルシストだったのが可笑しくも愛しかったです。カーテンを見た直後だったので、余計に…(涙)。

    ミステリとしては「意外な犯人」ものになるかなあ。ただ、十戒や二十則な照らし合わせると、アンフェアギリギリと言わざるを得ませんし、クリスティの作品としては及第点以上の評価はなかなかつけ辛いかもしれません。

    個人的には、ドラマ版カーテンを見た直後に読んだ作品ということで、普段のポワロ作品とは違った味わい方ができたのが嬉しかったなー\(^o^)/


    最近サボりがちな気がしますが、またまたAmazon先生から引用でっす\(^o^)/

    走行中の豪華列車“ブルー・トレイン”内で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!新訳でおくる初期の意欲作。

  • 推理小説ではなく恋愛小説として楽しんでしまいました。
    恋愛小説としてだと消化不良ですけどね!
    ただ、どこの2時間ドラマスペシャルだよ!というツッコミには誰か賛同してくれると信じてます。
    ミステリではあるけれど、どちらかといえばロマンスサスペンスな感じです。

    グレーさんが良い人過ぎて見習いたいところが沢山ありました。この人の様子をもっと見たかったです。そして恋の行方を!引導渡したのかどうなのかはっきりとした結末が知りたかったですよ!!男共はダメ男集大成でイラッときましたよ!!不倫ダメ絶対!

  •  年末にNHK・BS2でクリスティー特集が組まれて、なつかしのポワロやマープルのドラマを、まとめて観ることができた。何作かは原作を知っているので、興味をひかれてぽつぽつと読み直してみたのだが、ドラマ化に際しては変更された箇所がかなりあるようだ。
    『青列車の秘密』も、ドラマ版には絵的に盛り上がるようなアクションが盛り込まれており、映像の手法ではそういう方向に持っていくのだなと思った。
     事件は、ハイソな方々が乗り合わせた寝台列車での殺人。青列車→ブルートレインと訳すと、途端に何だかそこら辺を普通に走っていそうでがくっと来てしまう。西村○太郎?
     限られた空間での犯行。一癖も二癖もありそうな客たち。複雑に絡まり合う(かな?)車内の人間模様。そこにエルキュール・ポアロが居合わせて、謎を解き明かしていく。
     面白いことに(?)殺しの後、乗客たちはあれよあれよというまに青列車を降りていく。捜査には結構な時間がかかり、その間にヒロインをめぐる恋物語が始まる。ロマンティックでどきどきしながら、これでいいのかとはらはらもする(そこが面白いのだけど……)。何だかのん気というか、やや散漫な印象を受けなくもない。
     しかしその一方、事件の内容はかなり残忍で、ルスは首を締められた上で顔を殴られ殺され、宝石も盗まれてしまう。貴婦人の顔面が殴られるのは凄い! 前作『アクロイド殺し』に溢れていた迫力が、持続しているような感じを受けた。

     最初のうちは自分の好みや思いつきからタイプライターに向かっていた女性が、『アクロイド』以降は次作に期待をかけられる存在にかわった。『青列車』の展開にはまだ荒っぽさが少しずつ見当たるけれど、ここからアガサ・クリスティーは本物の作家へと変貌していったのだと、思いを馳せてみた。青列車に乗って、クリスティーもまた旅に出たのである。プロのミステリ作家としての長い旅に。


    レビュージャパン掲載書評
    <アガサ・クリスティーをプロの作家にした作品>

  • 作者から最も嫌われた作品。
    「ずっといやでたまらなかった」
    「月並みで、きまり文句いっぱいで、
     筋もおもしろくない」
    でもそんなに悪くない……
    いや、かなりいいですよ。

    まあ確かに
    「まるでそれは、あの危険な女豹のようだった」
    なんていう文章は恥かしい。
    それにこんなに長くする必要はないよね。

    聡明なヒロイン、キャザリン・グレイの登場で
    物語がぐっとひきしまる。

    第7章、舞台はセント・メアリ・ミード。
    どこかで聞いたことのある村ですが、
    勤め先の老婦人から遺産を相続したキャザリンは
    親族から無心状を受け取ります。
    (親族が何度も手紙を書き直すくだりがおかしい)

    この強欲な申し出にも、彼女は腹を立てない。
    「べつにあつかましいというほどのものではありませんわ。
    こういう際には、こういう手紙を書くのが、
    人情ではないでしょうか」
    そう、人情。「東京物語」の杉村春子を思い出す。
    あの自分勝手で、なおかつ憎めない長女……。
    人生最悪のときにこう書けたクリスティーが好きだ。

    作家の自己評価はあてにならない。
    もっとひどい小説、ほかにもあるでしょ。
    (どれとは言わないけど『ビッグ4』とか)

    旧版は田村隆一さんの訳者あとがき。
    青列車についてさらっとふれているだけ。
    それなのに、乗せられてしまう。

    「一九七九年の春、ぼくはパリでブランデイばかり飲んで歩いていたから、
     「青列車」のことなど、頭に浮んでこなかった」

    名調子、なんですねえ。

    「とにかく、読者諸君諸嬢よ、
    ぼくと一緒に、「青列車」に乗ってみませんか」

    新版は北上次郎さんの解説。
    「私がはじめてクリスティーを読んだのは」構文と、
    冒険スリラーの思い出。
    北上さんは、新しい才能を発掘したり
    同時代の作家の変化を見つめたりする分には
    すばらしいんだけど、
    既成の大作家にはうまく距離をとれない。
    「私」を出しすぎるのです。

    この人はよくも悪くも、
    娯楽小説界の平野謙なんですね。
    肝は時評にあり、繰り言が多い。
    旧版の勝ちです。

  • 要するにブルートレイン。
    アニメで見た…かな?トリックは微妙に見覚えが。

  • 冒頭なかなか事件も起こらずポアロもなかなか登場しないが、テンポよい展開でどんどん読み進んだ。内容はどちらかというとスリラー風味の推理小説。推理モノとしては物足りないが、恋愛要素などもあり物語としては楽しめた。

  • 2018/08/16読了

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