- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151300080
作品紹介・あらすじ
厳寒の季節に似合わず国際列車オリエント急行は世界各国からの乗客でいつになく混んでいた。一癖も二癖もある乗客たちが作る異様な雰囲気のなか、雪で立往生した車内で、老富豪が何者かに刺殺された。名探偵ポアロが腰を上げたが、乗客のすべてには堅牢なアリバイがあった…大胆なトリックに注目の著者の代表作。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
偶然ポアロが乗車したオリエント急行内で起きた殺人事件。会社の重役から依頼を受けて、捜査に乗り出す。
乗客からの聞き込みを開始するが、個性豊かな13人にはそれぞれアリバイが存在し、捜査は一向に進展しないように見えた。繰り返される証言の中で次第に明らかになる被害者との関係。ポアロの明晰な頭脳が動き出したとき、一つの仮説が浮かび上がってくる・・・。
とても有名なミステリーなので、多くの人が何らかの形でその内容を知っていることとと思います。
私もかつて読んだことがあったのではないかと思うのだが、今回読んでみると印象はずいぶん違うものであった。映画のイメージが強く残っているせいかもしれない。とはいえ、それもずいぶん以前のことなので、輪郭くらいしか覚えていなかった。
それにしても、本書はあっけないくらいあっさりしている。初めて読んだときは、鮮やかな推理に驚いたに違いないと思うのだけど。
映画では殺人の場面の映像もあったような。(記憶も怪しいが)もう少し詳しく、登場人物たちの心象も描かれていたように記憶しているけれど。
なめらかな訳で読みやすく、まるで日本のミステリーを読んでいるように錯覚してしまうから、余計に現代のミステリーと比較してしまうのかもしれない。
最近のミステリーは、とにかくエピソード盛りだくさんで、拡散した状況が見事に収束したり、加害者や被害者の心理が丁寧に描かれていたり、時系列が前後しながら謎を深めていたりで、そのまま映像化できそうな程書き込まれていると思う。
ミステリーが発展する中で、クリスティーの描く作品たちは一時代を築き、今でも多くの読者を魅了してやまないのも事実。現在の日本のミステリーがそういった経過の先に連なっているんだよね。
どうやら三谷さんの脚本で本書がドラマ化されるとか。配役はどうなるんだろう・・。お正月まであれこれ考えながら楽しみに待つことにします。 -
翻訳ものは読みにくいというイメージがありますが、これはとても読みやすかったです。初読は二十年近く前になるでしょうか、あまりにも前だったので読み始めは初読だったっけ?と思うほど全く覚えていなかったのですが途中でいろいろと(犯人を知ったときの衝撃も)思い出しました。今回はそれで逆に容疑者それぞれのアリバイや言動に細かく目が行き、ポアロの流れるような尋問と名推理、さらには事件を手放すときの見事さに感嘆しました。さすが名作と言われるだけのことはあります。録りおいてあるドラマをこれからゆっくり堪能します。
-
超有名作品ということで、とりあえず読む。
ロジックや動機などが美しく、推理小説の王道って感じ。長年支持され、今でも結論の是非が問われているということも納得。
ただ、ムシューとかマドモアゼルとかを文末につけるのやめてくれ笑 訳す上では必要なんだろうが、いかんせん疲れます笑 -
映画の公開前に原作を読んでおかねばと思い、読了。デイヴィッド・スーシェ主演のドラマ版を見たので結末は知っていたが、文体とプロットにぐいぐい引き込まれて飽きるところが無かった。ジグソーパズルのような証言の数々は、つい自分でも組み合わせたくなってしまう。登場人物の国籍が様々で、今は何語で会話が進んでいるのだろうかと想像するのも楽しかった。
-
華麗な登場人物。
今はないオリエント急行の旅が面白い。 -
Murder on the Orient Express(1934、英)。
ポアロ・シリーズ。シリーズの中でも、特に知名度の高い作品。
猛吹雪で足止めされた列車内で、老富豪が何者かに刺殺された。偶然乗りあわせたポアロが捜査にあたるが、乗客全員にアリバイがあることが判明する…。
トリック自体はアリだと思うが、推理の過程が論理を超えている、というか、ほとんど勘なので、推理小説としては微妙。しかし、物語としては面白かったのでOK。ドラマティックなラストが印象的。 -
<呆>
全く老品(老人 とも云うw)の思い込み(思い違い とも云うw)とは恐ろしいもので,僕はこの本の題名をづっと『オリエント急行殺人事件』だと思っていた。そしえ近日,知念実希人の傑作最新推理小説『硝子の塔の殺人』を読んでいてこのアガサ・クリスティの『オリエント・・・』とポーの『モルグ街の・・・』を読みたくなり町のTSKで借りることにした。
TSKに行き蔵書棚の場所をPCで検索しその棚へゆく。もちろん文庫棚。その棚までは徒歩8秒。すると、あれ日本人作家の作品ばかりが並んでいて『オリエント急行殺人事件』は無い、と思われる。しばらく棚に並ぶ本をじっと眺めていたが、もう一度PCで調べ直して、もし同じ場所をPCがまた示したら係の人(大抵は大学出の司書さん!)に頼んで探してもらおうと決心する。
で検索。やっぱり同じ棚を表示する・・・ん?ちょっと待てよ。『オリエント急行の殺人』という非常に似たタイトルの本があるな~と思ってその画面の後行を見ると作者はアガサ・クリスティとなっているではないか。
僕は題名は『オリエント急行殺人事件』だと信じて疑っていなかったので、何かの間違いだろう、と思いながらも本の実物を確かめるべくその棚まで徒歩7秒で移動した。すると、なんと僕の長年の記憶は間違っていたのである。
ちょっとくやしいのでググった。僕がこの作品を最初に知ったのは映画でだった。劇場で観たのではなく今は亡き ” テレビ ” という懐かしいモノの水曜ロードショウとかで観た。その時の題名は『オリエント急行殺人事件』なのであった。そしてなんとWikiによると小説も『オリエント急行殺人事件』と呼んでもいいらしい。でもどっちが正式なのかと云うとやはり『オリエント急行の殺人』なのだそうだ。
紛らわしいのは 横溝正史という輩(・・・すまぬ,がそういう心境なのでw)が『オリエント急行殺人事件』という本を書いて上梓していること。横溝さんよ、あんた何考えてんねん。ややこしい事すんな! 僕のTSKでの貴重な時間と徒歩合計15歩を返せ!と、自分の無知/間違いを他人のせいにして溜飲を下げる僕が居た。すまぬ。
さて本編の内容も今回は少し書いて置こう。僕はたぶん本書を読んだことは無い。でも先に書いた通り映画は観ている。しかし内容についてはさっぱり何も覚えていなかった。老人の特権である。つまり今回の読書はめちゃ面白かった。もっと云うと世界一の推理小説に出会えた感激でいっぱい!とでも言いましょうか。
僕が読んだのは早川文庫版の2008年第8刷。その本の本編に句点を含んでたった三文字のページが一ページだけある。それは282ページの「ろう。」である。この三文字の為だけにA5判紙一枚の半面が使われている。非常に不経済なこの事に疑問を関感じる事からまづは推理小説への開眼が始まるのだと思った。wすまぬ。
さてここからはまさかと思う様な僕ならではの辛辣なお話。本書中 時々 ひらがな にまでふってある「ト書き」は一体に何を表しているのだろう。その「ト書き」はたぶんフランス語なのだろうと思うけれど それを振ることに何か意味を持たせてあるのだろうか。もしそれが物語の推理に関わるようなことで しかも本書の翻訳者である中村某が独断で遣っていることならばそれは激しく無用なので遣らないで欲しかった。
そんな事をする権利はたかが翻訳者には絶対無い。そこをよぉーくわきまえて欲しい。翻訳者は所詮只の翻訳者なのだ。もうすぐAIなどに取って代わられる程度のモノなのだ。あきらめて正しく認識せよ! -
【再読】
犯人を知りながら読んでいても、やっぱりポアロのような推理はできない。あっさりと話が進んでいくので(面白くてグイグイ読んでしまうというのもあるけど)、重要なヒントに全然気が付かずにスルーしてしまう…。映像作品だとそれらがどのように描かれているのかも少し気になった。
舞台もキャラ配置もトリックも、全てがキレイにまとまっていて、読んでいてとても楽しかったんだけど、だからこそ犯人を知らない状態でまた読みたいなーとも思ったり。シリーズの別作品にも手を出したくなる、、