ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

制作 : 堀内 静子 
  • 早川書房
3.69
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  • (30)
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本棚登録 : 2302
レビュー : 217
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300110

作品紹介・あらすじ

注意することだ-ポアロのもとに届けられた挑戦状。その予告通り、Aで始まる地名の町で、Aの頭文字の老婆が殺された。現場には不気味にABC鉄道案内が残されていた。まもなく第二、第三の挑戦状が届き、Bの地でBの頭文字の娘が、Cの地でCの頭文字の紳士が殺され…。新訳でおくる著者全盛期の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • ABCを名乗る人物からポアロに宛てられた挑戦状。

    予告通り,Aから始まる土地で,Aの頭文字の人物が殺された。
    現場に残されたABC鉄道案内。
    その後もB,C…と事件が続く。

    何も共通点もない被害者たち。
    ポアロは巧みに消された”つながり”を追う。

    「ミッシング・リンク」の完成形として名高い作品。

    「『ABC殺人事件』にはよけいな飾りはない——
     そこにはある殺人のためのみごとな着想があり,
     最後の数ページで,事件についてポアロが説明するとき,
     読者は完全に満足するだろう」(P.12)

    クリスティの孫がこれだけ煽る本作。
    面白くないはずがない。

  • Aがつく町でイニシャルAの人物が殺され、Bがつく町で…という連続殺人に挑むポアロ。
    ポアロ宛に殺人予告まで送られていたので、これはもう解かないわけにはいかない!
    先が気になって気になって、一気読みだった。
    面白かったー!
    正直無理がある気はするのだけど、展開の面白さ勝ち。
    ヘイスティングスも出て来るのは初めて読んだ。
    ポアロといいコンビ!
    一冊読み出したらもう他のも読みたくなって止まらない…さすがミステリの女王!

  • The ABC Murders(1936年、英)。
    ポアロ・シリーズ。ミッシング・リンク・テーマ(失われた環)の名作。無差別連続殺人ものにおける黄金パターンの1つを確立した作品。

    ポアロ宛ての挑戦状――差出人の名は「ABC」。その予告どおり、Aで始まる地名の町でAの頭文字の老婆が、Bの町でBの頭文字の娘が、Cの町でCの頭文字の紳士が、次々と殺されてゆく…。

    発想の原点はチェスタトンの「折れた剣」に遡るが、日常社会の枠組みでこのトリックを完成させたのはクリスティが最初で、以降これをABCパターンと呼ぶようになったらしい。解決が合理的なので、読後のスッキリ感を求める人にも安心して薦められそう。

  • イギリスの推理小説家アガサ・クリスティー(1890-1976)の代表作のひとつ、1935年。

    エルキュール・ポアロが登場する作品を読んだのは初めて。謎の手紙とともにひとつひとつ殺人が起こっていく不気味な前半部分と、真犯人とトリックの解明へ向けてスピーディに展開していく後半部分とが対照的で、読んでいて飽きが来なかった。三人称の語りが挿入される変則的な構成も、気味の悪さを醸し出す効果があって面白かったと思う。軸となるトリックはのちに「ABCパターン」と呼ばれるようになるほど有名なもので、予め概略は知ってしまってはいたのだが、それでも真犯人は最後まで分からなかったし、一応は楽しんで読むことができた。



    作中に「没個人的な殺人」という言葉が登場する。それは、個人的な怨恨でもなければ金銭目的や愛憎のもつれでもない、なにか"純粋に"狂気的な或いは形而上学的な犯罪動機を指しているのかと思い、期待しながら読んでいた。しかし、結局のところ動機はごくありふれた"人間的な"ものであった。さらに、推理の場面で人格だとか気質だとかコンプレックスだとかの心理学的・精神医学的な俗流通念が説明要因としてたびたび持ち出されている。こうした点が、「ABCパターン」というトリックの奇抜さとは裏腹に、なんとも安っぽく感じられた。

    人間主義的でも心理主義的でもない"純粋な"犯罪小説というものを読んでみたいが、それは不可能なのか。人間だけが罪を犯し得るとするならば、確かに不可能なのかもしれない。仮にそのようなものが可能であるとするならば、それは推理小説ではなく、形式的な論理パズルになってしまうのかもしれないし、異界の非人間を持ち出すならSFや幻想小説の類になってしまうのかもしれない、或いは哲学小説じみてくるのか。いずれにせよ無いもの強請りであったか。

    物語の前半部分でポアロが犯人像のプロファイリングを行っており、そこで描き出される人間類型が随分と現代的で驚いたが、プロファイリングのような手法で全てが明かされてしまうのではなんだか身も蓋もない気がする。そうした統計学的手法などでは捕捉しきれない、非合理的で矛盾しているがゆえに社会からの欺瞞的・暴力的な意味付与を断固峻拒する、そんな自由の犯罪というものを読んでみたい。

    とはいえ、ポアロの次の指摘は説得的である。

    「話をするというのは、・・・、人間に思考させないための発明なのです。それはまた、人間が隠そうとすることを発見するための、あやまたぬ方法でもあります。人間というものは、ヘイスティングズ、会話が与えてくれる機会を利用して、自らを暴露し、自己を表現せずにはいられないものなんです。そのたびに自分をさらけ出してしまうんです」



    第一の手紙を読んで、高校時代に「nut」という単語には「難問」という意味があると習ったことを久し振りに思い出した。「hard nut to crack」でイディオムとなる。

    「Perhaps you'll find this nut too hard to crack.」

    • 佐藤史緒さん
      突然コメントを送りつける非礼をおゆるしください。
      佐藤といいます、いつも哲学的なレビューを興味深く読ませていただいております。私にはない視...
      突然コメントを送りつける非礼をおゆるしください。
      佐藤といいます、いつも哲学的なレビューを興味深く読ませていただいております。私にはない視点なのでとても勉強になります。
      一点だけ、同好の士としてお伝えしたく書き込みさせて頂きました。

      「欺瞞的・暴力的な意味付与を断固峻拒する、そんな自由の犯罪」

      森博嗣というミステリ作家の「黒猫の三角」「すべてがFになる」が、そういう思想のもとに書かれております。理系ミステリの異名があるくらい理系寄りの作風(作者は名大工学部の元教授です)なので、かなり読者を選びますが…

      すみません、それだけです。失礼いたしました。既読スルーで構いません。
      2018/12/14
    • transcendentalさん
      佐藤史緒さん

      こちらこそ有難うございます。

      森博嗣、名前は聞いたことありますが、本を手にしたことはありませんでした。
      現代作家...
      佐藤史緒さん

      こちらこそ有難うございます。

      森博嗣、名前は聞いたことありますが、本を手にしたことはありませんでした。
      現代作家に疎い私にとって貴重な情報です。
      理系好きなので読書予定の1冊に入れておきます。
      コメント有難うございます。
      2018/12/16

  • 犯行や周りの証言等から、犯人を推測しながらと言うよりも、要所々々で発せられるポアロの含蓄ある言葉の数々に、頭の上は疑問符が飛び交っていました。
    考えるほどよく分からなくなり、犯人も的を絞れず。先が気になるので、犯人探しそっちのけでなかば読み進めてしまいました。


    天才ポアロの言動を理解するのに苦しむ友人ヘイスティングス大尉のような気持ちになりました。結構愉しめました。


    本作品はミッシング・リンク・テーマの代名詞とまでなった作品だそうです。
    これ以降に書かれたミッシング・リンク・テーマの成功作は、クリスティーの着想を下敷きにした上で、いかにしてそれを乗り越えるかという点に腐心したものばかりだと解説にありました。

    アガサ・クリスティさん凄い人なんだなと、色々な作品に触れるごとに、ひしひしと感じているこの頃です。

  • 数ページ目から漂う緊張感がすごかった。リメイクされた漫画を読んでいたけど、やはり原作の力の方が強い。結末がある程度わかっていたけれど、知らずに読んでいたらビックリなどんでん返し。

  • 某声優さんの帯が付いていて、購入。
    これ程、有名な作品を読んだ事がなかったので別の作品も読みたい

  • あー、まんまと騙されたな。ずっと、違う人が犯人だと思い込んでた。こういう形のミステリーって、クリスティーがその道を作ったのか。すごいな。

  • 私がこの本を読んで特に印象深かったのは、犯人からの予告状が届くシーンだ。
    この話では予告状が合計4通とどくのだが、それぞれのシーンでの緊張感が繊細に描かれていて、とてもよかった。

  • 以前に読んだのは中学または高校生のころだから、約30年ぶりに再読。
    これより前に出た『オリエント急行の殺人』は古き良きミステリという感じを受けるが、ABCは現代的なスリラーを思わせる。あとがきにも書いてある通り。詳細は割愛。

    ABCのあとの『メソポタミアの殺人』『ナイルに死す』は 探偵が犯人を捜す伝統的なミステリーに戻る。
    それを考えるとABCがこの時期に出てきたのは驚嘆すべきことだ。

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