- 本 ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151300110
感想・レビュー・書評
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【ポアロ】
20年くらい前、アガサを読み始めて4冊目でこの本を読んで、「クリスティーは合わない!」と決めつけて、それ以降アガサ作品を読むのをやめてしまった苦い思い出の作品。
今ならいけるかもと再チャレンジ。
だけどやっぱり他の作品と違ってなぜか全然引き込まれない。全く成長してない自分にがっかりして原因を考えた。
他の作品と違う点
・館の中とか船の中とか列車の中ではなくて、街の広い範囲に動く。
・一族の話ではないので被害者同士が知り合いではない。
・クローズドサークルではないので、犯人がどこの誰だか全くわからない。
・事件を追っていくのがメインで、心理描写が少ない。
やっぱりクローズドサークル系で心理描写が多いものが好みだと再認識。
今回も途中で何度も諦めそうになるも、最後の方になって段々面白くなってきた。
解決編ではいつも通りにやっぱり予想を上回ってきて、最後まで読んで良かった。
20年の時を経て犯人がわかってスッキリした。
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誰もが無関係と思える人たちが、アルファベットという共通項のもとに犠牲になってゆく。予告があり事件が起きる。俗にミッシング・リンクという手法をとった本作ですが、残虐な描写もなく、ラストもいい終わり方でした。
南米からイギリスに帰国したヘイスティングズは、旧友のポアロを訪れると、何やら事件をほのめかす挑戦状めいた手紙を見せられる。差出人の名はABC。そして、書かれていた日付と場所で殺人事件が起き、側には”ABC鉄道案内”が残されていた。
一月後、またしてもABCを名乗る人物から犯行予告の手紙が届き、警察の警戒もかなわず殺人事件が発生。そこには、またしても”ABC鉄道案内”が残されていた。Aの地でA.Aが、Bの地でB.Bが殺害され、ポアロは、なぜ自分に予告の手紙を出すのか、なぜABCの並びにこだわるのかと考えを巡らせます。そして次なるCの地で事件が起こり……。
語り手はヘイスティングズだけではなく、所々『ヘイスティングズ大尉の記述ではない』という、イニシャルがABCの人物に関わる断章が8箇所挟まれています。お陰で、中盤までクリスティーは何をネタバレしてるんだろう?と訝しみながらの読書も、最後はスッキリとさせられて、面白かったです。
もちろん、ミステリは人が亡くなるので「あー面白かったー」とはいきませんが、事件が起きるたびに後手に回らざるを得ないポアロたち、特にヘイスティングズがポアロに苛立ったりするなど、焦ったい情景が脳裏に浮かんでくるようで、先へ先へと読み進めたくなる内容です。ABCに関わる話しが挟み込まれる箇所も、よく考えられているなと感心しました。
気になる点としては、話しとして都合が良すぎるかなって事くらい。ただ、発表が1936年なので、ABCがそれまでの戦争のあり方を変える殲滅戦となった、第一次世界大戦を生き延びて、それ以降何年経過しても彼の心に傷を残したと思えば、それもアリなのかもと思いました。きっと、この小説が書かれた当時、戦争から何年たってもこういう人たちが身近に感じられ、こういうプロットが受け入れやすい社会情勢だったのかもしれないですね。 -
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突然すみません!ポプラ並木さんの感想、拝見するのが楽しいです。予想とても興味深かったです!この予想だけでご飯何杯でもおかわりできそうです!ポ...突然すみません!ポプラ並木さんの感想、拝見するのが楽しいです。予想とても興味深かったです!この予想だけでご飯何杯でもおかわりできそうです!ポアロシリーズは毎回、次こそはと思うんですが、やはり騙されてしまいますよね…コメントをありがとうございます!お返事遅れて大変すみません…2021/11/03
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菜保さん、いえいえ、わざわざのコメントありがとうございます。ポアロシリーズを順番に読んでいて、皆さんの感想が楽しく読んでいます。これまで1勝...菜保さん、いえいえ、わざわざのコメントありがとうございます。ポアロシリーズを順番に読んでいて、皆さんの感想が楽しく読んでいます。これまで1勝10敗で余裕でアガサクリスティの餌食となっています。とても興味深く読みました!!楽しい感想を見つけたらコメントしてしまうかもしれません~。次は当たるように精進します!2021/11/03
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ミステリーファンではありませんでしたが、何とも言えない読了感がたまらないですね。
この作品は途中で犯人像が大体つかめましたが、推理してゆく事で頭の刺激になりました。他の作品も読んでみたいです。 -
忙しくて本を読む余裕がなくなってしまった。こんな時は確実に楽しめるクリスティを読むに限る。
ポアロの元に「ABC」と名乗る人物から突然挑戦状が届く。挑戦状にはアンドーヴァー(頭文字A)地域と日付が示され、そこで何かが起こることを予言していた。警察は単なるいたずらだと取り合わないが、指定された日、アンドーヴァーではアッシャー夫人(頭文字A)が何者かに殺害され、傍らには『ABC鉄道案内』が置かれていた。
ポアロの不安をよそに、よくある殺人事件として処理しようとする警察だったが、第二の挑戦状で示されたベクスヒル(頭文字B)でミス・バーナード(頭文字B)が殺害され、傍らに『ABC鉄道案内』が置かれていたことにより、事件は一転、連続殺人事件の様相を帯びていく。さらに第三の挑戦状が届き、今度はチャーストン(頭文字C)が示されていた。犯人の目的は果たして何なのか、この殺人はいつまで続くのか。ポアロとヘイスティングズはかつてない難事件に挑む。
『ABC殺人事件』は、私が初めて読んだポアロシリーズの一作で、これまで数えきれないほど読み返してきた。
本書は『ミッシングリンク』の原点ともいうべき作品であり、以降この設定がアレンジされてさまざまなミステリに使われている。こういったミステリは、設定をすでに知ってしまっている後世の者が読むと古臭く感じてしまうことも多いのだが、本書は何度読んでもその面白さが色あせない。これはひとえに、登場人物の性格や心情をきちんと描きつつ、巧みなストーリー展開で単なるトリックの斬新さだけではなく物語として読ませるクリスティの筆力のなせる業である。
アンドーヴァーで殺害されたアッシャー夫人とベクスヒルで殺されたミス・バーナードは、決して物語の中心人物ではない。しかし、生前の彼女たちの生活模様や関係者との人間関係が丁寧に描かれることで、謎を解くヒントを物語の中にさりげなく織り込ませると同時に、事件が解明されたときの犯人の非情さを際立たせるしかけになっている。
また、本書では、ところどころでポアロでもヘイスティングズでもない第三者の視点から事件が語られる。この描写が事件とどう関係するのか、読者に謎を提起したまま読み進めさせる展開が見事である。
本書は1936年の作で、1920年代から1970年代まで活躍したクリスティの中で比較的早い時期の作品である。クリスティの初期作品は純粋な謎解きミステリが多く、時代を経るに従い、事件を通した人間の複雑な感情を重視する作品が多くなっていくように感じるが、本書はちょうどその過渡期の作品にあたるといえる。初期の謎解きミステリとしての面白さと、中期以降の人間を描いた物語としての面白さの両方を味わうことのできる傑作である。-
b-matatabiさん、こんばんは。
レビュー冒頭の「確実に楽しめるクリスティを読むに限る」のお言葉、とっても嬉しくなりました‼︎
話の...b-matatabiさん、こんばんは。
レビュー冒頭の「確実に楽しめるクリスティを読むに限る」のお言葉、とっても嬉しくなりました‼︎
話の内容を知っていても読み返したくなるミステリって素晴らしいですよね。人間を描いた物語としても本当に面白いし、ポアロとヘイスティングズの関係が馴染んだ感じも楽しくて大好きです♪2022/09/25 -
111108さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私はクリスティ作品の中でどちらかというと人間の感情を重視した中期以降の作品が好...111108さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私はクリスティ作品の中でどちらかというと人間の感情を重視した中期以降の作品が好きなのですが、ABC殺人事件は別扱いというか、純粋にミステリとして面白いな、と思います。
111108さんのクリスティのレビュー、楽しみにしています。2022/09/26 -
b-matatabiさん、お返事ありがとうございます。
クリスティ、私は複雑な人間模様を描いたのも、パズル的に純粋なミステリとして面白いの...b-matatabiさん、お返事ありがとうございます。
クリスティ、私は複雑な人間模様を描いたのも、パズル的に純粋なミステリとして面白いのも、どっちも好きで選べません!こんな風に読んだ本をどっちのタイプかなぁなんて思い出すのも楽しいですね。
b-matatabiさんがまたゆっくり読書できるようになってレビューされる時を楽しみにしてます♪2022/09/26
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アガサ・クリスティーのポワロシリーズで有名な作品。
地名と苗字がAで始まる殺人予告状がポワロ宛に届き、続けてB、Cの事件も発生する。作品の終盤には犯人は捕まり、なぜポワロに挑戦的な殺人予告をしたのかが判明せず。そして実は・・・。
推理小説が好きで、オマージュしたものを読んだ人は、犯人が分かったりするかもしれないが、自分は犯人当てをしながら読まないようにしているのです。
いつもながらに、単純に素晴らしいと思った。 -
すぐれたミステリーって、目を凝らしてしっかり全部見ているのに、次の瞬間、あっと驚く玉手箱ーとなるようなマジックに似ている。拍手を送りたくなる爽快感。
”The A B C Murders”
タイトルもスマート。
ミッシング・リンク・テーマの代名詞となっている作品。
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1936年の作品。
ポワロシリーズ長編11作目。
ポアロの元にABCと名乗る人物から犯行予告の書かれた挑戦状が届く。
その挑戦状の通り、Aで始まる街「アンドーバー」で、「アッシャー」という老女が殺される事件が起こる。現場には「ABC鉄道案内」が落ちていた。
さらに続いて犯行予告が届き、予告の通りにBで始まるベクスヒルでベティという娘が殺され、Cで始まるカーマイケルクラーク卿がチャーストンで殺された。事件が新聞で報道され、イギリス中を騒がせるニュースとなる中第4の事件が起きる。
Dがつく街ドンカスターの映画館で、Dの人物と間違えてEのつく名前の人物が殺され、ついに犯人と思われる人物が現れるが…。
遥か昔に読んだ記憶があるが、全く内容覚えておらず再読。途中からグイグイ引き込まれて、今回も完全にしてやられた!
語りは安定のヘイスティングスくん。
地名でもヘイスティングスという地名が出てきて、どんだけヘイスティングス出てくるねん。
ポアロと久しぶりに会ったヘイスティングスくんはポアロが髪まで黒々として以前より若々しくなっていることに驚くが、ポアロが白髪染めをしているとネタバラシするシーンが好きです。ポアロのドヤ顔が目に浮かびます。(デビットスーシェの)
A B Cから順番に殺人を犯していくというアイデア!一体どこからこんなにたくさんのネタが浮かんでいくんでしょう、クリスティさん。
堀内静子の作品





