メソポタミヤの殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
3.50
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本棚登録 : 606
レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300127

作品紹介・あらすじ

考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞いこんだ。さらにルイーズは寝室で奇怪な人物を目撃したと証言する。が、それらは不可思議な殺人事件への序曲にすぎなかった…。過去から襲いくる悪夢の正体をポアロは暴くことができるのか?中近東を舞台にしたクリスティー作品の最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 裏表紙の説明には「考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞い込んだ」とあり、おお、一体どういうことか、何事が起こるのかと興味をそそられる。場所はチグリス川周辺の遺跡発掘現場。ルイーズの夫エリック・ライドナーは発掘隊長。恐怖におののく妻のために雇われた看護婦のエイミーの語りで物語は進む。

    発掘隊の建物の見取り図があり、隊員は7人でその他隊員の妻や医師、下働きの現地人がいる。・・脅迫は本物だった。ルイーズは殺されてしまう。外部からの人も無い中、犯人は発掘現場の人だ。またしても偶然にシリアにいたポアロが解明に乗り出す。関係者1人1人の状況があぶりだされ、しかし驚愕の真犯人は? もしや?と思っても見たが、しかし15年経ってそれほど風貌は変わるものか? 変わらないものか? 片鱗にきずかないのか? ちょっと犯人の設定に無理があるのでは? と思うがどうか。がしかし発掘現場を想像したり、恐怖からの想像とかやはりおもしろい。

    1936発表
    2003.2.15発行 2015.4.15第7刷 図書館

  • アガサクリスティーのポアロシリーズ。
    中近東を舞台に事件が起こる。ポアロの世界観のある、とても読みやすい一冊。それぞれの人間観察をしながら読むと面白いかも。

  •  再読。
     出来栄えは上々。キラリと光る名作。
     トリックは知ってしまえば「なあんだ」で終わってしまうかもしれない。西暦2000年をとうに過ぎた今、余りにも使い古された感のあるトリックでもある。しかし、有名なトリックというのは、思いもよらぬ「意外性」を持つから「再利用」が図られるのであり、既知だとして軽んじられるものではない。
     ストーリーも身があり、人物の思惑が交錯する様を描写する力量は、流石クリスティ。

  •  クリスティーのレパートリー、中東を舞台とする一連の作品群の中でもひときわ完成度高し★ 『ナイルに死す』が派手すぎるからか意外にマイナーですが、読ませますよ。

     蒸し暑いイラクの古蹟発掘現場に、二度目の夫となった考古学者と同伴で現れたルイズ夫人。探検隊の雰囲気までちとおかしくなるほどの(!?)、美貌の人妻でした。
     しかし、死んだはずの前夫の嫉妬が止まないのか、呪いの脅迫状が届き、部屋では奇怪な人物も目撃★ 悪夢に苛まれた夫人に、やがて死が訪れたのでしたーー
     オリエンタルなムードのなかで起きたこの流血沙汰を、のちにポアロは「幻想的な犯罪」と評する(?)ことになります。

     鼻の先にいながら正体を現さない狡猾な殺人犯と、遅れてやってきた名探偵の知恵比べ! 連続殺人は防げなかったものの、探偵がポアロだったのは犯人の運のツキでしたね★
     この作品の裏テーマは、「異国情緒の利用方法」なのかもしれません。ポアロ氏こそが、それを最大限活用している人物。英国暮らしが長くなってもフランス語訛りを続け、異邦人という立ち位置から離れない。わざとその場から浮いていて、突き放した視点から推理をしている彼なのです。

     さらにこの小説は合わせ技で来ていて、内側に属する女性キャラクター(看護師さん)が、外部の人物であるポアロの活躍を語る、という構造です。
     このナースのなかなか辛辣な語り口が、面白さを醸しているのは確か。ただ、彼女、記録者に徹しないで節々にアヤをつけてますよね★ 当時の女性らしさってこんなイメージだったのかな……?
     ともかく、外国人らしさにせよ女性らしさにせよ、偏見は利用するくらいが賢いということでしょうね☆

     私がクリスティー会心の一作だと確信する『ABC殺人事件』と、純度の高い頭脳戦『ひらいたトランプ』の間に執筆された、いよいよクリスティーの気力充実を示す1936年物です。

  • たまに、クリスティーを読みたくなる。作品がたくさんあるので、まだまだ読み終わらないのだが。この物語の時代だとバグダッドまで列車で行けたのか。今では信じられないし、時代はかなり変わった。今や、このあたりは気楽に行ける場所でもない。
    海外小説、ましてや古い作品は、当時の様子、他国の考え方等知らない事を少し覗き見る事が出来て大変楽しい。そして、現地に行き実際見れたら良いのだが、なかなか簡単には行かないのが人間社会の難しさなのかな。

  • 2019/04/11読了

  • メソポタミアの異国情緒とまではいかないけど、砂漠っぽい雰囲気をイメージしながら読んでた。

    ミス・レザランの手記というスタイルの文章は親しみやすくすっと入り込めた。が、何故かポアロが出てきてからの方がちょっと失速してた感も。主体が記述者本人ではなくポアロに移ってしまったからかな…

    全体としてはライドナー夫人の描き方自体がミスリードを誘っている感じで、少しずるい感じも。それを「当事者の手記」との形態をとることで批判をかわしてるのかな?とも。

  • 珍しく、途中で犯人はこの人かなと思った人が犯人だった。過去に読んだ記憶はないのだが、犯人を書いた何かを読んだことがあるのだろうか。 中東の情緒はないが、砂漠の中というイメージで読めた。

  •  エルキュール・ポアロとはじめて会ったときのことを、私は一生忘れることはできないだろう。
    …165センチ 肥った小男 喜劇に登場する理髪屋

     太陽がのぼりはじめた。東の空が一面バラ色とオレンジと淡い真珠のような灰色に染まっていた。
    「美しい夜明けだ!」ポアロが、低い感嘆の声をあげた。
     わたしの左手には大きなくねった川が流れ、遺跡の丘が黄金色にくっきりと浮かんでいた。南には、花の咲き乱れた木々と静かな畑が続いている。遠くから、水車のきしる音が聞こえてきた。かすかな、別世界を思わせるような音だった。北には、空に向かって鋭く突き出した尖塔とお伽話の世界のように白く輝くハッサニーの街が見えた。
     信じがたいほど美しい風景だった。
     このとき、かたわらに立っていたポアロが、低く長く溜め息をついた。
    「馬鹿だった」彼は呟いた。「真実がこんなに明らかなことだったなんてーこんなに明らかだったなんて」

     終章
     ムッシュー・ポアロはシリアにもどり、一週間後にオリエント急行で英国に帰る途中、また新しい殺人事件に巻きこまれた。

     晩年の彼女は「これがイギリスなの?」と犯罪記事の見出しを見て嘆いたが、イギリスは変わったし世界も変わった。オリエント急行の優雅な旅をバグダッドまで続けていく特権は、もはや誰にも味わうことができない。

  • バグダッド、メソポタミア遺跡の雰囲気が良い。中東に旅をしている感じが好き。トリックはもうちょっと驚くものかと思った。

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