ひらいたトランプ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

制作 : Agatha Christie  加島 祥造 
  • 早川書房
3.63
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  • (7)
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本棚登録 : 563
レビュー : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300134

作品紹介・あらすじ

名探偵ポアロは偶然から、夜ごとゲームに興じ悪い噂の絶えぬシャイタナ氏のパーティによばれた。が、ポアロを含めて八人の客が二部屋に分れてブリッジに熱中している間に、客間の片隅でシャイタナ氏が刺殺された。しかも、居合わせた客は殺人の前科をもつ者ばかり…ブリッジの点数表を通してポアロが真相を読む。

感想・レビュー・書評

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  • これは凄まじく面白い。
    今まで、ポアロシリーズの中では
    「オリエント急行の殺人」が一番好きだったが、
    ここに来て一気に本作品がトップに躍り出た。

    なんでここまで面白いのか要因を考えてみると、
    出てくる人物のキャラが強烈過ぎる。

    なんといっても殺された人物のキャラ設定が良い。
    悪魔的容貌を持つ評判の悪い金持ち。
    この男がポアロ氏と偶然出会った時に、
    とんでもないことを思いついてしまうわけである。

    「4人の殺人経験者(警察や社会の目を誤魔化し
    見事逃げ切った犯罪者)と4人の探偵役(警察関係者や、
    犯罪や推理に関わる職業についている人間)を呼んで
    パーテイを開こう。」

    なんて悪趣味な...。
    そうしたら何も起こらないわけがない。
    楽しい会話をしながらの美味しい食事も済み、
    奇妙なパーティの出席者達が
    トランプのブリッジに興じている間、
    一人その輪から外れて暖炉でくつろいでいた、
    「悪趣味な金持ち」がいつの間にか殺されてしまった。

    さあ、探偵組は捜査開始。
    各自がそれぞれの方法で真実に近づいていこうとするが、
    そんな中でポアロは、「ブリッジの得点表」に目をつける。
    彼はこの得点表を元にして、
    どのような方法で事件を解決していくのであろうか?

    「派手な仕掛け」もない犯罪だが、
    「派手な人物」がご馳走である。

    日本ではあまり馴染みのないブリッジってトランプゲームを
    知らない人でも大変楽しんで読む事の出来る作品かと思う。
    ポアロファンの方はもちろん、
    クリステイーファン、ミステリーファンの方はぜひ一読を!

  • <純粋な頭脳戦!>


     コントラクト・ブリッジを巧みに使って練り上げられた、クリスティー中期の良作です。もう一度書きます。良作なのです。

     あんまり人気がないらしいですね、この作品。チェスやブリッジに馴染みのない日本では、こういう趣向に需要がないのは当然としても、本国イギリスでも好かれていないと聞くと寂しいものが。『ひらいたトランプ』を楽しんでしまった木谷という人は、よほど特異な趣味の持ち主なのではないでしょうか。

     いえ、ブリッジのルールには全く覚えがないし、カードゲーム全般にどうも興味が持てないんですけどね。にもかかわらず、意外とスリルを味わえたのは……、そんなに期待していなかったからかもしれませんが。

     限られた空間での犯罪を好んで書いているクリスティーだけど、これ以上犯行条件を限定した例はほかにないんじゃないでしょうか?
     最初から、容疑者はゲームプレイヤーの4人に絞られています。全員がルールにのっとってゲームをしていて、不正な手段は一切なし。ミステリという、フェアかアンフェアかということをさかんに問われるジャンルで、芯からフェアに進められています。正直、これだけフェアなクリスティー作品は貴重でしょう★

    「犯人候補」の顔ぶれもユニークです。お馴染みエルキュール・ポアロと、このシリーズに時々顔を出すバトル警視。オリヴァ夫人に、レイス大佐。なんと、これだけ! ポアロさんも容疑者に含まれます。
     灰色の脳細胞をフルにはたらかせて、真相に迫っていく名探偵。カードの得点表に残された動かしようのない証拠から、プレイヤーの心理状態を読み解くのです。純粋な頭脳戦、純粋な推理活動、というところに意味を感じます。

     手の内を明かされないようふるまうプレイヤーたち。何を隠しているのか、どうやって隠そうとするか――。たかがゲームと侮るなかれ。こうした攻防戦を、私たちは日々の中でもおこなっていますよね?

  • コントラクトブリッジの得点表が鍵になるというこの話、ブリッジのルールうろ覚えの私でもまあそれなりには楽しめた。途中で登場人物の一人が各人のビッドを精密に説明するところがあるのだけど、私でも読み飛ばしたもんな。巻末の解説に簡単なルール説明があるのだけど、いわゆるtrick-takingを知らないとあの説明ではわからんかも。

    でもまあ、コントラクトブリッジを全く知らなくても大筋には影響ない…と言えるかな。スコアシートとかの解釈についてはポアロがある程度説明してくれるし。後半の加速度(というかなんというか)はなかなか。

    まあ全く知らない人に最低限の知識を、と考えるなら、重要なのは「抜け番」がある、ということかな。麻雀で、4人でやるのだけど実際のゲームは常に 3人麻雀を打つ、みたいなものかと。そして誰が抜けるかはある程度コントロールできる、というか。

    このコントラクトブリッジというやつ、あちらでは「大人がするゲーム」と言えばかなりの定番扱いなんよねえ。まさに日本での麻雀の位置を占めていると言っても過言ではあるまい。私もせっかくだからちゃんと覚えたいと思うのだけど、機会が少ないこともあってなかなか難しいねえ。

    もちろんルールを覚えるだけならそれほど難しくもないのだけど、それで一般の相手が出来るかと言えばそうでもないわけで。日本的には「プレステでルールは覚えました」てなレベルの相手と麻雀打つことを想像していただければ。しかもブリッジの場合はルール的に2対2だから、下手なことすると相手に迷惑かけちゃうし。ちゃんと覚えたいなあ、やっぱり。

  • あーーーー、ブリッジのやり方を知っていれば点数表のところから楽しめたのにぃ。残念……。ポアロの推理、人間観察はほんとビジネスにも役に立つというか、読んでいる間は自分も周りに目を配るようになったりしていい効果がある気がする。102冊のうちの2冊読了。殺人事件なんて普段怒らないのに、毎日読んでいること自体が非日常。ミステリーって面白いから、他の者が読めなくなっちゃう。今年何冊読めるかな?

  • ブリッジの途中で殺人事件が起きる。 ブリッジのルールで一人がダミーとなってゲームに参加していなくてもよいところがミソ。 珍しく途中でなんとなく犯人が分かった気になった。 最後の殺人の時の謎解き方法は面白かった。

  • 2018/04/14読了

  • ポアロ13作目。犯人はブリッジをやっていた四人の中にいると最初から書いてあるのに、あまりにも連続で読んでいたので、そうは言っても他の人なんじゃないの?と疑いながら読んでしまったら、的外れ。しかし、ミス・メレディスはこれまでの登場人物でワーストと言ってもいいほど嫌いだな! 犯人は最後までわかりませんでしたが、被害者を掘り下げてほしかったかな!
    オリヴァ夫人、いいわー。アガサ・クリスティもこんな親しみやすいゆかいなひとだったのかしら。

  • シャイタナ氏は、“奇妙な”パーティを開き、人々から悪党と言われ、恐れられています。

    ある日、そんなシャイタナ氏が開いたパーティでは、“人殺しをやった(p16)”が、“巧みに逃げおおせた人間たち(p17)”が集められます。そして、ブリッジをしている最中、シャイタナ氏が殺されます。容疑者は同じ部屋でブリッジをしていた、過去にも殺人を犯した可能性のある四人です。

    同じパーティに来て別室でブリッジをしていた四人(ポアロ、バトル警視、諜報局員レイス大佐、探偵作家オリヴァ夫人)が、事件を捜査します。しかし、事件の手がかりになるものはほとんどなく、ポアロは一つだけあった具体的な手がかりであるブリッジの得点表を見て“心理学的可能性という角度から(p383)”事件を検討します。

    容疑者たちが過去に犯した殺人が明らかになっていったり、犯人だと思っていた人物が覆されたりと、ブリッジのルールを全く知らなくても楽しめる作品でした。もちろん、ブリッジを知っていれば、もっと楽しめるのだろうと思います。

  • 原作とドラマでは後半少し内容が違う。カードゲームのことは全くわからないけれど、殺人事件の本筋は楽しめる。カードゲームの描写がとにかく細かい。当時の日本製のカミソリってそんなに危なかったのかなぁ?そしてそんなに出回っていたのか。

  • トランプゲームの最中に脇に座っていた曰く付きの人物が殺される。犯人はゲームに参加した四人のうちの誰かであり、いずれも犯行が可能なことからポワロたちは容疑者の過去や性格を調べる。

    トランプのブリッジのルールを知らなくても楽しむことはできる。トリックなどはなく、容疑者の生い立ちなどの描写から犯人を推理する変わった作品。推理の結果には強引な部分はあるものの、その結果に至るまでの思考の流れはとても面白く引き込まれる。

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