ナイルに死す (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
3.89
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本棚登録 : 1448
レビュー : 132
  • Amazon.co.jp ・本 (581ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300158

作品紹介・あらすじ

美貌の資産家リネットと若き夫サイモンのハネムーンはナイル河をさかのぼる豪華客船の船上で暗転した。突然轟く一発の銃声。サイモンのかつての婚約者が銃を片手に二人をつけまわしていたのだ。嫉妬に狂っての凶行か?…だが事件は意外な展開を見せる。船に乗り合わせたポアロが暴き出す意外きわまる真相とは。

感想・レビュー・書評

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  • ゆったりから加速するミステリ。

    舞台はナイル河をさかのぼる豪華客船。

    限られた場所、限られた人物で描かれる物語は文句なしに心を弾ませる。

    事件が起きるまではただ流れに身を任せゆったりと人間関係、人物像を楽しむ時間。

    そして一発の銃声から物語は一気に加速する。

    誰もの秘めた思惑、絡まる感情が物語を複雑に見せ、真相へと導いていく過程、一気に読ませる手腕はお見事。

    あの時のあの行動、言動、なるほど参りました!
    ポアロの考古学的な発掘に基づく真実の取り出し方も興味深い。

    燃え尽きた後を見るような読後感、ちょっとせつない。

    • けいたんさん
      こんにちは(^-^)/

      映画までには読みたいと思っている作品。
      ゆったりから一気にって感じかな、楽しみ♪
      今映画館は我慢中。
      こんにちは(^-^)/

      映画までには読みたいと思っている作品。
      ゆったりから一気にって感じかな、楽しみ♪
      今映画館は我慢中。
      2020/03/17
    • くるたんさん
      けいたん♪こんにちは♪

      そうそう、これは登場人物多くて事件が起こるまではゆっくり人物描写を楽しむ感じだよ♪
      映画で観た方がわかりやすくて楽...
      けいたん♪こんにちは♪

      そうそう、これは登場人物多くて事件が起こるまではゆっくり人物描写を楽しむ感じだよ♪
      映画で観た方がわかりやすくて楽しめそう♪
      映画館もどこも…コロナのせいで悔しいね(>_< )

      マスクも手に入らないし、毎日ドキドキ。早く終息すると良いね。
      けいたんも体調に気をつけてね♪
      2020/03/17
  • 大富豪の美人女性とその夫、元親友で恋人を奪われた女性のドロドロな愛憎劇で起こる殺人事件。
    そりゃ殺人もおきるよねって言うくらいのドロドロ具合なんだけど、事件はそんなに単純じゃなかった。
    登場人物が多いから殺人事件とは別の事件も起こったり、一癖二癖ある人が居たり。
    でも素敵な女性も複数いたので彼女達は幸せになって欲しいな。

    会話上に伏線があって、ポアロがちゃんと誰の言葉が怪しいか教えてくれてるけどやっぱり分からなかった。
    オリエント急行のようなクローズド・サークルでの殺人は、捕まらないという自信が無ければできないと思う。つまり犯人はとても頭が切れて有能。
    ポアロがいなかったら容疑者から外されていたはず。
    タイトルが「ナイルの殺人」では無いところがもの悲しいなぁ。

  • 最近ミステリーを読んでいなかったので熱が高まっていたことと、映画化されるということで読んだ。
    序盤からしばらく事件らしい事件は起こらず、登場人物のひとりがあわや落石に巻き込まれてもしばらく登場人物と旅行の描写が続く。このままエジプト紀行が続くのも悪くないかと思い始めたあたりで、唐突に資産家の女性が殺される。この緩急の付け方がまず小説としてお見事だと思う。

    彼女に好いていた男をとられた別の女性が当然の成り行きで一番怪しまれるのだが、彼女には事件当時に完璧なアリバイがあった。事件の直前にその男の足をピストルで撃って興奮状態にあったため、一晩中看護師に付き添われていたからだ。ここから話がいきなり動き出し、立て続けに二人が死亡する。そのうちの一人はなんと事情聴取をしているポアロの目の前で射殺されてしまうのである。...その割にポアロやほかの登場人物は悔しがったり動揺したりしないのだが、あまりに殺人が連続したので感覚が麻痺してしまったのだろうか。

    その後は名探偵たるポアロが鮮やかに事件を解決して見せるわけだが、クリスティーは決定的な情報を読者に気づかれないように隠したり、関係ない人物がさも犯行に関係しているように思わせるのがとても上手だ。読んでいると全く気付かないのに、解決編を読み終わって振り返ると、自明だったはずなのになぜ気づかなかったのだろう?と感じてしまう。さすがミステリーの女王である。この作品が名作と言われているのは、ナイルの旅の描写に加えて事件だけでなく物語にもきちんとオチをつけてくるところにあるのだなと感じた。かなり長いと思った旅行パートにも伏線が張り巡らされていたことにも後から気づいて二度おいしい。これから公開される映画も楽しみに待ちたい。

  • 面白かった。とても、面白かった。

    クリスティのミステリ作品中最も長大なボリュームの本作。
    確かに手に取った瞬間、これは厚いなあ…!というのが第一印象だった。
    それにミステリなのに、しばらく読み進めても中々第一の殺人が起こらない。
    沢山の登場人物達が丁寧に描かれ、ゆったりとした旅の様子が描写されている。
    読了後にふと思ったのが、これはクリスティが感じたナイルの雰囲気なのではないだろうかと。
    ゆっくり流れる時間。悠久の土地。何となく、素敵な雰囲気を感じる…。
    はじめに書かれている訳者の『はじめは少しゆっくり読んでください。』
    という一文の意味も、読了後に頷ける。
    これは、のんびりと、ゆっくりと読む小説なのだ…。

    これは愛の話である。
    作品中に垣間見れる様々な愛が、時には恐ろしく、時には可愛らしく、時には少し可笑しい。
    誰が殺され、誰が犯人でどういう動機だったのか。
    そういった分かりやすい推理小説の面白さだけでなく、
    登場人物達の恋愛模様がとても、気に入る。

    あまりの面白さに一気に読んでしまったが、
    また今度、ゆっくりのんびりと読み返すことにしよう…。

  • Death on the Nile(1937年、英)。
    ポアロ・シリーズ。クリスティのミステリ中、最大の長編。

    ナイル河を遡る豪華客船で、新婚旅行を楽しむ若き資産家夫妻。しかしその船には、花嫁の友人で、花婿の元婚約者の女性が、銃を携えて乗り込んでいた。緊張が高まる中、遂に銃声が轟いた…。

    丁寧に構成されているという印象。奇抜さや意外性では他の代表作に及ばないが、そのぶん万人が納得しやすいフェアな展開になっている。背景の人間ドラマが丁寧に描かれているので、ミステリファン以外の人にも読みやすい作品ではないかと思う。

  • クリスティの代表作と名高い。
    それにふさわしい傑作である。

    とにかく、これでもかと言わんばかりの「全部盛り」である。舞台はゴージャスにエジプト(今でもナイル川クルーズとなるとそれなりだが、当時における『海外旅行』の立ち位置を考えるべきだろう)、主人公はゴージャスに美しく若き大富豪。密室となる豪華客船に乗り合わせた人々は色とりどりに胡散くさく、騒動の火種はそちこちに…と、盛りだくさん。それらすべてをもてあますことなく、優れた推理「小説」に昇華せしめているのは、さすが女王・クリスティである。
    「アガサ・クリスティー完全攻略」に、クリスティが意識的に作り上げた代表作との指摘があったが、同感である。ミステリとしての完成度は言うに及ばず…男と女、それぞれのおろかさと、愛の苦さ。これもまた、クリスティが生涯懸けて追求し続けたテーマであるのだから。

    2018/7/15〜7/16読了

  •  豪華客船上で起こった殺人事件にポアロが挑むミステリー

     クリスティー作品はミステリとしての完成度も一級品ですが、メロドラマ、恋愛群像劇としても面白い作品が多く、そしてそれがしっかりとミステリと結びついている点が魅力的だと思います。この『ナイルに死す』もまさにそのような作品です。

     事件が起きるまでは登場人物たちの描写や人間関係の描写にページが割かれます。これがまた非常に長くて、事件が起きるまで200ページ以上費やされるのですが、これが読ませます。こうした日常描写や人物描写が巧いからこそ後半のミステリ部分が生きてきます。

     さまざまな要登場人物たちの思惑を丁寧にほどきつつ、事件の真相にじりじりと近づいていく推理はお見事の一言! しっかりと練られたプロットなんだな、と読んでいて伝わってきます。

     クリスティーファンには犯人はある程度見当のつく作品かもしれませんが、それでもダブルミーニングなどを使った精巧なミステリで惑わされ倒しました(笑)。エジプトの描写も相まって非常に芸術的なミステリ作品とも言えるのではないでしょうか。

  • 遺跡を巡りつつナイル河を遡る船旅なんて素敵だなぁ。勿論一部の上流階級しか乗れなかったと思いますが、アガサの作品では資産家は間違いなく殺される側になるので考えものです。
    他の作品と違わず、読後しばし茫然としてしまいました。長旅を共にした登場人物、特に犯人の内面も心に迫ってきます。
    あと、いつもの容赦の無い描写!
    『彼女は、褐色の犬のような目をした、大柄で不細工な娘である』
    くうぅ。
    でも一番容赦無かったのは、物語の中心となる、社交界で知られた美貌の女性の死。騒がれたものの本当の意味では誰も悲しんでないという事実。ポアロもその女性より、むしろ真犯人側に心を寄せている(変な意味でなく)のが印象的だった。
    真実をそのまま見る観察眼。これだけの作品を生み出してるけど、アガサは徹底的なリアリストだったのかも。なんて、アガサその人自身にも興味が湧いてきます。
    自分はどんな風に観察、描写されるんだろうなんて考えながら読んでしまうのは私だけでしょうか?
    次はヘイスティングズが出てくるのが読みたいな。

  • 厚みといい、中身といい、じっくり腰を据えて読みたい作品でした。ポアロたちから見ても異国情緒溢れるこの物語。舞台は題名通り黄金の砂漠の国エジプトです。
    今回の事件はある3人の男女の恋愛事情から紡がれました。
    愛し合っていた男女と、男に横恋慕した金持ち美人の女。結果男女は破局して男は金持ち美人に靡き、捨てられた女は二人を恨む。
    設定としてはよくある恋物語っぽいですよね。でもただの恋物語で終わらせないのがクリスティ氏です。
    結婚した男女の行く先々に現れ地道な嫌がらせ行動を重ねる女は、二人の新婚旅行の旅路にも現れます。その旅の同行者(居合わせた人ともいいますが)が我等がポアロ。他の同行者も曲者が揃いに揃っています。
    各々の思惑に思想、そして幾人かの恋模様。ひとつひとつの謎がポアロに解かれていくたびに「そうきたか!」と手を打つに違いありません。

    しかしまぁなんてクリスティ氏の描く登場人物には魅力的な人間が多いのでしょうね! しかも現実にいそうな人間で、というところが更にその魅力を高めているのだと思います。
    特にクリスティ氏の女性陣が私は大好きです。きっとどの作品にもクリスティ自信の投影と、クリスティが思い描く理想と反面教師が混ざっているのだろうなぁと思いながら読んでいます。
    今作の善人随一は間違いなくミセス・アラートンでしょう! 私もお母さんと呼びたいです。リネットはビジネスウーマンとしてその冷静な考え方を見習いたいと思うし、ジャクリーンの意志の強さ、それに度胸と行動力も見習いたい。そしてコーネリア。コーネリアの考え方はきっと相手も自分も幸せになれる考え方だと思うのです。

    部屋にいながら「逃避的文学」による小旅行へ是非旅立ってください。


    ちなみに今作の相棒レイス大佐が有能すぎてヘイスティングの存在価値は大丈夫か!?と密かに不安になったのは内緒です。(作中ポアロがヘイスティングの名前を呼んでくれてなんだかほっこりしました。)

  • 終盤、張り巡らせた伏線が次々に回収されていく様が、倒れていくドミノを見ているようで気持ち良い。ただし、この作品を名作たらしめているのは、そのトリックを生み出した人間ドラマだろう。この犯人の頭の良さ、情の強さと潔さは、数あるクリスティ作品の中でも最も印象的なもののうちの一つだ。

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