杉の柩 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300189

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読んだクリスティー。やはり面白い。
    ハラハラドキドキといったアクティブな感情で
    読むというよりも、
    ヒロインのエリノアや登場人物達の
    奥底に眠る感情にぞくりときたり、
    彼女達の細かい心のひだを読みとる静かな作業を
    コツコツとしているような読書に浸れる。

    ポアロ作品を何冊も読んでいると、
    ポアロがこういったところに目をつけ、
    推理していくのかな、とか、
    なんとなく予想がついてしまうのだが、
    わかっていても、
    たとえおきまりのパターンでも、
    もう飽きた、とかつまらない、といった
    マイナス感情がない、
    いや、むしろ、それが自分にとっては
    ある意味安定した面白さに
    つながっているように感じる。

    数多いポアロ作品の中でも傑作。
    ヒロインのエリノアが好きだし、
    クリスティーのちょっと意地悪い、
    でも鋭い人物描写が冴えてる。

  • 「鎌倉殿の13人」のラストシーンが、この作品をもとにしたのではないかという話を聞いて、読んでみた。ガッツリ同じシーンがあるわけではないので、言われてみればそうかなという感じ。
    それとは別に、ページを捲る手が止まらなかった。さすがクリスティ。

  • 容疑者のあっちもこっちもミスリードなんだろうと思いつつも結局犯人のあたりはつけられなかったので、解き明かされた真相に素直に驚いたし、面白かった。登場人物に嫌味なキャラも少なく、話の締め方もロマンティックで美しいと感じたので、なかなかいい話だったと思う。とりわけピーター・ロードが非常にいい男だったので、できれば報われて欲しいと願わずにはいられなかった。

  • 動悸も充分、殺害状況を見てもこの人以外に犯人は有り得ない状況から始まる捜査。
    話が進めば進むほど、他に犯人は考えられなくなる状況で何が起こるのかワクワクです

  • 法廷ものが読みたくて購入。

    ミステリとして非常に良くできていて、物語終盤まで(法廷ものらしく)偽の容疑者が犯人だとしか思えない状況が提示され続けるが、ポアロだけが思いもよらぬ証拠から真相を紡ぎ出す……まさにミステリ。

    その構成は綺麗なものの、事件そのものは短編のようにあっさりしたものだったので、途中でだれてしまった。法廷ものといいつつ、ほとんど法廷でのシーンがないのも自分の期待していたものとは違って残念だった。

  • 絶望的な状況からどうしたら美しいヒロインを助け出せるのか、ポアロと一緒になって灰色の脳細胞を活動させましたがどうにもならない。
    犯人が追い詰められて、いつもの「そういうことか!」と悔しいやら嬉しいやら。
    ラストシーンはホッとします。

  • 真実を話してるのが被告人だけっていうのがいい
    無罪が決まったあと、被告人を守るために嘘をついた医者と上手くいきそうな感じで終わるのもいい

  •  このお話はクリスティーの中では比較的登場人物が少なく、また舞台があちこち移動しないのでわかりやすい推理ドラマだと思う。犯人は当てることはできなかったが(^_^;)また、出てくるキャラクタも善良な人が多く、変な言い方だがおだやかな殺人であった。そうしておだやかな結末であった。

     お金持ちの老人の遺産をめぐる殺人事件なのだが、悲惨な財産の奪い合いは一切なく、また遺産のために人を殺すまでの動機もみなさん弱い。いや、ほとんどない。

     物語が進むと隠されていた真実がはがされていくのであるが、それでも犯人にはたどり着くことはできない私。

     この物語が書かれたのは1940年。戦争に突入する頃ですね。モルヒネがもうがんの鎮痛剤として使われていたのか。戦前、日本ではがんはお金持ちの病気だったらしい。貧乏人はがんになる前に栄養が悪くて違う病気になってしまっていたのだろうな。ヨーロッパの豊かさがかいまみえる。また法廷ものでもあるので、やはり緊迫した空気はおもしろかった。

     しかし題名は謎。

  • 紹介文に「嫉妬に揺れる女心をポアロの調査が解き明かす」とあるが、そこに主眼を置くと、この話の面白さがぼやけてしまうと思った。
    「五匹の子豚」同様、登場人物のほとんどが意図的もしくは無意識に嘘をついているというのが面白さのポイント。ポアロが調査に乗り出すまで、登場人物の善良さだけがクローズアップされているため、「まさかこの人が!?」という驚きに一役買っている。

  • プロローグは法廷。殺人事件の被疑者となったエリノアが否認をするところから始まります。第一部は事件が起こるまで、二部ではポアロが登場、三部で舞台は法廷へ戻ります。それぞれが自分自身の思惑で本当のことだけを言うわけではない中での心理描写や駆け引き、特にエリノアの心の変化の描写は見事でラブストーリーとしても秀逸だと思います。もちろん法廷の逆転劇も読ませますが事件解決よりも最後のポアロの言動による後味の良さが印象的です。派手な事件ではありませんがこの作品がファンから好まれるのがよくわかりました。

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