愛国殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300196

作品紹介・あらすじ

憂鬱な歯医者での治療を終えてひと息ついたポアロの許に、当の歯医者が自殺したとの電話が入った。しかし、なんの悩みもなさそうな彼に、自殺に徴候などまったくなかった。これは巧妙に仕掛けられた殺人なのか?マザー・グースの調べに乗って起こる連続殺人の果てに、灰色の脳細胞ポアロが追い詰めたものとは。

感想・レビュー・書評

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  • ポアロもの。またもやBSドラマで観たはずだが結果を忘れてたので、二転三転する状況に振り回されながら楽しんだ。ギリギリの所で完全犯罪を阻止するポアロの推理は見事。でもよーく考えないと理解が難しい。タイトルに違和感。英国版の方が良い。


  • ポアロ行きつけの歯医者モーリィ氏がピストル自殺を遂げた。しかし、ポアロが最後に見たモーリィ氏はそのような素振りはなかった。自殺説を疑うポアロはジャップ刑事と共に捜査に乗り出す。英国が大戦中であり、タイトルから右翼、左翼の話し?と思い犯人予想。夫婦共犯説を立てた。怪しい歯科医、超金持ちの銀行マン、さらに彼らにぶら下がる家族や恋人。どうもモーリィ氏への殺人を行う時間的余裕がない。ホワイ、フー、ハウダニット!!分からん!最後の謎解きで、オーマイガー!そんなことになっていたとは。⑤  
    「汝エホバの言を棄たるによりエホバもまた汝をすてて王たらざらしめたまふ」
    人間は人間であり上も下もない!ということ。

    誤字発見!P344 仮設→仮説

    • ポプラ並木さん
      なおなおさん、コメントありがとう!負けました・・・今回の犯人はちょっとアンフェアじゃない?というレベル。当たった人はいるのかな?今度は当たる...
      なおなおさん、コメントありがとう!負けました・・・今回の犯人はちょっとアンフェアじゃない?というレベル。当たった人はいるのかな?今度は当たるように頑張ります!
      2022/05/31
    • なおなおさん
      ポプラ並木さん、負けましたか…残念^^;
      次の勝敗も楽しみにしています(^_^)/~
      ポプラ並木さん、負けましたか…残念^^;
      次の勝敗も楽しみにしています(^_^)/~
      2022/05/31
    • ポプラ並木さん
      負けました・・・でも今回も登場人物の心情を堪能しました!
      負けました・・・でも今回も登場人物の心情を堪能しました!
      2022/05/31
  • 歯医者での憂鬱な治療を受けたポアロ。その後間もなくして、ポアロの治療を行った歯科医が自殺したと警察から連絡が入る。果たして彼は本当に自殺だったのか。ポアロは治療に訪れていた患者への聞き込みを開始する。

    話のつかみは面白いが、事件が発生してからはどうもページが進まず、クリスティ大好きな私でも読み終えるのに時間がかかってしまった。『アガサ・クリスティー完全攻略』で霜月蒼氏が述べている通り、とにかく退屈なのである。
    クリスティの作品はことスパイとか左翼とか、政治的な話がテーマになると急に精彩を欠いてしまう。それでも登場人物の魅力で読ませるものもあるのだが、本作品に関しては印象に残る登場人物もあまりなかった。ただ、ポアロがいつになく積極的に聞き込みに回るので、ポアロ好きな人にはうれしい作品だろう。

    愛国殺人が書かれたのは『ナイルに死す』や『五匹の子豚』、『ホロー荘の殺人』などと同時期で、まさにクリスティの円熟期なのだが、何かあったの、クリスティ、と問いかけたい気持である。
    とはいえ、これだけ多作なクリスティの中で面白くない作品は少なく、その水準の高さはやはり素晴らしいと思う。

  • タイトルー!
    タイトルの上手さー!!
    原題からアメリカ版でこのタイトルに変えたものを、日本語版でも採用したとのこと。
    そういうこともあるんだ…。
    登場人物が入れ替わり立ち替わりするので、中盤までは覚え切れずに混乱したが、後半は面白くて一気読み。

  • ポアロもの。

    歯医者で憂鬱な治療を終えたポアロの許に、当の歯医者が自殺したとの連絡が入ります。
    彼の直前の様子から、とても自殺とは思えないポアロは、真相解明に動きだしますが・・。

    ポアロも歯医者嫌なんだ( ̄m ̄〃)と、共感できる事にちょっと嬉しくなる私。
    さて、歯医者の死に続いて、治療を受けに来ていた怪しげなギリシャ人も死んでしまい、さらに同じく歯医者に来ていた中年婦人も失踪して・・と錯綜していく中で、“これは、スパイ絡みかも?”という流れに。
    大物銀行家に対しての銃撃未遂もあり、これは『ビッグ4 』ばりの、国際犯罪組織が関係してくるのかな?と読み進めていきますが・・。
    で、結局これが完全にミスリードで、国際犯罪云々ではなく、犯人の身勝手な個人的事情による犯行だった事が判明。
    “共犯者”と共に、巧妙なトリックを仕掛けて殺人を行い、他の人間に罪をなすりつけようとする卑劣さに呆れちゃいますね。
    ところで今回は、“常に激オコ”なハワード・レイクス(銀行家の姪・ジェインの彼氏)と、“常に不貞腐れている”フランク・カーター(歯医者の秘書・グラディスの彼氏)のキャラがかぶってしまい、途中区別がつかなくなって、登場人物紹介を何度か見直すはめになりました。
    で、“不貞腐れている方”のカーターが逮捕されちゃう場面があるのですが、彼のあまりに無礼な態度に面会に来たポアロが“もう、こいつが犯人ってことで、いっか・・”と、匙を投げそうになったりしていました。
    そして、今回のミスリードの原因でもある、バーンズ氏のラストの一言がなかなかいいオチになっていたと思います。これは一本取られましたね!

    • 111108さん
      あやごぜさんお返事ありがとうございます!

      ”歯科医での治療を怖がるポアロ”はもちろんドラマでも再現されてましたよ!他の話でも、すきあらば歯...
      あやごぜさんお返事ありがとうございます!

      ”歯科医での治療を怖がるポアロ”はもちろんドラマでも再現されてましたよ!他の話でも、すきあらば歯医者の予約をキャンセルしようとするポアロとか出てくるので、ドラマでは定番ネタみたいです(≧∀≦)
      2022/07/05
    • 111108さん
      あやごぜさん、またおじゃまします。

      キャラかぶりの意味、すごーくよくわかりました!わざとなんでしょうかね?
      あと登場人物表にない〇〇夫人が...
      あやごぜさん、またおじゃまします。

      キャラかぶりの意味、すごーくよくわかりました!わざとなんでしょうかね?
      あと登場人物表にない〇〇夫人が多くて、これはどの方面の夫人?と何度かページを戻ってさがしました。そういう点ではちょっと読むのに難儀しました。
      でもバーンズ氏の最後の一言、いいオチでしたね!
      2022/07/20
    • あやごぜさん
      111108さん♪

      ですよね!キャラ被っていますよね~。わざとですかねww?
      あと、私も同じく“どの夫人?問題”でページを行ったり来たりし...
      111108さん♪

      ですよね!キャラ被っていますよね~。わざとですかねww?
      あと、私も同じく“どの夫人?問題”でページを行ったり来たりしました(*'▽')
      とはいえ、ラストで綺麗に「オチ」ていて、さすがクリスティーですよね!
      そして、111108さんのレビューで書かれているように、私もタイトル違和感に同意です~。
      2022/07/21
  • 原題をそのまま訳していたら
    意味分からなかっただろうなと思いました。
    愛国殺人。いいタイトルです。

    見立て殺人っぽい章のタイトルだけど
    全く見立て殺人ではないです。

  • 珍しくスリラーテイストの作品。話の進め方がビッグ4を思い起こさせちょっと不安がよぎる…登場人物が多く平日の移動時間とかに途切れ途切れで読んでいたせいかどうも話に入り込めず。クリスティ作品にはいつも出てくる魅力的な人物がいなかったせいかも。全体として連載小説のような毎回ちょっとしたハイライトが配置されている慌ただしさもいつもと違う雰囲気。いつもと違う事が悪いわけではないが、この作品ではいい方向に行ってない気がする。

    でも皆さんの評価は意外と高いのですね。読み方が悪かったのかな…

  • 解決編での構図の逆転が鮮やかでそれなりに面白いが、引きが弱い上に故意に読みにくくしたような不自然さがある作品。歯科医のモーリイとライリイ、アリステアとアムバライオティス、ジェインとジュリアなど登場人物の名前が紛らわしく、またフランク・カーターとハワード・レイクスもキャラクター設定も被っている感じで区別しにくかった。すきま時間に少しずつ読み進める読書習慣もあり、忘れたり混同したりでなかなか読み進められなかった。わざとにしか見えないので意図が知りたい。
    中盤で「歯医者が一人が死んでも大した事じゃない」という人物に対しポワロが「あなたにはそうでも私にはそうでは無い」というのがびしっと決まってかっこいいな、と思ったら、解決編でもう少し丁寧な言い方ながら同じことをいう犯人に対し、ポワロが決然と見解の不一致を告げる。この至極真っ当な主張の繰り返しが本来軽い読み物の推理小説を引き締めていて良かった。
    ただ、市井の若者ならそのような乱暴な言い方も仕方ないかもしれないが、真犯人のキャラクターからするとあまりにとってつけたような…地味で控えめだけど中身がサイコパス?という違和感。

  • 「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー『愛国殺人(原題:One, Two, Buckle My Shoe)』を読みました。

    「アガサ・クリスティ」作品は、5月に読んだ短篇集『マン島の黄金』以来ですね。

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    憂鬱な歯医者での治療を終えてひと息ついた「ポアロ」の許に、当の歯医者が自殺したとの電話が入った。
    しかし、なんの悩みもなさそうな彼に、自殺に徴候などまったくなかった。
    これは巧妙に仕掛けられた殺人なのか?
    マザー・グースの調べに乗って起こる連続殺人の果てに、灰色の脳細胞「ポアロ」が追い詰めたものとは。
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    1940年に刊行された「エルキュール・ポアロ」シリーズ長編第19作目の作品、、、

    原題はマザー・グースの童謡の1節『いち、にい、わたしの靴の留金を締めて』から引用されていて、以降20までの数え歌の歌詞が作品の章のタイトルとなっています。

     ■1. いち,にい,わたしの靴のバックルを締めて
     ■2. さん,しいそのドアを閉めて
     ■3. ごお,ろく,薪木をひろって
     ■4. しち,はち,きちんと積みあげ
     ■5. くう,じゅう,むっくり肥っためん鶏さん
     ■6. じゅういち,じゅうに,男衆は掘りまわる
     ■7. じゅうさん,じゅうし,女中たちはくどいてる
     ■8. じゅうご,じゅうろく,女中たちは台所にいて
     ■9. じゅうしち,じゅうはち,女中たちは花嫁のお仕度
     ■10. じゅうく,にじゅう,私のお皿はからっぽだ

    ちなみに邦題の『愛国殺人』は、アメリカ版の原題『The Patriotic Murders』の訳題のようですね。

    登場人物が多く、頭の中で一人ひとりの特徴が整理でき読み進める感じとなり、序盤~中盤は少しもどかしい感じでしたが、終盤はバラバラのピースが埋まっていく愉しい感覚が存分に味わえる展開となっていました。

    読み終わったときには、さすが「アガサ・クリスティ」作品って感じでしたね。


    動機が、公的な理由だと思っていたら、実は個人的な理由だったり、

    狙われていると思われた人物が、実は狙う側だったり、

    「ポアロ」も惑わされる真相でした。


    それにしても、、、

    「国を愛するがゆえの殺人」という真犯人の動機は、余りにも利己的な思考… 人間に優劣を付け、公を護るために犠牲を強いるというのは、到底納得できるものではなかったですねぇ。

    たまたま人物を覚えることが得意だった(不都合なことを覚えていた)ために殺されたり、邪魔な人間を(歯科で)油断させて殺すために歯科医が殺されたり、、、

    たまったもんじゃないですよ。


    本書を読んで、歯科について考えさせられた、、、

    受診するときは誰もが無防備… 確か「ヒッチコック」の映画でも、歯科医に殺害されそうになるシーンがあったような気がします。

    歯医者に行くのが怖くなりましたね。


    あと、ちょっと気になったのは装丁に使われている靴の写真、、、

    これは「メイベル・セインズバリイ・シール」の履いていた、バックル付きのイヴニング用の靴の方に変更した方が雰囲気が出ると思います。



    以下、主な登場人物です。

    「ヘンリイ・モーリイ」
     歯科医

    「ジョージイナ・モーリイ」
     ヘンリイの妹

    「ライリイ」
     ヘンリイのパートナー、アイルランド人

    「グラディス・ネヴィル」
     ヘンリイの秘書

    「フランク・カーター」
     グラディスの恋人

    「アグネス・フレッチャー」
     モーリイ家の小間使

    「アムバライオティス」
     ギリシャ人

    「メイベル・セインズバリイ・シール」
     元女優

    「レジナルド・バーンズ」
     内務省退職官吏

    「アリステア・ブラント」
     銀行頭取

    「ヘレン・モントレザー」
     アリステアのまた従妹

    「ジェイン・オリヴェイラ」
     アリステアの姪

    「ジュリア・オリヴェイラ」
     ジェインの母

    「ハワード・レイクス」
     ジェインの恋人

    「アルバート・チャップマン」
     セールスマン

    「シルヴィア・チャップマン」
     アルバートの妻

    「ジャップ」
     主任警部

    「エルキュール・ポアロ」
     私立探偵

  • これは鮮やかなどんでん返しですね

    タイトルにも納得。

    どんな理由であれ殺人は許されざる行為だというポアロの倫理観が好き

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