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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784151300219
感想・レビュー・書評
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【ポアロ】
最高傑作と呼ばれているのも納得の作品だった。今作は「回想する殺人」で、作品ごとに手法を変えてくるアガサはやっぱりすごい。
あらすじ
母は無実だったのです。娘の依頼に心を動かされたポアロは、事件の再調査に着手する…
真犯人は誰なのか?証言を聞きながら自分も一緒に推理できるのが楽しい。
語り手が変わる度に自分の予想がどんどん変わっていく。アガサの手の平でコロコロ転がされるのがたまらない。
ポアロはちょっとした違和感でも絶対に見過ごさない。人の心理を読むのがとても面白い。
最後にみんなが集められた解決編では、やっぱり予想を超えてきた。
16年前の事件から犯人は何を思い続けていたのか、最後の一言でわかる。
今回はヘイスティングズが出てこなかった。
ポンコツのヘイスティングズが恋しくなっている自分に驚く。
2作連続ヘイスティングズの出てくる作品だったので、当たり前にいるものだと思っていた。いなくなって気付くヘイスティングズの面白さ。あのポンコツぶりがまた見たい(*^_^*)
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小説を読んでからドラマ(ポアロ役はデビット・スーシェ)を見たので、両方について書きます。
この子豚はマーケットへ行った
この子豚は家にいた
この子豚はローストビーフを食べた
この子豚は何も持っていなかった
この子豚はウィーウィーウィーと鳴く
ポアロのところに、カーラ・ルマルションという若い女性がやってくる。彼女は親族に育てられていたが、21歳(成人年齢)になったとき、育ての親から実の両親の真実を教えられ、実の母親からの手紙を受け取ったのだという。
カーラの両親は、豪快で女性好きで才能ある画家のエイミアスと、キャロラインのクレイル夫妻。16年前、キャロラインは、夫のエイミアスを毒殺した罪で終身刑を受け、翌年獄中死していた。当時まだ幼かったカーラにその記憶はなく、今回始めて知りショックを受ける。だが母キャロラインからの手紙には「自分は無実だ」ということが書かれていた。
そこでカーラはポアロに16年前の真実を探ってほしいと依頼する。もしも本当に母が父を殺したのだと証明されることになったとしても。
ポアロは16年前の事件関係者に話を聞いていく。弁護人、検察官、警察、そして事件当時現場にいた5人の関係者。
5人?まるでマザーグースの童謡のようではないか。
●マーケットへ行った子豚は、フィリップ・ブレイク。
エイミアスの親友で、現在は経済的に成功している。高圧的な態度で、抜け目のなさと、陽気さを持っている。
●家にいた子豚は、フィリップの兄のメレディス・ブレイク。
内気な田舎紳士。昔はキャロラインに想いを寄せていた。
趣味で植物を育てたり薬を調合したりしている。エイミアスが飲んだ毒は彼の家から盗まれたもの。
●ローストビーフを食べた子豚は、エルサ・ヘリアー(現エルサ・ディティシャム)。
当時まだ19歳だったがエイミアスの愛人でモデル。美女で金持ちで欲しいものは必ず手に入れる性格。事件当時クレイル家に滞在し「エイミアスはキャロラインと離婚して私と結婚する約束を交わしているのよ」と言って空気をピリつかせていた。
●何も持っていなかった子豚は、キャロラインの妹、アンジェラの家庭教師セシリア・ウィリアムズ先生。
厳格そのもので、キャロラインを敬愛している。
●ウィーウィーウィーと鳴く子豚は、キャロラインの異父妹アンジェラ・ウォレン。
幼いキャロラインは赤ん坊のアンジェラに暴力を振るい失明させた。
この五匹の子豚たちは、最初はポアロの聞き込みで、次にはポアロに送った手記で、当時を振り返る。
つまり読者は同じ事件を5人×2回の10の目線で事件の再構築に立ち会うってこと。
さて。小説の趣旨として、16年前の事件をそれぞれの立場の証言者たちが、同じ事件、同じ人物を語るのに全く違う証言が出ること。
特に被告のキャサリンのことは、証言者に寄って全く違う。フィリップとエルサはボロボロに言う。「怒りを抑えられない、理性なんてまるで持たない女。若い女に負けたのに認めず夫を殺す冷酷な女」。それがウィリアムズ先生には「魅力的で誇り高い女性」となり、アンジェラには「怒りに任せて私を失明させたからこそ、怒りをはっきり口に出して行動には決して起こさないようにしていた。とても自制心が強く、私を守るためならなんでもした」となる。
そしてクリスティの表現力はすごいなあ。エイミアスの絵の凄さが文章でわかるんですよ。女を見れば手を出しすぐに捨てて妻を苦しませる男だが、こんな絵を描くなら性格は破綻してるだろうって分かる。
※※※以外真相の感想なので、ネタバレ気味?※※※
読みながら、私は事件の真相はわりとすぐに分かったんですよ。しかし真犯人はまるでわかりませんでした。だってアガサ・クリスティは人物像をしっかり書くので、この人物ならこんな行動をするよね、って納得できるんです。すると、この関係者の中に毒殺しそうな人がいないんだもん (^o^;
これには依頼人のカーラも、終盤にポアロが「名探偵、皆を集めて」をやったときに「この中の誰かが殺人者なの?」と想像するが、「メレディスは家に入った泥棒に銃を向けてうっかり引金を引くかもしれないけど、わざと人を殺すことはないだろう。エルサは女王様として気に入らない者の処刑を部下に命じるかもしれないけど、自分で毒をいれるタイプじゃない」などと、犯人の見当がつかないとなってゆくのだが、読者としてもそれに賛成で「探偵小説としてキャロラインは無実なんだろう。しかし享楽家のエイミアスが自殺するとは思えない。でも5人のなかにちまちま毒殺しそうな人はいない。それなら間違って飲んじゃったってことにしませんか(^_^;)」の気分になりました。
しかしさすがはアガサ・クリスティ。
5人の証言から矛盾を見つけ、彼らが隠していること、嘘をついていること、そして自分でも忘れていたことを再構成していく。
明らかにされた真犯人の気持ちも行動も「そういう状況なら、その人なら毒を盛るだろう」と読者にも納得のものでした。
しかしね、エイミアスは、絵のために妻キャロラインと、結婚約束した(?)エルサを同じ家に滞在させて家中の緊迫感を「とにかく絵がいちばん大事なんだ!女どもはそれがわからないのか!」と、「芸のためなら女房も泣かす」を地で行きすぎて、その状況を証言者たちにより繰り返されるのは読者としても辛い。 このアトリエって「二人の愛人が取っ組み合いしている横で絵を描くピカソ」ですか?(^_^;)
事件としては。ポアロは真犯人を暴いたけど、16年も前で証拠もない。裁判にも難しい。
それでもこの場に呼ばれた人たちにとっては、止まっていた気持ちを前に進ませるものになったのでした。
さて、デビット・スーシェのドラマのこと。
なんといっても!キャロラインが!絞首刑になっていた!原作では「愛人を連れ込んだ夫も酷い」ということで有罪だけど情状酌量で獄中死だったのに!
そして2時間放送のため、五人の証言はポアロの聞き込みだけで手記はなし。そのためかキャロラインへの評価の違いもそんなに現れておらず、キャロラインの強さ優しさがあまり感じられず(^_^;)
さらにマザーグースの歌が使われなかったので「なぜ五匹の子豚」ってわからないのでは・笑
そして原作では印象的だったエイミアスの絵が出ていなかったので、彼の凄さが分かりづらいというのもあった。原作ではエイミアスの絵から受ける衝撃と、こんな絵を描くなら性格が破綻していても仕方ないと思わせるものでした。ドラマでは、文章以上の絵画を表現できなかったんだろうなあ。
そして原作では享楽的で派手で大柄なエイミアスとフィリップが、ドラマではスマートで優しげな俳優さんだったので、フィリップも原作で言われるような「彼が人を殺すとしたら?揉めた女性に掴みかかる姿は想像できるけど、ちまちま毒殺するとは思えない」感じがしなかった。
そして!フィリップとキャロラインの関係が全く違う!原作では高圧的でキャロラインを敵視しているが、実はキャロラインを愛していて「可愛さ余って憎さ百倍」ってやつです。
それがなんとドラマのフィリップはエイミアスを愛していて、彼の死にずっと傷ついているようなことに(^o^;。しかもキャロラインのほうからフィリップを誘惑しよう寝室に入ってきて、フィリップに振られてひどい言葉を投げつけるという流れ。
ええーー、これは改悪じゃないの。原作でもキャロラインは悪い言葉もはっきりいう。しかしそれは悪い行動を起こさないため。それがドラマではフィリップの同性愛感情に対して傷つける言葉を投げつける。
これじゃあ、エルサがキャロラインに「あんた旦那に愛されてないよ、さっさと消えれば?お・ば・さ・ん」みたいなことを言ったけど、それと同じじゃん…。ドラマ制作当時は同性愛を取り入れることが大切だとかなんとか思ったのかもしれないけど、さらに時代が経って同性愛を馬鹿にする発言はタブーになり、キャロラインがすごく弱くて嫌な人になっちゃってる(-_-;)
良かった点。
原作ではエルサのことは「まだ子供。自分が何をしているか分かっていない」と言われていたけれど、読者としては「分かったうえで、妻子持ちの男を奪うつもりでしょ」と感じたのですが、映像になると「若い!猪突猛進!」な感じがわかりやすくなってました。
ドラマではエルサ役の女優さんは目がものすごく大きくて(メイクじゃなくて、本当に大きい)、その目でまっすぐに他の人を見つめて「私とエイミアスは結婚の約束をしたの」と言い切る姿、それが16年後には確かに美人で金持ちだけど厚化粧で輝きは失った様子になっているのはすごいなあ。
そしてドラマならではの良いところは、過去場面はセピア色でエリック・サティの『グノシエンヌ第1番』を流すノスタルジックさを現しているところ。
アンジェラやカーラには幸せだった子供時代、ブレイク兄弟にとっては愛するエイミアスとキャロラインとの辛い思い出。それがラストでは(ちょっとドラマとしての派手な演出も追加されてるんですが)、セピア色の思い出の中に、愛し合っていた家族の姿で終わります。
ドラマ脚本によりキャロラインがそこまで魅力的でなくなってるのは残念ですが、関係者には美しい思い出を取り戻せたという切なく優しいドラマでした。 -
かなり前に111108さんに教えていただいたポアロおすすめ作品から、ようやく読む。
これ、今まで読んだポアロ作品の中でも1、2位を争うくらい好きかも。
読んでいて、誰も犯人には思えなかったけど、発言の裏側に潜む意味が解き明かされると、動機も含めすごく腑に落ちる。最後の一展開、今回もまんまと騙された。
遠い夏のセピア色の思い出を振り返る回想殺人形式も好きだし、ラストの余韻も良い…。
111108さん、教えていただきありがとうございました!-
ロッキーさん、ついに読みましたね!
お気に召したようで嬉しいです♪よく考えたらちょっとツッコミどころもあるのですが、「セピア色の思い出を振り...ロッキーさん、ついに読みましたね!
お気に召したようで嬉しいです♪よく考えたらちょっとツッコミどころもあるのですが、「セピア色の思い出を振り返る」というロッキーさんのレビュー読んだら恩田陸さん風でもあるなぁと思いました。2024/01/20 -
コメントありがとうございます!!
確かによく考えたらツッコミどころは多々ありそうです笑
恩田陸さん味のある作品(恩田さんがクリスティーに影響...コメントありがとうございます!!
確かによく考えたらツッコミどころは多々ありそうです笑
恩田陸さん味のある作品(恩田さんがクリスティーに影響受けてるとは思いますが)が好きなのかもです。2024/01/21
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ゆたこちさん
スーシェのドラマ、NHKのBSで水曜夜9時(だと思います。地方によって違うかも)やってますよ!今日はたしか『白昼の悪魔』やり...ゆたこちさん
スーシェのドラマ、NHKのBSで水曜夜9時(だと思います。地方によって違うかも)やってますよ!今日はたしか『白昼の悪魔』やります。衣装とか車とか邸宅とか、けっこう凝っていて面白いです♪結末が違うことが時々あるので、それも楽しいですよ。
『ポアロ登場』は短編集のでしょうか?初期の頃はヘイスティングズかなりへっぽこに書かれてますね(^ ^)2023/05/17 -
111108さん
お返事ありがとうございます(^-^)スーシェのドラマ、U-NEXTでも全シリーズ見れるのですが、字幕放送のみなので、吹替...111108さん
お返事ありがとうございます(^-^)スーシェのドラマ、U-NEXTでも全シリーズ見れるのですが、字幕放送のみなので、吹替派の自分は興味はあっても後回しにしてました。見てみます!結末違いも楽しみですね(私、気付けるかな)
はい『ポアロ登場』は短編集のです。予告なくAudibleに入っていてテンション上がりました( ノ^ω^)ノへっぽこヘイスティングズと嫌味炸裂のポアロの関係を楽しんでます♪2023/05/17 -
ゆたこちさん
U-NEXTで全シリーズやってるんですね!ぜひぜひご覧ください。私は字幕派なのでBSも英語で字幕にして見てます。
スーシェポ...ゆたこちさん
U-NEXTで全シリーズやってるんですね!ぜひぜひご覧ください。私は字幕派なのでBSも英語で字幕にして見てます。
スーシェポアロがよく「ノン、ノン、ノン、ヘイスティングズ」と言うんですけど、もう読んでてもその声思い出しますよ♪2023/05/18
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クリスティのポアロ物
ひょええええっおっもしれええええ
クリスティ完全攻略本からこれは読んでみようと思い購入した1つ
父親が毒殺、その容疑で裁判にかけられ獄中で亡くなる母。母親は無実ですと訴える娘
16年前の事件を再調査するポアロ
当時の関係者の証言を集め、真相は
冒頭からしびれる
私が調査しあなたの母に罪がやはりあっても良いのですか?と聞く紳士ポアロ
覚悟を決め「わたしは母の娘です。真実を望みます!」と放つ娘
アンアリエールだ(過去へ行こう)の台詞
かっこいい………
そこからはさすがのクリスティ。しっかりと登場人物を描き、何ならこの中に犯人がいて欲しくないなとすら感じてしまう。証言のおかしい所をさらっていき、嘘、記憶違い、他人の証言との差異、物語としてのサービスまである
クイズでよくあるABCDEさんの中で誰が一番最初にゴールしたでしょうのような入り乱れ
まったく知らないタイトルだったし読むまでつまらなそうなタイトルだなと思ったが興奮しまくりだったポケットにライ麦をより更に面白かった
これが80年以上前の作品とは恐るべし
僕の中ではクリスティはこれがNO1でいいや
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画家の父を毒殺した疑いで裁判にかけられ、獄中で死んだ母。大きくなった娘のもとに自らの無実を訴える母の手紙が届けられる。ポアロは母の無実を信じる娘の依頼にもとづき、過去の事件を洗い直す。
16年前の事件である。娘には婚約者がいて、彼女の過去を知ったうえで変わらず愛してくれている。関係者はすでに新しい生活を送っており、どれだけの証拠が残っているのかもわからない。犯人は母で間違いないことが裏付けられるだけなのかもしれない。それでもなお母の無実を信じる娘のために、ポアロは捜査を開始する。
第一部はポアロによる関係者への聴き取り、第二部は事件に関わった5人の人物の手記で構成されている。16年前のことなどもう記憶があいまいなのでは、と思うが、そこはクリスティのうまいところで、関係者それぞれに墓場まで持っていこうとした秘めた思いがあることが明らかになってくる。また、手記という形を取ることで、対面で話しているときには繕っている相手への感情が知らず知らずのうちににじみ出てくるのも面白い。
この話のイメージはどこかセピア色である。事件直後の生々しさはなく、関係者の思いにうっすらとフィルターがかかっている。そして、もう時間は巻き戻せない、という確かな現実に、ほろ苦い感情がわきおこる。
状況証拠が中心とはいえ、ポアロの推理に無理はなく、ミステリとしてももちろん面白い。被害者である画家の父、魅力的な女に目がなく、自分の芸術を何よりも優先する自己中心的な男の描写もリアルで存在感がある。
再読するごとに味わいが増していく忘れがたい作品である。 -
ドラマ版では一番好きな作品です。なのでかなり楽しみで読みました。いやーでも、回想物なので本だと静かすぎてちょいちょい眠くなってしまった(^-^;。
最後の犯人のセリフは何かグッと来たな~。殺人犯だけどなんか憐れみを感じてしまった。
ドラマだとアミアスが色気があってひどい奴だけど引き付けられるものがあるんだけど、本だと本当にヤな奴です。 -
ラストが切ない。
今まで読んできたポアロシリーズの中で
私の中で1、2を争うフェイバリット作品。
もう一つのフェイバリット「ひらいたトランプ」が
「楽」の方でナンバー1であるのに対し、
こちらの「五匹の子豚」は「哀」の方でナンバー1。
ポアロが関係者を前に謎解きをする場面、
そしてある人物と会話して別れる場面、
ついに明かされた衝撃的な真相の残酷さ、
そしてそれに対し述べたポアロの厳しくも優しい、
独自の信条、哲学に従った言葉。
構成するもの一つ一つに筆者ならではの丁寧な仕事が光り、
この作品の素晴らしさを大いに楽しむことが出来たが、
読み終えた後、 まるで自分の心の中に冷たい風が
吹いているような「寂しさ」「哀しさ」を感じている。
物語は、大変美しい娘がポアロを訪問する所から始まる。
その女性はとんでもないことをポアロに依頼するのだ。
16年前に起こった自分の両親の事件の真相を探ってほしい。
本当に母親は自分を裏切って
他の女性へと走った父を殺したのかと。
娘の懸命な願いに、ポアロは過去の殺人の真相解明に乗り出す。
裁判に関わった数人の関係者とやり取りした後、
当時夫婦の周りにいた人物(=5匹の子豚)を絞り出し、
ポアロはこの5人に直接会って事件当時の話を聞き出していく。
やはり、嫉妬に狂った夫人が夫を殺したのか。
それとも良心の呵責に悩んだ夫が自ら命を絶ったのか。
それとも夫を殺した真犯人が他にもいるのか?
そこに隠された男と女の愛の真実とは何だったのか?
良質なミステリーとしてだけでなく、
ドラマチックな恋愛小説としても楽しめる作品。
ある一つの同じ出来事を見ても、それを見た人間の数だけ
「視点」があり、時に己の都合の良いように
解釈してしまうということ。
世界にたった一人しかいない、無二の存在であるはずの
人間に対しても、自分の置かれている立場や抱えている利害、
相手との関係次第でその人物がどんな人間であるかといった
印象の切り取り方は違うということ。
たとえ自分にその気はなくても、
人は無意識に真実を歪めてしまうこともあるのだということ。
そして男と女の仲は、他人の目にどう映るか関係なく、
所詮あくまでも当人達にしかわからないのだということ。
著者クリスティーが沢山のメッセージを込めた作品だと思う。
一人でも多くのファンに読んでもらいたい名作。 -
おそらく“事実”はひとつであろう
いくつも異なる“事実”が出てくるのは、そこに“ヒト”が介在するから
特に“過去”の出来事は自由だ
だから、物語ができる。
本文中でもポアロ自身が言っているように、ポアロの捜査はヒトの気持ちから組み立てて、削り落としていく。
その上で、ポアロ以外の登場人物が魅力的であるからこそ、ポアロの自慢話にとどまることがない。
物語は、まるで演劇をみるように楽しめる(あとがきによれば、作者本人による脚本も作られたとか)
そしてドンデン返しも…… -
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ポアロシリーズを読む度、いつもいつも展開に驚いてばかりの私も、今回ばかりは途中で「犯人が見えたな」としたり顔だったのですが、今回も見事屈服しました。
16年前の殺人事件を、加害者の娘の依頼で紐解くポアロ。ひとつの事柄を、複数の関係者からの手記という多角的視点、しかも各々自分の思惑に沿って書いた、100%鵜呑みにはできない供述を読み比べるのが面白かったです。 -
クリスティーといえば、「そして誰もいなくなった」「オリエント急行の殺人」あたりがよく知られているところだけど、ここに傑作といっていい作品に出会えたことがとても喜ばしい。
16年前に夫を毒殺したとして有罪判決を受け獄死した夫人の娘が、真実を知りたいとポアロに調査の依頼をすることから物語は始まる。
ポアロは当時の弁護人や警視に会い、被害者と深く関わっていた五人の重要人物に会う。誰が見ても夫人が犯人、なのに、読み方を変えてみるだけで、これほどにまでに違う真実がみえてくるのかと脱帽。 クリスティーの最高傑作の一つと間違いなく言える。 -
傑作かも!
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16年前、夫殺しの罪で終身刑を宣告され、獄中で死亡した母の無実を固く信じる娘の話に興味を覚えたポアロが、あたかも「五匹の子豚」の如き5人の関係者との会話を手がかりに過去へと遡り、真実へたどり着く。
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過去の事件の真相を洗い出す、今までとはまた違った推理のお話でした。
当時の関係者たちに話を聞いたり、手記を書いてもらったりとしますが、被害者や犯人のイメージが人によって全然違うのが面白かった。動機に関しても、許せない人もいれば致し方ないと言う人もいたりして、一人の意見を鵜呑みにしてはいけないなと感じました。 -
中期の力作。
妻が画家を殺したといわれる事件の真相は?
遺された娘が大人になってから、ポワロに調査を依頼します。
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