- 早川書房 (2004年6月15日発売)
本棚登録 : 795人
感想 : 75件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (2ページ) / ISBN・EAN: 9784151300233
作品紹介・あらすじ
大富豪ゴードン・クロードが戦時中に死し、莫大な財産は若き未亡人が相続した。戦後、クロード家の人々はまとまった金の必要に迫られながら、後ろ盾のゴードンを失くし窮地に立たされる。あの未亡人さえいなければ一族の思いが憎しみへと変わった時……戦争が生んだ心の闇をポアロが暴く。
みんなの感想まとめ
人間関係や感情の複雑さを描いたこの作品は、戦後の社会背景を背景に、遺産相続を巡る緊張感ある物語が展開されます。大富豪ゴードンの死後、若い未亡人ロザリーンが巨額の財産を相続することになり、彼女を取り巻く...
感想・レビュー・書評
-
【ポアロ】
解説に「この本を手にしている方は、かなりの重症のクリスティー・ファンだろう」と書いてある。解説者もこの本は「四十数冊目くらいのクリスティー本」らしい。
私もこの本でクリスティー48冊目で、ポワロ作品は自分の好きなタイプはほぼ読み終わってしまった。
だから残りのポワロ作品になかなか手が伸びず、かなり久しぶりのポワロ。
ここからのポワロは自分の苦手な作品が続くので、どこまでいけるのか自分に挑戦。
大富豪ゴードンが戦災で亡くなる。
亡くなる直前に若い娘と結婚し、巨額の財産は彼女のもとに行くことに。親族は複雑な思いを抱く…。
いつまで経ってもなかなか事件は起こらない。
登場人物は全員大富豪ゴードンの遺産に寄生していて、優柔不断で煮え切らないグダグダした個性の薄い人ばかりで、誰にも魅力を感じない。
だんだんイライラしてきて他の本も挟みながら、読み終わるまでに3日くらいかかった。
でもラストはさすがクリスティーだった。
伏線もたくさん張ってあったし、遺産に寄生する一族にイライラさせることもクリスティーの計算上だったのかもしれないとも思えてきた。
読み終わってみれば普通にこの作品も面白かった。やっぱりこれだからクリスティーはやめられない。
クリスティー58歳の作品。
★3.5詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
改めてクリスティー面白い!と思った。またもやBSドラマで大筋を知っていたが、より細やかに感情と人間関係を描いており恋愛小説としても戦後「潮時に乗れなかった」者達の話としても読み応えあった。ポアロのちょっと上を行く推理が見事。
-
大戦中のロンドンで空爆死した大富豪。親族はみんな彼の経済的庇護を当てにしていたので、遺産を全て相続した若い後妻とその兄を恨むまいことか。戦争は終わったけれど、戦後の生活がいかに厳しかったか、私も親の世代の人たちから聴いているので、クロード家の人々は結構マシな立場じゃないかと思いつつ、言動はコミカルに語られているので笑っちゃいました。
で、みんなの殺意が集中する後妻の前夫が生きている疑惑をもたらした男が殺されたというので、何だか訳の分からない展開に! ポアロもうっかり騙されかけたし。真相が明らかになると、私の中にこみあげたのは、戦争のせいだ!という怒りでした。クロード一族が甘ちゃんだったのは確かですが、ここまでこんがらがった遠因はやっぱり戦争でしょう! -
ポアロもの。
大富豪ゴードン・クロードが死亡し、その莫大な財産は若き未亡人ロザリーンが相続しましたが、実質はロザリーンの“兄”・デイヴィッドのコントロール下にある状況です。
そして、ゴードンに経済的に依存しまくっていたクロード一族の人々は、“後ろ盾”がなくなってしまい、金銭的窮地に立たされてしまいます。
クロード一族と、ロザリーン&デイヴィッド兄妹の間に不穏な空気が流れる中、ある日村にロザリーンの前夫(ゴードンの前の夫)を知るという人物が現れて・・・。
解説にも本作品が「ドラマ重視」と書かれていましたが、確かに“事件”が起こるまでのヒリついた人間模様がしっかり描かれていますね。
そして、一応ヒロイン的ポジションのリンを巡る三角関係も並行していて、以前からの婚約者で朴訥な農夫・ローリィと、ロザリーンの兄で危険な魅力(?)を備えたデイヴィッドとの間で揺れるリンの心理描写にもご注目です。
(私からすれば、“どっちもどっち”という感じでしたが・・汗)
そんな人間ドラマの土台の上で展開するミステリ部分も秀逸で、ポアロ言うところの“まともでない”という表現の通り、“動機と犯行が合わない”という状況に翻弄されてしまいました。
思い返せば、あちこちにヒントが散りばめられてはいたのですけどね~。
(例えば、ポーター少佐の“あの台詞”に、“ん?”となったのは、私だけではないはず・・)
このように、人間ドラマとしてもミステリとしてもグイっと読ませる本作品。
ちょいと登場人物達のキャラが弱いかな・・と思わんでもないですが、個人的にはフランセスとケイシイが何気にいい味出していたかも。と思いました。 -
【記録】
満潮に乗って。
2017.05発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
残念です。
皆様のレビューを見て図書館に予約するが、字が小さくて読めず返却する。
アガサ・クリスティを読んでみたかったが残念。
※【記録】の説明は、プロフィール欄に書いて有ります。 -
ホロー荘もそうだったが、ポワロが「人間をみる」系の作品は謎解きの妙が際立っているものよりより味わい深い。クリスティー作品読み直し作戦でこんな発見があるとうれしくなる。今読んで正解だった。訳者の恩地三保子さんは「大草原シリーズ」で子どもの頃にお世話になった人といった存在だがこの翻訳もとてもよかった。訳者によってポワロのキャラクターが違って感じられることがあるので、その意味でも自分の中のイメージどおりのポワロが再現されていた。
-
事件はなかなか起きないのに飽きずに読める。
流石です。
一人の大富豪の死によって狼狽する一族の人間模様や彼らと関わりのある人物の描写が丁寧に書かれている。
関係性が整理しやすく、物語の構成としても面白い。
設定自体は地味だけれど、意外性のある展開や真相で楽しませてくれる。 -
親族全員を庇護していた大富豪ゴードン・クロードが若い娘と結婚した直後、遺言状を更新しないまま死亡した。残された遺族たちは、ゴードンの援助なしには生活できなくなり……。
ポワロシリーズ23作目→
戦時中という環境下、頼り甲斐がある独身貴族の突然の結婚、そして死。残された若き未亡人には厚かましい兄がついていて……とまぁ、揉めそうな要素盛り沢山な設定。それをキャラごとに上手く盛り上げるクリスティの手腕たるや。上手い……ほんとにこの女王は人間ドラマを描くのが上手い。→
そして、しっかりとトリックもある。上手い……二重三重と驚きがあり、ドラマが盛り上がり、きちんと締める。ポアロが今回もチャーミング。ニヤニヤしちゃうんだよねぇ、ほんと。
読みやすいし面白いし驚けるし、いやもう、海外ミステリのお手本でしょ。マイナー作品のこれでこのレベル……すごいわ -
物語自体は地味な印象。
だが、いつも通り仕掛けられた二重三重に仕掛けられた罠の方向性が、通常の作品と少し異なるベクトルを向いていて、意外性があってよかった。
クリスティのこの頃の作品らしく、人の心情を描くことに注力しているようで、物語の中盤まで殺人が起きないし、ポアロも出てこない。 -
-
大富豪ゴードン・クロードが空襲で死亡。遺産は全て、結婚したばかりの若き妻が相続することになり、これまで彼に生活を支えられていた親戚たちは、突然経済的に困窮することとなる。彼女さえいなければ……誰もがそう願う中、思いもよらぬ人物が村に現れて……。
後ろ盾を失い、若き未亡人ロザリーンに取り入ろうとする亡きゴードンの姉兄弟(きょうだい)と、彼女を守ろうとする兄デイヴィッド・ハンターの駆け引きに加え、結婚を控えた若い2人の心模様、偶然を必然に変えるポアロの推理など、心ゆくまで楽しめました。タイトルはシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』から。潮時はあっても潮目を読むのはなかなか難しいかも。
-
またまた人間ドラマ的作品。資産家が一族を養うという状況が前時代的でイマイチ設定に入りきれないが、クリスティを読んでると思っていれば十分に楽しめる。
ただクリスティを読破するぞ!と決意して読んで23冊目、もうちょっと推理ものである事を期待して読み出した頃からすると、これは本当に自分が読みたいジャンルの小説なのか?との疑問も湧いてきた…今3冊に一冊はクリスティと決めて読んでたけど、ちょっと間を空けてみようかな。この作品もよく出来てるとは思うけど、なんか素直に楽しめなくなってる気がする。 -
財産を成した男、その援助をあてにする兄弟姉妹や甥姪。そこに男が結婚した若い女が。「死が最後にやってくる」と同じ構造だ。死が~が古代エジプトなのに対し、こちらは第二次世界大戦が舞台。死の直前に結婚した若い女の出現で遺産の行方が変わることによる事件。
そこに空襲で死んだり、戦争に行ったり、銃後を守ったり、その戦争の影と、遺産をなんとかものにしようとする双方の駆け引き。植民地が世界各地にあり財を成す場所も世界各地。そこで結婚すれば兄弟であろうと妻の顔は知らない、こういう設定がクリスティではけっこうある。イギリスの事情が興味深い。そしてそれがこの事件の鍵になっている。
舞台は1946年春、男は空襲で死に、遺言が無かったことから遺産はその若い妻に。妻にはやり手の兄がいて兄弟姉妹を寄せ付けない。男の側と妻の側の家の格差、資産家兄弟は弁護士や医者や農業とちゃんとした仕事をしているが、どこかで亡兄の資金をあてにした生活をしている。海軍婦人従軍部隊に参加したリン、リンの母は60過ぎて無職だが戦争中は疎開者を自宅に受入世話をした。従兄のローリイ兄弟は弟が戦争に行き兄のローリイは農業に従事した。これは1人は農業に従事すべきという国令に従ったものだ、などという興味深い記述がある。弟は戦死したが、残った兄も戦争に行かなかったことでとても生きずらかったのだとの吐露がある。
1948発表
2004.6.15発行 2012.11.25第4刷 図書館 -
「満潮に乗って」
なんてミステリー小説には、似合わないタイトルだこと……。
全てが顔見知りのような田舎
一代で富を築いた男の死と、遺産をめぐる親族と若い妻。
ポアロは単に人の話を聞いてまわるが、読んでいる読者は「たぶんこうだ」と思うもののなかなか辿り着けない。
だって満ち潮に乗って(勢いにまかせて?)事件を起こすミステリー小説があるはずが無いって先入観があるから。
これが成立するのは、作者の巧みなわざと登場するひとりひとりの魅力が、読んでいる者をずっと惹きつけているから、と、ラストシーンを読み終わって感じた。
終わってみたら、結構面白いお話でした。 -
ポアロシリーズではこれと「カーテン」を最後に残しておいたのは、タイトルがなんか惹かれなかったから。
でもこんなに面白い本、意図してないとはいえあとに残しといてよかった!
どんな予想も全て裏切られた。
オススメを聞かれたら間違いなくBEST5に入れます。
-
アガサクリスティー。ポアロシリーズ。
お金持ちの未亡人とそれを取り巻く人々のお話。
お金を受け継いだ気弱な未亡人とその兄が今までそのお金に頼ってきた一族と対立する。その中で未亡人側の弱みを握った脅迫者が殺され、それをきっかけに第2、第3の死体があらわれる。
丁寧に作られているが、少し物語としては地味だと思う。
また無理に恋愛色を出す必要はないと思った。
著者プロフィール
恩地三保子の作品
