葬儀を終えて (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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本棚登録 : 707
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300257

作品紹介・あらすじ

リチャードは殺されたんじゃなかったの-アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、その遺言公開の席上、末の妹のコーラが無邪気に口にした言葉。すべてはその一言がきっかけだったのか?翌日、コーラが惨殺死体で発見される。要請を受けて事件解決に乗り出したポアロが、一族の葛藤の中に見たものとは。

感想・レビュー・書評

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  • みなさんがちょくちょく感想あげていた憧れのクリスティーを遂に読む。

    上流階級の優雅なお喋りと、ポアロの余裕綽々なゆったりとした推理が心地よく、実は夏風邪でしばらく寝込んでいたんですが、格好のお布団の友になった。
    最近流行りの特殊設定ミステリも刺激的で面白いけど、古き良き名作ミステリも、やっぱりすごくいい。
    他の物語も読んでみたい。

    しかし、この結構大胆なトリック、荒々しい犯罪、体を張った隠蔽工作を、意外なあの人が澄まして実行してる様子を想像するとゾッとする。

    • 111108さん
      ロッキーさんお返事ありがとうございます!

      しばらく読書三昧でゆっくりお過ごしくださいね。
      そうなんですよね〜危ういトリック!そこがまた魅力...
      ロッキーさんお返事ありがとうございます!

      しばらく読書三昧でゆっくりお過ごしくださいね。
      そうなんですよね〜危ういトリック!そこがまた魅力でもあります。
      おすすめは、好きなのが多くてとてもとても迷うのですが、とりあえずポアロものとして
      「スタイルズ荘の怪事件」
      「五匹の子豚」
      「白昼の悪魔」
      「メソポタミヤの殺人」
      「杉の柩」
      あたりでしょうか?
      自分が大好きなのと意外性大なのとツッコミ満載なのとが混ざっております笑
      2022/08/27
    • ロッキーさん
      温かい言葉ありがとうございます、安静にします…。

      そして沢山のおすすめ作品嬉しいです!!クリスティー作品、題名だけでもかっこよくてわくわく...
      温かい言葉ありがとうございます、安静にします…。

      そして沢山のおすすめ作品嬉しいです!!クリスティー作品、題名だけでもかっこよくてわくわくする感じがあり、そこも魅力ですね。
      ポアロもの他にどれも読んでないので、まずは111108さんイチオシ作品から攻めていこうと思います。
      どれが大好きで、どれが意外で、どれがツッコミ満載なのか楽しみです笑
      2022/08/27
    • 111108さん
      ロッキーさん

      そうなんです、ツッコミ満載とかあえて混ぜ混ぜしてあるので読んでのお楽しみということで‥笑
      ロッキーさん

      そうなんです、ツッコミ満載とかあえて混ぜ混ぜしてあるので読んでのお楽しみということで‥笑
      2022/08/28
  • まだクリスティにハマってる。「だってリチャードは殺されたんでしょ?」すべてはその一言がきっかけだったのか?って!あらすじチラッと読んだだけでもう面白い!結末もビックリだけど、一族全員が集まって形見分けの様なことをする時の会話の面白さ、テンポの良さ、まだまだクリスティブーム続きそう。

  • クリスティの凄い所は傑作、良作が多い事だ。好きな作品を5つあげよと言われればある程度気分により候補が分かれるのだが、簡単にいえば90点以上の作品が物凄く多く、傑作をあげよと言われたら数十作程挙げられるのでは無いだろうか。
     今作「葬儀を終えて」も紛れもなく傑作であり、導入部、少し風変わりなコーラという女性が兄の葬儀の場にて兄は殺されたのでしょ。と口走る。葬儀に参加していた人々はその言動を馬鹿にするが、心の中では疑惑を抱えている。そんな中、コーラが何者かに惨殺される。家族と昔から付き合いのある弁護士エントウイッスルは旧友であるエルキュール・ポアロに真相解明を依頼する。
     イギリスの昔風の田舎の屋敷で起こるミステリーは現代の僕たちからしたら新鮮であり、優秀な執事、料理人やお手伝いさんを抱え、華やかなイメージだが、クリスティの時代背景にはそれらの栄光から消え掛かった、現代風の生活に変わってゆく過渡期が背景になる事が多い。今回の執事の嘆きにある様に、決して過去の栄光に戻る事はなく、そんな舞台が美しく抒情的に思てしまう。
     今回はポアロ単独さくであり、ヘイスティングスもオリヴァも登場しないが、動機やトリックは秀逸であり魅力的な作品だ。少なからずクリスティ作品では、最も犯人と思えない人が犯人であり、最も犯人であるべき人がきちんと犯人になる。そのため、読了後作品に対して納得出来るし、幸せになるべき人物を幸せに描くためとても気持ちが良い。
     僕は過去、この作品を初めて読んだ時(昔の文庫にはバーコードがついていない為、ブクログ登録が出来ないのが残念)動機とトリックにとても関心してしまった。現代であれば、科学的な見地から難しい部分が沢山あるのは事実だが、この時代であればアバネシー家を漂う数々の謎がミスリードになっており十分に読者を惑わせてくれる。
     構成として、既に人が亡くなってからの、葬式から始まるという事がタイトルと相まって暗い印象を創っている。登場人物其々が叔父の死を喜んでおり、遺産によって救われる人達ばかりだ。
     この時代背景も現代に通じる部分がおおく、読み進める負担がない理由だろう。
     
     しかし面白い作品だ。探偵の登場が後半になる作品がいくつかあるがポアロの活躍を十分に見る事ができた。彼も既に歳を取っているが、灰色の脳細胞は健在であり、今回の事件のきっかけ(本筋の殺人の偽装)を見破った事は驚愕だ。
     外国人としての偏見を理解し利用する様もかれの能力だと思う。

  • 顔の判別を出来なくするためとはいえスプラッタホラー顔負けの凄惨な殺人…同居生活の鬱憤が相当酷かったみたいだけど、最後の愚痴めいた激白みたら私怨という程でもなく、ラスコーリニコフ的な社会への憤りか? 読後一年で犯人と大筋以外はかなり頭から消えていた。激しい自虐の自作自演はなかなかツボ。

  • 人が言うほどいいと感じなかったなあ。読みが浅いのか、求めているものが違ったか。

  • 魚の目軟膏剤で財を成したアバンシー家の当主リチャードが死んだ。1人息子は1年前に亡くなり、弟妹甥姪6組が葬儀に集まり、顧問弁護士によって遺産は6等分されると発表されると、末妹のコーラが「リチャードは殺されたんじゃないの?」と発し、一同疑心暗鬼に陥る。が当のコーラも次の日殺されてしまう。弁護士からの依頼を受けポアロが真相解明に乗り出す。

    リチャードやコーラの死を悲しんでいるものはおらず、皆実は金に窮乏していて、ちょうどいいところに遺産が入りそれを目当てに新しい生活を描き始めていた。犯人は度胸あるね、う~ん、そのトリックありうるかな? という気もするが、遺産をめぐるそれぞれの思惑の描写が上回り、どんどん読み進む。

    1953年の発表だが、財のあるアバンシー家の兄弟、甥姪も金があればあくせく働く必要などない、という考えに捉われている。一方労働者階級として、店員である姪の夫と、コーラの家政婦を登場させている。階級の底にある敵対心がベースになっているといえる。クリスティはどちらの心情も描写しているが、やはり中産階級だな、と思う。「杉の柩」と似ている。


    1953発表
    2003.11.15発行【2015.12.15第6刷 図書館

  • 「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」
    してやられたなーという印象。意外な犯人。
    性格の悪すぎる登場人物も、使用人は立ち聞きをするものだし手紙を盗み見るもの、っていう決めつけも、定番ですごく楽しい。
    本筋にはあまり関係ないけど、ポアロの「受け取ることができない人間に与えることは不可能ですよ。」って台詞が好き。

  • すばらしい………。何度読んでも面白い。でもどういう風にいいのか、ちょっと説明しにくいんですね。えーっと、どこがいいんだろう。
    旧版の解説は戸板康二さん。戸板さんは好きだけど、この文章はあらすじをダラダラ書いているだけでちっともおもしろくない。
    新版の解説は折原一さん。これがベスト1だなんて、趣味がいいですね。でもどこが面白いのか、これを読んでもやっぱり分からない。むずかしいなあ、『葬儀を終えて』。間違いなくすばらしいのに、どこがすばらしいのか指摘できない。
    う~ん、引き分けです。

    2006年12月1日記

  • ポアロものの傑作!
    「あら、リチャードは殺されたんじゃなかったの?」大富豪アパネシー家の当主リチャードの葬儀を終えた後の遺産分割の家族会議の際、変わり者で末の妹コーラは無邪気にいった・・・・。
    出だしからぐいぐい引き込むストーリ展開は素晴らしい!さすがクリスティ♪
    そしてコーラは次の日に殺害される。
    果たして誰が、何の為に?!

    ラストは実に意外で人間の心理の洞察の深さを感じました!忘れられない作品。

  • なんとな〜く、家政婦の証言を信じなければアッサリ片付きそう、とは思ったが、ここまで捻られているとは思わなかった。読み返すと確かにウキウキしているシーンではコーラと呼ばれてなかった。脱帽。

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