ブラック・コーヒー (小説版) (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300349

感想・レビュー・書評

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  • 科学者サー・クロード・エイモリーは、ポアロに国家機密の化学式を国防省の役人に手渡す役目をお願いする。頼みを引き受けたポアロは彼の屋敷へと向かうが、到着前に書類が屋敷の住人の誰かに盗まれてしまう。部屋を暗くしている間に書類を戻すよう皆に伝えたサー・クロード・エイモリーだが、明かりがついたとき彼は息絶えていた。
    犯人は誰か。そして化学式の行方は。

    ポアロ長編を読み進めてきて、いよいよラストの『カーテン』を残すのみ、と思っていたら、この本が刊行されていた。戯曲の小説化なので、戯曲で読もうか、と迷った末結局読んだのだが、やはり戯曲で読むべきだった。
    まず、文章がぎこちなく説明的なのである。あれ、と思ってあとがきを見ると、なんと小説版はクリスティ研究家が書いた、とあるではないか。せっかく親友ヘイスティングズも登場するのに、妙に言動が堅苦しく、おちゃめな魅力も半減である。
    ミステリとしても、別の作品と同じトリックが使われており、あまり驚きはない。うーん、これは戯曲で読んだ方がよい。さらに良いのは演劇を観ることなのだろうが、なかなかそれは望めない。

    とはいえ、長編の中では短めでさくっと読めるので、『カーテン』を読む前の軽い助走ということで良しとしよう。

  • 戯曲の小説化だが、書いたのはクリスティー本人ではなく研究家の手になるそうだ。
    元の戯曲は読んでいたので、この小説版を読むことで、話がより立体的になったとはおもう。が、クリスティーは戯曲として書いているので、やはり演じられる劇を観てこその話だよな、という認識を新たにする。今なら三谷幸喜脚本とかで、映像でやっても面白いかも。
    あと、やはりクリスティーの語りは抜群に巧い、というのもよくわかる。サーヴィスのつもりなのだろうが、研究家は余計なことを書きすぎるんだよね。現代的な視点や表現が混ざり込んでいるのも気になった。

  • (あらすじ;引用)
    晩餐後、科学者サー・クロード・エイモリ―は家のものを集め「この中に極秘文書を盗んだ者がいる」と叫んだ。部屋を暗くしている間に書類を返すことを彼は勧めたが、明かりがつくと殺されていた。彼から国家的大問題について相談したいと言われていたポアロは、真相を追うが……巧みな構成による、同名戯曲の小説版。

    (登場人物)☆探偵、警察側●被害者 番号犯人候補
    ☆エルキュール・ポアロ…私立探偵
    ☆ヘイスティングズ大尉…ポアロの友人
    ●サー・クロード・エイモリ―…科学者
    ①リチャード・エイモリ―…クロードの息子
    ②ルシア・エイモリ―…リチャードの妻
    ③キャロライン・エイモリ―…クロードの妹
    ④バーバラ・エイモリ―…クロードの姪
    ⑤エドワード・レイナー…クロードの秘書
    ⑥トレッドウェル…執事
    ⑦ドクター・カレリ…エイモリ―家の客
     ケネス・グレアム…医師
    ☆ジョンソン…警官
    ☆ジャップ…警部

    感想
    数多くの登場人物がいながらそれぞれに個性と役割を与える描写の構成力は流石クリスティーと感じた。
    ただ、本質のミステリーとしての出来は個人的は40点くらい。

    事件の状況的に犯人の候補が7人しかいないのと、序盤から挙動不審な人物が多すぎて逆に真犯人を絞りこめてしまった。⑥トレッドウェルは状況的に犯行ができない。
    ①リチャード、②ルシアは冒頭から怪しすぎ。③キャロライン、④バーバラはヘイスティングズとのイチャイチャに終始して犯人役としてはフェードアウト。

    いきなりルシアの知り合いということでやってきた、謎の医者⑦ドクター・カレリも怪しすぎ!
    消去法で意外な真実を提示するなら…と考えたら半ページ読み終えたところで犯人だけはわかってしまったのが残念。

    しかし、最後の締めまできっちりやりきるのがクリスティー。犯人に罪を認めさせるまでのポアロの活躍にも物語が盛り上がる。

    ミステリー要素には不満があるものの、物語としては十分に楽しむことができた。戯曲版もぜひ読んでみたい。

  • 小説版と、オリジナル戯曲と両方読んでみた。

    こちらの小説版のほうで気に入ったセリフが、オリジナル戯曲にはなかったりして、へー小説で付け加えたのだったか(それもアガサ本人じゃない)…とちょっと驚いた。

  • ブックオフ。推理物だけは3色ボールペンのうち緑しかつかえないね。

    女の勘よりも私は男性の論理的思考を愛する。それよりさらに想像力のきいたポアロの推理を愛する。

  • 2004年発行、早川書房のクリスティー文庫。戯曲版のブラック・コーヒーは既読。なのだが意外と覚えていなかった。当然なのだが『登場人物の事情がいろいろと露見する』部分は同じのはずである。ただ、なんとなく、その事情が戯曲版の方がはっきりしていたような気がする。確かではないのですが。

    解説:「ホットチョコレート好きのポアロが探る、ホットコーヒー殺人」(料理研究家&料理探偵)貝谷郁子、

  • コーヒーのなかに毒物が。タイトルの「ブラック・コーヒー」がこの物語の始まり。お馴染みのポアロとヘイスティングスが活躍するクリスティの名作。

  • ポワロの戯曲と言う事でかなり気になって購入しました。ヘイスティングスが好きなので、ポワロと共に登場した時は嬉しく思いました。内容としてもそこそこ面白くて満足しました。個人的にはヘイスティングスとバーバラのやり取りが好きです。

  • 久しぶりにポアロに会いたいなと思ってアガサ・クリスティーを読んだ。
    もともと戯曲らしく、たぶんこの読書室のワンシチュエーションなのかなぁと想像しながら読んで、面白かった。
    人の出入りが伏線になったりトリックになったりしていて、それもとても、舞台っぽい。
    だが私、殺人のトリックが未だわからない。あの人はいつどのようにあれされたんだ?

  • 脚本?台本?読むこと あまり無いので読みにくかったけれど、これだけ細かに役者の動きが書き込まれているのだな、と感心した。舞台上が目に浮かぶよう。

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著者プロフィール

1890年、英国、デボン州生まれ。本名アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラー。別名メアリ・ウェストマコット、アガサ・クリスティ・マローワン。1920年、アガサ・クリスティ名義で書いたエルキュール・ポアロ物の第一作「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。以後、長編ミステリ66冊、短編ミステリ156本、戯曲15本、ノンフィクションなど4冊、メアリ・ウェストマコット名義の普通小説6冊を上梓し、幅広い分野で長きに亘って活躍した。76年死去。

「2018年 『十人の小さなインディアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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