- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151300363
感想・レビュー・書評
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攻略本高評価につきミス・マープル長編を久々に読む。昔読んだ時はミス・マープルの推理に不可欠な「村人達のゴシップ」が冗長でちょっと苦手なイメージだったが、今回は些細な疑問から見事に真相を導き出す仕掛けとして逆にとても楽しかった。
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気分を変えてミス・マープル。『鏡は横にひび割れて』から時間を遡り、マープルシリーズ2冊目にあたる、ゴシントン館が巻き込まれる事件です。
なんだか今作は、被害者が登場人物たちとそこまで接点が深くないのもあってか、ふわふわしたままお話が進んだ印象。殺されたルビー・キーンが、関係者全員から「頭のよわい子」と言われすぎてなんだかかわいそうになってしまった……笑
そして真相がわかってみれば、とにかく巻き込まれたにすぎないパメラとバントリー夫妻が気の毒で。いかに良好な付き合いをしていようと、人間はくるくる手のひら返しをするものだよなぁと考えさせれたりもしました。
トリックや動機は正直そこまでハッとするものはなかったのですが、これまで読んだクリスティー作品の中で最もくだけた表現が多いような気がして、井戸端会議を盗み聞きしているような楽しさがありました。この直前に読んでいたのが『Xの悲劇』だったので、読みやすすぎてびっくりしましたねw
『火曜クラブ』を読んでバントリー大佐夫妻が好きになった方には、ぜひ一読をおすすめしたい1冊です。
(追記)
これを読み終わった日にたまたま見ていたポワロさんのドラマでも、書斎で死体が発見されていました。
日本人には書斎ってあまり馴染みがないと思うのですが、そんなに犯行に適しているんですかね……?一人でいることが多いから? -
書斎に死体なんて探偵小説の中だけのはずが、現実に見知らぬ女性の死体がバントリー家の書斎で発見された。ドリー夫人はミス・マープルとともに調査を始めると、意外な繋がりが浮かび上がり──。ミス・マープルが活躍する長編第二弾。
ミステリでは王道すぎる書斎の死体!それを目の当たりにしたバントリー夫妻。まったく見覚えのない女の死体に困惑したドリーが助けを求めたのは、村の名探偵ミス・マープルだった!
「ううん、慰めてほしいなんて思ってないわ。ただね、あなた、死体となれば得意でしょ」
どういう呼び出し方なんだ(笑) 全体的に(ブラック)ユーモアを感じさせるセリフ回しがあり、サクサクと読み進められる。サー・ヘンリーがマープルを紹介するセリフもカッコいい。
「階下のラウンジの左から三番目の柱のそばに、いかにも独身といった感じのやさしい落ち着いた顔をした老婦人がすわっている。人間の心の奥底に潜む邪悪さを見抜き、それをあたりまえのこととして受け入れてきた人だ」
強キャラ感がすごい!実際に強いけど。
富豪・コンウェイ・ジェファースンの義理の孫・ピーター(9歳)の発言にもヒヤヒヤする(笑) 彼が被害者の爪を発見し、「ぼく、これに“殺された女の爪”って書いたラベルを貼って、学校に持ってくんだ。すてきな記念品だと思わない?」いやいや、記念品て!周りの大人も止めてあげてよ(重要な証拠ではあるんだけど)。闇落ちしたコナン君みたいな証拠の出し方してきて苦笑い。あと、捜査に行き詰まったメルチェット(警察本部長)が検死をしたヘイドッグ医師に死亡推定時刻を「もうすこし延ばせないかな」と訊ねるのも好き。それで延びちゃ困るだろと(笑)
「アリバイなんて、この世でいちばんあやふやなものです。無実の人間はアリバイの用意なんてしませんよ! おまけに、アリバイが成立するかどうかは、被害者の死亡時刻や何かにかかってるわけで(略)」
ミステリを読んでるとアリバイって当たり前の要素なんだけど、言われてみればそりゃそうだよなあ。用意してるとおかしいけど、用意してなければ怪しまれる!理不尽!
というコミカルな流れもありつつ、どうしても事件を解決したいというドリーの強い思いに心打たれた。事件に関係なくても、未解決で終わったなら村の人間から白い目で見られてしまう。夫・アーサーにそんな思いをさせたくないという夫婦の絆。さらには、妻と実子たちを事故で亡くし、その配偶者たち(義理の息子と娘)と暮らしているコンウェイとその家族の物語も味わい深い。書斎の死体という直球の謎に捻りを加えつつ、ドラマで結ぶという安定の面白さだった。 -
あまりに完璧な出だしに、私もう今後一生クリスティだけ読んでればいいんじゃない?と本気で思った。
あー面白かった!
序文や、作中人物が読んでいる作家に自分の名前を入れるなど、クリスティの茶目っ気も炸裂。
真相も面白かったけど、ラストがねー!
やられた!
そして今作を読んですぐに2000年代のドラマ版を見たところ、大胆な改変をしてあってびっくり。
私は好き。
二度楽しめて大満足。 -
クリスティの長編ミステリー。マープルシリーズ。書斎で死体が見つかるというミステリーありがちの設定であるが、クリスティにかかれば読者を惑わせ、迷走させる絶好の舞台装置になる。
導入から読者へ謎を提起し、全く面識の無い屋敷で発見されたブロンドの若い女性の死体。彼女が誰で、なぜこの屋敷で殺害されていたのか、が提示されて、その後、彼女だと思われる失踪者が踊り子として働いていたホテル、そこに滞在する大富豪、そして死体が発見された屋敷の近くに住む若い胡散臭い男と女と登場人物が出揃う。
物語が進行していく中で、村の石切場から若い女性の焼死体が発見され、更に事件は混迷を極める。
マープルは死体が発見されたやかたの夫人の友人であり、夫人から謎を解くための協力を要請される(昔の人にとっては他人の死は一種のスリルであり娯楽だ。)ヘンリー卿もホテル滞在中の金持ちから依頼があり、引退した身でありながら彼に協力する。
何より、作中の登場人物達がマープルの知り合いであり彼女に協力してくれる人達だ。現代ミステリーでは警察は素人には協力しない、情報は話せないの一点張りでヤキモキする事が多いが、この時代には捜査上のモラルは存在するが案外協力的であり、スムーズに進行していく事が多い。
警察では突き止められない真実もマープルと協力する事で得る事もあり(女学生の扱いは流石だ。というより、警察が鈍感なのか。)
クリスティの作品において、悲劇的な被害者は沢山いるが今作の被害者達はとても不幸であり不憫な人達だ。犯人について、動機の部分はあくまで統一されており、犯人は必ず殺人によって利益がもたらされる、若しくは愛憎によるものであり、突飛な理由(現代のサイコパス的な理由)は少ない(全く無いわけでは無い)。今回も例に漏れずなのだが全くコンセプトに古臭さを感じないのは流石だ。
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ミス・マープルシリーズの長編第2弾。面白かった。人物描写が良くてグイグイ読ませる。特に事件の噂をする村人たちの描写に、ちょっと笑ってしまった。短編集「ミス・マープルと13の謎」(ハヤカワでは「火曜クラブ」)で良い味を出していたバントリー夫妻とサー・ヘンリーも登場する。
マープルが相変わらずすごく鋭くて、終盤に一気に謎が解ける展開だった。オチも良かった。 -
アガサ・クリスティーといえばポアロのイメージが強かったが、たった2冊で素晴らしく頭のきれる老女ミス・マープルに魅了されてしまった。
書斎に転がる死体なんて探偵小説の中だけーそれが我が家で起こってしまったら?ありふれた設定すらもミステリーの女王の手にかかれば、たちまち上質で面白い展開へと変わってしまう。
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今だったらすぐバレてしまうのでできないトリックだった
バントリー夫人のマープルさんへの信頼が芝居がかってて好き あらぬ方向にすごいのよこの人!とか言ってて 突然降りかかってきた不幸にめげずに明るくたくましく向かっていっててそこも好き