ポケットにライ麦を (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

制作 : 宇野 利泰 
  • 早川書房
3.65
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本棚登録 : 543
レビュー : 68
  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300400

作品紹介・あらすじ

投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟まれた絞殺死体として発見された事件があった。義憤に駆られたマープルは、犯人に鉄槌を下すべく屋敷に乗りこんだ。マザー・グースに材を取った中期の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • アガサ・クリスティーがすごいのは、読者の犯人探しの視点を完璧に捉えていることだと思う。

    この事件の中心は複雑な家族関係を抱えた豪邸水松荘。けれど冒頭は被害者の職場にあるタイピング室から始まる。結論から言うとタイピング室は事件に無関係で、冒頭以降の物語はすべて水松荘で展開される。
    だけど、だからこそ、ミステリ好きの読者はその導入部分が気になってしまうのでは。タイピング室の人間関係や描写が軽快でわかりやすいのもそれを助長する。あのタイピング室は一体? 美人秘書のミス・グローブナーは事件後なぜ辞めたのか? もしや犯人はタイピング室に… と考えてしまう。

    ミステリのトリック・種明かし自体はちょっと弱い。でも解答への道のりはちゃんと小説内に書かれているし、結局はそれ以外に答えはない。それでも読者をさりげなく惑わせるのは、アガサ・クリスティーの一筋縄ではいかないミスリードの手腕。さすがはミステリの女王!

  • 「ミス・マープル」シリーズを初読み。

    ポアロ以外を初めて読んだが
    クリスティーっぽさを感じられた。

  • いつになく怒りに燃えたマープルに、こちらも心を揺さぶられた。穏やかで可愛らしい老婦人のイメージが修正された。ラストのセリフのたった一言に、被害者の愚かさと哀れさと切なさが凝縮されててすごい。

  • 要するにメロドラマである。
    ただ――クリスティは、メロドラマがめちゃくちゃうまい作家だった。

    こういう人間心理の機微というか、あやというか、襞をこまやかに突くのが、女性はうまい。
    だから男は「そんなことができたからとて何になる、取るに足りぬ能力だ」とレッテルを貼り、もって女性は優れ、男は劣って「いないことにした」。逆ベクトルの「30kgの鋼材を持ち上げられる」とかはことさらに称揚する(現代では重機がいくらでもあるのに)のと理屈は同じ、マウンティングのためのいつものペテンである。
    物理トリックは小粒、だが心理劇の演出が抜群にうまいクリスティという作家が、いかに知名度が高かろうと、ちょっとマニア入ってきたミステリ読みには途端に軽視されてきた所以がここにある。
    すなわち、「クリスティは女性だったから」だ。

    まあそんなわけで、いつものクリスティの、いつもの仕事である。
    冒頭からの、めちゃくちゃ大胆なネタバレ。
    どいつもこいつも怪しげなお屋敷の住人たち(なかんずく、夫・恋人としての男性キャラたちの、揃いも揃っての不誠実さよ。これが人間観察・人間描写に長けたクリスティの見る「リアル」だったわけだ)。
    さりげなく張りめぐらされた、周到な伏線。
    読者の興味を持続させるために、あざといばかりのサスペンス。
    「いつも」でないのはつとに名高いミス・マープルの義憤、そしてラストの胸を打つ慟哭で、これをもって本作は、世に傑作として知られている。

    いつものクリスティの、いつもならぬ傑作。
    「典型的なクリスティ」を、どれかひとつ読むならこれだろう。おすすめ。

    2018/7/20~7/24読了

  •  ミス・マープルシリーズ。
     火曜日クラブのように、登場人物が事件の話をして、それを聞いて推理する、て展開でなく、実際に起こった事件にマープルさんが乗り出す形。

     キャラの細部まで作り込まれていて、最後にいろいろ分かったときには、ホント、おぉ…! てなった。

     あと、もしかしたら誤植かもしれないけど、大津波悦子さんの解説の口調が、何かちょっとおかしいところあるんだけれど。
     「決まってるんじゃなかったけ。」て、どこかの方言?

  • ミス・マープル物の第6弾。ミス・マープルのベストに挙げる人も多いので気になっていた作品。いつもは俯瞰して事件の推理を組み立てるマープルが、今回は怒りに燃えている。マザーグースになぞらえて起きた3件の連続殺人で、マープルの仕込んだメイドが殺されるからだ。複雑に絡み合う登場人物の思惑が事件をかき回すが、マープルが現場に乗り込み、正義の鉄槌を下す。

  • 2018/03/24読了

  • 犯人、意外な奴だったなぁ。

  • アガサ・クリスティーの作品は初めて手に取った。非常に読みやすい印象。訳が素晴らしいからなのかな…。

    ストーリーや犯罪動機、トリックは特段目を見張るものではないが、読んでいるだけでなんだか優雅な気持ちにさせてくれる心地のよい作品。

  • さすがアガサ・クリスティ。
    先入観は危険だと思わせられるのも見事だし、ヒントはきちんと作中に散りばめられているのもすごい。
    最後のシーンがより一層全体の筋を引き締めているなあ。

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