復讐の女神 (ハヤカワ文庫)

  • 早川書房 (2004年1月16日発売)
3.85
  • (57)
  • (81)
  • (68)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 831
感想 : 81
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784151300455

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【マープル】
    クリスティーが最後に書いたマープル作品。
    1971年81歳の時に出版した。

    37歳の時に執筆した最終話『スリーピング・マーダー』よりも、この作品の方がマープルの集大成のように感じた。
    最後に読んで良かった。

    『カリブ海の秘密』の続編。
    大富豪のラフィールがお膳立てした英国庭園バスツアーに参加したマープルが事件の謎を解いていく。

    ミステリーとしては犯人もわかりやすいし、事件の全容も見えにくいのでキレは感じない。同じようなことを繰り返すシーンや説明が冗長に感じられることもあった。

    でもこれは歳をとったクリスティーの味わいでもあるのかなと思った。
    こんなにすごい長編を書けるくらい、亡くなる直前までずっとお元気だったことも嬉しかった。
    「守護天使さま」に、クリスティーは本当に守られていたのかもしれない。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。
    ★3.5

    マープル長編作品12作品を全て読み終わったけど、マープルはハズレが一つもなかった。
    全部それぞれ面白い。

    驚くのが晩年でもすごく面白いということ。
    クリスティーとマープルの年齢が同じになってからは、クリスティーがマープルに乗り移っているような感じさえした。
    40歳代で描いたマープルよりも、70歳過ぎてからの方がマープルが生き生きしているように感じた。
    晩年までのたくさんの素晴らしい作品を読むことができて幸せな読書時間でした!

    自分のマープル作品ベスト3はブックリストに載せました(⁠*⁠˘⁠︶⁠˘⁠*⁠)⁠.⁠。⁠*⁠♡

    ポアロはまだ未読が12作品もある。
    (攻略本で高評価の作品はほぼ読んでしまったけど)

    クリスティー作品を結構読んできたように思ったけど、他のシリーズもあるので100作品中まだ47冊しか読んでなかった(^_^;)
    まだまだ楽しみは残ってる♪

    全部読み終わった頃には最初の方は完全に忘れているので、エンドレスクリスティーを楽しめるかもしれない笑

    • なおなおさん
      もうずっとクリスティを読んでおりません。何を読んだらいいのだろう…
      Naotyさん、すごい!
      めろんさんは、ヒマーワリ・ド・メーロンとか色々...
      もうずっとクリスティを読んでおりません。何を読んだらいいのだろう…
      Naotyさん、すごい!
      めろんさんは、ヒマーワリ・ド・メーロンとか色々と名乗られるので、“メロン”と呼んじゃっても大丈夫と思いますよദ്ദി (^_^;) ✧
      2024/12/15
    • Naotyさん
      なおなおさん

      妄想プロデュースbyなおなおさんの大ファンなので、できればいつか第3弾もお願いしたいです(*^^*)

      演技派揃いのキャスト...
      なおなおさん

      妄想プロデュースbyなおなおさんの大ファンなので、できればいつか第3弾もお願いしたいです(*^^*)

      演技派揃いのキャストに加えて、ジャニーズ枠あり、1度使った俳優は呼ばないなどの縛りルール、なおなおさんの妄想大好きです(*^_^*)

      ひまわりめろんさんの『読まずにレビュー』『ひまわり大賞』も大ファンです!(*^。^*)
      2024/12/15
    • なおなおさん
      Naotyさん、あちらへいいねをありがとうございます。
      クリスティの戯曲の妄想キャストプロデュースなんて生意気ですよね〜〜。恥ずかしいです^...
      Naotyさん、あちらへいいねをありがとうございます。
      クリスティの戯曲の妄想キャストプロデュースなんて生意気ですよね〜〜。恥ずかしいです^^;
      クリスティ以外の戯曲で妄想プロデュースの構想を持っております。ついに、よしもと枠まで!(笑)
      2024/12/15
  • 『カリブ海の秘密』続編。ミス・マープルがカリブ海で知り合った富豪からの遺言で謎解きする。面白い仕掛けだが前作の回想シーンが何度も出てきて食傷気味。もうすっかりデキる探偵となったマープルが遠い存在になり少しさみしい。守護天使は良かった。

  • 今回マープルにバスツアーの依頼が!依頼人は富豪(故人)ラフィール氏(カリブ海の秘密に出てきたおじいちゃん)。マープルに何をしてほしいのかが全く解らない。バスツアー中に出てくる、ワンステッド教授、テンプル(元校長)、3姉妹、怪しい2人。バスツアー中に色んなヒントが。。。ラフィールの息子が女殺しで逮捕されている。もう1人の女性が行方不明。さらに事件が!テンプルが登山中に落石で瀕死の状態。マープルに遺言(女殺しの理由は愛だ!)を残す。犯人は外れたが、今回もドキドキの展開でした。マープルシリーズあと1冊で制覇だ!

  • ミス・マープルもの。

    『カリブ海の秘密』の続篇といえる本作。
    西インド諸島に滞在した時に知り合った、大金持ちのラフィール老人が死去し、彼の遺言にてミス・マープルに“ある犯罪調査をしてほしい”といった意味の依頼がされますが、具体的な内容は何も書かれていませんでした。何を調査するか不明なまま、ラフィール翁の手紙の指示に従ってバスツアーに参加するミス・マープル。
    途中までは暗中模索状態のマープルさんですが、ツアー中に起きた“事故”をきっかけに、徐々に物事が動き出します。
    そこで浮かび上がってきたのが、以前に起きた少女殺人事件と、ラフィール翁の息子との関わりについてで・・。
    今回は秀逸なミステリであることは勿論なのですが、それ以上に“愛憎劇”といえる内容です。まさに“愛が過ぎた”故の悲劇でした。
    犯人については、割と予想しやすかったと思いますが、“守護天使”は完全にやられました。ドッキリ(?)に引っかかったような気持ちです。
    と、いう訳で今回もクリスティーにあんぐりさせられました。流石ですねー。

  • 大好きなミス・マープルシリーズ。全13作の中の最後の作品。
    カリブ海の秘密、からの続編となっている。
    とはいえ、カリブ海の秘密を未読でも楽しめます。

    前作、「カリブ海の秘密」で、旅行先で出会った老富豪ラフィール氏とミスマープルは協力して旅先で起こった殺人事件を解決した。
    あれからさらに時が経ち、ミスマープルは新聞の死亡記事でラフィール氏が亡くなったことを知る。
    ところが、死んだラフィール氏からミスマープルにある事件を調べてほしいという依頼があった。なんのヒントも手がかりもないまま、ラフィール氏の手配で、イギリス国内の邸宅と庭のツアーに参加することになったミスマープルに待ち受ける事件とは…

    81歳のアガサクリスティーが描いた、ミスマープルの気迫に満ちた凛とした姿のかっこよさったら!
    こんなおばあちゃんになりたい!
    ピンクのふわふわの毛糸のショールをつけているのに!
    そもそもの事件自体が何かわからない。
    いつものようにミスマープルが出会った殺人事件を調べるのではなく、ラフィール氏が何をミスマープルに調べてほしいのかを推理するのがこの小説の新しいところ。
    怪しいと思う人物が何人か出てくるんですが、どれもダミーなんですよね笑。

    まだ未読の作品もあるので、コンプリートしたいと思います^_^

  • 今まで読んだマープルシリーズは、どちらかというとマープル以外の登場人物によって調査が進められていたものが多かったので、今回のようにマープルの場面がほとんどの作品は私には珍しく、いつもと違った雰囲気を味わうことができた。
    前作『カリブ海の秘密』でも印象的だったピンクのフワフワ、あの作品の中でこの場面だけが、話の要点は忘れても記憶に刻まれていた。今作でラフィール氏があのフワフワに言及した瞬間に前作と繋がり、しかも「ネメシス」という暗い響きとギャップが大きいこともあり、強烈な印象を残した。
    事件の真相を、人や家から漂う「暗さ」から嗅ぎとる独自の捜査方法が面白かった。

  • 以前カリブ海の旅行先で知り合った大富豪からの依頼で、イギリスの邸宅や庭園を巡るバス旅行に参加することになったマープルさん。
    謎めいた依頼で、主人公も読者も五里霧中の中、旅行が進んでいきます。
    なんせ登場人物が多いし、少し記述に冗長な箇所が多いかなあという気もしましたが、最後まで犯人もわからなかったし、ミステリーとして楽しめました。

    ビクトリア朝のお作法では~、とか出てくるのに、実は70年代学生運動サイケデリックの時代の話でイギリスの文化的、歴史的な変遷なども背景に感じられたのも面白かったです。

  • ミス・マープルがメネシス・復讐の女神となり解明。
    核心は「愛」。若い男への若い女の「愛」、若い女への若い男の「愛」、若い娘を我が子のように慈しんだ夫人の「愛」。「愛」の形はそれぞれ違っていた。自分の思い通りの「愛」を押し通そうとした女性の、そしてそれに犠牲になった者の悲劇。

    「カリブ海の秘密」でホテルで同宿し大佐殺しの解決に協力を求めた大富豪ラフィールが死んだ。そのラフィールはマープルにある犯罪を解決すれば2万ポンド遺贈するという遺言を残していた。ラフィールの遺言に従ってマープルは旅に出るが、その過程でラフィールの息子がからむ犯罪があきらかになり真の犯人を突き止める。

    夫人は若死にしてしまった友人夫婦の子どもをひきとり育てる。その子が大人になり結婚したいといったときそれを受け入れられなかった。「わが子のように」育てていても、やはり友人の子はペットの犬だったのだと感じる。夫人の愛は偽りで自己中心的なものだ。本当の親子ならこういう犯罪はしないのでは、と思った。


    1971発表
    2004.1.15発行 2010.9.15第4刷 図書館

  • 未読作が残り少なくなってきたマープルシリーズ(泣)たまたま前回読んだのがカリブ海の秘密だったのでその続編とも言われているらしい本作を手にした。結果すごく良かった。続けて読んで良かった~!これほど手懸かりが無いところから始まるミステリーなんてあるんか、と思った。唯一分かってるのはラフィール氏からの手紙には何かの依頼っぽいんだけど、何の事件で誰を救うのか、もしくは犯人はいるのかいないのかも知らされない。暗中模索から少しずつ、もうじりじりするくらい小さな違和感や気付きを逃さずに鋭い観察力で事件自体を浮き彫りにしていくマープルさん。ちょいちょい入る年寄りネタをアクセントに探偵力と冒険心に丸々1冊楽しませてもらった!

    • 111108さん
      マープルシリーズのカウントダウン寂しいですね。年寄りネタとか、噛み締めたくなりますねw
      マープルシリーズのカウントダウン寂しいですね。年寄りネタとか、噛み締めたくなりますねw
      2024/08/24
    • miyacococoさん
      111108さん、そうなんですよー残り何冊だか寂しくて数えてないんですけど確実にあと少しです(泣)年寄りネタいいですよね。クリスティー女史の...
      111108さん、そうなんですよー残り何冊だか寂しくて数えてないんですけど確実にあと少しです(泣)年寄りネタいいですよね。クリスティー女史の自虐でもあるのかなと思ったり(笑)
      2024/08/24
  • 「カリブ海の秘密」の続編ともいうべき作品。
    西インド諸島で共に事件を解決した大富豪の死を新聞で知ったミス・マープルは、しばし感慨にふけったいた。しかし、その大富豪から届いた手紙によって、詳細を知らされぬまま、とあるバス旅行へと誘われる。正義をなしてほしい、という願いを叶えるために。

    登場人物表の半分近くをバスの乗客が占めているが、覚えなくても全然問題ないというところに苦笑い。バスツアーのくだりは、退屈なので正直脱落しそうになったが、三人姉妹と出会ってから「何をすべきなのか」がぼんやりと判明しだしてからは、ビックリするぐらい面白くなった。
    実際使われたトリックそのものは、途中で気づいたけれど「誰が、なんのために」という部分で、ミスリードにまんまと引っかかってしまった。
    最終章で卿や大臣といった名だたる男性陣に「今までに会った最高のこわい女」「たいへんやさしくて、たいへんに冷酷」と評されるミス・マープル。作者の価値観が見え隠れしてこれも面白い。

  • 朦朧体の小品佳作。
    いやー上手い。81歳にもかかわらず、ではない。81歳ならではの上手さだ。

    ミス・マープルは『カリブ海の秘密』で知り合った億万長者ラフィール氏から奇妙な遺言を受け取る。ある捜査をあなたにお願いしたい、とあるがそれがなんの捜査なのか全くわからないのだ。後日ミス・マープルは生前のラフィール氏が手配していたバスツアーに参加し「そもそも何が起こったのか?」「誰がどのように疑わしいのか?」を探り始める。

    これね、ラフィール氏がはっきり指示を出していたら三分の一の分量で終る話なんですよ。たいして複雑な事件ではないし、独創的な謎があるわけでもない。しかし、おぼろげな過去をぼんやりと探るこの手法はミス・マープルの記憶の衰えと絶妙にシンクロし、老人の意識の流れをとらえることに成功している。読んでいて心地いいのだ。クリスティーはどこまで意識して書いていたのだろう?やはり天才と呼ぶしかない。

    もちろん全盛期の名作と比べればいろいろと落ちるところはあるわけです。バスツアーの参加者たちは生彩に欠けるし、殺人が起こっても全く緊迫感がない。ただ、老いたミス・マープルにはいまどきの人間はなかなか見分けがつかないのかもしれないし、人が殺されても大したことだとは思っていないからこういう淡白な描写になるのだとむりやり好意的に解釈できなくもない。(実際セント・メアリ・ミードでは殺人なんて日常茶飯事だろうし)
    最近強姦がよく報じられるのは娘の親がそそのかすからだ、本当は和姦なのを強姦と言い張っているのだ、というまるで曽野綾子のようなおぞましい偏見にさえ私は目をつぶってしまいそうになるけど、さすがにこれはひいきの引き倒しだと認めざるをえません。ほんっと保守反動クソババアなんだから。

    そして往年の引きの強さも健在。
    「彼女は死にました……」
    「どうして死んだんです?」
    「愛です!」
    えっ、愛ってどういうこと?
    このメロドラマ性もクリスティーの魅力。
    この事件の犯人の動機って『予告殺人』に通じるところありますよね。

    シリーズの過去作の面々が再登場するのもうれしい。まず依頼人が『カリブ海の秘密』のラフィール氏。とある人物との再会もあり。『鏡は横にひび割れて』のチェリーはすっかりマープル家になじんでいる。よかったねえ。ミス・ナイトの名前もちらりと。ミス・マープルがふとバートラム・ホテルを思い出し「あそこはすばらしいホテルだったわ!……でももう忘れてしまわないと」とひとりごちる場面も。もちろん『バートラム・ホテルにて』の舞台です。そして思わぬところからサー・ヘンリー・クリザリングの名が!『火曜クラブ』『書斎の死体』『予告殺人』に登場する重要人物ですよ。いたれりつくせりのファンサービス。老女王に祝福あれ!

    ただ『バートラム・ホテルにて』でも思ったけど乾信一郎さんの翻訳はちょっと雑じゃないですかね。大事な謎解きの場面でミス・マープルが「~だ。~があった。~した」としゃべるので興がそがれてしまいました。ミス・マープルはこんなしゃべり方しないよ。

    あ、そうそう……これを忘れちゃいけない。クリスティーはやっぱり導入部が上手いんですよ。ある朝、いつものように新聞の訃報欄をじっくり読むミス・マープル。そこに見えたラフィール氏の名。あやふやな記憶をたぐりよせ、故人を偲び、また忘れる。それから奇妙な依頼が……というこの優雅な段取りだけで面白い。どうしてこんなに面白いんだろう?不思議。この人、一体何者なんだろうか。
    おしまいにもにんまりしてしまう。あの昔風のミス・マープルが堂々と「依頼を受けたのはお金のため」と言い切り、報酬は使いきってしまいますと言い放つこの幸せな幕切れを、どうして愛さずにいられようか。

    旧版は(S)さんの匿名解説。小林信彦を引きながら晩年のクリスティー(特に『バートラム・ホテルにて』『親指のうずき』)が「何が起こったのか?」を追求する作風に至ったと論じる。G・C・ラムゼイとクリスチアナ・ブランドを引いて作者のミス・マープルへの慈しみを語る。最後にミス・マープルシリーズ著作リスト。解説のお手本のような文章です。
    新版は南波雅さんの解説。なんだこりゃ。なにも言ってないじゃないか。こんな気の抜けた駄文を書く方も書く方だけど、通す編集部も編集部だ。女王の御前にこんなもの並べて恥ずかしいと思わないの?
    旧版の勝ちです。

    クリスティー解説腕くらべ、たなぞう時代から数えてとうとう12年目。
    絶対、絶対、完結させます!

  • 自宅で新聞を読んでいたマープルは、死亡欄にかつてカリブ海の島でともに事件を解決した「ラフィール」の名を見つける。
    そこからマープルは、生前に残されたラフィールの指示に従い行動をしていくが、その目的は不明のまま。指示通りバス旅行に参加し、指示通りその道中にある三姉妹が住む邸宅に滞在することになる。どうやらラフィールの目的が、ラフィールの息子マイクルがかつて犯した殺人事件に関係しているということが分かってくる。
    そのような中で、バス旅行の参加者の一人ミス・テンプルが落石事故により死亡する。
    マイクルが殺したと思われていた少女を殺したのは誰なのか、ミス・テンプルは本当に事故死なのか。
    悪を憎み、自らを「復讐者」と位置付けて詰めに詰めまくるマープルがいつになくアグレッシブでかっこいい。愛とは本当に恐ろしいもの。
    登場人物がかなり多いのが難点。
    クリスティ作品の中でも珍しい連作なので、『カリブ海の秘密』を先に読むことを推奨。

  • 70代ミス•マープルの冒険活劇。
    なにが謎なのかもわからない五里霧中の中、足で歩き、人と話し、観察し、危険な橋も渡る。

    「カリブ海の殺人」の続編。
    この次の作品は未発表で読めないのが残念。

  • 思えば、マープルシリーズを読み始めたのは、たまたま読んだ「カリブ海の殺人」からだった。「復讐の女神」はその続編で、3部作の2冊目になるはずが、著者の命が尽きるまでに三部作が完成することはなく、ミスマープルシリーズとしては最後に執筆された作品になってしまったという曰く付きの作品。マープルと言えば控えめに登場することが多く、作品によっては物語の後半に初めて登場して、ちょこっと顔を出すだけという作品もあるのだが、「カリブ海」とこれはミスマープルが大活躍。謎解き要素は凡庸だが、多彩な人間模様と謎に包まれたスタートで読ませる。

  •  まず、なにより邦題も「ネメシス」でよかったのではと。日本語にしてしまうと名称としての力強さがなくなり、少し説明じみたイメージになってしまう。ネメシスの方が復讐の女神より力強さや恐ろしさを感じるのは僕だけだろうか。
     
     僕はクリスティがミステリにおける殆どの試行やトリックを編み出し使い尽くしたと考えており、彼女以降の作家は新たなジャンルや作風の工夫こそ出来うるかも知れないが、ミステリの観点でアイデアで彼女の創作を超えていく事は難しいと常々偉そうに語っている(笑)
     ミステリの形式としては、1.犯人は誰か2.何故事件は起きたのか3.事件の過程を解き明かす4.叙述トリックなどが考えられるのだが、今回は問題は何かというまさかのテーマであり、そもそもミステリの殆どは何かの事件やトラブルに対しての道筋であるはずなのだが、今作ではマープルと同じ様に読者も広大なフィールドに投げ出され、とにかく進んで何かを見つけろと言われている様な気分であり、新しいジャンルを経験している様な気分だ。中盤から終盤にかけて、徐々に今作の解明すべき問題が明らかにされていき、ラフィールが一体何をマープルに託したのか、が構築されていく。大枠としては漫画やゲームの構成と似ているなぁと感じた部分もあり、そういったものがまだ表現されていないなかで、文章で表現されているのは驚きだ。
     カリブ海の秘密で共闘した数年後、新聞の死亡記事にラフィールの名前が載る。マープルは彼の名前をようやく思い出し、カリブ海での事件に思いを馳せる。数日後、弁護士事務所を通じてマープルの元にラフィールからの不思議な依頼が届く。何について、誰について、全く何の依頼もなく、弁護士達も何も知らされていない。そんな中、マープルはラフィールが手配したバスツアーに参加する事となり、少しずつラフィールが意図した事件の輪郭が姿を現してゆく。
     物語の軸自体を読者が探し、考察しながらストーリーの真相に迫っていく。ある意味で謎解きの幅が広くなり、登場人物達を全て精査していく必要上、読みにくくなる事が考えられたが、全くそんな事はなく、反対に非常に整理された道筋を辿るため読みやすくさえあると言える。
     今作は連作のため、カリブ海の秘密から続けて読むと格別だ。(バートラムホテルの事件は次に読む予定)また、本来三部作を予定しており、英題を読み解くと、ウーマンズレルム(女性の領域?僕は今作かは勝手に想像し、女王の庭と略した!!)
    が完成しなかった事は残念だ。僕は本当にこの二作が好きで、ふたつ合わせてクリスティの10指の一つに選びたい。

  • マープル
    「カリブ海の秘密」の続篇。ただし、未読でも充分楽しめると思う。私はラフィール老人のキャラクターは覚えていたけれど、ストーリーはぼんやりしか覚えてないのでこの後再読してみよう。
    だいへん面白かった!自分の場合、クリスティー作品は半分ほどまでは途切れ途切れに読み進めていて、後半になると引き込まれて一気に読むパターンが多いが、今作はすぐにワクワク読み進めるのが楽しかった。
    クリスティー作品では他でもあった若く、可愛い、素敵な女性が、誰からも賛成されない男と熱烈な恋をして結婚しようとする、しかし分別ある大人たちではそれを止めることはできないというエピソード。現在(2021年10月)の日本国民の多くに苦い共感を起こさせるではないかな。

    巻末の解説に三部作の2作目となる予定だったが、残念ながら第三作は発表されなかったとあり、興奮した。それは読んでみたかったな〜という気持ちと、でもこの作品でうまく収まっているのでは?という気持ちもある。ところが「アガサクリスティー完全攻略」を読むとどうやら三部作説の根拠が薄弱らしい。真相が気になるが、いずれにしても読めないからな〜。

  • 正直、これを読むため『カリブ海』を読んだ。
    単品でも楽しめるし、実はつながりはない。
    でも、あの旅でマープルが感じた
    死生観のようなものが
    この作品にも漂っている気は少しする。

    この時代にイギリスではもう
    国内のパッケージツアーがあったのも驚き。
    亡き富豪の要望で参加したマープルさん。
    どうしても編み物セットは持ってくんですね(笑)
    そして、殺人の動機はおそらく…。
    さまざまな愛の形…クリスティーに垣根なし。

  • 復讐の女神。アガサクリスティー先生の著書。アガサクリスティー先生の作品はどれも本当に楽しいです。時間を忘れて独特の世界観に引き込まれてしまう。

  • あなたにお勧め、次の本にどうぞと薦められた一冊なんだけれども、けれども……続編やないかーいっっ
    この話は『カリブ海の秘密』の続編で、この話でミス・マープルが出会った人物が亡くなったことから始まる。お話の時々にその前作に登場していた人物の人となりやらなんやらが出てくるので、『うっわーっ読みにくい』という気持ちになってしまった。とはいえ話の進行の妨げになるようなものではない。そのあたりはきちっとフォローされていて、その人となりがちゃんと描写されているので、前作が未読だったからといってなんの障碍もない。充分に面白い。
    トリック的なものはすごくシンプルで、そこまで複雑ではない。途中から、なんとなく読める感じがある。しかし、主題というかテーマはそこにないのだろうと思う。ミス・マープルの信念と、作者であるアガサ・クリスティのそれがおそらくは重なるところを感じる。
    発行の順番でいえば『スリーピングマーダー』がアガサ・クリスティの死後に刊行されているが、執筆時期を考慮すると本作が最後の作品にあたる。予定では、『カリブ海の秘密』とあわせて三部作になる予定で、三作目は構想だけで執筆されなかったらしい。とても残念だ。
    もう少し、このちょっと性格の悪い、人当たりだけは良いおばあさんの物語を読みたかった。

  • まさかのラフィール再登場。
    まあ確かに、前回のミス・マープルとの程良いコンビ感は良かった。
    ただ今作で故人のため、そうした掛け合いが見れなくて残念。
    さて、そんな彼から犯罪調査の依頼として手紙を受け取ったミス・マープル。
    が、その犯罪に関する詳細は一切不明。
    あるのは「とある旅行に参加してくれ」という手紙での指示のみ。
    いやさすがに高度過ぎない?えっそこから?
    過去一の難易度だなと思いつつも、ちゃんと辿り着くんですよねえ。
    話の持っていき方が上手いというか、練られているというか。
    ホント読者を飽きさせないな。面白い。

全72件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1890年、英国、デボン州生まれ。本名アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラー。別名メアリ・ウェストマコット、アガサ・クリスティ・マローワン。1920年、アガサ・クリスティ名義で書いたエルキュール・ポアロ物の第一作「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。以後、長編ミステリ66冊、短編ミステリ156本、戯曲15本、ノンフィクションなど4冊、メアリ・ウェストマコット名義の普通小説6冊を上梓し、幅広い分野で長きに亘って活躍した。76年死去。

「2018年 『十人の小さなインディアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アガサ・クリスティの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×