ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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  • / ISBN・EAN: 9784151300820

感想・レビュー・書評

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  • 自分へのクリスマスプレゼントでクリスティーを読む。事件が起きるまでの不穏な感じと歪んだ人間関係がいつもながら上手くて好み。やっぱり騙されちゃった。単にいい人だったバトル警視ができる仕事人であり良き父親であるのがわかったのも良い。

    • あやごぜさん
      111108さん。こんばんは♪
      “クリスマスプレゼントでクリスティー”。素敵です!
      こちらは、バトル警視ものなのですね。
      面白そうです...
      111108さん。こんばんは♪
      “クリスマスプレゼントでクリスティー”。素敵です!
      こちらは、バトル警視ものなのですね。
      面白そうですね。是非読んでみたいです~。
      2021/12/26
    • 111108さん
      あやごぜさん こんばんは
      コメントありがとうございます♪

      そうなんですよ〜攻略本とかでもけっこう高評価だったので間違いないだろうと‥
      結果...
      あやごぜさん こんばんは
      コメントありがとうございます♪

      そうなんですよ〜攻略本とかでもけっこう高評価だったので間違いないだろうと‥
      結果、クリスティーありがちパターンかも知れないけど、私好みの大好物でした(≧∀≦)
      バトル警視前面に出てる珍しさもあるので、ぜひお読み下さい。

      あやごぜさんはポアロのクリスマス読まれたんですね!いいですよね〜去年私も読んで〝血みどろ〟ぶりに満足感ありました。確かポアロが肖像画につけ髭をあてるシーンがあって思わず笑ってしまいましたww
      2021/12/26
    • あやごぜさん
      111108さん。ありがとうございます♪

      おお♪バトル警視の活躍も期待できそうで、楽しみです!
      はい。「ポアロのクリスマス」はクリス...
      111108さん。ありがとうございます♪

      おお♪バトル警視の活躍も期待できそうで、楽しみです!
      はい。「ポアロのクリスマス」はクリスマス時期を意識した“狙い読み”で、たっぷり堪能いたしました~。
      付wけw髭!確かに!ポアロが付け髭を買ってきた時点でなんか笑えますよね~( *´艸`)
      2021/12/27
  • ポアロじゃないクリスティも良い、一冊。

    金持ち老婦人殺害事件は金銭目的か?単純な事件に見せかけながらそこに至るまでの綿密、巧妙な計画、絡み合う人間模様、奥が深い人間心理を描き魅せるミステリ。

    ポアロはいない。けれど論理的に時に大胆に、決めたらとことん突き詰めていくバトル警視が良い。
    充分読者を魅了する面白さだ。

    殺人事件自体は物語の結末、つまりゼロ時間。
    これは実に言い得て妙。今、この瞬間にもゼロ時間へ向かって思いが集約しつつあるのか…。

    心に芽生えた些細な思いが人を変える怖さ、そこも味わえた満足な読書時間だった。

  • 『殺人は結果なのだ。物語はそのはるか以前から始まっている-ときには何年も前から-数多くの要因とできごとがあって、その結果としてある人物がある日のある時刻にある場所におもむくことになる。』
    冒頭に語られる法律家の重鎮、ミスター・ドレーヴの言葉である。
    本書のストーリーは、この冒頭の言葉に凝縮される。

    物語は一見関係のないようないくつかの短いエピソードから始まり、しだいにメインキャストであるネヴィルとオードリーの元夫婦と、彼らを取り巻く様々な人間模様が描かれていく。
    二人はネヴィルの心変わりにより離婚し、ネヴィルはオードリーとは正反対のあでやかな美女、ケイを妻にした。本来であれば関わることのないはずの彼らだったが、ネヴィルの育ての親であるレディ・トレシリアンの家で二人が同じ時期に滞在することになり、物語は一気に不穏な雰囲気を帯びていく。

    オードリーは一切感情を表さないが、なにか強い気持ちを心のうちに抱えているように見える。一方、ケイはオードリーの存在が疎ましく、イライラが止まらない。さらに、オードリーの幼馴染で小さなころから彼女を愛するトマス・ロイド、ケイに思いを寄せているジゴロタイプの美男子、テッド、彼らをハラハラしながらも冷静に観察するメアリーなど、脇を固める登場人物も何かを引き起こしそうな危うさを秘めている。
    そんな中で起こってしまった殺人事件。真っ先に疑われたのはネヴィルだったが、果たして彼は本当に殺人を犯したのか、それともこれは誰かが周到に計画した罠なのか。

    本書の醍醐味は、なんといっても初めの方でさりげなく語られたエピソードが事件を解く思わぬきっかけとなるところである。物語自体はかなりダークで読後の爽快感は少なめだが、あのエピソードはこの結果を導くためだったのか、とパズルのピースがかちりとはまるような心地よさがある。
    また、本書の探偵役、バトル警視もいい味を出している。彼はクリスティーの他の小説にも何度か登場するが、どちらかというと地味な存在である。ポアロのように論理的で頭の切れるタイプでもない。しかし上辺の言葉や態度に惑わされず、相手をよく観察して実直に事件を解決に導く様は、ポアロとは違ったある種の安心感を与えてくれる。

    ポアロシリーズで最後に発表された『カーテン』と似た雰囲気をまとう本作。ダークなストーリー好みの人にお勧めである。

    • 111108さん
      b-matatabiさん、こんにちは。

      コメント送りたいと思いつつ遅くなってしまいました。
      この本確かに重い感じでしたね。ダークな雰囲気は...
      b-matatabiさん、こんにちは。

      コメント送りたいと思いつつ遅くなってしまいました。
      この本確かに重い感じでしたね。ダークな雰囲気は『カーテン』を思わせるものなんですね。だんだんと『カーテン』に近づきつつあるけど、読むの躊躇ってしまいます。
      2023/02/08
    • b-matatabiさん
      111108さん、おはようございます。

      私も返事がすっかり遅くなってしまいました。
      この本は『カーテン』が書かれた時期と近いみたいで...
      111108さん、おはようございます。

      私も返事がすっかり遅くなってしまいました。
      この本は『カーテン』が書かれた時期と近いみたいです。
      クリスティーの小説には戦争のことはほとんど出てきませんが
      戦争の暗い時代を少し反映しているのかもしれないな、なんて思いました。

      この本は、一応犯人以外は皆それなりにハッピーエンドを迎えましたが、全体を流れる重苦しい雰囲気はぬぐえないですよね。
      2023/02/22
  • 「しかし、殺人は結果なのだ。物語はそのはるか以前から始まっている」
    その殺人が巻き起こる「ゼロ時間」へ向けて、着実に進んでいく綿密な計画。中盤あたりまでは事件も起こらず、不穏な空気がじわじわと満ちていく人間ドラマが積み重ねられていく。そして、老婦人・トレシリアンの死で堰を切ったように溢れ出す人々の感情と事件の謎たち。そこからラストまで勢いに流されるまま夢中で読んでしまった。

    張り巡らされた伏線や、登場人物たちのちょっとした行動が「ゼロ時間」に向けて集約していき回収されていくのは素晴らしいの一言。ミステリとしての面白さに加え、キャラクターの心理描写も実に巧みでドラマへもミステリへも絶妙な味付けをしている。みんな怪しく思えてしまって、犯人は全然わからなかったな(笑)

    あと、好きな台詞が二つあるので紹介しておきたい。

    「ただそこにいるだけでいいのかもしれない─何かをするのではなく─ただある時に、ある場所にいるだけでいいのかも─ああ、うまく言えないのだけれど、あなたはただ─ある日、ある場所を歩いているだけでいい、それだけで何かとても重要な役割をはたすことになるかもしれない─たぶんあなた自身はそれとは気づかずに」

    「人にはたいていなんらかの欠点があるものだ。そしてたいていは、どんな欠点かは一目瞭然だ。子供が欲張りだったり、意地が悪かったり、弱い者いじめをする質だったりしたら、それは見ればわかる。しかし、おまえはいい子だった。とてもおとなしくて、やさしくて、なんの問題も起こさなかった。それでときどき心配になったんだよ。目に見えない傷があるものは、力が加わったときに壊れてしまう恐れがあるんだ」

    この物語を象徴するような台詞でもあり、それ自体もとても心に残る。人は目に見えるものばかり追ってしまうけど、こうして自分が気づかないものだったり、目に見えない部分にこそ見逃してはいけない何かがあるんだろうね。

  • だいぶ好きでした。人間関係の伏線回収と、オチが良かった!ゼロ時間、なるほどね、と思いながらスラスラと読み切りました。久しぶりのアガサクリスティ!さすがです。

  • ノンシリーズ・バトル警視もの。

    “殺人は結果なのだ。物語はそのはるか以前から始まっている・・・”
    この、冒頭の台詞の通り、本書は様々な要因を経て魔の瞬間・・そう、<ゼロ時間(殺人事件)>が起こるという構成になっております。
    一見、独立している数々の伏線が終盤で回収される展開は、クリスティーの卓抜した構成センスをまざまざと見せられた感があり、いやぁお見事ですね。
    前半の、三角関係ならぬ、四角・・いや五角関係ともいえる痴情の縺れも、さすがの人間描写で引き込まれます。
    そして、今回の謎を解くバトル警視は、ポアロのような天才的で華麗な推理を見せる訳ではないのですが、小さな違和感をコツコツ潰して真相に迫っていくという、この地道さも良いですね。
    犯人に関しては、ムーンサルトばりの捻りが利いていて「そうきたか!」という感じです。
    それにしても、クリスティー作品でたまに登場する“陽キャ系”の犯人って心がバグっているのか、サイコすぎて怖いですよね。
    そして、本作品のキーマンは何といっても“自殺しそこねた男”ですね。絶妙な絡み方でいい味出していました。彼には今度こそ幸せになってほしいですね。
    他の面々も“犯人”が退場した事で、収まるところに収まりそうです・・。
    と、いう訳で今回も堪能させて頂きました~。

    • 111108さん
      あやごぜさん こんばんは

      バトル警視、地道さがかっこよかったですよね。あと5話位書いてくれてたらTVドラマシリーズできたかも⁈

      痴情のも...
      あやごぜさん こんばんは

      バトル警視、地道さがかっこよかったですよね。あと5話位書いてくれてたらTVドラマシリーズできたかも⁈

      痴情のもつれの不穏感と“陽キャラ系”犯人の怖さ、あといい感じでカップル誕生か?というラストもクリスティーあるあるですが、私はけっこう好きです♪
      2022/01/09
    • あやごぜさん
      111108さん。コメントありがとうございます♪

      いいですね~♪TVドラマ『警視・バトル』。バトル警視のいぶし銀の魅力(娘さんに神対応...
      111108さん。コメントありがとうございます♪

      いいですね~♪TVドラマ『警視・バトル』。バトル警視のいぶし銀の魅力(娘さんに神対応なところもポイント高いです)は通好みなのかもしれませんが、個人的に彼の話はもっと読みたいですね。
      “クリスティーあるある”。私も好きです♪。そんなクリスティーワールドを堪能できて、幸せでした(^^
      2022/01/10
  • ノンシリーズ
    とても面白かった!途中までは今ひとつはなしのつながりがわからないと思いながら少しずつ読んだ。最後は先が気になって気になって、結局やめられず朝5時まで読んでしまった。
    ノンシリーズではあるが、バトル警視がポアロのことを思い出すところもよかった。
    クリスティーを読んであとでもう一度読み返そうと思った作品はいくつかあるが、実際に読了後すぐ読み返しているのは初めて。ストーリーが気になって急いで読んだところもゆったりと読み直している。

  • 「殺人は結果なのだ。物語はそのはるか以前から始まっているーー」「すべてがある点に向かって集約していく…そして、その時にいたるーークライマックスに!ゼロ時間だ。そう、すべてがゼロ時間に集約されるのだ」
    アガサクリスティの作品の中でこれほど洗練された題名はそうあるものではない。殺人を結果と捉え、全ての出来事が行き付く先を“ゼロ時間”と表現した辺り、天才的としか言いようがない。また、序盤でタイトルでありキーワードとなる“ゼロ時間”が早々と紹介されるのも珍しい。よくポアロシリーズやその他の作品を読んで思うのだが、クリスティは出だしが実に自然で、「さあ、これから物語が始まるぞ!」という気がしない。それどころか、まるで登場人物の生活を覗き込んでいるかのような錯覚に陥る。だが、今回は違う。ゼロ時間というキーワードを軸に物語が展開していく。この事件におけるゼロ時間とは、いつか。普段のクリスティとは違った視点から読み進めていくことができた。題目と序盤。この作品において着目すべきは、この二点である。実に洒落ていて、格好良い作品だ。

  • 犯罪が起きた時がスタートではなく、様々な要素が絡まり合って収束する、ゼロ時間こそが全て。
    中学の時に読んで感銘を受けたクリスティ作品。
    改めて読み返したが、やはり素晴らしい!時代を感じさせない!
    惜しむらくは、訳が堅苦しくてややぎこちないところ…。

  • 人間関係のもつれと殺人ミステリーが上手に組み合わさっててすごい
    ミスタートレーヴがあっさり死んでしまったのは驚いたけど、最後まで弓で友達を殺したかもしれない子どもの話が頭に残っていて、いい味出してたなあと思いました

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