死が最後にやってくる (ハヤカワ文庫)

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  • 早川書房 (2004年4月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784151300837

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

古代エジプトを舞台にした本作は、ミステリーと恋愛が交錯する物語です。主人公レニセンプは、父親が若い愛妾ノフレトを連れ帰ったことで家族の平和が崩れ、次々と不審な死が起こる中で真相を探ります。クリスティー...

感想・レビュー・書評

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  • 古代エジプトが舞台で耳慣れない名前が出てくるもののお馴染みの展開。父親が若い美貌の妾を連れて帰ってきたことから一族に緊張が走る。無邪気な主人公がミステリーと恋愛物語の二つを牽引していく。クリスティーの達人っぷりを堪能。

  • クリスティーの未読作品が減っていく中、最後にがっかり本を引き当てたくない、という気持ちから、霜月蒼氏『アガサ・クリスティー完全攻略』で低評価の作品を先に読んでしまおうとしている。
    本書は霜月氏の評価で5段階評価の星0.5。これまで私が読んできた中では、霜月氏の星1.5以上は問題なしで、星1も場合によってはOK。ただしそれ以下はかなり残念、という感じだった。そのためやや身構えながら本書を読んだのだが、意外に楽しめた。

    舞台は古代のエジプト。レニセンプは最愛の夫を亡くし、子どもと共に裕福な実家に戻ってきた。結婚前と変わらない家族の様子に安らぎを感じる彼女だったが、実権を握る父、インホテプが年若い愛妾ノフレトを北の国から連れ帰ってきたことから状況が一変する。インホテプが自分の言いなりなのをいいことに周囲をかき乱すノフレト。まわりのフラストレーションが頂点に達した時、彼女は崖から転落死してしまう。そしてそれをきっかけに一人、また一人と家族が不審な死を遂げていく。皆はノフレトの呪いだと恐れおののくが、果たして真相は。

    舞台は古代エジプトだが、内容はいつものクリスティーだった。ノフレトのサークルクラッシャーぶりは『メソポタミアの殺人』を思い出すし、二人の男の間で揺れるレニセンプは『満潮に乗って』の主人公を、強い権限を持つ家長に逆らえず家族が不満を募らせる構図は『死との約束』を彷彿とさせる。つまり、この話はクリスティーの様々な要素がてんこもりなのである。そのため、一つ一つの要素が薄味になってしまい、印象に残りにくいという残念な結果になっている。
    ただ、ミステリの面白さはちゃんとあるし、この作品から他のクリスティー作品の要素を探すというマニアックな読み方もできるので、私はそれなりに楽しめた。
    脇役のキャラが立っているのもよい。特に、家族の秘密を探り、毒を加えて吹聴する召使のへネットや、愚鈍で子どもの事しか見ていないようだが底のしれないカイトなどは、主人公以上にインパクトがある。

    決して良い作品とは言わないが、たまにはこんなものも書きたかったのね、とおおらかな気持ちで受け止めれば問題なし。

    • ひまわりめろんさん
      冒頭と末尾めっちゃ分かります!w
      共感しかないレビューです
      冒頭と末尾めっちゃ分かります!w
      共感しかないレビューです
      2024/02/02
    • b-matatabiさん
      ひまわりめろんさん、コメントありがとうございます。
      わかっていただけてうれしいです!

      この作品は割と楽しく読めましたが、面白くないか...
      ひまわりめろんさん、コメントありがとうございます。
      わかっていただけてうれしいです!

      この作品は割と楽しく読めましたが、面白くないかも‥と思うと手に取るのも気が進まず、最近はレビューを書いていない既読本ばかり読んでいました。
      残りは星1以上なので、少しは安心して読めそうです。
      2024/02/03
  • なんと、古代エジプトが舞台となっているミステリです。エジプト史の知識が乏しいのが残念…。でも、当時の暮らしぶりやナイル川のほとりの風景の中で生きる人間たちの描写がリアルで、時代の隔たりが気になりません。亡き前妻アスハイエトにあの世で妾のノフレトを罰してくれと嘆願書を送る、というのが興味深いですね。本格ミステリらしいアリバイとかトリック、名探偵による痛快なロジックの披露よりも、ポアロがいつも言っている殺人に至る心理がしっかり軸になっているなぁ、と感じました。

  • ノンシリーズ。

    紀元前二千年のエジプトが舞台という異色の設定ではありますが、良い意味で“いつものクリスティー”ともいえる、人間ドラマ&ミステリを楽しませて頂きました。

    墓所守をしている一族の長・インホテプが、北方からノフレトという美貌の愛人を連れて帰ってきたことから一族内の空気が不穏なものに包まれていきます。
    インホテプの娘・レニセンブの胸騒ぎも虚しく、ある日ノフレトが墜落死してしまい・・。
    ノフレトVS一族の妻女達のバチバチの対立から、ノフレトの死を皮切りにしての連続不審死。
    その真相は、殺人のトリック云々ではなくて“まさか、あの人が!?”という、“印象操作”的な目くらましで見事に騙されました。
    そして、レニセンブの恋の行方は?誠実なホリかイケメンのカメニを選ぶのか・・というロマンスパートも注目です。
    解説でも書かれていましたが、本当にクリスティーは“人間関係の綾”を描くのが上手いですよね。
    個人的に、トリック一辺倒のミステリより“物語性重視”なので、私がクリスティーを殊更に好む理由がこれなんです。
    と、いう訳で久々にクリスティーワールドを堪能させて頂きました。うん、これこれw。

    • 111108さん
      あやごぜさん、こんばんは。

      これ完全にノーマークでした!
      あやごぜさんのレビューからすると、隠れた名作の感ありますね。
      「印象操作的な目く...
      あやごぜさん、こんばんは。

      これ完全にノーマークでした!
      あやごぜさんのレビューからすると、隠れた名作の感ありますね。
      「印象操作的な目くらまし」で私もクリスティーに騙されてみたいです!
      2022/04/05
    • あやごぜさん
      111108さん、コメントありがとうございます♪

      おお。ノーマークの作品だったのですね!
      紀元前二千年のエジプトという異色の舞台設定...
      111108さん、コメントありがとうございます♪

      おお。ノーマークの作品だったのですね!
      紀元前二千年のエジプトという異色の舞台設定なのですが、クリスティーお得意の人間描写が冴えわたっていて、確かに隠れた良作だと思います♪
      クセの強いキャラも出てきますし、お楽しみ頂けるかと思いますので良かったら読んでみて下さいませ~(^_-)-☆
      2022/04/06
  • アガサ・クリスティー。ノンシリーズ。舞台は古代のエジプトだが、人間は変わらない。未亡人の主人公の父親が愛人を連れて戻ったとき、事態は動き出す。その家に住んでいる家長とその息子たち、またその奥さんたちや召使いの今まで見えていなかった性質があらわになる。その中には殺人者の性質をもつものがいる。
    ミステリーというよりサスペンスよりの作品。
    容疑者は少なく、次々と死んでいくので犯人当てはしやすい。しかし複雑なトリック等がなく、人間関係の妙だけで、ここまで読ませるのはクリスティは推理作家としてだけでなく純粋に小説家として技量が高い。

  • クリスティ劇団に所属する名優たちが、それぞれの役をしっかりと熱演する良作。全てが型通りのため、ある程度犯人は読みやすく難易度も低めだが、予定調和的な心地良さがあるのも事実。エジプトという舞台に現代風のアレンジが加えられ、クリスティ作品を読む上での味変作品としても貴重な一作。

  • 古代エジプトでも連続殺人は起こる。

    父親が若い愛妾を家に連れてきた。彼女の態度に家の者たちが反感を募らせる中、彼女は亡くなった。そして続く不幸。夫を亡くして実家に帰ってきていたレニセンブの運命はいかに。

    いや古代エジプトの意味あったかな、と言ってはいけないのだろうけど、クリスティーがエジプトにハマっていたことは伝わる。しかし別に古代エジプトでなくてはいけない理由は特になかった。だからこそ普遍的なミステリは時代も場所も選ばないんだなぁと思う。多分実写化するならセットを組めばロンドンでも東京でも大丈夫な古代エジプト。

    気の強い義姉、気の弱い兄、自尊心の強い兄、おっとり静かな義姉、我儘で自惚れ屋の弟、老獪な祖母、落ち着いた管理人、湿っぽく押し付けがましい召使い、若くて歌の上手い書記、一家の主人、性格の悪い愛妾。これだけキャラクターが揃っているだけでお腹いっぱいである。一人、また一人と死んでいくのはなかなかスリルがあり、最後にレニセンブに迫る害意もハラハラする。そして明かされる犯人。

    確かに自分で毒を入れたなら飲む量を調節できる。ずっと低い評価をされてきた抑圧からの悪に染まってしまった心。探偵役が犯人に示す温情とレニセンブへの誠実さ。最後のロマンスも含めてクリスティーだなぁと満足。

  • 深堀骨氏による後書きが腹におちた。
    いわくミステリとは人間関係の綾を描くものなのだと。
    そう、そうなのよ、だから私は皆がくさそうとも、キャラの造形と配置が見事な『検視官』シリーズをいまだ愛読してるし(新刊出るんかいな…)、ディーヴァーといえど人が魅力に乏しい『エンドゲーム』はピンと来なかったのよ(いえ、ライムのシリーズなどは心から愛してます)!
    古代エジプトの裕福な一家で起きる連続殺人事件を追う本作は、しょーじき、こう、サンドラ・ブラウンとか、ハーレクイン的なロマンチックミステリー仕立てなんだけど、妙に心を打つのは、さらりとした筆致ながら人々の欲望と愛情の描写がお見事だから。少女漫画にもありそうじゃん!って話だけど、重くも希望を感じされる読後感は、やっぱり天才の技だなあ

  • 今秋はクリスティの気分。未読を中心に読みふけっている。
    本作の舞台は古代エジプト。ポワロもマープルも出ないノンシリーズもの。
    古代エジプト展にいき、メジェド様を推し、ミイラの本を何冊か読んだ私に死角はない。キャノピック壺(カノプス壺)やスカラベの護符が出てくるだけで心躍る。

    しかし、そこはクリスティ。読むのに古代エジプトについての知識なんて、まったく必要ない。
    母が亡くなり3人の息子と娘がいる家に、父である族長が愛妾を連れて帰ってくる。誰がどう見ても波乱含み。愛憎いりまじった人間ドラマが繰り広げられる。
    召使いのキャラクターが濃いので、サスペンス味が増している。こんな召使いいたら嫌だなあ。
    トリックらしいトリックはないけれど、先が気になるのはさすが。

  • 舞台は紀元前二千年のエジプト。しかし人間関係の本質は現代と変わらない。その人間の機微を巧みに描くクリスティは天才だ。

  • 古代エジプトが舞台になっているが、時代はいつでもよくエジプトである必要は無さそう。

  • 古代エジプトを部隊にしたお話。
    数ヶ月に渡る長い期間の話が描かれているのが特徴。とは言え、その長い期間における人間の間の機微が事件に関わってくる的な点話で、要はいつものクリスティ。
    事件が開始すぐに起こらないのは、前作「ゼロ時間へ」と似ているとも感じた。

  • 死ななかった時点で犯人はわかったので、あとは、ほんとにカメニと結婚するの?ホリがいいよホリが!とレニセンブの結婚が気になってしょうがなかった。
    ホリでよかったけど、カメニかわいそう。でもすぐ誰か見つかるかな。

  • 古代エジプトの一家の生活の様子が面白い。
    家庭が崩壊していく様子が面白い。
    犯人の内情が面白い。

  • 舞台が古代エジプトになっているが、中身はいつものクリスティのミステリ。
    ミステリの謎解きに加え、タイトル「死が最後にやってくる(原題Death comes as the end)」が、最後の一行「言い換えれば―もう死はないということ」と対応するのが面白い仕掛け。

    「どうしてこの腐敗が、あなたの言うように、内側から起こってくるの?」「(中略)たぶんなんであれ成長していくものなのでしょうね―つまり人が少しずつやさしく、賢く、より偉大な方向へ成長していかない場合、逆に邪悪なものを育てることになってしまうのかもしれません(p408)」

  • 神や悪霊や祈祷が日常にある古代エジプトの神秘的な世界で、徐々に顕になる本格ミステリの顔、ぞくぞくする。面白かった。

  • 2004年早川書房発行の文庫本。解説は深堀骨。舞台が執筆前後ではなく、古代エジプト。しかし、著者がまえがきで宣言しているとおり舞台はいつでもよいようなもの。今回は家族モノ。家族(というか一族という感じかな)に限った話を書くには(エジプトに限らず)古代という舞台はぴったりかも。死者は結構大勢出る。最後に解決する人物がもう少し早く決断していたら、、、そういう点でも古代という舞台はぴったりなのかも。「アガサの只のノロケ話をミステリーに仕立てた」という解説に思わず笑ってしまった。たしかにそういう感じのお話か。

  • 古代エジプトを舞台にしてるけど、別にエジプトである必要性のないミステリー。って作者本人がそう書いてるし。さすがに連続して読んでいるせいか、犯人は中盤でわかった。

  • 古代エジプトの墓所守の家族内で起こる連続殺人事件。ポアロやマープルといったシリーズ探偵が登場しない歴史ミステリーで、作者としては異色の作品。
    家長である父親、その子供の長男夫婦、次男夫婦、三男、夫を亡くして出戻りの長女、家長の年老いた母、雇われの管理人の男、古参の召使の女が主な登場人物。登場人物それぞれが個性的で、性格の違いによる書き分けが巧い。特に、家長の母親エサの慧眼ぶりと召使のへネットの嫌味な性格が印象的。
    家業の墓所守や農地経営等で一族の生計を立ててきたが、父親が出張先から妾を連れて戻ってきたことで、微妙なバランスを保っていた家族内の関係に波乱が生じ、連続殺人へとつながっていく。
    お互いの微妙な心理関係を織り込みながら進行していくストーリーは、なかなか読ませる。ヒロイン役の長女レニセンブがホリとカメニのどちらを選ぶのかというラブロマンスとしての興味もある。
    犯人は1つだけトリックを使っているが、たいしたものではないし、読者が推理する要素はほとんどないので、ミステリーとしては平凡。

  • 読み始めは、人物名が頭の中でまぜこぜになってしまい、誰が誰だかわからず、読み進めるのが難しかった。
    軌道に乗ってしまえば、さすがアガサ・クリスティ!
    イギリス人が書いたとは思えない内容だった。
    ホリかっこいいですね。面白かったです。

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著者プロフィール

1923年、東京生まれ。早稲田大学卒業後、カリフォルニア州クレアモント大学院留学。信州大、横浜国大等に勤め、数多くの翻訳・著作のあと、「老子」の現代自由詩『タオ─老子』『求めない』が、共にロングセラーになる。

「2012年 『禅とタオ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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