バグダッドの秘密 (ハヤカワ文庫)

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  • 早川書房 (2004年7月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784151300882

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりのクリスティー。中東を舞台にしたスリラー。クリスティーのスパイ物は難しすぎず怖すぎず、巻き込まれた冒険好き女子が機転をきかせて活躍するところが面白くて私好み。ホームズ研究家でもある北原尚彦さんの解説も楽しかった。

  • 今年初クリスティーは未読のスリラーもの。クリスティーの作品を読み続けていると、霜月蒼氏『アガサ・クリスティー完全攻略』では星一つの評価でスリラーもの、といえば、このくらいのクオリティだろう、と予想ができるようになってくるが、本書はまあ予想通り、といった感じだ。

    タイピストとして働く会社を首になったヴィクトリアは、偶然知り合った好青年、エドワードに一目ぼれ。明日からバグダッドに行くという彼を追いかけ、介添人の職を得て旅立つ。
    バグダッドでエドワードを探す彼女だが、ホテルの部屋に傷を負った男が入ってきて、謎の言葉をつぶやいたまま死んでしまったことから、国際スパイの陰謀に巻き込まれることに。

    評価の低いスリラーものでも、女性が主人公のものは、クリスティーの筆が冴えわたるからか、まだ読みやすい。ただ、主人公のヴィクトリアがおばかさんなうえに嘘ばっかりついていて、全く応援したくならない。
    だいたい、一目ぼれはともかく、フルネームも聞けずじまいの見知らぬ男を追いかけて中東に渡ったあげく、行ったら彼が何とかしてくれるだろう、と思う心境が理解できない。意味が分からなさ過ぎて、読みながら?マークが頭を飛び交っていた。

    陰謀に巻き込まれるホテルでの事件も物語の中盤になってようやく、という感じで、展開がまどろっこしい。それまでは怪しげな人物たちの思わせぶりな会話がさし挟まれるのだが、彼らは後にもっと活躍する雰囲気を出しておきながら、意外とモブキャラだったりして肩透かしを食らう。

    あとがきによると、本書の主要な登場人物は、クリスティー自身と身近な人間を投影しているのではないか、とのこと。霜月蒼氏は本書を「スリラーという衣装を身にまとったのろけ」とする。だとすると、おばかなヴィクトリアはクリスティー自身ということになるが、数々の素晴らしい作品を生み出したクリスティーがおばかなわけがない。きっと能ある鷹が爪を隠した結果なのだろう。
    クリスティーファンとしては、彼女の盛大なのろけを黙って受け止めるしかないのである。

  • アラビアンナイトな世界でヴィクトリアの大冒険!

    失業した日に偶然出会ったエドワードを追ってバグダッドに来たヴィクトリア。どうやらエドワードが働く組織には怪しいところがあるらしいのだが。息をするように自然に嘘をつけるヴィクトリアは、その特技を活かしてスパイ活動に協力するが、危険は彼女にも迫って——。

    異国情緒がワクワクをグレードアップさせているスパイ小説。難しく考えずにヴィクトリアの一挙一動にドキドキしていればあっという間に読んでしまう。砂埃や発掘調査などの中東の雰囲気が雑多でエネルギッシュな舞台を盛り上げている。

    エドワードが実は黒幕。何も知らずに親切心と正義感で飛び込んできたリチャードがヒーロー。ロマンス要素もしっかりとあって、その周りのオジサンたちもキャラが立っていて、そういう意味でもクリスティーはやっぱりすごい。

  • 主人公のヴィクトリアは、「トミーとタペンス」のタペンスのような、クリスティ作品でよく登場するアクティブな女性。
     冒険心に富み、行動力があって非常に勇敢。タイピストとして雇われていたが、雇い主のモノマネで同僚を笑わせているところを本人に見られて仕事をクビになる。これからどうしようかと路頭に迷っていたところで出会った青年に一目惚れし、彼を追ってバグダッドへと飛ぶことを決意。しかし運賃すら払うお金がないので、経歴を詐称して裕福な夫人の付人として飛行機に乗り込む。
    一目惚れした青年に再び会うという目的のためだけに、諜報員として活動したり学者のふりをして発掘現場に潜り込んだりととにかく行動力に溢れている。命の危険にさらされながらも咄嗟の嘘や機転で乗り切るなど頭の回転も早い。
    最終的に、一目惚れした青年は自分を欺く敵だったことを知り落胆するも、違う青年と結ばれることになるので結果オーライ。
     飛行機の離陸シーンが臨場感に溢れていて印象的だった。

  • クリスティーにしては珍しい(と思われる)スパイ小説で、こんな作品もあったんだとよんでちょっとびっくり。
    正直、本作のミステリー部分はそこまででも無いと感じたが、作品全般から感じられるバグダッドを始めとする中東の雰囲気や文化などはとても良かった。

  • 途中から誰が黒幕なのか少し予想はできたけど、こっちが味方であっちが悪だとは分からなかったなぁ。
    登場人物が多くて、誰が誰だか、どういう立場なのかややこんがらがった。
    ハッピーエンドで何より!
    ヴィクトリアのハツラツさが一周回って素敵。
    クリスティーの再婚相手は考古学者だったから、リチャードに二番目の旦那さんを重ねたのかな?

  • ミステリーの女王のスパイもの。

  • 1951年発表のノンシリーズ作品。初期の作品『茶色の服の男』と味付けは似ているが、よりスパイもののスパイスが利いているのと、米ソの対立という時代背景が題材に含まれているのが特徴。もちろん、本格的なスパイものとはスリリングさでは比較できないし、ミステリとしてもサプライズの大きさだけで言えば傑出するものはないが、クリスティならではの安定感、安心感が心地いい。

  • 2004年発行、早川書房のクリスティー文庫。解説は北原尚彦(作家)。国際スパイもの。スパイものは設定がちょっと納得いかないものが多いような気がする。そこを感じないようにすれば、前半に意外な伏線も張ってあるし、後半の主人公の手に汗を握る一種の活劇も面白いのだが。

  • スパイスリラーということで
    だめかな?と思ったけど、なかなか面白かった。
    まあトミー&タペンスと同じ系統だしな。
    今回違うのは基本的にペアじゃないこと。
    やたら活動的で、自分で切り開くのね。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    おしゃべり好きが災いして会社を馘になったヴィクトリアは、一目惚れした美青年を追いかけて一路バグダッドへ。やっとのことで彼の勤め先を探しあて、タイピストとして潜り込んだものの、とたんに不可解な事件に巻き込まれてしまった。さらに犯人の魔手は彼女にものびて…中東を舞台に展開するスパイ・スリラー。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ストーリーもさることながら、この作品は
    特に中東、バグダッドの往時の雰囲気、
    その熱、その生活を味わうのに最適。

    特に欧州人の目線で書かれているので、その当時の
    いわゆる優越感を持った上から目線で書かれているので
    まるで旅行に来た特権階級のような優雅な雰囲気が味わえます♡

    そして、スパイ・スリラーってことで、ちょっとした冒険も体験出来ます。

    って書くと、なんとなくミステリーツアーへようこそ!みたいですね(笑。

    でも、クリスティのスパイスリラーではいつも、
    「切羽詰まった命の危険」を感じない、
    ただの冒険小説みたいなものが多いので、
    私は逆に安心感を持って読めますけどね~。

    にしても、主人公ヴィクトリアの冒険心は旺盛すぎるでしょ(笑
    いくら現実に煮詰まってるからって、ちょっと話しただけの人を追いかけて海外へ、しかも危険な中東へ無一文で行くなんて。

    あまりにお気楽過ぎて現実感ない(´・ω・`)
    それとも昔の上流階級はそんなことものともしないのかしら?
    (ヴィクトリアは中級ぽいけど)

    まったく、好奇心は猫をも殺す、
    お気楽お嬢さんの冒険心は世界を救う!?
    ...なわけありませんから(苦笑。

    なんだかんだ言いましたが、アガサのこの作品はやはり、時代を先取りしてるかも!とも思いましたよ。

    だって、初めは素敵な王子様だった男が実は...なーんて、
    まさに「アナ雪」の世界じゃないですか~。

    まぁ、だまされるのもやっぱりお気楽お嬢様という共通点もあったりして(笑。

    それにしても、リアルに冷戦下だった当時の状況で、
    こんな作品を書いて無事だったのかしら、と
    そっちの方にハラハラしちゃいます。

    今ならともかく、当時は、ねぇ...

    クリスティの勇気と、実体験を余すところなく教えてくれる寛容さと、優雅ささえを感じさせる文章力を、たくさん感じてください!

  • たくさん登場人物が出てきて、たくさんの場面設定があり、最初は理解するのが大変だったけど、それらが後半に交錯し始めるとおもしろかった。

    舞台がバグダッドで、異国情緒漂う表現がかなりあり、まるで自分が旅行をしているかのように楽しめたのもよかった。

    夢物語のような展開が繰り広げられるので、現実味がないが、まぁ現実ではないのでいいでしょう。

    最後はハッピーエンドだからよかった♪

  • アガサクリスティの楽しみ方は
    1 イギリス文化に馴染む。紅茶、朝食、昼食、夕食など。
      鉄道の利用、新聞の読み方、新聞への広告の出し方など。

    2 中近東、南アフリカ、オーストラリア、アメリカなど旧植民地の文化に馴染む。
      アガサクリスティ自体が行ったことがある地方の描写は、すごく立体的。

    3 犯人探し

    4 女性のものの見方と男性のものの見方の違い

    5 考古学、遺跡発掘作業など。

    6 音楽、オペラなどの芸術活動。

    7 作家、小説、詩、マザーグースなど。

    3以外は、アガサクリスティの経験に基づく内容なので、とても勉強になります。

    本書は、1,2,4,5,7の視点が得られるのでたいへん楽しめる。

  • /?day=20071112

  • 持っているのはハヤカワミステリ文庫版ですが、画像がないのでこちらを登録。

  • クリスティの中東シリーズの一作。推理小説というよりスパイものです。いろいろとはらはらさせる場面があったりして、悪くはない作品でした。ただ、最初のほうが少し内容が理解できず、だらけがちかもしれませんが、まあそれはそんなに気にはならないと思います。

  • おしゃべり好きが災いして会社を馘になったヴィクトリアは、一目惚れした美青年を追いかけて一路バグダッドへ。やっとのことで彼の勤め先を探しあて、タイピストとして潜り込んだものの、とたんに不可解な事件に巻き込まれてしまった。さらに犯人の魔手は彼女にものびて…中東を舞台に展開するスパイ・スリラー。

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著者プロフィール

1890年、英国、デボン州生まれ。本名アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラー。別名メアリ・ウェストマコット、アガサ・クリスティ・マローワン。1920年、アガサ・クリスティ名義で書いたエルキュール・ポアロ物の第一作「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。以後、長編ミステリ66冊、短編ミステリ156本、戯曲15本、ノンフィクションなど4冊、メアリ・ウェストマコット名義の普通小説6冊を上梓し、幅広い分野で長きに亘って活躍した。76年死去。

「2018年 『十人の小さなインディアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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