ゴルフ場殺人事件(クリスティー文庫) (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 2)

  • 早川書房
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151310027

作品紹介・あらすじ

南米の富豪ルノーが滞在中のフランスで無惨に刺殺された。事件発生前にルノーからの手紙を受け取っていながら悲劇を防げなかったポアロは、プライドをかけて真相解明に挑む。一方パリ警視庁からは名刑事ジローが乗り込んできた。たがいを意識し推理の火花を散らす二人だったが、事態は意外な方向に…新訳決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 南米の富豪・ルノーが滞在中のフランスで刺殺された。事件前にルノーから手紙を受け取っていながら悲劇を防げなかったポアロは真相解明に動き出す!そこに加わるのはパリ警視庁の名刑事・ジロー!推理の火花を散らす二人がたどり着いた真相とは?!

    名探偵ポアロシリーズの二作目。タイトルにもあるゴルフはほとんど関係せず、詳しくなくても大丈夫だった。『ゴルフ場殺人事件』という直球勝負なフェアウェイど真ん中っぽいタイトル。しかし、読んでみるとコースは曲がりくねるわ、バンカーや池はたくさんあるわ、なかなか曲者な仕上がり。まだ荒削りながらも読み応えのある作品だった。

    ポアロをライバル視する刑事・ジローとの推理対決!これは熱いバトルになりそうだぞ!と思いきや、主人公はポアロの友人・ヘイスティングズだった?!とにかくヘイスティングズがミステリもドラマもかき回してやらかしてくれる。語り手の彼にどれだけハラハラさせられたことか!そういう意味では異色作でありつつも、シリーズとして重要な位置づけにある作品で、ファンの方はぜひ読んでみてほしい。

    二転三転する事件に読者としても振り回されっぱなし。ポアロがヘイスティングズを導くように要点を整理してくれて助かった(それでも複雑)。ポアロは相変わらず自尊心お化けで、思わせぶりな語り口調で皮肉屋なんだけど、ヘイスティングズや無実だった人々に向ける小粋なやさしさは好き。

    p.26
    「だとしても、指紋とか、足跡とか、煙草の灰とか、泥とか、事細かな観察によって得られた手がかりを検証するのは、必要欠くべからざることだと思うけど」
    「もちろん。それに異を唱えるつもりはない。事細かな観察は大事なことだし、その道の専門家はたしかに有用だ。しかしながら、エルキュール・ポアロのような人間を、そういった者たちと同列に扱わないでもらいたい。われわれは専門家から事実を受けとる。われわれに求められているのは、犯罪の手法を探り、理にかなった推理をし、事実を整理整頓し、何よりも大事なのは、事件の正確な心理的側面をとらえることなんだよ」

    p.246
    「考えるんだ」ポアロは励ますように言った。「考えを整理するんだ。秩序だて、体系づけて。成功の秘訣はそこにしかない」

  • ヘイスティングスのばか!ばかばか!
    もーーー!!
    でもこんなヘイスティングスだからポアロには救いなんだろうな…。
    読んだ後でスーシェさんのドラマ版も見たら、冒頭で脚本がホロヴィッツだと出ていた。
    うん、ほんとめっちゃホロヴィッツ脚本だったー!
    設定を盛って話を大きくするの好きだよね…。
    でもラストの改変はドラマ映えするもので、さすが。

  • 殺人事件が起きてそれを解決していくので、立派なミステリーなのだが、私はコテコテのラヴロマンス作品として楽しんだ。中々ストレートな恋愛もので、その関係は子供ぽくさえ感じられる。
    クリスティは、もしかしたらあまり男女間のドロドロした関係を描くのは得意でないか嫌いなのかもしれない。まだ作品をそんなに多くは読んでないので断言はできないが。

    謎解きの過程は二転三転してそれなりに楽しめるのだが、ジロー刑事との対決の場をもう少し多くした方がより面白い作品になったのではないだろうか。

    題名も何故に「ゴルフ場殺人事件」と?マークが最後まで飛んでいました。そんなにゴルフ場が重要な役目を果たしているとは思えなかった。

  • ポアロシリーズには度々、ヘイスティングズが出る。
    彼の推理はいつだって見当違いなのだが、読んでいる私はそれにすら気づけないのかと思ってしまう。

    はっきりと言えば、彼も中々頭の回転が早い。
    ただし、ポアロの思考力が抜き出ており、その小さなヒントから導かれるモノが二、三上をいく。

    とりあえず、私はヘイスティングズ並みの推理力までいけないものかと、次作の『アクロイド殺し』を読む事にする。

  • ヘイスティングス…かなり惚れっぽい。確かスタイルズ荘の時も…。恋は盲目というけれど、ここまで?!と呆れてしまったが、ポワロの寛大な心と父親のような優しさに感激。容疑者が二転三転し、最後はいつも通り、あらびっくり。愛情の素晴らしさにも触れられ、やはりポワロは今回も全てお見通し!

  • 1.おすすめする人
    →探偵小説がすき

    2.感想
    →ポアロの相棒、ヘイスティングズの活躍が
     今回はあまり好きではない、、、
     ジローが出てくるが、ポアロに敵意剥き出しで
     登場人物も微妙だと感じた。

  • ホントびっくりするぐらい振り回された。
    もはや二転三転どころじゃない。
    単純な事件かと思いきや、ロマンスが絡むことで複雑になっていく。
    ただでさえどう決着するのかハラハラしているのに、さらなる驚きが待ち受けていた。
    その見事な着地と明かされた事件の真相には思わず唸ってしまったほど。

  • 大事なことはすべて語られると決まっているわけじゃない。ときによっては、わざと語られない場合もある。
    人が嘘をつくのは愛のためか金のため。
    ヘイスティングスがシンデレラを逃してポワロと敵対すると決めたのに結局ポワロに泣きつくのがおもしろい。ポワロも気を悪くしてヘイスティングスに大事な真相話さないのもおもしろい。
    ジロー刑事いやなやつだけど小説のキャラクターとしては憎めない雰囲気あって、ポワロとの知恵比べもっと見たいと思った。
    全体的にコメディ感あって楽しい。
    展開がきれいで自然と映像が浮かんできて、構成うまいなって思う。

  • タイトルも地味だしあまり名作としても上がらない上に表紙カバーのデザインも他作のようなリニューアルされた今風のデザインではなかったのでそれ程期待せず読み出したけど流石アガサ・クリスティ、とても面白かった!特に後半の畳み掛けるような展開は見事で文字通り一気読みしてしまいました。

    これがイマイチ代表作に上がらないのは本格推理としてのトリックが他の代表作に比べると小粒で後出し感があるからかな?でもトミーとタペンスもののように推理要素の強いサスペンス小説として読めば傑作といってもいいと思いました。

    一昔前の景色や登場人物の価値観などが映像として浮かんでくきてそういった面でもとても堪能できました!しかしこの頃の小説に出てくるご婦人方は何故こんなに気を失うのでしょうねww

  • ポアロシリーズ2作目。

    今回も二転三転する犯人像。
    まんまとクリスティーに騙されてしまいました!
    でも気持ちの良い騙され方だったな~^^

    何と言っても面白かったのは、ヘイスティングズの暴走っぷり(笑)
    女性陣が美しく、強く、逞しいのに比べ、男性陣は……!!
    惚れやすい男ヘイスティングズだけど、ようやく春がきたのかしら?
    そして「パパ・ポアロに任せなさい!」というポアロの台詞が好き。

    今回ポアロのライバルとして登場する、パリ警察のジロー警部。
    彼らの頭脳戦も読み応えありましたね。

    犯人が分かった今となっては、あちこち伏線があるのに気づくけど、
    読んでいる間は、ミスリードされてしまう文章が沢山あるんだなぁ。
    次こそは!犯人当てるぞ~!!

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