オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

制作 : 山本 やよい 
  • 早川書房 (2011年4月5日発売)
4.07
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151310089

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「これまでに読んだどの推理小説よりも,
    こっちのほうがはるかに小説っぽい」

    同感だ。まさか,と思った。

    冬の欧州をまたぐ豪華列車オリエント急行。
    それに乗り込んだ名探偵ポアロ。

    案の定,不運にも積雪により列車は止まり,
    そして男性の刺殺体が発見される。

    容疑者は職業・国籍の様々な乗客たち。
    掃いて捨てるほどの手がかりと鉄壁のアリバイ,
    それらに絡みつく乗客たちの”嘘”。

    車内で錯綜する証言に灰色の脳細胞が挑む。

    「さあ,犯人は誰なのか」

    もうじき映画が公開される本作。

    後悔したくないのなら今すぐ読むべきだ。

    ネタバレは万死に値する。

  • すごく面白い推理小説でした❗最後の最後まで犯人が誰なのか想像できませんでした。

    流れとしては、「事件発生→推理開始→犯人追求」となっています。
    流れは、オーソドックスですが、結末が秀逸で最後の最後まで楽しめました。

    また、この時代特有の「階級や国毎の偏見に満ちた社会」も楽しめたポイントです。

    時代としては第二次世界大戦前です。ヨーロッパ諸国それぞれの国に対する偏見みたいなものが見てとれて各国の民族感にも触れられて興味深いものでした。

    ポアロの紳士然とした立ち居振舞いもこの本の面白いところです。

    「冷静で、知恵があって、慎重な頭脳の存在が感じられます。アングロ・サクソン系の頭脳とでもいいましょうか」

    節々に現れるヨーロッパ優位な考え方も前時代的で面白いですよね。

    久しぶりに小説読みましたが、面白い作品でした。アガサ・クリスティ作品にハマりそうです

  • 不朽の名作を読み直してみようと思い手に取りました。

    急行列車の中という閉ざされた空間で起きた殺人事件。犯人にも逃げ場はなく、かと言って警察サイドも応援を呼べるわけではないという舞台設定。
    個室の寝台列車という舞台が、時代背景ともあいまって趣があって惹かれます。

    犯人について、読者にとってフェアかどうかというのは意見のわかれるところではあるかと思いますが
    全く予測できないよう一切書いていないというわけではありませんし
    トリックがわかってから読み直しても、よく出来ていると感じられると思います。

    大胆なトリックはやりようによっては稚拙になりかねませんが
    丁寧に上品に描かれています。


    ネタバレになりますが

    ポアロは犯人を見つけ事件を解決したところで終え、警察には事実を伝えず犯人を引き渡しません。
    ここは賛否の分かれるところかもしれませんが、被害者を完全に悪人であるとすることで仇討ちの体を取っています。

    自分としては、ポアロの人間性を垣間見られる結論だと思うので、好きな展開です。

  • ちょっとずつ読み進めているアガサ・クリスティー。
    超有名すぎる本書は、他の作家のいくつものミステリー小説の中でも言及され、時にはネタバレちっくなこともある模様。幸いにして、そういったネタバレには遭遇してこなかったので(「そして誰もいなくなった」は遭遇しましたが…)、新鮮な気持ちでよみすすめることができました。

    確かに探偵小説の土台を崩しかねないような結末。物語の後半からうっすらと感じてはいましたが、まさか本当に起こってしまうとは。アガサさん、大胆ですねぇ。

  • 犯人が誰かを知っていて読むフーダニットだ。

    子供の頃、アガサクリスティ原作の映画はしょっちゅうテレビで放映していた。オリエント急行をやった翌日、同級生が「犯人て◯◯なんだぜ!」と吹聴していたのだ。
    わかっていても面白い作品と、そうでない作品があると思うが、オリエント急行は後者だろう。

    とはいえ、今度、再映画化されるし、映画館に行く前に読んでおこうと思った。
    外界と閉ざされた客車内での殺人事件。たまたま名探偵ポアロが乗車していて……
    古典中の古典で、いまさら語れることは多くないが、教養の一つとして読んでおいて損はないかもしれない。

    今となってはそれくらいの価値しかなさそうだ。

  • 恥ずかしながらミステリ苦手で、アガサクリスティー作品も何から読めばいいんだろ、と迷いに迷って、このたび映画化するらしいこれを手に取りました。ミステリ好きの方、ご容赦ください。

    そもそもの話、あまり「名作」と名高かったり、少し古めのみんなが認める傑作、みたいなのを選ばずに来たもので、百年ほど前の作品を読むにあたり、トーク帽とはなんぞ?とか紙巻きタバコが出たころ?アスピリンはもうあった?ミネラルウォーター?ペリエ?クリスチャンネーム?とクラクラしながら読んでたのですが、殺人事件が始まった途端に一気に引き込まれました。
    特にポアロ氏を挑発するように彼の荷物の中に添えられた赤い着物の描写が出てきた時はゾクゾクしました。
    第三部に入ってバンバン出てくる新事実、でもそれが全部おや?と思った箇所ときちんとつながっている。
    オチはなんとなくどこかで聞いてた気がするので、新鮮な驚きがなくて残念だった。オチを知らずに読みたかったー!
    犯罪心理学とかDNAとかがない時代のミステリと、今の時代のカミーユ刑事シリーズとかはきっと書き方が変わるんだろうな。どちらも脱帽です。
    ロシア語でNはHと綴るとか知識がないのでうわわわわわ、としか言えなかった。予想の遥か上を飛んでいかれた。すごかった。語彙力がなくなる。
    トリックに使われた小道具があまり馴染みのないもので、自分の知識が追いつかなかったのがとても悔しい。
    ハバード夫人が苦手だなーと思ってたのですが、それも演技とは!やーらーれーたー。
    解説も興味深かったです。リンドバーグ事件、知らなかった。当時の人には常識だったんでしょうね。当時の人になって一緒にこの作品を驚きたかった。

    本筋に関係ないいろいろ。
    ヒゲをカールさせるためのコテなんかがあった時代なんですね。シャレオツ。ヘアアイロンを持って行くようなもんなのか。
    不思議ですね。シリアのアレッポとイギリスのロンドンを結ぶ列車が走っていたなんて。そして車掌さんがベッドメイクするなんて。乗ってみたかった。見ず知らずの他人と上下に寝るのどんな感じなんだろ?確か中国にもこんな感じの寝台車あるらしいけど?と本題と関係ないところに感心していた。
    百年前だから、自分の倫理観的にウッとくる表現はたくさんある。こんな刺し方するのは女しかいないだの醜い女性だの○○人はああだこうだ頭が良さそうじゃないだの。仕方ないね。
    ミス・デブナムは「怖い絵」シリーズでよく出てきたガヴァネスでしょうか。仕事にありつけず結婚も難しい…みたいな。それを考えると色々背景が深く考えられそう。

  • 映画公開予定をきっかけに購入。正直、アガサ・クリスティが女性であることすら知りませんでした。誰が犯人なのか最後迄分からず、それもそのはずですよね。まさしく傑作です。

  • アガサ・クリスティの代表作。映像化もされているが、レトロでエキゾチック
    な雰囲気は原作ならではの良さがある。

     時代物のミステリーでは、アリバイなどの証明は主として参加者の証言を基
    にされますが、本作も多分にもれず、いかにも怪しい、もしくは犯人にふさわしくない
    キャラクターたちが、名探偵、エルキュール・ポワロ氏とスリリングな駆け引きを
    繰り広げてくれます。

     この作品の魅力は、事件とトリックもさることながら、この時代を生きた人に
    しかわからない「常識」、例えば「いささか愚鈍なれども、名誉を重んじる
    真っ正直なイギリス人が、ナイフで12回も相手を刺すことなど! ありえないと
    思いませんか、友よ!」 といった言い回しが各所で描かれていて、現代の読者
    には新鮮に見えることだと思います。

     少々、皮肉屋のポワロ氏が様々な人種と、階級の人たちが乗り合わせた豪華
    寝台特急「オリエント急行」で偶然出くわした殺人事件。

     犯人は様々な痕跡を残してはいるが、12人の容疑者たちには、それぞれ決定的な
    一手が欠けていて・・・。 ミステリーを読みなれた人でも、ラストの展開は予想し
    得ないと思います。

     ネタを知ってる人も、一度原作を読んでみることをお勧めしたい作品です。

  • 雪に閉ざされ立ち往生した列車内での殺人事件。
    クローズド・サークルものの傑作である。
    実際にアメリカで起きたリンドバーグ愛児誘拐事件を物語に取り入れている。
    事件にかかわる登場人物は多い。
    けれどしっかりとキャラクターが描かれているため混乱することなく読むことができた。
    1934年に発表された物語とは思えないほど古さを感じない。
    豪華寝台列車という舞台設定、予測できない雪のための列車停止。
    被害者である男性客の身元が判明してからポアロの冴えわたる推理が開始される。
    最終的にポアロはふたつの推理を示し、事件の依頼者である鉄道会社の重役に判断を委ねている。
    法が正しく履行されることによって秩序は守られるはずだ。
    けれど、法の網をずる賢くくぐり抜けた犯人は誰が裁いてくれるのだろう。
    事件の結末にはいろいろな感想があるかもしれない。
    けれどこの物語の醍醐味は推理の過程にある。
    会話から真実の糸口をみつけ、事件の真相を導き出していくポアロの推理は本当に見事だ。
    時代を経ても面白いものはやはり面白い。

  • 移動するオリエント急行内で起こる殺人事件と曲者揃いの容疑者たち。意外な事件との関係性と、状況証拠から推察し一人ひとり切り崩していく名探偵ポワロ。そして物語は読者の予想を超える結末を迎える。

    『そして誰もいなくなった』程ではないにしろ、設定や構成で度々味わう既視感は、それだけアガサ・クリスティの書き上げた本作が衝撃的で、以後の作品に多大な影響を与えたからである。故にいま読んでも十分楽しめる古典的ミステリーだ。このトリックとラストは当時賛否両論を巻き起こしたのではないかと思うが、批判を恐れぬアガサの独創性と丁寧な細部への描き上げそしてポワロの愛すべきキャラクターが支持する良質な締め括りだと感じる。

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