平田オリザ (1) 東京ノート (ハヤカワ演劇文庫 8)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 163
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151400087

作品紹介・あらすじ

美術館の片隅のロビーは、人々が一休みしにやって来ては去る。恋人たち、久しぶりに再会するきょうだいと連れ合い、個人所蔵画の寄贈者、学生。会話の断片は世界情勢から個人の悩みまで照らし出す。戦火が広まるヨーロッパから多数の名画が日本に疎開してきているらしい。故郷で老親を世話する長女を理解してくれるのは誰なのか。淡々とした会話から、穏やかな日常とは裏腹の世界を鮮やかに切り取る岸田國士戯曲賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 現代口語演劇の代表作「東京ノート」
    テンションあがらない美術館で、テンションあがらないトークが繰り広げられている。
    でも、日常の言葉使いだからこそ、はっとさせられる瞬間がある。

    揺さぶられる一冊。現代口語演劇特有の二段組に最初は戸惑うかもしれませんが、すぐ慣れてスラスラ読めるのでぜひ。

  • ジョン・ケージの音楽やカール・ロジャーズのカウンセリング、こういうものの根底には現象学があってそれはイデオロギーなき思想であり、ロジャーズの言葉を借りれば「静かなる革命」である。オリザ氏の現代口語劇もまったくこの範疇のもので、20世紀のあらゆる狂熱とは無縁である、というかアンチ・テーゼであると言ったほうがよいか。この作品に影を落とす戦争と登場人物の心象はその象徴かもしれない。
    常に実験的であるメタなポジショニングをもった生き方というのはもしかしたらもっともペシミスティックで苦いものであるだろう。
    だから、それをそれで終わらせないために。

  • [要旨]
    美術館の片隅のロビーは、人々が一休みしにやって来ては去る。恋人たち、久しぶりに再会するきょうだいと連れ合い、個人所蔵画の寄贈者、学生。会話の断片は世界情勢から個人の悩みまで照らし出す。戦火が広まるヨーロッパから多数の名画が日本に疎開してきているらしい。故郷で老親を世話する長女を理解してくれるのは誰なのか。淡々とした会話から、穏やかな日常とは裏腹の世界を鮮やかに切り取る岸田國士戯曲賞受賞作。
    [目録情報]
    美術館のロビーで小休止する人々の、とりとめないおしゃべり。その淡々とした会話から、穏やかな日常とは裏腹の世界を鮮やかに切り取る、岸田戯曲賞受賞作。解説/内田洋一。(演劇・映画図書総目録より)

  • たぶん、私はこの話のすべてを理解できてはいないんだと思う。
    それでもただただ「すごい」と思えたのです。
    舞台のほうも観るべきです。

  • 平田さんの授業を受けてたときに買ったので、1年たってやっと読んだくらいだ。劇を観るよりも脚本を読んだ方が当然早いので、あっという間に読み終わるのに。買ってすぐ読まないなら、買うなって話ですね。演劇かぁ。今までに観たのは、小学校に来てくれる地元の劇団と、平田さんが無料公開してたwakamaruくんのやつくらいだ。学生劇団にタダなので観に来てって言われても、行ったことがない。というわけで、縁遠い存在です。そんな人間が戯曲を読んでも。。とりあえずもっと、芸術に触れよう。この作品について言えるのは、文章化するには不適だということくらい。同時に2つの会話を聞くことは頑張れば可能だけど、同時に読むのは不可能だ。解説は内田洋一。

  • 昨日、国立国際美術館で観劇。
    日頃使っていいない部分の脳を使用した感じ、
    静寂と、人のイリハケによる混沌そのコントロールが斬新。生で見ても意外と気配に気づく、自分の中の野生な部分に感激。

  • 2009年7月8日購入

  • 初・平田オリザ!

    平田オリザは「現代口語演劇」を提唱してらっしゃいます。
    そのとおり、めっちゃ話し言葉の戯曲で読みやすいです。
    本谷有希子や30歳前後の若い演劇人たちの戯曲はまさに「現代口語」が多いけど、平田オリザさんの時代には斬新だったんだろうなぁ。
    提唱してるぐらいだし。

  • 最近はまった平田オリザ。

    神戸のときに紹介してもらいました。
    実際の舞台を見てみたい。。。

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著者プロフィール

1962年、東京都生まれ。劇作家・演出家。芸術文化観光専門職大学学長。国際基督教大学在学中に劇団「青年団」結成。戯曲と演出を担当。戯曲の代表作に『東京ノート』(岸田國士戯曲賞受賞)、『その河をこえて、五月』(朝日舞台芸術賞グランプリ受賞)、『日本文学盛衰史』(鶴屋南北戯曲賞受賞)。『22世紀を見る君たちへ』(講談社現代新書)など著書多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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