- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151400339
作品紹介・あらすじ
戦時下の夏の終わり、千葉市郊外の海辺の家で、洋画家久我五郎は肺を患う妻の美緒を看病している。美緒を実の子のように世話をする小母さん、戦地へ向かう五郎の親友の源一郎、不動産相続に気を揉む実母など、病床の美緒のまわりをさまざまなひとが行きかうなか、美緒の病状も一向に快方にむかわず…。作者自身が「血みどろになってのたうちまわっている」作品と評し、生きることをみつめた私戯曲。
感想・レビュー・書評
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戦時下の夏の終わり、千葉市郊外の海辺の家で、洋画家久我五郎は肺を患う妻の美緒を看病している。美緒を実の子のように世話をする小母さん、戦地へ向かう五郎の親友の源一郎、不動産相続に気を揉む実母など、病床の美緒のまわりをさまざまなひとが行きかうなか、美緒の病状も一向に快方にむかわず……。作者自身が「血みどろになってのたうちまわっている」作品と評し、生きることをみつめた私戯曲。
演出ノート/長塚圭史
(1940年)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文学
演劇 -
「はじめてハッキリと自分の全体が燃え、同時に甘さをかなぐり捨てて冷たく意志的になり、そして自分自身のために、自分の全人間の本質に密着しつつ書いた」という作者の後書きが、全体を通して痛いほど伝わってくる一冊。淡々とした日常の、時間の波の中に「人間」が剥き出しで存在し、死の瞬間という不可逆な時へと舵を切ってゆく。このスピード感の無さが、生々しく、熱い。久方振りに読書の愉しみを思い出させてくれた。