身代りの樹 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (1995年5月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784151700019

みんなの感想まとめ

心の葛藤と予期せぬ展開が織りなす物語が描かれています。シングル・マザーの女流作家ベネットは、愛する息子の急死という悲劇を抱えながら、母と共に不思議な少年ジェイを迎え入れます。彼の正体が行方不明のジェイ...

感想・レビュー・書評

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  • シングル・マザーの人気女流作家ベネット。馴染の薄い郊外に大きな家を買い、引っ越しをした矢先に、愛する息子ジェームスが急死してしまう。心の病を抱え、診療を受けるためにスペインから訪れていた彼女の母モプサは、悲嘆にくれる娘の元へ、「旅行中の面倒を知人から頼まれた」といって、ジェイと名乗る男の子を連れてくる。

    ジェイが、新聞で行方不明と騒がれだしたジェイソンとわかり、母モプサの誘拐が表沙汰にならないように、家族のもとへ返そうと考えるベネットだったが、気がつくと自分勝手な理屈をつけて、その時を先延ばしにし続けていた…

    ストーリーは、ベネットの揺れる心理を追う面とは別に、ジェイソン失踪を発端に巻き起こる家族や周辺の人々のごたごた、事件とは無関係の大胆な詐欺の計画という2つの劇も同時進行。最初はそれぞれ、全く違う舞台で展開されていた劇が、次第にリンクして、最後の思いがけないエンディングへと終結していきます。徐々にスピード感と緊張感を増していく終盤は、かなりスリリング。

    リンクを見せた3つの劇、最後にはそれぞれの結末が。ひとつは、サスペンスの常識を破った終りを見せて、驚くと同時に、よくぞ!と胸の中で拍手をしてしまった私です。レンデル作品の中で、かなり気に入っている1冊。

  • これはもはやミステリではなく普通小説だろう。
    しかし構成は巧みである。狂える母、モブサを設定した所でこの小説は勝ったも同然である。この母の存在があったからこそ、到底起こりえない出来事がごく自然に流れとして滑り込んでくる。
    そこから揺れ動く人々の心模様。そしてテレンス・ウォンドという小技が実に最後の最後で、絶妙な形で効いてくる。
    心情的にはこの小心者に勝利の美酒を与えたかったのだが。

    しかし珍しく実に爽やかな読後感だった。

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