解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

制作 : 越前敏弥 
  • 早川書房
3.52
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  • 本棚登録 :1776
  • レビュー :236
  • Amazon.co.jp ・本 (571ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151718540

作品紹介・あらすじ

八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に…非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。このミステリーがすごい!2013年版海外編。2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位。

感想・レビュー・書評

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  • 海外ミステリの底力を見せつけられた。

    1人の少年の転落と再生を描くミステリだ。
    非情な犯罪の世界に身を置く主人公に、「そっちに行っちゃダメだ!」と何度心の中で声を上げただろうか。

    現在・過去・大過去と3つの時間軸を行ったり来たりするので、物語に没入するのに初めのうちは戸惑ったが、すぐに気にならなくなった。ミステリであるのと同時に、ラブストーリーでもあるので、私はそっちにより心を奪われた。

    とは言え、様々な錠前を解錠していく技術を身につけるに至った主人公の陰がよく描かれていて、その辺りの細かい描写がこの物語に深みを持たせている。

    ミステリに必要不可欠な要素を満たしていて、大どんでん返しもあり、さらに胸を打つラスト。

    読んで本当に良かった。感動した!

  • このミス洋書1位!なんだけどミステリーというより青春小説のようだった。

    幼き頃に言葉を失ってしまうマイク。
    マイクは運命の荒波に飲み込まれるように解錠師へと育っていく。

    読んでいる最中、「ショーシャンクの空に」のシーンがよぎった。
    翻弄されつつも希望を失わない。それは叶うのか叶わないのかわからない。しかし待ち続ける。

    アメリアという希望を求めて。

    解錠師の話とアメリアとの話が交差し時間軸が近づいて行く後半は面白い。
    アメリアってアメリカ的な嫌な娘だったけど、マイクと絵でやりとりしてゆく くだりはステキだった。

    洋書の翻訳って難しいのだろう。
    なんか感情移入させないリズムを刻んでくる。
    同じストリーリーを日本人作家が描き直してくれればもっと良い作品に感じるだろう。

    ちょっともやもやとしたものが残る読後感でした。

  • 祝・文庫化!
    錠を開ける才能がある少年の進んだ道は。
    切ない初恋に心貫かれます。

    8歳の時の事件以来、口を利くことが出来なくなったマイク。
    「奇跡の少年」と報道され、カウンセラーにもかかりました。
    酒店を経営する伯父に引き取られ、ミシガン州デトロイトの小さな町で育ちます。
    高校の美術クラスで思いがけず才能を認められ、初めての友達が出来ました。
    17歳半の時、上級生が卒業間近の夜の悪ふざけに、マイクが錠を開く才能を使うように求められ、事件に巻き込まれます。

    奉仕活動のために被害者マーシュの家に通い、仲間の名を明かすよう求めるマーシュに、炎天下でプールを掘ることを命じられます。
    その家の娘アメリアに恋をするマイク。
    母を失っているアメリアのほうでも、マイクにはどこか通じるものを感じたのです。
    ほとんど表情も変わらない、話すことが出来ないマイクの中にあふれ出る感情。
    気持ちをどう伝えたらいいか悩み、漫画的なイラストにして心の中の声を吹き出しに書いて、彼女の部屋に置いてくるのでした。
    そして、始まる交流‥ここで漫画という形が出てくるのが、最近の作品ならでは?

    今は服役中のマイクの手記という形で、犯罪に巻き込まれていくいきさつと、1年後の事件のなりゆきが交互に描かれます。
    錠に魅せられたマイクの特技は、あまりにも危険な性質を持っていた。
    大切な人を守るために特技を使うしかなくなり、ゴーストという解錠師に仕込まれ、依頼人を持つ立場になる。
    心ならずも犯罪者となっていく中盤は重いですが、犯罪小説としてまずまずの読み応え。
    利用されてしまうマイクがかわいそうで、どこか捨て身な態度にもはらはら。
    そして、しだいに明らかになる子どもの頃の事件…
    アメリアへの一筋の純愛が、希望をつなぎます。
    意外に心地良い結末へ。

    著者は1961年デトロイト生まれ。
    1998年のデビュー作「氷の闇を越えて」で高い評価を得る。
    これは2010年発表の作品。
    2011年アメリカ探偵作家クラブのエドガー賞最優秀長篇賞と英国推理作家協会のイアン・フレミング・スティール・ダガー賞をダブル受賞しています。
    2011年12月ポケミス刊行。

  • 話しが数年前後して 行ったり来たりするので
    少々戸惑う。
    一人の少年の成長記録とも青春小説とも
    読めるらしいけど もう老年の私にはイマイチ。
    悪くはなかったけど 世界のミステリー賞を
    総なめにしたと言う感激はナシ。

  • 確かに評判になるだけあると思う。読んでる時はすごく面白くて先が気になってどんどん捲った。このトーンも好み。でも読了した時にそこはかとなく物足りなさ……小説ってむずかしい。

  • 過去と現在を行ったり来たりする手法で話は進められていくのですが、どちらの展開にも目が離せないので、一気に読んでしまいました!
    アメリアとの遣り取りがもうね…。ああ、絵って素晴らしいなとか!
    ちょっと最後があっさりしすぎな気がしましたが、
    最後のアメリアが送って来た漫画つうのがもう、グッと来ました!いろいろ伏線貼ってたんだなあとか。

  • 青春ミステリー・・・!わたしの一番好きな分野でワクワク読みましたが、イマイチ感情移入出来ず淡々と読み終わりました・・・。話自体は面白くて好きなので、映像で見たり、違う方の訳で見たり、色々な方面からの見方も出来ればいいなと思います(*^^*)

  • 主人公に魅力がある。 無駄がなくリアルがあった。口がきけない主人公に、ふいに憧れる瞬間があった。

  • 文句なしの五つ星評価。ミステリの枠に収まりきらない、最高の青春小説とも言えるだろう。必読。超一流の解錠師てありながら、言葉を話すことのできないマイクル。彼の若かりし日々と、現在の姿がクロスオーバーしながら語られていく。言葉を発することができなくとも、雄弁すぎるほどの、彼の心の言葉が綴られているところも、物語の心理的な側面を効果的に彩っている。
    ストーリー性だけに依らない、上手い小説を久々に読んだという印象でした。

  • 青春ミステリー。現在と過去を行きつ戻りつするちょっとわかりにくい構成だがそれが効いている。
    主人公の明るい未来を素直に願える、素敵な青春物語。

    とてもこなれた訳で鍵の様子など複雑な説明も難なく読めたが、もう少し『若者感』が欲しかったかな。
    アメリカンジョークや若者特有のちょっと冷めた感じ、青春の鬱屈などもよく描けているので、単に私の好みに合わないだけかもしれないけれど、なんと言うか年長者が若者っぽく訳しているように感じて違和感が残ってしまう。
    良い小説だったが今ひとつ入り込めなかったので 星三つ。

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