出生地 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2006年10月12日発売)
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本 ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784151764516

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  •  味わい深い小説である。
     アメリカの作家によるミステリー小説だが、物語の舞台は1980年の東京。
     若いアメリカ人女性リサが東京で失踪。在日大使館職員トム、そして麻布警察署の太田警部補が、姿を消したリサの足取りを追う…。
     六本木、麻布、銀座、横浜、横須賀。英語教師、ホステス…。東京で暮らす外国人女性の暮らしと本音がリアルに描かれる。そしてリサが単身渡日した目的が次第に明らかになってゆく。
     自身の“真実”に向き合ったリサの絶望と哀しみが胸を打つ。
     
     リサの姿を追うトムと太田もまた、複雑な生い立ちと挫折の中でアイデンティティーに悩み、自分の居場所を見つけられないダメ男。登場人物の誰もが生きることに不器用で、そのダメぶりがまた魅力的である。登場人物の心の造形が巧みだ。

     外国人定住者の視点から描かれる日本社会。そして、民族や国籍の複雑なオリジンを抱えて生きる登場人物達。重層的で奥行きのある小説である。
     
     「アメリカ探偵作家クラブ賞・最優秀新人賞」受賞作品。作者は在米コリアン3世。東京で暮らしたこともあるという。

  • アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞作品。東京で失踪したリサ(日本人と基地に勤務していた黒人とのハーフ)と、その姉からリサの捜索を頼まれたアメリカ大使館に勤めるトム(韓国人と白人とのハーフ)、リサ失踪を捜査する警察官太田健蔵の3人の物語。アメリカ人ふたりは差別体験の怨念でねじけていて、健蔵は離婚や警察内の出世争いや処世術に疲弊してねじけていて、読んでて疲れました。後半からの謎解きはパタパタとドミノが倒れていくようでリズムは良かったですが、前半のねじけがよどんでいて楽しめませんでした。残念。

  • 1980年東京。一人のアメリカ人女性が失踪した。アメリカ大使館職員と麻布警察署の刑事が調査を進める。当時の風俗がどこまで忠実に描かれているのかは、よく分かりませんが、緻密な描写が印象に残ります。

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