キングの死 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2006年12月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (608ページ) / ISBN・EAN: 9784151767012

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    ごめんよアレックス、疑って。客観的に見たら、一番気の毒な境遇なの、アレックスじゃないねー、主人公的目線で軽視してしまったよ、反省してます。幸せになってね!
    どうやら出だしで、息子から見た親父さん評価を鵜呑みにしてしまったみたいで、嫁に手を出すクソッタレな人物像がかなり後半までピンと来なかった。

  • 急に再読したくなって読んでみたけれど以前読んだ時以上に面白く感じた。弁護士である父が殺害され、息子のワークは妹のジーンが犯人ではと疑う。そこの不安や葛藤と父に対してのたくさんの感情と家族、妻、大切な人への気持ちが交錯して追い詰められていく。誰かを思うことと真相を追うこと、その答えが望まないものになりそうなときに陥る絶望感。謎解きやミステリーとしての面白さはもちろんだけれど家族小説や兄妹小説の面がとても濃密で面白い。他の作品もまた再読したくなる。

  • アメリカの作家「ジョン・ハート」の長篇ミステリ作品『キングの死(原題:The King of Lies )』を読みました。

    「アリス・ラプラント」、「ノア・ホーリー」に続き、アメリカのミステリ作品です。

    -----story-------------
    失踪中の辣腕弁護士が射殺死体で発見された。
    被害者の息子「ワーク」は、傲慢で暴力的だった父の死に深い悲しみを覚えることは無かったが、ただ一点の不安が。
    父と不仲だった妹が、まさか…。
    愛する妹を護るため、「ワーク」は捜査への協力を拒んだ。だがその結果、警察は莫大な遺産の相続人である彼を犯人だと疑う。
    アリバイを証明できない「ワーク」は、次第に追いつめられ…。
    「スコット・トゥロー」の再来と激賞されたデビュー作。
    -----------------------

    2006年(平成18年)に発表された「ジョン・ハート」のデビュー作で、同年のアメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞) 処女長編賞候補、マカヴィティ賞新人賞候補、バリー賞新人賞候補になるなど、高い評価を得た作品… 期待して読みました、、、

    600ページのボリュームがあり、中盤までは、回想を交え物語がゆっくりと進むので、もどかしさが強かったのですが… 意外な事実が徐々に判明し、展開が読めないスリリングな終盤は面白くて一気読みでしたね。


    ノースカロライナ州・ソールズベリー市、弁護士の「ジャクソン・ワークマン・ピケンズ(通称:ワーク)」は、依頼人と接見に訪れた拘置所で、父「エズラ」の死体が見つかったと知らされる… 頭部を撃たれており、他殺であるのは明らかだった、、、

    現役の敏腕弁護士だった父の行方がわからなくなって18か月、既にこの世の人ではないだろうと覚悟はしていたものの、その知らせに「ワーク」は動揺する… 父が死んだからではない、犯人に心当たりがあったからだ。

    「エズラ」は、貧しい家の出身で、裸一貫でソールズベリー屈指の弁護士にのし上がり、金と名誉に異様なほど執着し、代々裕福な同業者を激しく憎み、非情で思い遣りのかけらもない人物で、家族に対しても、まさに暴君のような振る舞いで妻子を支配していた… 父がいなくなった経緯を考えれば、殺したのは「ワーク」の妹「ジーン」でしかありえない、、、

    だが、夫との破局以来、精神が不安定となっている「ジーン」を刑務所送りにするわけにはいかない、何としても守りたい、そのためには自分が身代わりになっていもいいとまで思い詰める「ワーク」は、警察が妹への疑いに目を向けぬよう、必死の抵抗を試みる… しかし、犯人は「ジーン」ではなかった。

    身代わりとなる必要がなくなった「ワーク」だったが、父の遺書が明らかになり、「ワーク」に1,500万ドルの遺産が信託として相続されることが判るや事態は一転、容疑は「ワーク」に向けられる… 「ワーク」は、自らの容疑を晴らすため、旧知の探偵「ハンク・ロビンズ」に協力を依頼し、真相を探ろうとする、、、

    そして、「エズラ」の性質に起因する「ピケンズ一家」における親子の確執や、「ワーク」と妻「バーバラ」との夫婦間の問題、「ワーク」が子ども時代から抱えている「ヴァネッサ・ストールン」の事件に関する罪の意識がしだいに浮彫りとなり、事件は混迷する、、、

    「ワーク」は、真相を探るうちに自分が父に支配されていたことに改めて気付き、父の言いなりで結婚した「バーバラ」との生活に終止符をうつためい、その気持ちを「バーバラ」に打ち明けるが、「バーバラ」は二人は出直すことができると激しく抵抗する… 「バーバラ」を振り切って家を出た「ワーク」は、事務所で父が遺した金庫を開けることに成功、そこで発見されたビデオテープから、父と妻の関係、そして、事件の意外な真相に気付くが、そのとき犯人は目の前に迫っていた。

    ホントに終盤は面白かった… 家族の在り方、親子や夫婦の在り方について考えさせられる作品でもありましたね、、、

    でも、ハッピーエンドで良かった… 「ジョン・ハート」の別な作品も家族がテーマのようなので、機会があれば読んでみたいですね。



    以下、主な登場人物です。

    「ジャクソン・ワークマン・ピケンズ(=ワーク)」
     弁護士

    「エズラ」
     ワークの父

    「ジーン」
     ワークの妹

    「バーバラ」
     ワークの妻

    「アレックス・シフテン」
     ジーンの友人

    「ヴァネッサ・ストールン」
     農場主

    「マクスウェル・クリーソン」
     浮浪者

    「ダグラス」
     地区検事

    「ミルズ」
     刑事

    「ハンク・ロビンズ」
     探偵

    「クラレンス・ハンブリー」
     弁護士

  • 長編なのにそれを感じることなく
    最後まで楽しめた
    それだけなのに、こんなに広がるお話
    凄いわ~~

  • ネットで見かけて。

    情ない男の話がうだうだと続くので、
    直接話し合ってきちんと確認しろよ、といらいらすること請け合い。
    最終的に、
    強烈な父親(=キング)の亡霊から、自立できて良かったが。

    スコット・トゥローの再来と言われているそうだが、
    同じく面白くなかった意味で、再来なのかも。

  • 遠田潤子を作品を読むと、この人はブルースを奏でるような小説を書くなぁと思う。で、ジョン・ハートだが、彼の作品にはいやブルース・スプリングスティーンを感じてしまうのである。

    本作は彼の初期の作品。さすがにまだこなれていないせいか、「ラスト・チャイルド」「終わりなき道」に比べるとちょっと荒っぽいかな。それでもこの後の作品群に連なる「あがいてもどうにもならない不幸と向き合って生きていく悲しさと美しさ」というテーマは、本作にもしっかり流れている。
    当たり前の話だが、小説家ってのも成長していくんだなと思う。この作品も駄作ではないが、やはり既読の、後に刊行された作品の方が、味わい深い。

    「流暢にスピード感があって、ページを繰る手が止まらない!」…的な小説ではなく、むしろ読めば悲しくなったりツラくなったりするような描写が続いたり、情景描写も美しくなかったり、美しくても冷たかったり…。むしろページを繰る手が止まりそうになることも度々。でも、その気が重くなるような文章のリズムの中に小説のだいご味が隠されている。

    重く流れるリズムに身をゆだねて、ジョン。ハート作品のだいご味を味わう。1冊読むとズシンと心に響くが、これもまた至福の読書体験なのである。

  •  川は静かに流れに続いて読んだジョン・ハート。こっちが最初の作だがはっきりいって期待外れ。同じく家族の絆とかそういうものへの思い入れが主テーマで、前作ではそれが鼻につく部分もあるにせよ全体のバランスとしては許容範囲だったのが、こちらは常軌を逸している。前半部分、主人公ワークの延々と続く自意識過剰でひとりよがりの言動。エズラという父親がどんだけのものかそれがどれだけ重要なのか、あんたにはそうかもしれないがこっちはどうでもいいんだけど、と言いたくなる。妹との関係にしてもしかり。家族思いのうるわしい物語にどっぷりつかりたい人以外にはおすすめしない。読んでいてこれがミステリだということを忘れたころにやっと事件が動き、意外な犯人が明らかになるのだが、そこまでが無用に長く退屈すぎる。

  • ジョンハートやっぱり面白い!
    犯人奥さんとは思わんかった。

  • 以前に偶然手にして、ものスゴくハマった著書のデビュー作。期待を裏切らず、最初からのめり込むように読んでしまった。
    冒頭からかなりの後半まで、どうにもならない絶望と悲しみ、人の心の弱さなど、私自身も耐え難い苦しさに引きずりこまれてしまって重苦しい気持ちになっても、なお読み進めたいと思ってしまった。
    私自身も救済されたいという気持ちになってしまうほど、引き込まれたということかと思う。
    やっぱりハンパなくおススメの作家。

  • 面白い。

  • ぬおー!ジョンハートの作品をここの所読み続けて3作目。今回が最も読むのが辛かった。面白く無かったのか?とんでもない。とても面白かったし、今の所ジョンハートに駄作無し状態です。

    あらすじ

    主人公ワークは専制君主の成り上がり弁護士の息子。ある日、妹が同性愛者である事を知った父が、妹と階段で言い争いをするが、仲裁をしようとした母に、父の手が当たり母が転落死。
    クズ野郎の父は「これは事故だ私は悪くない。分かったか!」
    その夜、父は失踪し一年半後他殺体となって発見された。さて真相はいかに!

    何が辛かったのかというと、兎にも角にも主人公ワークがとんでもなく不器用で、父殺しの犯人に仕立て上げられそうな状態にも拘らず、自暴自棄な行動で諸々台無しにしたり、味方に付けなければヤバそうな相手にも悪態をついたりとハラハラし通しで、イライラし通し。
    時々本から目を離して天井を仰いだり、柔軟体操をしてみたりして読み進めないとならなりませんでした。
    僕は冤罪で悔しい思いをするような話が苦手で、フランダースの犬でネロが財布を盗んだと疑いが掛けられただけで、悔しくて悔しくて夜眠れなくなるくらいの小学生だったのであります。

    ワークったら警察から呼び出し食らっているのに2回もすっぽかしてしまったり、証拠隠滅を疑われるはずなのに思いつきでBMWをぼろトラックと交換したり。とにかく考えなしの行動をして私をハラハラさせるのです。本当に勘弁してください。
    しかも基本父の操り人形として生きてきたので、最初の方はとにかくヘタレで何かと責任転嫁するので、何度となく紙面に説教を浴びせました。夜中だったからいいものの、電車の中だったら私不審者ですよ。

    中盤以降急激に話が進行していくので、それ以降は善良な人たちの助けも有りぐっと話に魅力が増していきます。そうなって行くと前半の我慢の時間帯言うのは、バネで言う所のぐいぐいと縮めて反発力を増すための助走だったような気がしてくるので、やはり必要だったんだなと実感します。

    僕の予想はすっかり外れて意外な人が犯人でした。まだまだ読みが甘いです。

  • 主人公の思い込みで取り返しがつかなくなって行くストーリーが斬新。最後の真相が判る展開に多少物足りない感じがしたが、でも良く出来ていると思う。

  • 父が購入した本を借りて読みました。

    正直に言うと、最初の辺りで主人公のアホさにイライラさせられっぱなしでした。それにしても40まで結婚もせんと待っていてくれる理想の恋人なんて居ないと思うぞ、現実には。

    奥様は毒がありすぎてこうなのかな~と思っていたら結構考えていた通りであまり驚きもありませんでした。お金に執着しない人生って良いなあ。最後の妹との会話になるほど、と思いましたが全体的にはちょっと…と首を傾げる所が多かったです。

  •  前半部分は、ワークの辛さは伝わるけれど、とにかく読みにくかった。あまり先に進まずに、常にモノトーンの映像しか浮かばない状況に憂鬱な気分になりました。

     それが後半ではみごとに一転。
     彼の行動の一つ一つも登場人物との会話の一つ一つにも、全てのシーンに緊張感が走り、先が知りたくてたまらなくなりました。どんどんと加速していくスリリングな展開であれこれ想像する間もなかった。

     最後にワークへの手紙の内容を読んで、泣きそうになっている自分に驚きました。気付かないうちに、好きなタイプではないワークへすっかり感情移入しきっていたのですね。

     前半での読みにくさをきれいさっぱりと忘れさせられ、そしてその結末に驚かされる。。。面白かった。挫けなくてよかったとつくづく感じました。

  • 面白かった。
    前半は相変わらずかったるかったけど、後半一気に畳み掛けられた。
    あと、マックスがワークに犬を返す下りが気に入った。

  • 初ジョン・ハート。
    いわゆる謎解きミステリ的要素は少なかったから、普通の“読み物”として満喫。尺もちょうど良くて、綺麗にまとまっていたから、読後感も良かった。翻訳ぽさもほとんど感じず、違和感・抵抗も少なかったし。
    面白かったです。

  • 分厚さから敬遠してしまったけれど、久々に読み応えがある一冊だった。こりゃ「ラスト・チャイルド」も買わねばならぬ。

  • 一応読めたんですがなんとなく人物造詣が嫌でした。
    とにかく父親悪いやつ!あいつ最悪!
    でもおれ良い奴!あいつとは違ってホント家族を愛してるし、人間として価値があるし!
    みたいなことを主張している……主人公……みたいな気がして。
    ジョン・ハートについては「ラスト・チャイルド」まで読んで評価しよう……そうしよう。早合点はいかん。

  • 前半、なかなか状況がすんなり呑み込めない。中盤以降は迫力が出てくる。

  • すっかりファンになってしまいましたジョン・ハート!!
    どうしてミステリとして完璧なのに小説としても完璧なのか…こういうのを読むと絶対小説家になれないなぁととほほになってしまいます。

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著者プロフィール

1965年、ノース・カロライナ州生まれ。ミステリ界の「新帝王」と呼ばれる。2006年に北米最高のミステリ賞であるアメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞最優秀新人賞候補作『キングの死』で華々しくデビュー。その後、2007年発表の第二長篇『川は静かに流れ』で、同賞の最優秀長篇賞に輝いた。2009年の第三長篇『ラスト・チャイルド』は、エドガー賞最優秀長篇賞および英国推理作家協会(CWA)賞最優秀スリラー賞をダブル受賞。エドガー賞最優秀長篇賞を二年連続で受賞した唯一の作家となる
『終わりなき道 下 ハヤカワ・ミステリ文庫』より

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