川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 24-2)

  • 早川書房
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本棚登録 : 556
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151767029

作品紹介・あらすじ

「僕という人間を形作った出来事は、すべてその川の近くで起こった。川が見える場所で母を失い、川のほとりで恋に落ちた。父に家から追い出された日の、川のにおいすら覚えている」殺人の濡れ衣を着せられ故郷を追われたアダム。苦境に陥った親友のために数年ぶりに川辺の町に戻ったが、待ち受けていたのは自分を勘当した父、不機嫌な昔の恋人、そして新たなる殺人事件だった。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ミスティックリバーを、
    本は読んでないけど映画で観てから川の持つ神秘性とかカッコ良さとか
    人間の関係を暗喩していたりしていて、
    川がタイトルになってたりする作品がきになるようになっていたというのもあり、

    クリスウィタカーが影響を受けた一冊で挙げていたのでラストチャイルドを読んだことが始まりでジョンハートを知りました。
    その流れで今作を手に取りました。

    もちろんミスティックリバーを思い出したし、
    もうとっくに崩壊していたという点では深田晃司監督の淵に立つを思い出した。

    家族というものは一体なんなんだろうか。

    僕はまだよくわかりません。
    良く言えば絆、悪く言えば鎖だと思います。
    とても綱渡りのようにどちらにも転がり込む危険を孕んでいると思います。

    まだ良くわかりませんと言いましたが、そして父になる、ミリオンダラーベイビーを観た時に
    僕は血よりも時間だと思ってしまった人間なので、答えは出てるのかもしれません。



    町を覆う空気は終始不穏で閉塞感があって、村社会のような息苦しさを感じました。

  • ジョン・ハート初読。
    一時期(10年前くらい?)凄いプッシュされていたタイミングで購入し積読。
    やっと読めた。

    川の情景、過去を知る住民、別れた恋人、父親との久しぶりの対面など、入りとしてはすごく盛り上がるのだけど、起きていることの割には冗長だった。

    正直、辛い過去があった主人公アダムが、父親や家族との確執を乗り越え再生へと至るストーリー。。。が描かれることを期待して読んでいた。が、実際にはもうどうしようもないところまでバラバラになってしまうラストに唖然。
    え、あんなにこだわってた故郷捨てるの?とか。
    色々あったのはわかるけど、父親はじめ家族みんな酷すぎるだろう、とか。
    心温まるラストを期待しすぎたのが悪かったんだけど、これじゃない感があった。いや、話自体は面白いのだけど。。。

    最後に。主人公モテすぎだろ。。。

  • あ~、やっぱりジェームズ・ディーンだ~。
    頭の中で、主人公アダムが「エデンの東」「ジャイアント」などのジェームズ・ディーンとして映像化されてしまう。

    神の存在を問うような運命、大土地所有に絡む名家と住民の根暗な物語は、アメリカ人がホント好きそう。

    家族への疑心暗鬼と、青春の苛立ち、煮え切らない、カッコつけ
    金持ちの坊ちゃんの中途半端な自暴自棄
    人の話を聞かない、人にうまく伝えられない頑固で弱い父
    ネガティブで暗い後妻とその子供たち
    金と名誉とやっかみの入り混じる住民たち

    川を題名とした小説はどうしてこうも暗いのか
    「ミスティックリバー」デニス・ルヘイン
    「クリムゾン・リバー」ジャン・クリフトフ・グランデ
    「深い河」遠藤周作

    後半は打って変わってアダムが探偵役として活躍するが、相変わらず危なっかしい。
    不必要とも思えてしまうほど込み入った人間関係が徐々に明らかになっていき、最後の最後に悲劇とともにくっつく。
    アダムが最初から知ってることを刑事に話していたら……物語にならないか。
    一人称の小説たけど、ちょっと主人公の言ってること疑ってたし。

    やっぱり、この人の小説は、最後まで読んで初めて報われるな~。
    ……気合、要るよ。

  • ドロドロ詰め込んだ大作。この作者にしては普通かな。

  • ミステリとしてはあまり納得しないが、家族&田舎小説としては十分すぎる。

  • 本屋で平積みにされていた作家さんなので図書館で借りてみました。賞も受賞されているみたいです。面白かったです。

    いつの時代を想定して書かれた作品なのかはわかりませんがちょっと警察の捜査が杜撰すぎないかなと恐ろしくなりました。状況証拠とか物的証拠とか無しに一人の人間の目撃証言だけで犯人にされてしまったら恐ろしいですよね。誰かに恨みを買っている人は注意が必要ですね。

    大体あの人は怪しいなあと思っていたのですがまさかこう来るとは、と言う展開です。しかし犯人がわかってしまうとえ?そんな結末?と言う気がしました。まあ謎解きよりは家族の愛憎劇がメインなのでしょう。

    この頃中年ぐらいの年齢が活躍する話をよく読んでいた所為か主人公が血の気が多くてついて行けないなあと思うことが暫しありました。暴力的ですよねえ。だから警察にも目をつけられるんだ、きっと。

    敵か味方かわからない元彼女はあまり好みで無かったです。父親との確執は愛がある故の悲しみや痛みと言うことなんだなあと思いました。また今度は違う本も読んでみようと思います。

  • 「期待は絶対に裏切られない」という帯の北上次郎さんの言葉と、いつも全面的に信頼しているエドガー賞、ということで読む。

    いくつか弱点はある(少々けれんみ漂うキャラクター設定、解明へのいささか強引な経緯、私の最も好まない犯人像など)けれど、後味はわるくないです。
    わるくない、というか、最後の1行で、作品の弱点すべてを補っておつりがきます。

  • 第一回翻訳ミステリー大賞では、『ミレニアム』と同点三位を獲得。
    各誌書評でも絶賛されている作品。

    なのだけれど。

    父と子の確執、二度と取り戻せない子ども時代の煌くような思い出、年の離れた友人との友情、男同士の心の結びつき・・・・
    どれもこれも好みの方向を指しているのだけれど。
    いま一つ胸に迫ってこないのは何故なんだろう。

    人生というのは、確かに選択の連続で、こちらかあちらかという二者択一を迫られる場面も多いのだけれど、、そうそう簡単に二つの選択肢だけに分けられるものでもあるまいに。

    親の弱さを受け止めちゃえる(かもしれない)息子の度量とか、お金に執着しない鷹揚さとか、とことん慕ってくれる妹のような年下の美女とか、どこまでも自分を信じてくれる友とか、何だかんだ言いながらも、やっぱり“待つわ”状態の恋人とか、いかにも男性の歓心を買いそうな仕掛けにしらけちゃったのかも。

      Down River by John Hart

  • ・・・全部、この親父の所為なんとちゃうか。
    ミステリ要素はさておき、冒頭の印象的な川の情景とタイトル、どちらかというと堰き止められていた淀みの様な家族との対比的なものなんでしょうが、もうちょっと心象風景として絡めて欲しかった気がします。

  • 今まで読んだミステリ本の中で一番になる本に出会いました!
    昨日読みおわり、まだその余韻にひたっています。
    描写がとてもきれいです。

    友情と家族愛をテーマに描いております。
    愛するひとのために、自分はどこまで出来て、どこまで許せるのか考えさせられました。
    ストーリーが展開してくると、息を止めて読むくらいドキドキしました。

    『あらすじ
    ある事件で故郷を追われた主人公アダムが、親友からの電話を機に故郷へ戻る。
    故郷に戻ったことで、アダムは事件に巻き込まれて行き、過去の事件やはなれた家族と向き合うことになる。』

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著者プロフィール

1965年、ノース・カロライナ州生まれ。ミステリ界の「新帝王」と呼ばれる。2006年に北米最高のミステリ賞であるアメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞最優秀新人賞候補作『キングの死』で華々しくデビュー。その後、2007年発表の第二長篇『川は静かに流れ』で、同賞の最優秀長篇賞に輝いた。2009年の第三長篇『ラスト・チャイルド』は、エドガー賞最優秀長篇賞および英国推理作家協会(CWA)賞最優秀スリラー賞をダブル受賞。エドガー賞最優秀長篇賞を二年連続で受賞した唯一の作家となる
『終わりなき道 下 ハヤカワ・ミステリ文庫』より

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