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本 ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784151775017
感想・レビュー・書評
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オリエンタルな雰囲気が満載のトルコが舞台のミステリー。
イェニチェリとよばれるトルコ最強を誇った軍は厄介者と成り下がり討伐さればらばらになった。しかしその残党とみられるやからが事件を起こす。犯人は一体誰?
謎を追う主人公は宦官ヤシム。切れ者の彼は呼び出しをくらい事件を解決するために奔走する。点と点が繋がる瞬間がなかなか爽快!
何より個性的なキャラクターやイスタンブールの描写が魅力的で、特にヤシムさんは人好きする好青年・・・! 料理は上手だし頭は切れるし、けっこう強い。
はじめて聞く用語とかけっこう出てくるので難しいけれど、世界に入り込むとまるで迷路を一緒に駆け抜けているような感覚になります。
料理はとってもおいしそうだし匂いまでしてきそう。うん、おもしろかった!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1830年代のオスマントルコ。
宮廷に出入りする白人の宦官ヤシムが士官殺害事件を調査する。
さらに後宮でも妾が殺害され皇后から調査を依頼される。
ヤシムが地味に事件を調べていきますが、イスタンブールの街の様子や人々の様子が生き生きと描かれていて事件そっちのけで面白かった。
和邇桃子さんの翻訳はやっぱり軽快で自然な日本語、長編ですが読みやすくてほんとに良いです。 -
2009-07-00
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内容紹介
【アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞】
オスマントルコ帝国近衛新軍に衝撃が走った。四人の士官が突然姿を消し、次々に惨殺死体で発見されたのだ。スルタン隣席の閲兵式を間近に控え、早期解決をもくろむ司令官は、聡明で鳴る宦官ヤシムに調査を託す。死体が指し示すのは、近代化のために抹殺されたかつての最強軍団イェニチェリの残党だった。背後には不穏な動きが見え隠れする……歴史ミステリの傑作
内容(「BOOK」データベースより)
オスマントルコ帝国近衛新軍に衝撃が走った。四人の士官が突然姿を消し、次々に惨殺死体で発見されたのだ。スルタン臨席の閲兵式を間近に控え、早期解決をもくろむ司令官は、聡明で鳴る宦官ヤシムに調査を託す。死体が指し示すのは、近代化のために抹殺されたかつての最強軍団イェニチェリの残党だった。背後には不穏な動きが見え隠れする…見事にアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を射止めた、歴史ミステリの傑作。
著者について
ケンブリッジ大学でビザンチン帝国の歴史を学び、イスタンブールに魅せられる。処女作の成功後、6カ月にわたって東欧を旅し、イスタンブールに初めて入った。2006年に発表した本書でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の最優秀長篇賞を受賞。すでに2007年には、本書に続く宦官ヤシムの活躍を描いた第2作The Snake Stoneを発表し、第3作も執筆中である。英国サセックス在住。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
グッドウィン,ジェイソン
ケンブリッジ大学でビザンツ帝国の歴史を学び、イスタンブールに魅せられる。処女作となったA Time for Tea:Travels Through China and India in Search of Tea(1991年)の成功の後、6カ月にわたって東欧を旅し、イスタンブールに初めて入った。その成果は多くの賞を得た1993年のOn Foot to the Golden Horn:A Walk to Istanbulに結実している。ほかにLords of the Horizons:A History of the Ottoman Empire(1998年)などの著作がある。2006年に発表した『イスタンブールの群狼』でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の最優秀長篇賞を受賞。英国サセックス在住
和爾桃子
慶應義塾大学文学部中退、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
佐々木先生紹介
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海外小説御約束の、地の文による風俗と文化の細密な描写ぶり。
空気を楽しむのは良かったけど、ストーリーの盛り上がりはさしてなかった。 -
ミステリ好きより旅好きにおすすめ。
19世紀、スルタンマフムート二世治世のオスマントルコ。勇猛で知られたイェニチェリ軍団はその横暴さゆえに一掃され、イスタンブールには替わって近衛新隊が編成されていた。だか、その士官四人が相次いで惨殺される。司令官の命令を受け、頭脳明晰をもって知られた宦官ヤシムは事件の解明に乗り出す。
ミステリとして面白いかといえば、その展開は地味なほうといえるでしょう。オスマントルコの歴史的背景を押さえていないと、十分堪能するところまでは持っていけないかと…。なので、本書を楽しむためにはまず、巻末の訳者後書きから読むことをおすすめします。トルコの歴史的背景から登場人物、トルコ料理に至るまでわかりやすく丁寧かつコンパクトに解説されています。なかでも、日本との浅からぬ友好関係については興味深いものがあります。
本書の著者はビザンツ帝国についての研究を極め、イスタンブールに魅せられた歴史著述家とありました。訳者も「本書の主役はイスタンブール」と認めているように、思うに著者はミステリを書きたかったというより、イスタンブールの街そのものを描きたかったのでしょうね。マルマラ海を望み、ミナレットやドームの美しい街の遠景から、バザールの喧騒、水煙草の煙る路地裏まで、しかも欧風文化の洗礼を受けた19世紀イスタンブールはどこまでも魅惑的です。その意味では、ミステリ好きよりも旅好きにおすすめしたい一冊です。 -
19世紀トルコといってもイメージが湧いてこず、てこずりました。章が変わるごとに、抹消されたトルコ軍(イェニチェリ)の興亡や、イスタンブールの風景、王族の暮らし、などのウンチクが語られ、ズームしていくようにようやくストーリーが進んで、また章が変わり…と司馬遼太郎作品を読んでいるかのようで、いかにも歴史家が書いた、といった作品です。通勤電車で途切れ途切れ読むよりは静かな部屋でじっくり読みたい本だと思いました。反省です。登場人物たちはなかなか魅力的です。作中の料理がおいしそうでした。これまた想像しにくいですが。
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トルコ、イスタンブールなどを舞台とした作品です。
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不思議な満腹感で読了しました。血なまぐさい殺人事件なのに。
宦官である主人公、亡国の大使、守旧派と改革派、フィクションの人物と実在の人物。そういった人々がモザイクのようにオスマン帝国の首都、イスタンブールの表と裏の世界に配され、きらきらと光を放っています。
迷路のような街やハレムのたたずまいに幻惑され、トルコ料理の詳しい描写に、ふと独特の香りが漂ってくるような錯覚も覚えました。
巻末の訳者の後書きも必読。
ごちそうさまでした。