レイン・フォール/雨の牙 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ア 15-1)

  • 早川書房
3.24
  • (2)
  • (3)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 55
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151781513

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主人公は暗殺を生業とする米国と日本のハーフで元米軍特殊部隊のエリートだった男。
    舞台は東京。
    ある日裏稼業を無事終えた主人公はその仕事がきっかけで謎の敵と闘うことになる・・・

    感想は面白かった。

    この著者はなんせ日本(文化・武道・地理・政治)に詳しい!
    本の解説には「日本在住」とありましたが現在はどうなのでしょう?

    元CIA職員で日本通で柔道も黒帯とのこと。

    必要以上に設定や状況説明が細かく少し面倒くさい感はありましたが、外国人作家がサスペンス小説でこれ程日本の文化や思想(日米両方の視点で)を書いた本は珍しいのでは?
    決して日本を馬鹿にしてないし・・・

  • 日本人の父とアメリカ人の母を持つハーフの暗殺者ジョン・レインが主人公。
    レインはハーフであるがゆえに、日本でもアメリカでも「半端者」としていじめられてきた。だが今はアジア人らしい顔立ちのせいで、日本にいても目立つことなく仕事をこなしている。

    彼のハーフであるという生い立ち、どちらの国にも認めてもらえなかったという少年時代、そしてそれを克服するためのベトナム戦争志願兵という過去。
    これらが物語の骨格となっている。
    ベトナム戦争とハードボイルドというと、ベトナム戦争からの帰還兵が起こした犯罪、というような暗黒面だけで使われてきたことが多い。もしくは、ベトナム戦争で心に傷を負った男が、社会に復帰できずに探偵まがいのことをしている、というような。 
    いずれにせよ、ハードボイルドで描かれるベトナム戦争は、登場人物をプラスの方面に飾るものではなかった。(わたしの知る限り、である)

    だが、レインはベトナム戦争には志願して参加、そして殺人の才能を認められてLURRP(ラープ・長距離偵察哨戒)になっている。そして、ベトナム戦争で「故郷をなくした」と思っているが、それを彼は「傷」としてずぶずぶ沈みこんでいってはいない。
    ベトナムで戦った自分の過去は過去として消化しており、そこで身につけた殺人術で生計を立てている。
    なんだか新しい形の登場人物が出てきたなあというのが、最初の感想であった。(そもそもLURRP出身の主人公なんてのも初めて読んだので、ほう、と唸ってしまった)

    物語は、レインがある官僚の殺害を命じられ、遂行するところから始まる。
    罠、思惑、政治、過去がレインに一気に襲い掛かる。もちろん、ハードボイルドに色を添える恋もあり。
    レインの相手は、自分が殺した官僚の娘。そういう切なくなる舞台装置が整っている。

    特に東京に住むものにとっては、舞台が東京であるために、レインを身近に感じることができる。
    身近に感じるがゆえ、レインの危機にハラハラし、苦悩に心を痛め、恋に涙することができ、物語の臨場感が三割り増しくらいになっている。


    だが、ラドラムやフォーサイスと並び称されるという訳者あとがきは、三十年来のラドラムファンとしては頷けない。もちろん、子供の頃からよんでいる思い出フィルターでラドラムのほうが面白い! と思っているという部分はあるだろうけれど。

    また、ラドラムやフォーサイスはあくまでもスパイ小説であり、物語は罠や事件をベースに描かれているのに対し、このシリーズは主人公であるレインの心のうちがかなり丁寧に書かれており、レインが妙に人間に感じるのが、大きく異なる。
    わたし個人は、ラドラム、フォーサイス、(ちょっと毛色が違うが)ハンターあたりがスパイ小説や戦争小説では抜群にうまいと思っているが、そのあたりのちょいと古臭くて堅苦しい人たちは苦手、でもスパイ小説読みたい、という人には、向いているのではないかと思う。

  • 本当に外国人の作家さんが書いたのかって言う位、東京の描写が上手い!
    私が使っている地下鉄が出たりして、テンション上がったりしてました。割と長いけどすらすら読めます。ジョン・レインがひたすら格好良いです。みどりと無事にくっ付いてくれると良いんだけど、どうなんだろう?
    続編、時間を見つけて読みます。

  • 少し前に椎名桔平さんと長谷川京子さん主演で公開された映画の原作。
    主人公は暗殺を生業とする米国と日本のハーフで元米軍特殊部隊のエリートだった男。
    舞台は東京。
    ある日裏稼業を無事終えた主人公はその仕事がきっかけで謎の敵と闘うことになる・・・

    感想は面白かった。

    この著者はなんせ日本(文化・武道・地理・政治)に詳しい!
    本の解説には「日本在住」とありましたが現在はどうなのでしょう?

    元CIA職員で日本通で柔道も黒帯とのこと。

    必要以上に設定や状況説明が細かく少し面倒くさい感はありましたが、外国人作家がサスペンス小説でこれ程日本の文化や思想(日米両方の視点で)を書いた本は珍しいのでは?
    決して日本を馬鹿にしてないし・・・

    DVDでも見てみようかな。。。

  • 劇場で映画の予告を観てかなり気になって映画を観に行く前に読もうと購入しました。
    読み始めたばっかりなのですが、著者のアイスラーが大の親日家なので街の描写がマニアックに細かいので驚きました。
    微行や情報収集の手口とかもかなりリアルに描写がされていて緊迫感を感じます。
    ジョン・レインという日米ハーフという複雑な境遇の彼がみどりと知り合って事件が伸展するのか気になります。
    このシリーズ買い揃えてしまいそうな予感

  • バリー・アイスラー著のミステリー小説『レイン』シリーズ第一作。

    改めて「小説は麻薬と同じ」と思わせるような作品と出会った瞬間。疲れてすぐに眠りたいのに、読み始めただけで先が気になりそのまま読み続けてしまうのは、章を追うごとに目まぐるしく登場人物の立ち居地や居場所が変わるからか、それとも『東京』の描写があまりにもリアルだからか。まるで何年も東京に通い観察してきたような描写は、もはやアメリカ人とは思えないほど。いや、むしろ『日本人でない』からこそ、既成概念に囚われず『東京』を隅々まで観察できたのではないかと思います。

    主人公ジョン・レインは、自然死に見せかけるようにターゲットを殺す凄腕の殺し屋。その日のターゲットをいつも通りに殺した後、ターゲットの娘と運命的な出会いを果たす。しかし、その娘も殺しのターゲットと告げられた瞬間、全ての運命が狂い始める。その背景には、日米関係を揺るがしかねない、ある機密情報の存在が絡んでいる。
    『機密情報』が絡む手の作品は、得てして話の規模が大きくなりがちになり、仕舞いには主人公は突拍子も無い立場に転換する(あるいはされる)ことになる(大抵は世界を救うとか)のですが、この作品の主人公は一貫して世界情勢の変動に全くといっていいほど興味が無く、ただ自分の守りたいものを守る為に動くところが特徴です。それが例え大多数の人にとって間違いだとされても、終生敵視となることでも。
    ただ、ハードボイルドの主人公もしくは殺し屋が、ターゲットもしくはそれに関わる誰かに感情移入するのはよくある展開ですが、ちょっと早すぎなんじゃないかと思うくらい序盤にあります。しかし、機密情報を狙う勢力が四方八方から登場し、複雑怪奇に絡む以上、致し方ないかもしれませんが。

    ベールが剥がれた『ジョン・レイン』シリーズ。今後の展開に目が離せません。

  • ひさしぶりにハードボイルド!
    日本が舞台になっているから新鮮だけど、舞台がアメリカだったらそうでもないかも?
    映画化されて近々公開らしいです。

全8件中 1 - 8件を表示

バリー・アイスラーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×